特殊清掃コラム

実例紹介
2026.08.02

特殊清掃後に臭いが戻る理由|自社の失敗談で見る業者選び

孤独死の特殊清掃完成直前に臭い戻り発生

「特殊清掃を終えたはずなのに、引渡し前や数日後に、またにおいを感じた」。このとき、原因をオゾン発生器の出力や薬剤の強さだけに求めると、同じ作業を繰り返すことになります。

まごのてでも過去に、引渡し直前の最終確認で、わずかなにおい戻りに気づいた事例があります。亡くなられた場所周辺の床材を確認し、必要な洗浄と消臭を進めていましたが、原因はそこから離れたキッチン前の床材の継ぎ目と下地に残っていました。

この記事では、成功例ではなく、まごのて自身が初回調査で見落とした事実をもとに、なぜ工程順がにおい戻りにつながるのか、どの記録を業者へ求めるべきかを整理します。

この記事から分かること
部屋が空でも、歩行経路や水を使った場所に原因が残ることがあります
作業順を誤ると、原因箇所が移り、後から追いにくくなります
引渡し前は、乾燥・密閉・時間経過後の再確認が必要です
結論:この事例のにおい戻りは、機械の性能不足ではなく、家財撤去と水作業が先に行われたことで影響経路が複雑になり、まごのてが初回確認で対象範囲を十分に広げられなかったことから起きました。

結論|におい戻りの原因は、消臭機材より前の「工程順」にありました

この現場では、まごのてが入る前に家財がすべて搬出され、室内は空の状態でした。見た目では片付いており、亡くなられた場所周辺を中心に作業範囲を決めやすい状況に見えました。

しかし、家財を運び出す人の歩行、水を使った作業、床材の継ぎ目が重なると、室内に残っていた成分が別の場所へ移ることがあります。元の場所を処置しても、移動先が確認範囲から外れていれば、乾燥後や密閉後ににおいが戻ります。

見た目から判断しやすいこと 実際に確認すべきこと
家財がなく、室内が空になっている 搬出時の歩行経路、家財を置いた場所、水を使った場所
亡くなられた場所周辺の床材を外した 離れた廊下、キッチン前、床材の継ぎ目、巾木、下地
作業直後ににおいが弱くなった 乾燥後、窓を閉めた後、時間経過後、温度上昇後の状態
オゾン発生器を使用した 使用前に原因候補をどこまで確認・撤去・洗浄したか

重要なのは、「前の業者が悪い」「まごのての機械が弱かった」と単純化しないことです。先行作業によって現場の状態が変わった事実と、その変化を初回調査で読み切れなかった事実を分けて検証する必要があります。

実例|家財撤去後の1DKで、引渡し直前ににおいを確認しました

現場は東京都内の1DKアパートです。亡くなられてから発見まで約1か月が経過しており、まごのてへ依頼が入った時点では、別の残置物撤去業者によって家財がすべて搬出されていました。

1
先行作業
家財撤去と室内の水作業が行われ、部屋は空になっていました。
2
初回確認
亡くなられた場所周辺を中心に、床材と影響範囲を確認しました。
3
処置
必要な床材の撤去、洗浄、乾燥、補助的な消臭工程を進めました。
4
最終確認
引渡し前に窓を閉めた状態で入室し、わずかなにおいを確認しました。
5
再調査
居室から離れたキッチン前まで確認範囲を広げました。
家財撤去後の1DK室内

家財がなくなった室内。見た目が空になっていても、先行作業で人や水がどこを通ったかは写真だけでは分かりません。

この時点で作業を「完了」とせず、スタッフが感じたわずかな違和感を残件として扱ったことが、原因箇所の発見につながりました。

まごのての見落とし|亡くなられた場所に意識が寄り、離れた動線を十分に疑えませんでした

初回確認では、亡くなられた場所周辺の床材と下地を重点的に見ました。これは通常必要な確認ですが、この現場ではそれだけでは足りませんでした。
 

初回判断で不足していた視点

家財撤去業者が、どの部屋からどの順番で物を運び出したか
作業員が何度も通った床面と、靴を履き替えた場所
どこで水を使い、どの方向へ水分が流れたか
居室から離れた廊下やキッチン前の床材の継ぎ目
先行作業後に見えなくなった、元の状態と作業境界

まごのての失敗は、必要な処置を行わなかったことではなく、最初に設定した確認範囲が狭かったことです。元の場所を確実に処置しても、先行作業で影響が移っていれば、別の場所を確認しなければ完了しません。

この事例からの教訓: 「どこで亡くなられたか」だけでなく、「その後、誰がどこを歩き、何を動かし、どこで水を使ったか」までが特殊清掃の現場情報です。

再調査で見つかったのは、キッチン前の床材の継ぎ目と下地でした

においを感じる場所を小さく区切りながら再確認すると、亡くなられた場所から離れたキッチン前の廊下で差が出ました。床表面に大きな異常は見えませんでしたが、フロアタイルを外すと、継ぎ目の下に処置が必要な箇所が残っていました。

キッチン前のフロアタイルの継ぎ目

表面からは分かりにくい床材の継ぎ目。水分と一緒に成分が入り込むと、表面清掃だけでは下地の状態を確認できません。
 

推定した影響の経路

先行作業で、亡くなられた場所周辺を作業員が歩いた
床面に残っていた成分が、靴底や資材を介して廊下側へ移った可能性がある
水を使った際に水分と混ざり、床材の継ぎ目へ入った可能性がある
継ぎ目の下や下地に残り、乾燥・密閉後ににおいとして確認された
断定していません: 先行作業をまごのてが直接確認したわけではないため、靴底と水分による移動経路は、現場の位置関係、床材の状態、聞き取りから導いた推定です。確認できた事実と推定を分けて説明することが重要です。
 
床材を外した後の下地確認

床表面を新しくしたり、上から覆ったりする前に、下地へ処置が必要な箇所が残っていないかを確認します。

におい戻りは、表面ではなく「継ぎ目・下地・時間差」で現れます

作業直後は、換気、洗浄剤、オゾン特有のにおいなどが混在し、元のにおいを判断しにくいことがあります。また、濡れた建材が乾く過程や、窓を閉めて室温が上がる条件で、初めて差が出る場合もあります。
 

確認する時点 分かること この時点だけでは分からないこと
撤去・洗浄直後 処置した範囲、目視できる変化 乾燥後に残るにおい、下地内部の状態
乾燥後 水分や薬剤の影響が弱まった状態 密閉時や温度上昇時の変化
換気後・密閉後 外気で薄まらない室内の状態 さらに時間が経った後の変化
時間経過・温度上昇後 におい戻りが起きる場所と条件 原因箇所の確定。必要に応じて部分確認が必要

完了確認は「作業直後に弱くなったか」だけでは足りません。いつ、どこで、どの条件で再確認したかを記録し、違和感があれば引渡しを優先せず再調査へ戻る必要があります。

測定値と現場記録

家財がなくなった部屋ほど、元の影響経路が分かりにくくなります

片付け後の空室は確認しやすいように見えます。しかし、家具の位置、寝具が接していた床、作業員の歩行経路、梱包場所が分からなくなると、どこを追加確認すべきか判断する材料が減ります。

家財撤去そのものが悪いのではありません。問題は、原因が疑われる場所と搬出経路を確認する前に、室内全体を動かしてしまうことです。

家財を動かす前に、亡くなられた場所と接近経路を記録する
処置前の床面を作業員や資材が横切らない動線を決める
水作業を行う前に、床材の継ぎ目と勾配を確認する
搬出前後の写真を残し、作業境界を引き継ぐ
清掃・家財撤去・消臭・原状回復を一つの「一式」にしない
家財撤去前の初期工程

業者選びでは「失敗しない」という言葉より、失敗時の確認手順を見ます

特殊清掃は、見えない場所と時間経過を扱うため、経験がある業者でも初回判断を修正することがあります。問題は、違和感を無視すること、原因を調べず機械を追加すること、説明せず引き渡すことです。
 

注意したい説明 誤魔化されやすい点 確認する質問
「最高出力の機械なので必ず消えます」 原因箇所への処置が説明されていない 使用前に、どこを撤去・洗浄・乾燥しますか
「部屋が空なので問題ありません」 搬出経路や水作業の影響が確認されていない 先行業者の歩行経路と水を使った場所を聞きましたか
「作業直後に弱くなったので完了です」 密閉後や時間経過後の確認がない いつ、どの条件で再確認しますか
「全部壊すしかありません」 調査を省いて工事範囲を広げている可能性 最初にどこを部分確認し、範囲を広げる条件は何ですか
「保証付きなので安心です」 対象外条件や再施工費が小さく書かれている 保証対象、除外条件、出張・材料・再施工費を書面で示せますか
「企業秘密なので工程は説明できません」 技術不足や作業範囲の曖昧さを隠せる 薬剤名ではなく、確認済み・未確認の範囲を説明できますか
悪徳業者・誤魔化す業者の共通点: 機械名、保証年数、成功率のような目立つ情報を詳しく見せる一方で、作業範囲、未確認箇所、完了条件、追加費用の条件を曖昧にします。

見積書と作業記録で、工程順と未確認範囲を残します

この事例を防ぐには、作業員の経験だけに頼らず、前工程から後工程へ情報を残す必要があります。見積書と報告書では、次の項目を分けて確認します。
 

記録する項目 具体的な内容 理由
初回聞き取り 誰が先に入室したか、家財を動かしたか、水を使ったか 元の状態と先行作業後の状態を分けるため
現場図・写真 亡くなられた場所、歩行経路、搬出経路、水回り、床材の継ぎ目 離れた場所へ影響が移る可能性を残すため
確認範囲 外した床材・巾木、確認した下地、確認していない場所 「全部確認済み」という誤解を防ぐため
処置範囲 撤去、洗浄、乾燥、防臭処理、補助工程 機械使用と原因箇所への処置を分けるため
完了確認 日時、場所、窓の状態、換気、温湿度、確認者 作業直後だけの判断を避けるため
追加条件 部分開口後に範囲を広げる条件と追加費用 現場で業者判断だけにより工事を広げないため

写真が多いだけでは十分ではありません。写真が「どの場所」「どの工程」「何を確認した記録」なのかを説明できることが必要です。

この失敗後、まごのてが変更した確認と引継ぎのルール

この事例は、単にキッチン前を追加洗浄して終わりではありませんでした。再発防止のため、現場の入り方と完了確認を見直しました。
 

家財撤去前に、原因箇所、接近経路、搬出経路を分けて確認する
先行業者がいる場合は、入室者、家財移動、水作業の有無を聞き取る
亡くなられた場所だけでなく、歩行経路、水回り、廊下、床材の継ぎ目を確認候補に入れる
撤去・洗浄・乾燥・オゾン発生器の使用を別工程として記録する
作業直後ではなく、乾燥後、換気後、密閉後、必要に応じて温度変化後に再確認する
違和感が残った場合は、引渡し予定を優先せず、確認済み範囲をいったん白紙に戻して再調査する

「施工不能ゼロ」や成功事例だけを示すよりも、見落としが起きたときに何を戻し、どの範囲を再確認するかを標準化する方が、依頼者にとって実用的な品質管理になります。

工程全体の分け方

特殊清掃後ににおいが戻ったとき、依頼者が先に行うこと

においを感じたら、消臭剤を重ねたり、すぐ床や壁を新しくしたりする前に、戻る条件を記録してください。原因確認前に状態を変えると、どこから戻っていたかが分かりにくくなります。
 

においを感じる部屋、壁際、床面、高さを記録する
窓を開けた時と閉めた時、朝と夕方、晴天と雨天など条件の違いを記録する
前回の見積書、請求書、写真、報告書、保証書を保管する
家財撤去、清掃、リフォームを行った順番を整理する
前業者へ、確認した範囲と未確認範囲を文章で回答してもらう
別業者へ相談する場合も、全面再施工ではなく再調査から見積もりを分ける
他社施工後の進め方

におい戻りの原因を、目的別に確認する関連記事

この事例では工程順のずれと、離れた場所へ影響が移る可能性を扱いました。確認したい内容に合わせて、次の記事も参考にしてください。
 

対応地域|東京・千葉・神奈川・埼玉を中心に相談できます

まごのての特殊清掃・におい戻り調査の主な対応地域は、東京都・千葉県・神奈川県・埼玉県です。茨城県・栃木県・群馬県・山梨県につきましては、作業内容、見込まれる日数、搬出条件などにより対応できる場合があります。

他社施工後や家財撤去後でも、前回の見積書、作業写真、においが戻る場所と条件が分かれば、どこから再確認すべきか整理できます。正式な現地見積もりは有料です。夜間作業は行っていません。

相談時に分かる範囲で伝えていただきたい情報
 
現場の市区町村、建物種別、間取り
亡くなられてから発見までのおおよその期間
家財撤去、特殊清掃、リフォームを行った順番
前回の見積書、請求書、写真、報告書の有無
においを感じる場所、時間帯、天候、窓の状態
床材、巾木、下地をどこまで確認済みか
退去、引渡し、原状回復の予定

特殊清掃後のにおい戻りに関するFAQ

Q. 特殊清掃後に、数日たってからにおいが戻るのはなぜですか?

A. 作業直後には弱く感じても、床材の継ぎ目、巾木、壁際、下地などに原因が残っていると、乾燥、密閉、温度上昇などの条件変化で再び感じることがあります。機械の性能だけでなく、確認した範囲と工程順を見直します。

Q. 部屋が空になっていれば、原因も取り除かれたと考えてよいですか?

A. 家財がなくなっていることと、原因箇所が確認・処置されていることは別です。搬出時の歩行経路、水を使った場所、床材の継ぎ目、家財が置かれていた場所まで確認する必要があります。

Q. この事例では、何が原因だったのですか?

A. 亡くなられた場所から離れたキッチン前の床材の継ぎ目と下地に、処置が必要な箇所が残っていました。そこへ至った経路は、先行作業の歩行や水作業の影響が重なった可能性が高いと判断しましたが、過去の作業を直接確認したものではないため推定として扱っています。

Q. オゾン発生器を長く使えば、におい戻りを防げますか?

A. 原因となる箇所が建材の下や継ぎ目に残っている場合、稼働時間を延ばすだけでは解決しません。先に原因候補を確認し、必要な撤去・洗浄・乾燥を行ったうえで、オゾン発生器を補助工程として使います。

Q. 業者の「完全消臭保証」は信用できますか?

A. 保証の言葉だけでなく、対象範囲、除外条件、再施工時の費用、完了確認の時期と条件を確認してください。作業直後だけを完了条件にしていないか、写真や作業記録を残すかも重要です。

Q. においが戻ったら、すぐ全面解体する必要がありますか?

A. すぐに全面解体を決める必要はありません。においを感じる場所、前回の作業範囲、歩行経路、水を使った場所、床材や下地の状態を整理し、必要な場所から段階的に確認します。

Q. まごのて自身の失敗事例を公開する理由は何ですか?

A. 特殊清掃は、機械名や成功例だけでは判断できない仕事だからです。どこを見落とし、どの確認を追加し、その後の工程をどう変えたかを公開することで、依頼者が業者の説明や完了条件を比較できるようにしています。

特殊清掃後のにおい戻りを、工程記録から再確認します

見積書や写真がすべて揃っていなくても、においが戻る場所と、これまで行った作業の順番から確認候補を整理します。電話受付は6:30~21:00です。休業日があります。

記事執筆:

株式会社まごのて 代表取締役
佐々木久史

主に特殊清掃技術の開発や現場指導に注力しています。
孤独死・自殺・ゴミ屋敷・事故物件など、他社が断るような現場でも創業以来施工不能となった現場は一つもありません。

宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士の資格((東京)第277343号)を保有しており、清掃・消臭の技術判断と「どう再生すれば資産価値を回復できるか」の不動産判断を同時に行える点が他の特殊清掃業者との最大の違いです。

日本在宅医学会・高齢者虐待防止学会での登壇実績、各行政区のゴミ屋敷条例意見交換会への出席など学術・行政の両面から現場の専門家としての地位を確立しています。

東邦大学保健衛生学部・岸恵美子教授(セルフネグレクト・ ゴミ屋敷研究の第一人者)と、現場データの共同研究を継続。 複数の学術論文に共同執筆者として名前が掲載されており、 現場実務者として学術分野での評価も確立しています。

東洋経済:ゴミ屋敷に商機を見出した男の波乱万丈人生
理念と経営:逆境の時ほど爪を研げ

株式会社まごのて
東京都江戸川区北葛西3-5-6
インボイス適格事業者登録番号:T1011701018023
宅地建物取引業:東京都知事(1) 109168
産業廃棄物収集運搬業:01300191644(株式会社MG)
宅地建物取引士 賃貸不動産経営管理士 創業15年・施工不能ゼロ 学術登壇実績あり
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孤独死・自殺・事故物件の特殊清掃について、現場の状況をそのままお話しください。対応可能かどうか、費用の目安も含めてご案内します。


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