特殊清掃コラム
賃貸で自殺が起きたときの請求は誰の負担?原状回復費・損害賠償・連帯保証人を整理

身内が自ら命を絶たれたという深い悲しみの中で、大家さんや管理会社から高額な請求書が届く。どう対応していいか分からず、パニックになってしまうのは当然のことです。
しかし、賃貸物件での自殺案件は、孤独死(病死)とは法的な扱いが大きく異なります。ここで最も危険なのは、請求された金額をそのまま「すべて自分たちが払わなければならない」と思い込み、慌てて念書にサインしてしまうことです。
請求されるお金には「原状回復費」と「損害賠償」の2種類があり、相続人か連帯保証人かによって負担すべき範囲が変わります。この記事では、特殊清掃の現場で数多くの調整を行ってきたプロが、交渉前に知っておくべき実務と初動の順番を整理します。
責任問題で対応を誤らないために
- ⚖️ 原状回復は連帯保証人の責任?
-
⚖️ 自殺の場合の損害賠償(本記事)
- ⚖️ 孤独死の損害賠償|判例解説
自殺案件は、孤独死と同じようには扱えません
賃貸物件で人が亡くなった場合、それが「病死などの孤独死」か「自殺」かによって、大家さんから請求される費用の法的根拠が変わってきます。
法律上、自殺は「故意(または過失)による行為」とみなされやすく、事故物件化による家賃下落や空室リスクなど、物件に損害を与えた責任が問われる傾向にあります。
| 項目 | 孤独死(病死など) | 自殺 |
|---|---|---|
| 法的判断の傾向 | 原則として無過失 | 故意・過失とみなされやすい |
| 原状回復の実務 | 汚染された箇所の修復・消臭が中心 | 完全な修復と消臭が強く求められる |
| 損害賠償 (家賃下落等) |
原則として請求されない | 請求される可能性が高い |
ただし、「請求される可能性が高い」ことと、「相手の言い値で全額払わなければならない」ことは別問題です。過大な請求を防ぐためには、費用の切り分けが必要になります。
まず分けるべきは「原状回復費」と「損害賠償」です
送られてきた請求書を見る際、絶対に混同してはいけないのがこの2つです。これをごちゃ混ぜにして対応しようとすると、話し合いが必ず行き詰まります。
| 費目 | ① 原状回復費 | ② 損害賠償 |
|---|---|---|
| 内容 | 部屋を物理的に元の状態に戻すための「実費」。 (特殊清掃、遺品整理、リフォーム工事など) |
事故物件化したことによる経済的損失の「補填」。 (空室期間の家賃、次期入居者の家賃値下げ分など) |
| 誰に来やすいか | 連帯保証人・相続人の両方 | 主に相続人 ※連帯保証人は契約内容により異なる |
| 交渉の余地 | 実際にかかる作業費用の実費のため、過剰なリフォーム請求でない限り、極端な減額は難しい。 | 法的根拠や過去の判例(ガイドライン)に基づいて、金額や期間の減額を話し合う余地が生じやすい。 |
「請求内容の整理と原状回復の進め方を相談したい」という方へ
電話で状況を相談する(無料)連帯保証人と相続人は、どこまで負担するのか
実際にまごのてが対応した、都内アパートでの練炭自殺事例です。何にどれくらい費用がかかり、どこが交渉ポイントになったかの相場感としてご覧ください。


【写真:汚染の広がりとリフォーム後】浴室で発生した練炭自殺の現場。熱と煤(すす)、腐敗臭が部屋全体に回り、表面の清掃だけでは原状回復できず、ユニットバス交換を含む大規模なリフォームが必要となりました。
| ① 特殊清掃(汚染除去・消臭) | 450,000円 |
| ② 家財撤去(遺品整理) | 250,000円 |
| ③ リフォーム(UB交換・内装) | 1,400,000円 |
| 【原状回復費 小計】(①+②+③) | 2,100,000円 |
| ④ 損害賠償(家賃補償等) | 700,000円 |
「この状況で何が高額化しやすいか見てほしい」という方へ
現場の写真を撮る気力がない時は、無理をせずまずは声で状況をお聞かせください。
📞03-4405-5420 (まずは電話で相談する)※現場の写真が撮れる場合や、請求書をお持ちの場合は補助としてLINEをご利用ください。
LINE補助用:写真や書類を送る大家と揉めるのは、請求額より“初動の順番”です
「自殺だからといって、死んだ人に責任はない!私たちに払う義務はない!」
身内を亡くした悲しみと、突然の高額請求によるパニックで、大家さんに感情的にぶつかってしまう。ご遺族のそのお気持ちは痛いほどよく分かります。
しかし、大家さんもまた、大切な資産に甚大な被害を受けた当事者です。お互いが感情的にぶつかってしまうと、本来なら話し合いで解決できたはずの交渉がこじれ、高額な賠償請求訴訟へ発展する恐れがあります。
直接話し合って行き詰まる前に、まずは特殊清掃(一次処理)で被害の拡大を防ぎつつ、請求内容の整理に入ることが重要です。第三者である我々のようなプロを間に挟み、「どこまでなら払う義務があるのか」を冷静に切り分け、原状回復の見通しを示すことが、結果的にご遺族自身の過大な賠償リスクを下げることにつながります。
交渉前にやるべきこと、やってはいけないこと
パニックになりがちな状況だからこそ、以下の順番を守って対応を進めてください。
- 現場状況の把握(管理会社・大家への連絡)
- 特殊清掃一次処理の手配(※まごのては事前の見積もりは基本的に行わず、まずはご自身の賠償リスクを抑えるための「一次処理」を最優先します)
- 契約内容の確認(誰が連帯保証人か、極度額はいくらか)
- 請求内容の整理(原状回復費と損害賠償の切り分け)
- 必要に応じて法務相談(弁護士等へ)
- 原状回復の実施と、大家さんとの本格的な交渉
- × 請求された金額のまま、慌てて念書や合意書にサインする。
- × 大家さんに対して「責任はない」と感情的に言い切る。
- × 費用を惜しみ、特殊清掃を後回しにして近隣への悪臭被害を拡大させる(※賠償額がさらに跳ね上がります)。
- × 自分は「連帯保証人」なのか「相続人」なのかを混同したまま話を進める。
まごのてができること──原状回復と説明の土台をつくる
私たち特殊清掃業者は、弁護士のように「損害賠償を〇〇円減額させます」とお約束することは法律上できません。
しかし、「大家さんが納得し、話し合いのテーブルに着くための土台」を作ることは得意です。
特殊清掃の確かな技術で迅速に汚染と悪臭を取り除き、大家さんの「この部屋はもう二度と貸せないのでは」という恐怖を取り除きます。
そして、どこまでが清掃で落ち、どこからがリフォーム必要なのかの正確な写真報告・意見書を作成し、不当に高額なリフォーム請求を防ぐ材料を整えます。必要であれば、連携する弁護士をご紹介し、法的な解決への橋渡しも行います。
よくある質問 (FAQ)
「どう整理していいか分からない」「大家さんへの説明に困っている」
そのお悩み、特殊清掃と不動産実務に精通したプロにご相談ください。
特殊清掃を要する事態は一刻を争います。お急ぎの方は、お電話にて直接状況をご相談ください。
📞03-4405-5420 (まずは電話で相談する)電話受付:6:30 ~ 21:00(不定休)
※現場の写真を送る場合など、補助としてLINEをご利用ください。
LINE補助用:写真を送る株式会社まごのて 代表取締役
佐々木久史
孤独死・自殺・ゴミ屋敷・事故物件など、他社が断るような現場でも創業以来施工不能となった現場は一つもありません。
宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士の資格((東京)第277343号)を保有しており、清掃・消臭の技術判断と「どう再生すれば資産価値を回復できるか」の不動産判断を同時に行える点が他の特殊清掃業者との最大の違いです。
日本在宅医学会・高齢者虐待防止学会での登壇実績、各行政区のゴミ屋敷条例意見交換会への出席など学術・行政の両面から現場の専門家としての地位を確立しています。
東邦大学保健衛生学部・岸恵美子教授(セルフネグレクト・ ゴミ屋敷研究の第一人者)と、現場データの共同研究を継続。 複数の学術論文に共同執筆者として名前が掲載されており、 現場実務者として学術分野での評価も確立しています。
東洋経済:ゴミ屋敷に商機を見出した男の波乱万丈人生
理念と経営:逆境の時ほど爪を研げ
株式会社まごのて
東京都江戸川区北葛西3-5-6
インボイス適格事業者登録番号:T1011701018023
宅地建物取引業:東京都知事(1) 109168
産業廃棄物収集運搬業:01300191644(株式会社MG)
ゴミ屋敷の状態がどれだけひどくても、お断りした現場は15年間一度もありません。恥ずかしがらず、現状をそのままお話しください。










