特殊清掃コラム

特殊清掃とは
2024.05.06

孤独死!?近所で窓にハエなど異変を察知した際の対処法

孤独死の特殊清掃
エックスなどでも時折投稿を見かける「近所のマンションの窓にハエが大量に張りついてる」とか外の廊下や共用部にウジ虫が這ってる等の投稿を見かけます。また毎夏私たちへも電話やメールで「数日前から異臭がする」とか「隣の部屋の電気やテレビがずっと付いている」など何らかの異変を察知して相談をしてくる方がいます。

それらの行動の賛否は別としてそんな場合はすぐに「警察か管理会社へ連絡」してください!エックスで聞いたとて事態が好転するわけでもなく、私たちへ電話もらったとしても今すぐ何かが出来るわけではありません。
 
孤独死かも?
警察へ通報した場合自分自身はどうなるのか
異変を察知した際に警察に電話するのを躊躇う理由にはいくつかあると思います。まず第一に間違っていたらどうしようという思いと、最初に通報すると何か面倒なことになるのではないかというものがあります。

もし間違いだったとしても全然問題ありません、警察が安否確認で部屋に突入したらゴミ部屋で部屋の住人が奥で寝ていたということもありますし(異変は隣の部屋だった)生ごみを放置していてたまたま長期留守中にハエが沸いただけという場合もありますので躊躇せず連絡して大丈夫です。

第一通報者として面倒なことにならないかという懸念も基本的にはありません。通報を入れる際にまったく無関係であること、隣や向かいに住んでる者だと言えば状況説明ぐらいは求められるかもしれませんがそれ以上はありません。

ハエや臭いがある場合はほぼ間違いなく室内で亡くなって数日経過しています。真夏でエアコンがついていない場合はたった2日でもハエは沸いて出ますし、そこから先は数千の単位で大増殖しますので早いにこしたことはありません。
 

希望的観測は捨てよう!室内で亡くなってる場合の特徴

ゴールデンウイーク中のある日のエックスの投稿では窓にハエがたかった写真とともに「近所のとあるマンションの窓、部屋の内側に大量の蝿が発生してるんだけど中で変死してないよね?」と投稿されています。私もその投稿写真を見ましたが間違いなく亡くなってる場合のハエの出方です。

管理会社には連絡済みと書いてありましたがゴールデンウイーク中のことゆえ迅速な対応はおそらくされません。みなさん管理会社=賃貸を申し込んだ不動産屋と思ってる方が多いですが必ずしもそうではなく建物管理は別の会社という場合があり、休日でも受付はするけど担当者が休みだったりでどうしても初動は遅れます。だから異変を察知したらすぐ警察へ連絡が正解なのです。

コメント欄では様々な意見が飛び交っており、ズバリ亡くなってると指摘したコメもありましたが意外と希望的観測っぽいものも多くありましたが、正直言って生ごみを出し忘れた程度でこんなに大きなハエは出ませんし窓に張り付くこともありません。私たちも孤独死現場へ入室する際は外からハエの大きさや量を見て室内の状態を予測しますのでハエが大量に居るというだけでほぼ間違いがないのです。
 
エックスの投稿から
ハエはどこからでも侵入できます
孤独死現場においてウジ虫とハエは必ずセットです。人の体は死亡した瞬間に細胞の活動が停止し腐敗が始まります。真夏だと24時間経過せず、真冬でも暖房がついていれば1~2日で人体が溶け出します。腐敗が進むということは同時に腐臭が出ます、その腐臭はハエにとってご馳走となるわけで50Km先からでも察知して飛んでくるともいわれています。

ではハエはどこから室内に侵入するのか、これもよく話題に出ますが、よほど高気密マンションでない限りハエが侵入できる隙間はどこにでもあり通風孔やエアコン、排水管を通じてやってく場合もあります。そうして侵入したハエはご遺体に卵を産み付けるのですがハエの卵期間はとても短く真夏だと1日で孵化しウジ虫となります。ウジ虫はご遺体を養分としあっという間に羽化し成虫になりその成虫がまた産卵するというサイクルです。

もし死後2~3週間ともなると三サイクル程度産卵~羽化を繰り返してますのでたちまち万の単位のウジ虫が発生するのです。ご遺体に巣くっていたウジ虫が羽化し外に出ようとするから窓際にハエがたかるというメカニズムで、特殊清掃員は窓の汚れ方などでどの程度のサイクルだったかを見分けることができます。
 

臭いを共用部で感じた場合とウジ虫を発見した時

窓にハエがたかってる場合の説明をしましたがその他にも臭いを感じた時や共用部でウジ虫やハエを見かけた際の判断と対処法についても触れておきます。まず臭いについてですが大半の人が人が亡くなり腐乱してる場合のにおいなど知りません。知らないから判断のしようがないのですがとにかく普通ではない臭いを感じた場合は要注意です。

室内からのにおいはもし換気扇が回っていればダイレクトに外に出ますし、玄関ドアなどは下部にほんの少し隙間がありますので漏れ出てしまいます。亡くなっている場所によっては共用廊下へにおいが出ることもあれば隣近所に出る場合もあります。

いずれにしても臭いを察知するということは腐敗進行もそれなりですからハエの時と同じく絶対に希望的観測を持たずに警察へ連絡が一番早くて確実です。
 
孤独死現場のウジとハエ
ウジ虫も高確率で外に這い出ます
孤独死の現場ではハエだけではなくウジ虫もかなりの確率で外に出ています。ウジ虫は軟体ですから更に小さな隙間でも自由自在に動き回ります。ただすごく小さいですし群れて動かないので一匹や二匹のウジが這ってたからとて気付かない人も多いかもしれません。

現場となった部屋の玄関前ではウジの死骸や生きて這い回ってるものもよく見かけます。また玄関方向だけではなくベランダへ出て数軒先のベランダへ移動していたこともありました。ハエと同じく普段の生活の中でウジ虫を見る機会などほぼありませんのでウジ虫を見かけた場合は人の死にまつわる異変が起きてる可能性がかなり高いですのでエックスに投稿する前に警察へ連絡しましょう。
 

近所で孤独死が起きたことが確定的になった場合

警察や管理会社へ連絡したことで孤独死なり何らかの異常が発覚したとしましょう。ではそのあとどうすべきかですが、その対処も2通りに分かれます。ひとつは自身の部屋に何の影響もなかった場合はそれで終わりです。

もうひとつは自身の部屋ににおいが流れていたりハエやウジ虫が進入してしまった場合は不動産会社に事情を話し対応してもらいましょう。賃貸住宅の場合部屋に何らかの不具合が生じた場合は責任を持って修理なりの対応をするのが大家さんの役目であり民法606条にも厳格に定められています。もし何の対応もしてくれない場合は賃借人側(借主)で対処し家賃と相殺することも可能です。ただし事前に文書で通知する必要はあります。
 
孤独死かも?すぐ警察へ通報
大家さんや不動産会社が何もしてくれずやむなく退去
まごのてで経験した事象をひとつご紹介します。これは臭いが回ってきたとかハエが侵入したなどという生易しいものではなく、真上の部屋で人が亡くなり腐敗した体液が天井に流れてきたというものでした。別で記事もありますが孤独死の現場ではよく遭遇する出来事のひとつです。

東京都練馬区のアパートで起きた孤独死ですが当然第一通報者は下の階の方でした。その後管理会社やご遺族などの手配で特殊清掃が入ると思っていたのですが一向にその気配がなく仕方なく私たちに相談があったものです。この方は事件以降ずっとホテル暮らしを余儀なくされているけど依然部屋はそのまま、それどころか孤独死があった部屋もそのままのようです。

上の部屋の特殊清掃が行われていない限り下の部屋を何らかの対処ができるはずもありません。2週間たっても何も今後のことが示されないことに業を煮やし不動産会社に連絡するとなんと「においなんて1ヵ月もすれば消えますから我慢してください!」と言われたそうで、あまりにも不誠実な対応のためやむなく退去したという方がいました。

実は珍しい話ではなく亡くなった方に身寄りなどがなく特殊清掃費を払う人がなく大家さんもお金を掛けたくないと何の対応もしないということがあるのです。また不動産関係者ですら窓を開けて換気すれば臭いが消えると思ってる人も未だにおり不誠実極まりないと言わざるを得ません。呼びつけて対象の部屋に閉じ込めて出れなくしてやろうかと思うこともあります。

早く発見してあげることが故人への最大の供養

エックスでは今回の窓にハエがたかってるなど絶対に室内で異変が起きてるであろうことがよく投稿されています。写真や動画が添付されてることもあれば文字だけのこともありますが、明らかにおかしいと感じたらエックスに投稿する前に警察などに連絡するのが先です。

みなさん経験したことがないことですからもし勇み足になったら恥ずかしいとか、迷惑をかけるかもしれないという思いからまず投稿してしまうのだと思いますが、エックスに出したからといって事態が好転したり本当に的確なアドバイスを得れることはあまりないと感じます。

部屋で突然亡くなってしばらく発見されないということは今や珍しいことではありませんし、それ自体は不幸なことではありませんが、出来るだけ早く、それこそ1分でも早く発見してあげることが何よりの供養だと思います。スマホで何文字か打つ間に110と打って状況を話すだけでいいんです。なんとか勇気を出してやってもらえると幸甚です。
 
孤独死が起きたらまずは特殊清掃
ご遺体発見後はすぐに特殊清掃の手配を!
早くご遺体を見つけてあげることは故人への供養と書きましたが、私たちは特殊清掃も故人への供養の一環であると考えています。孤独死がありご遺体が発見され警察がご遺体を引き上げた後には室内に故人の跡が残っています。

ご遺体痕は故人そのものであると考えていますので、その跡があるまま家財撤去をしたりリフォーム見積もりなどで他人がドカドカと部屋に入ることは故人を踏みつけてることと同じです。ですからまごのてでは孤独死などが発覚したらまずは何を置いても初期の清掃でご遺体痕を清めてから次の工程に移りましょうと言っているのです。
 

ご遺体痕がある限りハエはずっと出ます!すぐに特殊清掃をしましょう

エックスの投稿にあったハエの大量発生ですが昨夜詳細がわかったようです。結論から言えばご遺体はすでになく少し前に孤独死が発覚しご遺体が運び出された部屋だったということでした。

ではどうしてご遺体がないのにハエが大量発生していたかを説明します。ハエの子であるウジ虫のほとんどはご遺体に付着していますのでご遺体と一緒に運び出されますが逃げたウジが羽化したものと考えられます。ウジ虫はほんの少しの隙間でも逃げ込めますので畳の裏側や巾木の中や洗濯パンの排水口などあらゆる場所に身を潜め成虫になります。

そしてご遺体はないけど腐敗体液が残ってる布団や衣類、床面に残った故人の痕に産卵しまた羽化を繰り返します。つまりご遺体はなくてもご遺体があるのと同じ状況なのです。この状況は日数が経てば解消される性質のものではなくご遺体痕ある限り永遠に続きます。

ハエだけではなく臭いもずっと出続けます。エックスの投稿にあったこの孤独死現場はいつ発覚したものかは分かりませんが孤独死発覚直後にせめて初期の清掃と消臭をしていれば良かった事案です。このように大量のハエの発生や外への臭い漏れを防ぐためにも初期の清掃と消臭(特殊清掃一次処理)はすぐにでも行いましょう。

まごのての場合は東京近辺であれば最短即日にお伺いし臭いを止めハエを駆除し入室環境を整えたり、近隣への影響を食い止めることが出来ますので孤独死が発覚したらすぐにご相談ください。

東京の孤独死部屋の清掃ならまごのて
記事執筆:

株式会社まごのて 代表取締役
佐々木久史

主に特殊清掃技術の開発や指導に注力しています。まごのては宅地建物取引業の免許を受けており私は専任の宅建士です、また賃管士資格を保有しており不動産取引関係には精通しています。 

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