特殊清掃コラム

実例紹介
2025.05.17

特殊清掃完了前に洗浄不足発覚!消臭ミスの事例

孤独死の特殊清掃完成直前に臭い戻り発生
孤独死の特殊清掃で部屋の消臭完成直前ににおい戻りが発生してしまったいわば特殊清掃の失敗事例をお伝えします。特殊清掃はご遺体痕汚れやにおいが完全に無くなってこそ特殊清掃というのであって臭いや汚れが残っていては特殊清掃とは呼べません。

今回の特殊清掃失敗事例は自らの不手際を公開するものですが、特殊清掃着手前の処理方法にも問題があったために起きてた側面もあります。孤独死が発覚したらどんな手順で進めるのが正しいのか再度お伝えする内容となっています。そして大前提として必ず知っておいてほしいのは臭い発生源がある限り絶対ににおいは消えないということです。この認識が無いもしくは甘いと特殊清掃は失敗します。孤独死が起き発見までに日数が経過すると死亡した人の体からは体液が漏れ出ます、死亡して細胞の活動が停止した瞬間から腐敗が始まるのです。

流れ出た体液は床面を汚します、そして日数が経てば経つほどその量を増し部屋中を汚すのです。腐敗した体液や脂がにおい発生源となるのは想像に難くないと思うのですが、このにおい発生源についての認識が甘いと特殊清掃を省いたり、リフォームだけで済ましてしまうという暴挙に出あとになって臭いが戻るということになってしまいます。

孤独死を原因とした臭いは1滴でも腐敗体液や汚れを残せば永遠に臭いは消えないということは再度認識していただきたいと思います。今回の記事は自戒の意味を込めた記事です。東京都内のある孤独死現場の特殊清掃で物件を預かり完全消臭が出来たと思いきや引渡直前で臭い戻りが発生し、再度ご遺体痕を探し直しやっと見つけて約1ヵ月遅れで完了したという事例ですので今まさに特殊清掃が必要で業者探しをしているお客様は参考にしてください。
 
孤独死の特殊清掃失敗事例

そもそも孤独死の腐乱臭は消臭できるの?

孤独死の腐乱臭は独特の臭いでなおかつ消臭難易度が高いというのはおわかりいただけると思います。ひと昔前だと孤独死をはじめ人の死があった部屋の臭いは消えないとか、少しぐらい残るのは当たり前といわれてることもありましたし、今でもその認識である方はいます。

私たちの見解としては孤独死のご遺体痕由来の臭いは必ず消せると考えています。必ず消せるというエビデンスを持ってるので、この事例のように臭い残りがあったとしても妥協せず徹底的に究明し解決できるのです。もし私たちのような特殊清掃業者が多少の臭いは残るものと限界点を持ってるとしたらどうでしょうか?絶対に完璧な消臭などできません。

今回はまごのて内で起きた作業上の不備不具合をお知らせしますが、臭いは多少残るという認識を持ってる特殊清掃業者であれば度々起きてることですのでご注意ください。関連した記事に他業者が特殊清掃をしたけど臭いが消えずやり直しというものがありますので是非併せてお読みください。

他社の特殊清掃やり直し事例

特殊清掃難易度MAX!床一面のご遺体痕と点在する腐敗体液

今回の記事で取り上げた特殊清掃現場がどのようなものでどんな経緯でお請けしたかを冒頭でお伝えします。わかりやすく時系列でまとめました。

1.東京都内の1DKアパートで賃借人の孤独死が発覚(11月初旬)
2.すぐに家賃保証会社の手配で家財を搬出。
3.12月半ばに大家さんからまごのてに相談。
4.1月中旬より特殊清掃着手。


事前に送られていた部屋の写真を見ると腐敗体液は亡くなっていた部屋一面を覆い、かなりの量の腐敗体液が流れ床下への流れ込みや壁面への吸い上げがあることは一目瞭然でした。一番気になったのはご遺体があった部屋以外にも相当の汚れが拡散されており残置物撤去の業者が踏み荒らしたのは一目瞭然で難易度が高い特殊清掃になることは予測でき、あらゆる可能性を考えて施工手順を社内で話し合い1月半ばから特殊清掃を始めたのでした。

床一面を覆った腐敗体液
床に流れ出た孤独死の腐敗体液
無関係の部屋まで汚染
無関係の部屋にも汚れの付着
残置物撤去業者が汚す
残置物撤去業者の仕事は荒く汚い

特殊清掃は汚れの検索をしっかり行うことが完全消臭の秘訣

孤独死の特殊清掃の進め方はまず第一に汚れをすべて取り除くことから始めます。見えてる部分はもちろん表面上は見えていない床下や壁の内側など直接腐敗体液が流れたであろう部分を慎重に探し出し洗浄したり建材の一部を撤去しながら進めます。

そして直接ご遺体痕が流れたもの以外にもご遺体痕由来の汚れは部屋中に付着しており、例えばウジ虫の這った跡や死骸、ハエが止まった跡やハエの死骸も臭い発生源です。そして今回の場合は残置物撤去業者が踏みつけて汚れを拡散してるので歩いたであろう場所を探しひとつずつ汚れを検索するのです。

ウジ虫やハエなら経験則でどんな場所に汚れを付着させているかある程度想定できるのですが人が不用意に踏みつけた場合は一気に難易度が上がります。この部屋の場合も玄関土間や共用廊下はもちろん汚れた手で触ったであろう押入扉や押入内部まで汚れていたのは閉口させられました。孤独死が発生したら先に残置撤去という商習慣のようなものがあるのはわかりますが絶対にお止めいただきたいことのひとつです。完全消臭の妨げとなる孤独死現場のNG行動を示した記事がありますので参考にしてください。
 
孤独死発生直後のNG行為

特殊清掃完了後に臭い戻り発生!どこに発生源があるか再検索

広範囲に汚れた部分を洗浄し、窓やサッシや建具のハエ跡汚れも完全に取り除き高濃度オゾン燻蒸を間隔運転で数日行い、更に時間を置いてチェックを行ったところ微かに腐敗臭が残ってることが判明しました。

臭気計で臭気を計測しても大きな変化がありませんので本当にわずかの臭気です。こんな場合に考えることはただひとつ汚れの取り残しです。ただ今回の場合は汚れそのものがご遺体のあった部屋だけではなく広範囲に付着していましたので特定にはなかなか時間がかかる作業であることは明白でした。
 
孤独死の特殊清掃業者を選ぶならまごのて

臭い戻りの原因はたった一滴の腐敗体液

自社の消臭の不手際は手探りであちこち探すのではなく作業報告書や記録写真を見てリプレイするかの如く作業すべてを洗い出していけばある程度絞り込むことができます。順番に見ていくと気になるのは下の写真の部分です。

この部分の汚れはわずかだったので下板への漏れはないと判断し表面と溝を洗浄するに留めていたのです。

残置物撤去業者が汚す

ご遺体のあった部屋の残置物を出す際に玄関前のスペース(キッチン前)を通って玄関へ出たと考えられました、そしてもしかしたら手を洗ったり何かをキッチンで洗いその水滴が下の遺体痕を濡らし多少なりとも溶けて流れた可能性を考えたのです。

流れた腐敗体液を追跡

赤丸部分のフロアタイルを剥がし慎重に汚れがないか見極めたところほんの数滴フロアタイルの継ぎ目から腐敗体液が漏れ下板を汚していたのです。おそらく特殊清掃中は水分を含んでいたことによって臭いが漏れ出なかったのですが乾燥が進むにつれ臭い濃度が増してきたと考えられました。

この部分をしっかり洗浄し念のためコーティングを施し、更に多少なりとも臭いが他の部分に移った可能性を考慮し薬剤噴霧とオゾン燻蒸を数日繰り返し完全脱臭が完了したのです。リフォーム部門に引き渡す前に臭い戻りが発覚したので事なきを得ましたがお客様に引渡した後に発覚すれば大きな問題となるところでした。

実際にも他社特殊清掃やり直しでは入居直前で臭い戻りが発覚した事例もあり特殊清掃業者の技量ひとつでお客様の資産をゴミにしてしまう可能性があることは大いに認識すべきだと思います。

孤独死が起きたらまずは特殊清掃一次処理をしましょう

今回の特殊清掃の不具合は私たちの見極め不足という点は大いに反省すべきことです。特に先に残置物撤去業者が入ったような部屋はあらゆる可能性を考えて作業計画を立てなければいけません。

このように特殊清掃業者側でしっかり見極めれば起こらないことかもしれませんが、やはり孤独死発生時の初期行動にも大きな問題があります。ご遺体痕をきちんと処理できるのは経験と実績が豊富な特殊清掃業者にしかできず、残置物撤去業者や不用品回収業者には出来ないことなのです。

まごのてのホームページ内でも散々お伝えしていますが、孤独死発生時のすぐの行動は残置物撤去でもリフォーム見積もりでも遺品整理見積でもありません!特殊清掃一次処理(初期の消臭と清掃)を行い入室環境を整えてから残置物を撤去したり遺品整理を行わなければいけません。特殊清掃一次処理の重要さと具体的な作業例などは別ページでご案内していますので是非ご一読ください。

孤独死発生時にやるべきはたった1つ

孤独死部屋の完全消臭が出来る東京の特殊清掃業者まごのて

今回は自社の消臭失敗事例とそのリカバリー例をお知らせしました。十年以上特殊清掃に携わってきてる私たちですら失敗したり新たな壁にぶち当たることがあります。そのたびに技術検証をし新たな手法を取りいれながらバージョンアップを繰り返しています。

この数年の間に東京近辺の特殊清掃業者は格段と増えたように見えますが、ここまで真摯に特殊清掃や消臭技術を追求している業者は実は多くありません。きちんとした消臭技術を持ってる業者は業界最安値や特殊清掃費用が安いなどは絶対言いません。良い特殊清掃業者を見つけたいなら料金面を強調する業者を避けると良いでしょう。

不幸にも孤独死などが起きてしまい部屋を完全に何事もなかったレベルにまで回復させたいとお望みならまごのてに是非相談してください。まごのては特殊清掃技術が高いのはもちろん会社としての運営体制にもとことんこだわりご依頼いただくお客様がア㎜新出来るような施策を取り入れていますので、はじめてのことでご不安が多いお客様ほどまごのてをお選びいただくのが賢明な判断だと思います。
 
まごのてが安心な特殊清掃業者である証拠
 
記事執筆:

株式会社まごのて 代表取締役
佐々木久史

主に特殊清掃技術の開発や指導に注力しています。まごのては宅地建物取引業の免許を受けており私は専任の宅建士です、また賃管士資格を保有しており不動産取引関係には精通しています。 

東洋経済:ゴミ屋敷に商機を見出した男の波乱万丈人生
理念と経営:逆境の時ほど爪を研げ

  • instagram
  • youtube

孤独死が起きてお困りの方は私にお気軽にご相談ください。