特殊清掃コラム

部屋の消臭
2024.06.21

孤独死の起きた部屋の臭いとは?消臭方法はどうすればいい?

孤独死の起きた部屋の臭いとは
孤独死の特殊清掃関連でみなさんの一番の関心事は何をおいても『におい』でしょう、孤独死があった部屋はどんなにおいなのか知りたいということをよく聞きます。

私の知り合いや来社された方もまずすべての人が聞くと言っても過言ではありませんが、どんなにおいかと聞かれても例えるものがなく、魚が腐った臭いだとか豚肉を夏の炎天下で3日置いた臭いと表現する記事もありますがどれも微妙に違います。

端的に表現するとしたら人が絶対に受け入れることができないにおい、鼻から入った時点で脳が拒絶反応を起こすものこのような表現になります。いわゆる特殊清掃関連ではないけど部屋の臭いに悩む人は多いですので臭いの発生メカニズムと消臭についてお伝えしていきたいと思います。
 
孤独死臭とは
死臭?孤独死現場の臭いの呼び方
孤独死が起きた部屋の臭いのことを「死臭」と呼ぶ人は多く、特殊清掃業者のホームページでも死臭と表現しているところがあります。私も実はどちらが正解なのかはわかりませんが、死臭より腐乱臭が正解ではないかと思うのです。

勝手なイメージかもしれませんが「死臭」はいわば病院の霊安室や葬儀斎場で微かに漂ってくる臭いで、私たちが日々赴く孤独死が起きた部屋は死臭を通り越して別の性質のにおい、すなわち腐乱臭と呼ぶのが正しいと考えます。この腐乱臭も段階があって初期であれば少し生臭さの混じる腐乱臭で、日数経過とともに酸化したにおいとなってきます。

酸化した臭いと言えばさらにイメージしにくくなるかもしれませんが、脂が劣化したにおいと思っていただければ良く、動物性の脂質が腐り分解される過程で発せられる臭いです。

このようににおいについては言葉で表現するのがひじょうに難しい性質のものですが、『臭いを感じる』のは人間を含めた動物に備わった防衛本能らしく、身の危険や近づいてはいけないという場合に察するサインのようなものです。
 

どうして臭いが出るのか?そのメカニズムを解説

においは大きく分けて2種類あります。ひとつは化学的なもので例えば香水や洗濯洗剤に含まれる香料や部屋の芳香剤も含まれます。そしてもうひとつは孤独死の部屋などで出る腐乱臭と呼ばれるもので有機系のもの、つまり細菌に由来する臭いです。

孤独死が起きた部屋は言うまでもなく後者の属しますので菌に由来する臭いということになります。詳しく書くとかなり難しいので簡単に表しますが、まずにおいの元となる物質があります、簡単な例ですと「おしっこ」は体外に出てすぐはあまり臭いがありませんが時間経過とともに臭いが強くなります。これはおしっこの成分に対して菌により分解されることで臭いを発します。

人が亡くなり時間が経ってしまうと体内から体液や脂が流れ出ます、そこに細菌が発生し分解することによって臭いが出ると考えればわかりやすいでしょう。
 
臭いの発生メカニズム
臭い発生源を残せば永遠ににおいは消えません
臭い発生源とは単純に汚れと考えればわかりやすく孤独死の現場であれば人体から出た体液や血液や脂を指します。これらの汚れはどんどん流れて広がり部屋を汚します。さらにハエやゴキブリやウジ虫がその汚れに集まり部屋中にその汚れを拡散させます。一般の方がどうして死亡した部屋だけではなく違う部屋でも汚れや臭いがあるのか不思議に思う方も多いのですが大半の原因はハエなどの害虫が臭いを拡散させるのです。

たった1滴の腐敗体液が残っていたら菌はその成分を分解しようとしますので、その物質がある限り臭いは永遠に出るということになるのです。完全に消臭したいならこの臭い発生源である汚れを取り除くということが重要になってくるのですが、実際そこまで理解して消臭に挑んでる人は特殊清掃業者でも少ないのです。
 

消臭剤を使えば臭いが消えるという思い込み

部屋の臭いを消したいと思ったら真っ先に考えるのが何か良い消臭剤はないかと考え、ドラッグストア巡りをしたりネット通販で強力と呼ばれる消臭剤を買い求めると思います。この行為自体は悪くありませんが消臭剤特有の効果をどこまで分かってる買い求めてるのでしょうか?実は消臭剤には2種類ありマスキング効果のあるものと菌の分解を主としたものがあるのです。

そして市販の消臭剤のほとんどがマスキング効果を主とした消臭剤なのです。マスキング効果とは臭いが出る物質を他の物質で包み込んで臭いを封じ込める性質で持続効果が高くありません。臭い発生源を覆っている物質が剝がれるとまた臭いが戻ってしまいます。いくら効果で強力でも使い続けることが前提となってる限り本来の消臭とは大きくかけ離れてしまい目的が達成できないのです。
 
強力な消臭剤の威力とは
菌にアタックする消臭剤や消臭機器
ではマスキング効果がある消臭剤ではなく菌に直接アタックし菌分解することで消臭効果を得るという消臭剤や機械はどうでしょうか?マスキングより消臭効果が高そうに感じます。ここではパナソニックのジアイーノを例にとって解説します。

ジアイーノは除菌効果が高いとされる次亜塩素酸を空気中に発生させることで除菌をするという物で消臭機というより空気清浄機の位置づけです。ではこのジアイーノをトイレのしつけが出来ていないワンちゃんやネコちゃんがいる部屋で稼働させるとどうなると思いますか?はい、ちゃんと消臭します。ジアイーノが稼働している間は臭いを感じません。

ではジアイーノを止めたらどうなるでしょうか?もうお分かりだと思いますがちゃんと臭いは戻ってきます。強力な消臭剤もジアイーノも使ってる間は消臭できますが根本的な解決に至っていないことがおわかりだと思います。これが世間の人々の消臭に対する認識です。
 

完全に部屋を脱臭したいなら徹底した洗浄です

消臭剤も消臭のための器械も根本的な解決にならないならいったいどうすればいいのだと思いますね。この問題は消臭をしたいと思う人すべてがぶち当たる壁と言っても過言ではありません。皆さん難しく考えすぎです、消臭作業は難しいかも知れませんが消臭のためのメカニズムと考え方はそう難しくありません。

臭い発生源を取り除くこと。

たったこれだけです、赤ちゃんの使用済みおむつが室内にあればずっと臭います、ではそのおむつをビニール袋に入れて外に出したらどうですか?臭いは消えますね。これが脱臭するということ、つまり臭い発生源をない状態にするのが消臭の考え方で、臭い発生源をゼロにしてしまうこと、おむつは外に出してしまえば良いですが室内に付着した臭い発生源は洗浄して取り除くしかありません。

みなさんこの洗浄という工程を省くから消臭出来ないのです。特ににおいのレベルが強い特殊清掃現場で洗浄を省いてしまうと致命的で永遠ににおいが残り続けてしまう瑕疵のある部屋となってしまいます。
 
においは自然に消えない
【大間違い】時間が経てばにおいは消える
孤独死が起きた隣の部屋の方から臭いによる相談を受けたことがあります。住んでる部屋の隣の部屋で孤独死があり、臭いがまったく収まらない、特殊清掃が入った形跡もないことから不動産会社にクレームを入れたそうです。

そこで返ってきた回答は「しばらくこまめに換気しておけば消えます」と言われたそうです。その回答に疑問を感じご相談いただいたのです。

孤独死が原因で発生してる臭いは換気をした程度で絶対に消えません、消臭の基本は臭いの発生源を取り除くことと再三申上げてます通り、汚れが臭いの元なのですから汚れを洗浄するなり除去しないと絶対に臭いは消えることがありません。

換気すれば臭いは消えるという考えは孤独死の現場だけではなくあらゆる臭いのシーンで使われるようですが、完全に間違いです。腕の悪い特殊清掃業者も臭い残りを指摘されたら必ず使う言葉です。消臭は臭いの発生源を取り除かない限り絶対に臭いは消えないということは大原則として覚えておいてください。

ただし臭い発生源を完全に取り除いた後に浮遊している残り香の場合はこまめな換気で消えることもありますが孤独死現場のような強烈な腐乱臭の場合は短時間の換気程度で消えることはありません。
 

孤独死が起きた部屋を完全消臭できる特殊清掃業者

孤独死の現場に限らず部屋の臭いを消すというのは臭いの発生メカニズムを知らないと効果的な消臭はできません。特殊清掃業者を掲げてる業者ですらこの原理原則を知らない者が実は多く薬品を撒くだけ、オゾンをしばらく回すだけのような作業をすることがあります。

当然その程度の作業では完全脱臭にほど遠くその場はなんとなく臭いが消えたように感じても数時間もすれば確実ににおいが戻ってきます。また臭い発生源を洗浄したり除去して取り除かなければいけないという概念は知っているけど技量が追い付かないという業者も多数存在します。

完全消臭ができる特殊清掃業者は東京近辺でも実は極めて少なく、まごのてはその中の一社です。確かに適当な消臭をする自称特殊清掃業者より料金も高く時間もかかりますが確実な消臭を実現させ部屋をいち早く原状回復させることができる業者です。

孤独死など人が亡くなった部屋は汚れが思いがけない場所に広がっているため徹底した洗浄が必要なのですがその前にどこにその汚れがあるのか見極めなければいけません、その見極めは一般の方には到底無理で、経験値の高い特殊清掃業者にしかできない領域です。孤独死が起き臭いでお困りの方や特殊清掃業者を入れたものの臭いが完全に取れていなくてお困りのお客様は是非一度まごのてにご相談ください。
 
 
記事執筆:

株式会社まごのて 代表取締役
佐々木久史

主に特殊清掃技術の開発や指導に注力しています。まごのては宅地建物取引業の免許を受けており私は専任の宅建士です、また賃管士資格を保有しており不動産取引関係には精通しています。 

東洋経済:ゴミ屋敷に商機を見出した男の波乱万丈人生
理念と経営:逆境の時ほど爪を研げ

  • instagram
  • youtube

孤独死が起きてお困りの方は私にお気軽にご相談ください。