ハウスクリーニングコラム

汚部屋クリーニング
2024.06.14

オゾン脱臭は業者じゃなくてもできる?オゾンと部屋消臭の関係

部屋の消臭でオゾン発生器は最終兵器
部屋の嫌な臭いを消すにはオゾン発生器が最強という情報を見かけるようになりました。特にコロナウイルスに対する滅菌効果がオゾンにはあるという情報が出て以降特に顕著になってるように感じます。

タクシーや救急車の中でも常に低濃度のオゾンを発生させてる車両もありますし、病院の廊下にも設置されているのを見たことがありますし、ネットショップでも家庭用オゾン発生器が販売されており数千円から10万円以上まで様々です。

本当にオゾンは部屋の消臭に効果があるのか、本当ににおいが消えるなら機械を稼働させておくだけでまったく手間がかからず最高じゃん!本当に思うような効果が得れるのかを消臭のプロである私たちが見解を示したいと思います。
 
部屋の消臭でオゾンは効く?
【大前提】オゾンは消臭のためのものではない
まず知っておかなければいけないのはオゾンは消臭のためのものではなく、オゾン発生器も消臭機ではないという認識を持っておいてください。皆さん勘違いしてるのがこの部分で、オゾンは臭いを消すための機械であるという認識が趨勢です、オゾンとは何かという核心は後述しますが、オゾンの消臭効果は副産物であると考えるのが正しいのです。

オゾンの役目は高酸化作用による滅菌殺菌効果です。においの発生メカニズムは菌が分解するときに出るのですから臭いの元である細菌を死滅させる、その副産物として消臭効果があると考えなければいけないのです。

今のようにオゾンが一般家庭に普及する以前から特殊清掃でオゾンを使っていた私たちからすれば当たり前のことですが、安価なオゾン発生器は消臭機という触れ込みで販売されてるものもあり少し紛らわしいと感じています。オゾンは消臭機ではない!この根本的な原則を知っていないと部屋の消臭でオゾンが有効という意味が分からないと思いますのでしっかり覚えておいてください。
 

【注意喚起】オゾンは有害物質で誤ると死亡事故が起きます!

大事なことですので冒頭に書いておきます。まずオゾンはひじょうに有害な物質で使い方を誤ると死に至るほど有害なものであることを知っておいてください。日本空気清浄協会が定めるオゾンの許容濃度は0.05ppmとされてるのは危険なものだからです。

ところが最近ではネットで私たち特殊清掃業者が使うような超高濃度のオゾン発生器を中古で買い少なからず事故が起きてるようです。後述していますが私たち特殊清掃業者が使うオゾン発生器は致死量レベルのオゾンが噴射されます。ですからオゾン使用の際には絶対に外に漏れない対策をし誰も入室しない中でオゾン燻蒸→換気またはオゾン回収を繰り返しているのです。

知識がないまま高濃度オゾンを扱えば最悪死に至る、ということは絶対に覚えておいてください。事故情報データバンクというサイトでは浴室でオゾンを発生させ死亡事故が起きたとされる事例が紹介されていますが詳細がないため事実関係は不明ですが十分あり得ることです。また発火や爆発といった情報もありますがオゾンガス自体は揮発性でないし熱が出る性質でもないことからちょっと考えにくいです。ただしガス検知型の火災報知器には反応することはあります。
 
オゾンは間違って使うと死亡事故が起きます
特殊清掃作業者がオゾンを浴びてしまった例
これはまごのて内で起きた事故事例です。ある特殊清掃を行った部屋で最後の仕上げのオゾン燻蒸を行っていた時のことです。数日間に渡りオゾンを燻蒸し最後のチェックとオゾン回収で入室した際に室内に高濃度オゾンが充満した中に無防備な状態で入室してしまい吸ってしまったことがあります。

鼻や喉、目がすぐさま炎症を起こし軽い呼吸困難に陥り体も思うように動かせないということがありました。酸素吸引としばらく安静にしていたら元に戻りましたが一歩間違うと大変な事態になっていたと思います。

事故原因はタイマーのセットミスで先ほどオゾンは間隔を置いて換気かオゾン回収をしなければいけないのですがずっと張り付いてやってるわけではなくタイマーをセットし自動運転をしているのです。本来その入室する時間にはオゾンは稼働していないはずだったのですがタイマーセットを誤り絶賛稼働中の部屋に入ってしまったのです。この事故以降稼働していない時間帯だとしても必ず防毒マスクを着用して入室ということが徹底されるようになったのは言うまでもありません。

プロでもたまにこのような事故が起きるのですから一般の方が高濃度のオゾン発生器を安易に求めるのは絶対にやめたほうが良いと思います。
 

オゾンとは自然界にも発生している気体である

オゾン(ozone)は地球の大気中にも存在しオゾン層という言葉を聞いた方も多いと思います。分子式はO3(オースリー)酸素を表すO(オー)酸素分子であるO2(オーツー)より1個丸が多いと考えればいいと思います。更に詳しいことは理科の先生にでも聞いていただければいいと思いますが私たち素人は単純に考えれば良いのです。

つまり酸素より丸が一個多い分だけ不安定で一個多い丸が菌と結びつくことで殺菌作用があると思えばわかりやすいのではないでしょうか。空気中に浮遊している細菌やウイルスと結びついてどんどん死滅させる、それがオゾンという気体の正体です。
 
低濃度のオゾン
オゾンは有害物質である!国内基準は0.05 ppm以下
実はオゾンは有毒ガスとされており高い濃度のオゾンに晒されると人が死ぬほど危険なものです。日本国内では人体に影響がない基準は0.05 ppm以下と定められていて市販品の多くは0.01~0.03ppm程度のきわめて低濃度なオゾンです。

では低濃度オゾンに殺菌効果はあるのかという疑問が沸くと思いますが、オゾン発生器メーカーである株式会社タムラテコさんが研究発表した文書には『人体への安全性が見込める低濃度のオゾンであっても、比較的長い時 間をかけて、空気の流れのない空間で使えば、壁面などに付着したウイ ルスを不活性化できるという研究結果が出ています。』とあることから低濃度でも長時間晒せば効果はあるとしています。

ただし続きがあり短時間で十分な効果を得るには
『短時間で十分な不活性化を期待するためには高濃度のオゾン環境が 必要になります。その場合は、室内に人のいない状態で使うなど適切な 注意が必要です』つまり市販されている低濃度オゾンにはそこまで期待しないほうが良いですよ、とも取れるのです。
 

オゾンはひじょうに『不安定な気体』というポイント

もう一点忘れてはいけないオゾンの特徴で「ひじょうに不安定」というものがあります。前記で丸が一個多くすぐに菌や不純物と結びつく性質があることをお伝えしました。どういう意味か解説しますとオゾン発生器内で作られたオゾンはすぐの状態だと確かに0.05ppmあるかもしれませんが噴出し出口に達したとたん半減します、さらに数十センチ進むと更に効果は激減するのです。

つまり市販品の低濃度でかつ風量が弱いオゾン発生器は噴射された途端にただの酸素になってる可能性が高く、殺菌効果が得られないすなわち部屋の消臭効果もないという結論になるのです。上記に記載したタムラテコ様の論文からもわかるように高濃度なオゾンが必要ということがわかると思います。

まごのてで使用するオゾンは超高度でなおかつ大風量

特殊清掃などで私たちが使用するオゾン発生器はどんなものかをご紹介します。ほとんどのオゾン発生器はオゾン濃度で表記されることはなく発生量で表されています。オゾンマート様の製品で小型の物で200mg/1hというものがあり、もし20平米高さ2.5mの部屋で使用すると(50立米)単純計算では1.8ppmです。ただし風量も小さいので噴射された瞬間には半分どころか80%程度減っていると考えられます。

では私たちが使ってるオゾンですが12000mg/1hつまり1時間に12000mgという超高濃度オゾンが生成されるのです。では濃度はどうなるかですがもし20平米程度のワンルームですと1時間で112ppmという数値になりますが噴射直後に半減しさらに機械から離れるごとに半減するのですから20ppm弱と考えられます。(オゾン発生量(mg/hr)÷容積(㎥)÷2.14)

ここで注意していただきたいのが生成されるだけで実際に噴射される時には半分程度になっていますがそれでも単純計算で100ppm超という致死量をはるかに超えたオゾンが発生しているのです。

さらに隅々までオゾンガスを行きわたるように大風量でオゾンが噴射され、その量なんと1時間で560立方というものです。これだけのスペックのオゾン発生器はもちろん国内にはなくイスラエルのメーカーの物で金額もひじょうに高く今なら円安の影響で200万円近くする代物で、中古価格でも30万円は下らない物です。
 
部屋の消臭でオゾンは万能ではない
オゾンは消臭には万能ではないという事実
それだけハイスペックなオゾン発生器ならどんな臭いもたちまち消えると考える方も多いと思いますが実はそんなことはありません。一時期賃貸住宅を保有するオーナーさん界隈でこのオゾン万能神話が広まりAmazonにある偽物オゾン発生器が出回ったことがありました。

保有する部屋で孤独死や退去した部屋でネコなどのペット臭、生活臭がオゾンを使えば消えると思ってたけど思うような効果が得られないということが多発しました。まごのてにもオゾンだけ掛けてほしいという依頼もよくありますがすべて認識が間違ってます。

まずオゾンを掛けるだけで臭いは絶対に消えません、なぜなら臭いの元が残ってるからです。孤独死ならご遺体から流れた腐敗体液、ペットならおしっこ染みなど何らかの臭い発生源を取り除かないと部屋は消臭できないのです。つまり臭い発生源を完全に取り除いた後に浮遊している菌や臭い成分にアタックし完全に滅菌させるのがオゾン発生器なのです。

孤独死の特殊清掃ではオゾンにまつわることを書いたコラムがありますので興味のある方は是非ご一読ください。
 

部屋の嫌な臭いの消臭もまごのてにお任せください

部屋のにおいに悩まされてる人は多く、まごのてにも様々な消臭相談が寄せられます。特に賃貸住宅におけるたばこ臭やペット臭はダントツに多く、その他はゴミ屋敷のお片付け後の部屋に残った臭い消し、そして私たちの専門分野である孤独死が起きた部屋の完全消臭です。

皆さん意外と消臭に関する料金を聞いたとたんビックリされるのですがけっこう高いです。例えば1K程度の部屋のたばこ臭を完全に消臭するには最低でも20万円程度かかりますし、孤独死の完全消臭には30~60万円程度になることもあります。

消臭は高額ですが手間もそれなりにかかりタバコで場合によっては2週間、孤独死現場でも2~3週間必要ですし、細部まで洗浄し臭い発生源を取り除くのですからやはり高額にならざるを得ないのです。ただし私たちが消臭を行う場合は完全に消臭し妥協を絶対にしませんので費用以上の効果は期待できます。
 
消臭の成功は徹底した洗浄である
消臭は高い洗浄力が求められます
部屋の消臭について難しく考える人が多いのですが、臭いの元である汚れや菌を取り除けば消臭はできます、つまり前段階の清掃が重要ということになるのです。だから消臭は清掃業者の領域であると考えることができるのです。

化学的な臭い(タバコや香水)は別として、何らかの嫌な臭いの元としては必ず発生源となる汚れがあるのです、逆説的に考えれば部屋を清潔で綺麗な状態に保てば臭いは発生しないと考えることができます。これはゴキブリなどの害虫も同じで清潔な部屋には出ないというもので基本的には臭いも同じです。

したがって消臭には事前の徹底した清掃や洗浄が不可欠で、その部分がきちんと出来ていなければオゾンを使おうとジアイーノやエアドッグを置こうが効果は得ることができません。まごのてでは洗浄という基礎の部分にこだわっていますので部屋の臭いでお困りのお客様はお気軽にご相談ください。
 
記事執筆:

株式会社まごのて 代表取締役
佐々木久史

ゴミ屋敷のことはなんでも私に聞いてください、各自治体のゴミ屋敷条例制定の際の意見交換参加実績、在宅医学会や高齢者虐待防止学会での登壇実績もあり真の専門家として高い評価を得ています。


セルフネグレクトとゴミ屋敷の関係を研究している東邦大学保健衛生学教授である岸恵美子先生とは情報交換を盛んに行いゴミ屋敷の現実的な問題を私から提供し岸教授が学術的に分析し世に提供しその論文等には佐々木久史の名前が付されるものも多い。

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