特殊清掃コラム

作業の進め方
2024.02.01

特殊清掃前にやってはいけない消臭の妨げ行為2選

特殊清掃とは部屋の汚れや臭いを取り除き部屋が部屋として機能する状態にすることであると再三お伝えしています。しかし孤独死や事件事故があり部屋を元通りにする過程の中で相当数の間違いが起きてることが多く、中でも私たち特殊清掃業者が入る前に家財撤去(残置物撤去)が成されてることがありますが、この行為もやってはいけないことのひとつです。

人の死があった部屋の原状回復は正しい手順で行わなければ失敗する確率が高いのですが、正しい特殊清掃や原状回復の手順を知らないのですから致し方ない部分はあります。

現在はあらゆる情報を得ることができる反面相当数の誤った情報や再現性のないガセ情報があるのも事実で特殊清掃の分野でも例外ではありません。この記事では孤独死があった部屋を完全に消臭したり、再度部屋として使えるように回復させるプロセスの中でやってはいけないNG行為を中心にお伝えしていきます。
 
残置物撤去はNG
孤独死現場を荒らすのは誰だ!
特殊清掃前に残置物撤去をするとどうなるかお分かりでしょうか?ご遺体痕があった場所にもよりますが、まず確実にご遺体痕を踏みつけることになります。

ご遺体痕を踏んだ靴で室内や共用部を歩き回るのですから当然汚れます、本来清掃しなければいけない以上の場所を汚されるのですからその後の特殊清掃の難易度と手間が増えます、手間が増えるということは特殊清掃料金も上がるということになりますので、誰もメリットを得ることが出来ません。

不動産業者が慣例的にまたは家賃保証会社の都合で先に残置物撤去をしてしまうことが多いのだと思いますが、消臭作業の妨げになりますので絶対にお止めください。
 

孤独死が起きた部屋を確実に原状回復したいなら

孤独死や自殺が起きた部屋を元通りにすること全部を指し『原状回復』と呼びます、リフォーム部分を原状回復と呼ぶこともありますが、特殊清掃も家財撤去も含めて原状回復です。

家を建てる時にはまず基礎工事から始めることは誰でも知ってます、屋根から作り始める大工はいません、基礎から屋根まで手順通りに建てて家が完成するように孤独死の原状回復も正しい手順が存在します。

孤独死やそれにまつわる特殊清掃のことなど誰も深く知りません、知らない故に本物の情報も極端に少なく昨今世の中に出回ってる特殊清掃情報など役に立たないガセ情報ばかりです。だから正しい手順で進めてしまって原状回復や消臭で失敗する例が後を絶たないのです。

孤独死のあった部屋を確実に原状回復し、賃貸運営を正常化させるには大家さんや不動産会社ももっと正しい知識を身につけるべきだと思います。
 
特殊清掃正しい手順
孤独死の原状回復に対する考え方
不動産業や大家業ではなんとなく慣例的にことを進めてしまうということが多いのではないでしょうか?住人の孤独死でも普通退去と同じように半ばルーティンで進めてしまってると思います、今一度どう進めるかをしっかり考えた上でアクションを起こしてみましょう。

1.部屋の原状回復の着地点(完成形)
2.慣例や習慣をいったん捨てる。
3.発信されてる情報を鵜呑みにしない。
4.情報発信者の信頼性を確認。


特に上記4点は大切なことで、事故があった部屋を完璧に原状回復したいなら今一度見直してほしいと思います。特に誰が発信してる情報かは大事で世間に出回ってる特殊清掃や消臭に関する記事の大半はこたつ記事でしかも発信者がよくわからないものばかりです。
 

孤独死発生から特殊清掃までしてはイケナイNG行為2選

孤独死があった部屋の原状回復は手順が大事であることはお伝えしましたが、具体的に何を行ってはいけないのかをお知らせいたします。何事も正しい手順というものが存在してるのですが、特殊清掃に限ってはまだまだ認知度も低いですし、いくら増加してるといっても孤独死などそう遭遇するものではありませんので、正しい特殊清掃や原状回復の手順を知らないとしても致し方ないと思います。

そんな中で知らずにやってしまってる孤独死現場でのNG行為や考え方をお伝えしていきます。

1.特殊清掃前に家財撤去は絶対にしてはいけない

まごのてへの特殊清掃相談の中で、残置物撤去はもう済んでるというパターンが半分程度あります、おそらく習慣的に残置物を先に片付けてしまうというのをルーティンで行ってると考えますが、孤独死現場では絶対にNGな行為です。

孤独死の現場はご遺体から流れ出た体液や腐敗脂が部屋の中に流れています、特に腐敗脂は目に見えませんがけっこう流れており、腐敗脂がある状態で部屋に入ればまったくの素人の人でも靴底に何か付いたような違和感を感じるでしょう、ノリやボンドを踏んだみたいにベタついた感じです、そして生きたウジやハエ、または死骸となったハエやウジから羽化するときに出来るウジ殻などが部屋中に散乱しています。

この状態の中で特殊清掃業者ではない他職の者が入室し何らかの作業をしたらどうなるでしょうか?
容易に想像できると思いますが、ウジやハエを踏みつぶし、腐敗体液や脂を靴底に付けたまま室内を動き回り、下手すればそのまま共用部も動き回りその結果外の廊下やエントランス、エレベーターや階段まで汚してしまってます

下の写真はトーンを落としてますが真ん中にご遺体のあった布団があり、その周囲にはウジ殻やハエの死骸が散乱しご遺体から流れた体液が部屋に広がっています。

正直知らなくても無理はない事案であることは確かですが昨今はこれだけ情報が簡単に得られるのですから少しは調べる努力をしていただきたいと思うのが本音です。
 
ご遺体痕をぞんざいに扱うな
ご遺体痕は故人そのものである
まごのてではご遺体痕は故人そのものであるからけっしてぞんざいに扱ってはいけないと全スタッフに周知しています。寝ている人の頭の上を歩き回りますか?体を跨いだり踏んずけたりしますか?

私たちの仕事は仏様に対してするものです、その尊い場所にズカズカ上がり込み踏みつけにしながら家財をどんどん運び出す、その行為が良いはずはないと誰もが考えるのではないでしょうか。

まごのてでは孤独死が起きたら何を置いても真っ先に特殊清掃一次処理をしましょうと推奨しています。ご遺体痕を綺麗にし入室環境を整えてから残置物を撤去してもけっして遅くはないのではないでしょうか。
 

先に残置物撤去をしたために起きた臭いの拡散

東京都内のマンションの孤独死現場へ伺った時のことですが、部屋に向かうエレベーターがすでに臭いを発していました。部屋から出てる臭いが漏れてるものではなく確実にEV内に汚れが付着しています。

こんな時はすぐに発注元である管理会社へ連絡を入れ事実を伝えることから始まります、この報告を怠ると私たちが入るようになってからエレベーターや廊下が汚れたと言われかねないからです。

共用廊下にも油染みのようなものを認めたので間違いなく残置撤去のゴミ屋の仕業と断定しました、室内はもっとひどい状況で、無関係の部屋の床までベタベタで建具や壁やドアの取っ手までご遺体痕の汚れが付着している有様です、だいたいが家賃保証会社が手配する残置撤去業者か不用品回収業者の仕業ですが、往々にして彼らの仕事ぶりは荒く汚いです、そもそもこの手の現場に平気で入って作業するのですから、その程度の残置撤去業者ということになりますがこの部屋に関してはかなり悪いと言わざるを得ませんでした。

しかも、この部屋は孤独死の一報が入った時点で特殊清掃一次処理を先にやったほうがいいと進言していたものだったのです。

その進言を無視し残置撤去を先にやり広範囲に汚れを拡散させてしまったため、特殊清掃費用そのものが予定より高額になってしまいました、当初予定より15万円も高くなったことに苦言を呈してきましたが、理由と状況を示したところ理解をしてもらいましたが、孤独死があった部屋は正しい手順で事後処理を進めないと思いがけず大きな出費となってしまうのです。

実は最近は家財を先に撤去することが少し減ってきたように思います、少なくともまごのてとお付き合いのある不動産管理会社は正しい手順を理解してると同時に先に残置撤去をしたためにその後の特殊清掃作業に影響があったり、共用部分を汚したことによる他入居者からのクレームなど火傷を経験してるからかもしれませんが、それでもまだまだ先に残置撤去は済んだというものは多いです。

汚れの拡散防止
真っ先に特殊清掃一次処理をしましょう
先に特殊清掃一次処理
ご遺体痕は故人そのもの!最大限の敬意を

2.孤独死臭はリフォームでは絶対消えません

2つ目のNG行為は特殊清掃そのものが視野に入っていないというパターンです。未だに孤独死によって発生した部屋の臭いはリフォームをすれば消えると考えてる人がいるのです。特殊清掃業者の存在そのものを知らないという場合も無きにしも非ずですが、だいたいは原状回復の費用を削りたい、体感的な臭いを感じないから軽視しているのいずれかとその両方です。
 
孤独死部屋のリフォーム
ご遺体痕の横で見積もり軍団が数人
かなり以前に経験したことで時期はまだまごのてが創業し間もない頃のお話です。千葉県のある地域で遺品整理の見積もりに来てほしいということで伺ったマンションでの出来事です。

まず遺品整理と聞いていたけど遺品整理ではなく孤独死が起きた家で、まだご遺体痕が畳の上にあり新聞紙が被せてある状況で室内にはハエが飛び回っています。

そしていわゆる業者関係が私を含め5名も居たのです、遺品整理業者が私を含め3名と他にリフォーム業者1名、そして買取業者1名とお客様の総勢6名が入室していたのです。同じ時間に他職を含めて呼び寄せる行動もすごいですが、その時に聞こえてきたリフォーム業者との会話がどうにも気になりました。

「軽く拭いて被せてしまったらわからないよ」「大丈夫じゃない・・・」とこんな感じだったと思いますが要するに特殊清掃なんてやらないで上から隠せばわからないという内容だったと記憶しています。

この経験を踏まえて孤独死があった部屋の消臭やそれにまつわるリフォームなどの原状回復について追求するようになったきっかけとなる出来事でした。
 

リフォーム完成後に臭いが戻ってきた賃貸アパート

台東区の不動産会社より入居募集をしている部屋に希望者を内覧に連れて行った際に臭いを感じたという相談がありました。実はこの部屋は孤独死が起きた際に一度特殊清掃相談があったのです。死後日数は1週間程度でご遺体痕自体はベッド上だけで床には流れていないということでした。

特殊清掃や消臭の内容やかかる費用をご案内はしましたが、発注にならず流れていたものでした。どうやら特殊清掃を行わずにご遺体痕で汚れた布団を撤去しそのままリフォームをしてしまったようでした。

このままでは例え入居申し込みがあったとしても賃貸として出すわけにもいかないということで、臭気チェックと作業提案に現地に伺うことにしたのです。

部屋を見渡すと建物自体は古いですが室内はキレイにリフォームされており写真で見ればまったく問題がないように見えます、ところが不動産会社の担当者が言うように微かになんとも言えない腐乱臭が残留しています。これは間違いなくご遺体痕汚れが残ってるはずですがリフォームされているので特定をすべく当時の状況をヒアリングしました。

壁面にご遺体痕の付着と窓周りに臭い発生源!

孤独死発生当時に写真がありましたので拝見すると、確かにベッド上ではありますが掛布団が壁際に完全に触れていました。つまりご遺体痕汚れが壁に付着していた可能性があるのです、そして窓周りをチェックしますとキレイに掃除されてるように見えますが、何度か開け閉めをしますとハエの死骸が出てきました。

実はハエは臭いの発生源となり得るのです、技術のある特殊清掃業者はハエが止まることによって付着するご遺体痕をシビアに観察し洗浄しなければ臭いが取れないことを知っています。他社が特殊清掃した後に臭いが取れていなかったり臭い戻りがあるのはこのハエ跡洗浄が不足していることが多いのです。

そしてもう一点の可能性は孤独死発生当時の部屋の写真と比べて判明したのですが、巾木がそのまま再利用されていました。巾木は床と数ミリの隙間がありますがその隙間にウジ虫が入り込んでる可能性も否定できないのです、つまりこの部屋は僅かながら臭い発生源が残っていると断定できたのです。

ご遺体痕の取り残し
巾木の隙間に入り込んだウジ虫
におい発生源あり
ハエの死骸びっしりの窓枠

特殊清掃を行うことに難色を示したアパートオーナー

不動産会社の担当者に現況報告と必要な特殊清掃作業の提案書とお見積もりを提出したのですが、一向に連絡がありません。1週間程度待って不動産会社の担当者に連絡をしたところ驚きの回答がされたのです!「特殊清掃はやらない!」不動産会社の担当者もまさかの回答に困り果てたようで逆にどうしたら良いかアドバイスを求められたぐらいです。

若干強硬手段になりましたが、特殊清掃をきちんと行い消臭をしないのだったら客付けをしない!と宣言したことで渋々了承していただいたのです。このアパートオーナーはどうせ告知をして家賃を下げるのであれば少しの臭いぐらい我慢させればいいと考えていたようです。

結果的には新たな壁紙の一部と巾木を外しただけで済みましたが、それでも特殊清掃分と部分的な補修で30万円程度の出費を余儀なくされたことと部屋が稼働しなかった家賃2ヵ月分の出費となりましたが、もし臭いが残ったままだと入居希望者が現れることはなかったかもしれませんし、もし入居後に臭いの件を指摘されればもっと損失が大きくなったはずです。

初めからキチンと特殊清掃からやっていれば出ていくお金は変わらなかったとしてももっと早くに客付けができたのではと考えます。

孤独死部屋の原状回復は正しい手順こそが成功のカギ

近頃アパートなど築古物件を安く買って大家さん自らリフォームをして利回りをよくするという手法が流行ってるようで、Twitter界隈でもけっこう活発な意見交換がされています。
その流れで大家さん自らが特殊清掃の真似事をしたりAmazonで変なオゾン発生器を買ったりし果敢にチャレンジしていますが、一般のリフォームならいざ知らず、このようないわゆる事故物件の原状回復は成功したという事例はほぼ聞いたことがありません

瞬間的ににおいが取れ上手くいったように見えても、何かのタイミングで臭い戻りを起こしたりしています、そして結果的に高額なものになってしまうという笑えないことが現実的に起きています。

特殊清掃だけではありません、どんな世界でもプロと言われる人がいて世の中は成り立ってます、一定の経験を積み努力した人だけが知っている知識や技術があり、それは到底見よう見真似でできるものではありません、特殊清掃も同じでどうせハウスクリーニングの延長だろと軽く考えてる人ほど後で大きな痛手を被っています。

孤独死発生から原状回復における特殊清掃の部分、大きくは汚れの除去と消臭脱臭ですが費用的には数十万円程度のものです、そこを削ったからと言ってもそう大きなものではありません、それよりその程度のお金をケチったためにその何倍も費用がかかってしまい、信用を落とす方が痛手だと思いませんか?

大切な物件の価値を下げずに完璧な原状回復をしたいなら、まずは完璧な作業ができる特殊清掃業者に任すこと、これに尽きると考えます。

孤独死の特殊清掃を行うことは故人への供養

私たちの仕事は物理的に部屋を片付けたり清掃や消臭をするだけでなく、葬祭業のような一面があると考えています。

特殊清掃で故人の痕跡を消してあげることそのものがご供養と考えています、このホームページの冒頭でも申し上げてる通り遺体痕は故人そのものとの思想に基づいています、たいした後始末を行わずに上から隠すような処理をしたとしてもそれは眠ってる人の頭を毎日踏みつけ蹴とばしてるのと同じです。

私たちと懇意にしている実話系ルポライターである村田らむ氏「事故物件は繰り返すことが多いが特殊清掃をし供養をきちんとした部屋は入居者もすぐに決まるし定着する傾向にある」と語っています。

特殊清掃業者の公式サイトで迷信めいたことを記載するのはどうかという考えもありますが、まごのてで完璧に特殊清掃から原状回復を行い出張供養までしていただいた部屋はすぐに新入居が決まっています、この現象については何らエビデンスを示すことはできませんが事実としてあることをお知らせしておきます。

孤独死部屋の原状回復を完全なものにしたいなら

そもそも特殊清掃業者の役目とは、最終的に部屋を原状回復し元通りにすることです、たとえリフォーム工事を行わないにしてもその端緒につけるよう行うことです。

安値を掲げたり、技術がない自称の特殊清掃業者はその意識がありません
だから目の前だけ取ってつけたような適当な作業を行うのです(実際他社の手直し施工依頼は増加傾向)

まごのてと同じ認識がある業者は安く特殊清掃を行えるといった無責任なアナウンスはしません(できません)文字通り特殊な作業ですから万全を期す必要があり工数が増えれば増えるほど料金に反映されるのは当然なのです。

ですが青天井で特殊清掃費を請求するという意味ではなくきちんと裏付けがある料金提示を行いそして施工したことによる効果をご説明いたします。

このような観点から特殊清掃業者を探すとたくさんあるように見えて東京近辺でもそう選択肢が多くないということがお分かりいただけると思います。

もしお客様が(大家さん、管理会社、ご遺族)孤独死があった部屋を完全な原状回復をしたい、部屋が部屋として機能するように完全なものにしたいとお考えでしたらまずはまごのてにご相談ください。

孤独死が起きたら・・・完全消臭のまごのて

孤独死などが起きどうしていいかわからない時はひとまず落ち着いてまごのてにご相談ください。
経験の少ない一般の人があれこれ考え模索しても何ら進展しません、急病人が出た時にためらわず119番に電話する感覚で構いません。
現況を知りうる範囲でお伝えください、その上で今何をすべきか、今後はどう進めるべきかを順を追って的確にお知らせいたします。まごのては東京近辺では間違いなく問題解決が一番早い特殊清掃業者です。
記事執筆:

株式会社まごのて 代表取締役
佐々木久史

主に特殊清掃技術の開発や指導に注力しています。まごのては宅地建物取引業の免許を受けており私は専任の宅建士です、また賃管士資格を保有しており不動産取引関係には精通しています。 

東洋経済:ゴミ屋敷に商機を見出した男の波乱万丈人生
理念と経営:逆境の時ほど爪を研げ

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