特殊清掃コラム

実例紹介
2024.02.20

特殊清掃員が見た自殺現場のノートと遺書・ロープと練炭

自殺のあった部屋の特殊清掃は、孤独死とは異なる独特の雰囲気があります。その部屋の主が明確な意志を持って命を絶ったことが感じられ、最期の念が部屋に残ってるような気がするのです。

なぜ死ぬ必要があったのか、なぜ死ななければならなかったのか?故人への思いを汲み取るのも私たち特殊清掃業者の役目です、今回は自殺の特殊清掃現場で見つけた遺書や現場で体験した怪現象について書いてみます。

特殊清掃の施工内容として孤独死が最も多く、自殺や殺人は少ないですが、自殺者の遺書やメモなど、一見して遺書とは気づかないものを発見することもあります。さらに、自殺現場での怪現象や心霊体験について、特殊清掃作業員が体験する恐怖や心理的な負担についても詳しく紹介しています。

特殊清掃業界に興味がある方や、人の心の動きや心理に興味を持つ方におすすめの記事です。
 
自殺の特殊清掃
孤独死と自殺の特殊清掃施工の割合

特殊清掃の施工内容では孤独死(病死)が一番多く約8割で自殺と殺人は約1割、その他1割は糞尿系の清掃です。自殺の特殊清掃は平均すれば100件中10件あるかどうかのレベルですが集中する時期があります。

通常多いのは12~1月と4月ですが、2022年7~8月は自殺の特殊清掃が1か月に11件と異常な数でした。

特殊清掃業務の中でも自死は少ないほうではありますが、正直一番行いたくないというのが本音で亡くなった人が若い人だったり同年代の人だと本当につらく悲しい作業となります。

自殺の特殊清掃現場は一種独特の空気があり、それこそ空気に色が付いてるんじゃないかと思うことすらあります、やはり人が亡くなったという事実以外にもそこに至るまでの思いが染みついてるような気がするのです。

孤独死とは違った独特の空気感がある自殺の特殊清掃についてお話を進めますが、人によっては嫌悪感を感じるかもしれませんし、恐怖を感じるかも知れませんが実際に起きているリアルをお届けします。
 

自殺者の思いを少しで理解しようとする心構え

自死をした人の気持ちや当時の心の動きは当事者ではない我々が考えたところで正解にたどり着くことは永遠にないかも知れません。故人が何を思い自殺を決行したのか、部屋の中からその痕跡を見つけ出しほんの少しでも理解しようとする気持ちは特殊清掃員として大事な心がけではと思います。まごのての特殊清掃や遺品整理を日々行ってる中で体験した作業員のレポートをお伝えしていきます。

遺書めいた日記を発見し号泣した女性特殊清掃スタッフ

東京都内で行った自殺の特殊清掃での出来事です、部屋の様子から若い女性が住んでいたことは明らかで彼女が最後の場所となった奥の部屋には無機質に垂れ下がるロープが括られたままの健康器具がありました。

発見は死後1週間ほどでしたので、部屋が汚染されている様子ではありませんでしたが全体的に散らかりプチゴミ屋敷状態でした。私は遺体痕があった場所の処理はしませんでしたが、床面に落ちてる物やデスク周りの片付けをしていましたがその時にノートのような物が目に留まったのです。

そのノートには亡くなる2週間ぐらい前から書き綴られていた、いわば遺書のような日記でした、そこにはある男性への想いが綴られ、どうして自分はこんなに苦しまなければいけないかを切々と書いてありました。

内容は日記のような物でしたが亡くなる1週間前付近からは、内容が変わってきており字も乱れ筆圧もかなり強く明らかに死ぬ意思を書きなぐっていました。

涙が止まりませんでした、そして本当に最後の1ページにはたったひとこと、それまでとはまったく違うキレイな文字で「〇〇さんありがとう、これからはあなたの心に住まわせてね」とだけ書いてありました。

これは現場作業に関わった女性作業者の日報から抜粋したものです、自殺の特殊清掃現場で私たちが遺書を見つけることは基本的にはありません、遺書はだいたい目に留まりやすい場所にあるから警察が回収し関係者の手に渡るからですが、稀にこの現場のようにノートやメモなど一見して遺書とは気づかず残されてるものを特殊清掃作業者が発見し見てしまうことはあります。
 
自殺を決行すると決めた日
死ぬと決めた日?カレンダーの印は何?
東京都内のアパートの自殺現場でのことです、部屋は家財も少なく、がらんとした部屋だったのですが壁にかかったカレンダーがどうも気になりました、亡くなったと推定される日から10日ほどにわたって印がつけられていたのです。

日にちと曜日の四角のマスの中に〇や×ときどき1とか2の数字も書いてありました、いったいこれは何の意味だったのか?いろんな可能性を考えるのですが明確な答えは出ませんでした。

亡くなった方の年齢からすると、もしかしたら就職活動をしていて、面接に行った会社の数とか合否じゃなかったのだろうか?それともギャンブルにどっぷりハマり勝ち負けを記したものだったとか。

このように自殺現場には故人の書いたものが残ってることがあります、もしはっきりと遺書とわかる物なら警察や関係者の手に渡るはずですので表向きは遺書ではないということになります。

私たちは自殺をしなければいけなかった人の気持ちはわかりません、一説には殺人者も自殺者も精神状態はよく似たもので一種の錯乱状態であると聞いたことがあります、ですのでカレンダーへの印も遺書めいた落書きも故人の深層にある何かであるとは思いますが真意を推し量ることはできません。

ですが私たち特殊清掃に携わる者は葬祭業であるという意識を持ってすれば、何を見ても意味を見出すように努めなければいけません、そのような思いで仕事をすることが故人への何よりのご供養だと私は信じています。
 

【閲覧注意】特殊清掃作業員へあてた遺書

ある自殺の特殊清掃現場では私たち特殊清掃作業員にあてたと思われる遺書を発見したことがあります、封筒などに入った手紙のようなものなら警察が回収するのだと思いますが、これは手紙のような形ではなくコタツの天板にぎっしりと書かれていたものです。

「すみません死にます」と中央に書いてあり、猫ちゃん頼む、金魚という文字も見えます。
家売ってどうする?借金払えなくてすみません、など故人の切迫した様子も見て取れます、そして「イハイ(位牌)と写真以外全部捨ててください」や「スマホは引出しの中」など私たちへの指示(?)とも取れる文言もちらほら見えます。

猫、金魚、わんこの文字が多いことから動物が好きだったんでしょう、そんなに猫を愛し動物が好きなのにどうして自ら命を絶つ選択をしなければいけなかったのでしょうか。

この部屋は確かに荒れていましたがそれはおそらく直近の精神的な苦痛からで、引出しの中やタンスの中はキレイに整理されていました、おそらく借金苦だと思いますが室内にいわゆるギャンブル系の物や酒など怠惰な生活から身を持ち崩したという印象もありませんでした。

コロナ渦の2021年~2022年にかけて自殺の特殊清掃が一気に増えた時期もありました、その大半が生活苦つまり仕事やお金絡みでの自殺であったと推察できます、今まで普通に頑張ってきた人たちが死を選択しなければいけないぐらい追いつめられる、こんな現実があっていいのかと心から思います。

もし職を失い路頭に迷いそう、今まさにその現実に直面してる人はきとんと然るべき機関に相談をしてください、仕事を探してるのなら私たちが力になります。今一度、考えてみてくれませんか?

特殊清掃作業員が体験した現場での恐怖

特殊清掃を行っているといわゆる心霊体験や恐怖体験のようなものに遭うことはないかとよく聞かれます。結論から言えば「あります」ただし恐怖と感じるかどうかは人それぞれで、特殊清掃作業者になりたての人は恐怖と感じる人もいますし、ある程度慣れてくれば恐怖を感じなくなることもあります。慣れとかではなくその「感じるもの」が何かという本質的なものの理解が得られるようになってくるのです。
 
特殊清掃員が感じる恐怖
部屋に閉じ込められた特殊清掃作業員
(作業日報から抜粋)今日は都内の自殺のあった部屋の特殊清掃に行きました、依頼者は会社の上司で亡くなったのは、まだ26歳の若い男性ということでした。

血液は浴室が血だまりになっていたのと、最期の場所になったと思われる玄関付近が一番多く盛り上がってゼリー状になっていました。
刃物を使った自殺の場合共通してるのですが、かなりあちこち汚れており、壁などに手形が付いてたのは生々しかったです。

この現場では、ちょっとした怪現象?のようなものがありました。
まず1点は記録写真が全く撮れませんでした、スマホの電源は当然入ってるのですがシャッターが押せませんでした、もう一人のスタッフのスマホの場合はカメラアプリが起動しませんでした、私は過去にも似た例を経験してまして、以前孤独死現場でもおなじことがありました。

そしてもう一つは奥の居室の床面の血液を拭ってるときに、廊下と隔てるドアがバタンと音を立てて閉まったのです、その時は作業中でしたし、すぐに開けに行かなかったのですが、道具を取りに出ようとしドアを開けようと思っても開きませんでした。向こう側から強い力で押されてるような感覚でした。

これは正直焦りましたが、心の中で「〇〇さん、大丈夫だから、僕に任せて」と繰り返し唱えるとスッとドアが開いたのです。

不思議なことに完了時にはスマホのシャッターも押せるようになっていました。この亡くなった方は、おそらく借金を苦にしての自殺だったと思います、床には金融屋やカード会社の督促状やギャンブルの雑誌がたくさんありました。
未練もあったでしょうし、やり残したこともたくさんあったんだと思います、死ぬ勇気があれば問題に向かえる勇気も出せたと思うのですが、その人には耐えがたかったのでしょう。自殺でも孤独死現場でも念が強く残ってる場合はこのような怪現象はたまに起こります。
自殺現場にある物
特殊清掃員が一番恐怖を感じるあるモノ
怪現象の類ではありませんが、自殺現場で見たくないモノというのがあります。それは自殺決行で使った「道具」です、すべての現場で残されてるわけではありませんが代表格は首吊り自殺で使ったロープです。警察官が撤去してる場合もあるのですが半分ぐらいの確率で残っています、故人と最後まで接していた物ですから目の当たりにすると身震いがするほど恐怖を感じます。

その他ナイフや練炭も見るのが忍びないですし、以前ロープを掛ける場所を作るために柱に釘を十数本打ち付けてあったのを抜く際も何とも言えない恐怖を感じたものです。霊的な怪現象に出くわすのも確かに恐怖ですが、決行した道具を見るのはかなり重いものであるということは知っておいてください。
 

自殺が起こった部屋の特殊清掃は心理的負担が大きい

特殊清掃の中でも自殺は作業者の心理的負担が大きいものです。特殊清掃作業そのものは孤独死でも自殺でも大きな違いはありませんが、やはり意思を持って命を絶ったという事実が大きくのしかかるのです。

そんな心理を知ってか知らずか特殊清掃相談の段階で事実を歪曲したり自殺であったことを伏せてることが時々あります、知っていたとしても心理的負担が大きいのに後で知るともっと大きくのしかかってきます。この章では特殊清掃の依頼者が自殺の事実を伏せていた例をお伝えします。
 
大量出血の特殊清掃
トイレで転倒し出血したので清掃の依頼
千葉県内のアパートで息子が転倒し頭をぶつけて出血したので清掃してほしいというご依頼がありました。転倒して出血ですからそう大量というイメージでもなく、実際電話でもよくわからないけど床と便器が少し汚れていますという程度だったので比較的「軽装」の準備で現場へ向かったのでした。

到着し対象のトイレを見ると床面は血だまりになっておりドアの内側や壁面にも血しぶきが飛んでいます。明らかに転倒して出血というレベルではありません。清掃依頼をした父親と名乗る人を問い詰めたところ一昨日カミソリで頸部を切りつけたと言うことでした。

転倒して出血も、切り付けて出血でもやることは同じです。ですが正しい情報を伝えられるのとそうでないとでは気持ちや向き合い方が変わります、特殊清掃作業員は意外とデリケートな気持ちを持っていますので事実を歪曲されるだけで不信感を抱いてしまうということは覚えておいていただきたいと思います。

死亡事実を隠した特殊清掃依頼

『家で事故があり血がついた衣類や布団を処分してほしい』
『急病で大量吐血した痕をキレイにしてほしい』
『階段から落ちて血がたくさん出たので掃除してほしい』


死亡事実を隠したり歪曲した表現で特殊清掃相談をしてきた時のフレーズです。依頼者側にとっても隠したい事実であることは理解できるのですが、これらのフレーズはすべて殺人か自殺でした。

孤独死と違って自殺や殺人はその心理的負担がすごく大きい、そしてそれを隠そうとした依頼者には悪意を感じるし信頼関係も築けないというのが正直なところです。
 

自殺現場の特殊清掃業者の選び方

自殺に限らず特殊清掃はとにかく早い行動が今後の原状回復までの成否を分けます、初期の段階で時間をかけてしまうと現場の状況が悪化するばかりか近隣住人の信頼も失ってしまい最悪の場合退去などが発生してしまいます。

まずは信頼できる特殊清掃業者に相談してしかるべき対処を行いましょう、特殊清掃業者を選ぶ際の注意点は下記にまとめておきました。

1.状況説明だけで何をどんな手順で行えばいいか答えれる。
2.料金体系が明瞭である。
3.着地点(目指す部屋の形)をきちんと説明できる。


特に重要視したいのは特殊清掃の手順である(1)です。電話などで状況説明するだけで瞬時に何をどうすべきかを明瞭に答えれる業者でなければいけません、これこそが良い特殊清掃業者かどうかの判断材料と言えるでしょう、この時点で見ないとわからない、とりあえず見に行きますという業者は経験値が低いと判断でき当然作業内容もその程度と判断していいと考えます。

そのような観点で特殊清掃業者を見ますと実は真の専門業者はそう多くないのです、特殊清掃から原状回復完了までには様々な課題をクリアしなければいけません、もしその端緒である特殊清掃業者選定を間違えば原状回復の失敗を意味します。

ネット上にあるオススメ特殊清掃業者などの記事はマーケティング会社が広告戦略として書いてる根拠のないものです、本当のオススメ業者は一括見積サイトなどにはまず出ませんので慎重に判断しましょう。
 
自殺の特殊清掃もまごのて
自殺や孤独死現場の後始末はまごのてにお任せください
株式会社まごのては自殺、孤独死関わらずあらゆる事例を経験しています、初期の清掃や消臭から完全に部屋を仕上げる原状回復までトータルで完璧にこなします。

東京近辺ではもっとも機動力と技術力が高く安心できる業者であると各方面から好評をいただいています、孤独死が起きてにおいが出ている、自殺が起きて早急に血液を掃除してほしいなどどんなご要望にも素早くお応えいたします。

また宅建士や行政書士が社内に常駐し法的なアドバイスも可能ですし、顧問弁護士から事案ごとの意見書も発行できますので賃貸トラブルや特殊清掃や原状回復にかかる費用負担トラブルも事前に回避することができるのも強みです。

もし東京近辺で特殊清掃業者をお探しのお客様は迷わず実績豊富なまごのてへご相談ください。
 
記事執筆:

株式会社まごのて 代表取締役
佐々木久史

主に特殊清掃技術の開発や指導に注力しています。まごのては宅地建物取引業の免許を受けており私は専任の宅建士です、また賃管士資格を保有しており不動産取引関係には精通しています。 

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