特殊清掃コラム

実例紹介
2025.05.08

特殊清掃員が見た自殺現場のノートと遺書・ロープと練炭

自殺現場に残された道具の恐怖
今回の記事は特殊清掃の中でも独特である自死のあった部屋の清掃についてです。自殺のあった部屋の特殊清掃は、孤独死とは異なる独特の雰囲気があります。その部屋の主が明確な意志を持って命を絶ったことが感じられ、最期の念が部屋に残ってるような気がするのが孤独死(病死)と違う大きな特徴です。

なぜ死ぬ必要があったのか、なぜ死ななければならなかったのか?故人への思いを汲み取るのも私たち特殊清掃業者の役目と考え、自殺の特殊清掃現場で見つけた遺書や現場で体験した怪現象について公開しようと思います。

特殊清掃の施工内容としては孤独死が最も多く、自殺や殺人は少ないですが、自殺者の遺書やメモなど、一見して遺書とは気づかないものを発見することもあります。さらに、自殺現場での怪現象や心霊体験について、特殊清掃作業員が体験する恐怖や心理的な負担についても詳しく紹介しています。

特殊清掃業界に興味がある方や、人の心の動きや心理に興味を持つ方におすすめの記事です。
 

自殺の特殊清掃

孤独死と自殺の特殊清掃施工の割合

特殊清掃の施工内容では孤独死(病死)が一番多く約8割で自殺と殺人は約1割、その他1割は糞尿系の清掃です。自殺の特殊清掃は平均すれば100件中10件あるかどうかのレベルですが集中する時期があります。

通常多いのは12~1月と4月ですが、2022年7~8月は自殺の特殊清掃が1か月に11件と異常な数でした。

特殊清掃業務の中でも自死は少ないほうではありますが、正直一番行いたくないというのが本音で亡くなった人が若い人だったり同年代の人だと本当につらく悲しい作業となります。

自殺の特殊清掃現場は一種独特の空気があり、それこそ空気に色が付いてるんじゃないかと思うことすらあります、やはり人が亡くなったという事実以外にもそこに至るまでの思いが染みついてるような気がするのです。

孤独死とは違った独特の空気感がある自殺の特殊清掃についてお話を進めますが、人によっては嫌悪感を感じるかもしれませんし、恐怖を感じるかも知れませんが実際に起きているリアルをお届けします。

自殺者の思いを少しで理解しようとする心構え

自死をした人の気持ちや当時の心の動きは当事者ではない我々が考えたところで正解にたどり着くことは永遠にないかも知れません。故人が何を思い自殺を決行したのか、部屋の中からその痕跡を見つけ出しほんの少しでも理解しようとする気持ちは特殊清掃員として大事な心がけではと思います。まごのての特殊清掃や遺品整理を日々行ってる中で体験した作業員のレポートをお伝えしていきます。

特殊清掃員が見た自殺現場のリアル

遺書めいた日記を発見し号泣した女性特殊清掃スタッフ

東京都内で行った自殺の特殊清掃での出来事です、部屋の様子から若い女性が住んでいたことは明らかで彼女が最期の場所となった奥の部屋には無機質に垂れ下がるロープが括られたままの健康器具がありました。

発見は死後1週間ほどでしたので、部屋がすごく汚れている様子ではありませんでしたが全体的に散らかりプチゴミ屋敷状態でした。私は遺体痕があった場所の処理はせず他の作業をしていたところ床面に落ちてるノートような物が目に留まったのです。

私はそのノートを手に取りパラパラめくってみると亡くなる2週間ぐらい前から書き綴られていた、いわば遺書のような日記でした。そこにはある男性への想いが綴られ、どうして自分はこんなに苦しまなければいけないかを切々と書いてあったのです。内容は日記のようなものでしたが亡くなる1週間前付近からは、内容が少し変わってきており字も乱れ筆圧もかなり強く明らかに死ぬ意思を書きなぐっていました。

涙が止まりませんでした、そして本当に最後の1ページにはたったひとこと、それまでとはまったく違うキレイな文字で「〇〇さんありがとう、これからはあなたの心に住まわせてね」とだけ書いてありました。

これは現場作業に関わった女性作業者の日報から抜粋したものです、自殺の特殊清掃現場で私たちが遺書を見つけることは基本的には無く、遺書はだいたい目に留まりやすい場所にあるから警察が回収し関係者の手に渡るからですが、稀にこの現場のようにノートやメモなど一見して遺書とは気づかず残されてるものを特殊清掃作業者が発見し見てしまうことはあります。
 
自殺を決行すると決めた日
 

死ぬと決めた日?カレンダーの印は何?

東京都内のアパートの自殺現場でのことです、部屋は家財も少なく、がらんとした部屋だったのですが壁にかかったカレンダーがどうも気になりました、亡くなったと推定される日から10日ほどにわたって印がつけられていたのです。

日にちと曜日の四角のマスの中に〇や×ときどき1とか2の数字も書いてありました、いったいこれは何の意味だったのか?いろんな可能性を考えるのですが明確な答えは出ませんでした。

亡くなった方の年齢からすると、もしかしたら就職活動をしていて、面接に行った会社の数とか合否じゃなかったのだろうか?それともギャンブルにどっぷりハマり勝ち負けを記したものだったとか。

このように自殺現場には故人の書いたものが残ってることがあります、もしはっきりと遺書とわかる物なら警察や関係者の手に渡るはずですので表向きは遺書ではないということになります。

私たちは自殺をしなければいけなかった人の気持ちはわかりません、一説には殺人者も自殺者も精神状態はよく似たもので一種の錯乱状態であると聞いたことがあります、ですのでカレンダーへの印も遺書めいた落書きも故人の深層にある何かであるとは思いますが真意を推し量ることはできません。

ですが私たち特殊清掃に携わる者は葬祭業であるという意識を持ってすれば、何を見ても意味を見出すように努めなければいけません、そのような思いで仕事をすることが故人への何よりのご供養だと私は信じています。

【閲覧注意】特殊清掃作業員へあてた遺書

ある自殺の特殊清掃現場では私たち特殊清掃作業員にあてたと思われる遺書を発見したことがあります、封筒などに入った手紙のようなものなら警察が回収するのだと思いますが、これは手紙のような形ではなくコタツの天板にぎっしりと書かれていたものです。

「すみません死にます」と中央に書いてあり、猫ちゃん頼む、金魚という文字も見えます。
家売ってどうする?借金払えなくてすみません、など故人の切迫した様子も見て取れます、そして「イハイ(位牌)と写真以外全部捨ててください」や「スマホは引出しの中」など私たちへの指示(?)とも取れる文言もちらほら見えます。

猫、金魚、わんこの文字が多いことから動物が好きだったんでしょう、そんなに猫を愛し動物が好きなのにどうして自ら命を絶つ選択をしなければいけなかったのでしょうか。

この部屋は確かに荒れていましたがそれはおそらく直近の精神的な苦痛からで、引出しの中やタンスの中はキレイに整理されていました、おそらく借金苦だと思いますが室内にいわゆるギャンブル系の物や酒など怠惰な生活から身を持ち崩したという印象もありませんでした。

コロナ渦の2021年~2022年にかけて自殺の特殊清掃が一気に増えた時期もありました、その大半が生活苦つまり仕事やお金絡みでの自殺であったと推察できます、今まで普通に頑張ってきた人たちが死を選択しなければいけないぐらい追いつめられる、こんな現実があっていいのかと心から思います。

もし職を失い路頭に迷いそう、今まさにその現実に直面してる人はきとんと然るべき機関に相談をしてください、仕事を探してるのなら私たちが力になります。今一度、考えてみてくれませんか?

特殊清掃作業者が現場で見たくないモノ

特殊清掃作業者がその部屋で一番見たくない物は何だかご存じでしょうか?物理的に特殊清掃というものを見た場合自殺も孤独死も大きな差はありませんが、自殺現場には実行時の『道具』が残されてることがあり、故人の最期のとどめとなった物を見るのは意外と精神的にキツイものです。

首を吊ったであろうロープや柱に打ち付けられた釘、練炭やナイフなど普段目にすることが多い普通の物でも現場で見るとまったく違った意味を持ってくるのです。特殊清掃員になりたての者はそのシーンを目の当たりにしたため仕事を継続できないほどダメージを負うこともあり、皆さんが考えるほど軽いものではありません。

孤独死の場合は亡くなった本人すら予期せぬ発作が起きて動けなくなり死に至るわけですが、自殺の場合は強い意志を持って決行していますので、時として心の動きや当時の行動まで見えることがあり私たちに重く迫ってくるのです。特殊清掃現場ではこのような現実があることを知っていただけるとありがたいです。

特殊清掃員が見たくないあるモノ

後始末のことを考えて決行した首吊り現場

年始明けから間もないある日東京都内のマンションで兄弟が首つり自殺で発見されたと連絡を受け、すぐに特殊清掃一次処理に向かいました。死後日数は不明だったけど年末に電話で話したということだったので長くても10日前後と想定し、ゆっくり玄関ドアを開けて入室してもハエのお出迎えもなく、においもありませんが、居室床面にはブルーシートが敷き詰められていたのです。

故人は健康器具にロープをかけて決行したのですが、後処理のことを考えたのか部屋を汚さないようにブルーシートを敷いたのです。自死という最悪の選択をしてる中でもどこかで理性的に行動してるのが垣間見え、ほんの少し考え方を変えたり、誰かのSOSを出せば生きる選択ができたのではと思うのです。

過去にも同じような例はあり、練炭自殺をしたユニットバスの排水口をアルミテープで塞いで体液が排水管に流れないようにしてあったり、頸動脈を切りつけて自死した部屋では壁や天井にまでゴミ袋を貼り付けて血液の飛び散り汚れを防止していたこともあります。先ほど決行までの行動が見えると書いたのがこのこととで、強い意志を感じる反面本当は生きたいという思いも見え隠れするひじょうに切ない光景です。

自殺の事実を隠して特殊清掃依頼する人

特殊清掃の中でも自殺は作業者の心理的負担が大きいものです。特殊清掃作業そのものは孤独死でも自殺でも大きな違いはありませんが、やはり意思を持って命を絶ったという事実が大きくのしかかるのです。

そんな心理を知ってか知らずか特殊清掃相談の段階で事実を歪曲したり自殺であったことを伏せてることが時々あります、知っていたとしても心理的負担が大きいのに後で知るともっと大きくのしかかってきます。確かに言いにくいことかも知れませんがどんな仕事でもお客様と我々業者は信頼関係で成り立っていて、事実を隠されたり嘘があると信頼関係の構築は難しく、やることは同じだとしても気分が良くありませんし、何より結果的にお客様が不利を受けることもあることは覚えておいていただきたいと思います。

自殺の事実を隠して特殊清掃依頼

 

トイレで転倒し出血したので清掃の依頼

千葉県内のアパートで息子が転倒し頭をぶつけて出血したので清掃してほしいというご依頼がありました。転倒して出血ですからそう大量というイメージでもなく、実際電話でもよくわからないけど床と便器が少し汚れていますという程度だったので比較的「軽装」の準備で現場へ向かったのでした。

到着し対象のトイレを見ると床面は血だまりになっておりドアの内側や壁面にも血しぶきが飛んでいます。明らかに転倒して出血というレベルではありません。清掃依頼をした父親と名乗る人を問い詰めたところ一昨日カミソリで頸部を切りつけたと言うことでした。

転倒して出血も、切り付けて出血でも特殊清掃としての作業でやることは同じです。ですが正しい情報を伝えられるのとそうでないとでは気持ちや向き合い方が変わります、特殊清掃作業員は意外とデリケートな気持ちを持っていますので事実を歪曲されるだけで不信感を抱いてしまうということは覚えておいていただきたいと思います。

自殺現場の特殊清掃業者の選び方

自殺に限らず特殊清掃はとにかく早い行動が今後の原状回復までの成否を分けます、初期の段階で時間をかけてしまうと現場の状況が悪化するばかりか近隣住人の信頼も失ってしまい最悪の場合退去などが発生してしまいます。

まずは信頼できる特殊清掃業者に相談してしかるべき対処を行いましょう、特殊清掃業者を選ぶ際の注意点は下記にまとめておきました。

1.状況説明だけで何をどんな手順で行えばいいか答えれる。
2.料金体系が明瞭である。
3.着地点(目指す部屋の形)をきちんと説明できる。


特に重要視したいのは特殊清掃の手順である(1)です。電話などで状況説明するだけで瞬時に何をどうすべきかを明瞭に答えれる業者でなければいけません、これこそが良い特殊清掃業者かどうかの判断材料と言えるでしょう、この時点で見ないとわからない、とりあえず見に行きますという業者は経験値が低いと判断でき当然作業内容もその程度と判断していいと考えます。

そのような観点で特殊清掃業者を見ますと実は真の専門業者はそう多くないのです、特殊清掃から原状回復完了までには様々な課題をクリアしなければいけません、もしその端緒である特殊清掃業者選定を間違えば原状回復の失敗を意味します。

ネット上にあるオススメ特殊清掃業者などの記事はマーケティング会社が広告戦略として書いてる根拠のないものです、本当のオススメ業者は一括見積サイトなどにはまず出ませんので慎重に判断しましょう。
 
自殺の特殊清掃もまごのて
自殺や孤独死現場の後始末はまごのてにお任せください
株式会社まごのては自殺、孤独死関わらずあらゆる事例を経験しています、初期の清掃や消臭から完全に部屋を仕上げる原状回復までトータルで完璧にこなします。

東京近辺ではもっとも機動力と技術力が高く安心できる業者であると各方面から好評をいただいています、孤独死が起きてにおいが出ている、自殺が起きて早急に血液を掃除してほしいなどどんなご要望にも素早くお応えいたします。

また宅建士や行政書士が社内に常駐し法的なアドバイスも可能ですし、顧問弁護士から事案ごとの意見書も発行できますので賃貸トラブルや特殊清掃や原状回復にかかる費用負担トラブルも事前に回避することができるのも強みです。

もし東京近辺で特殊清掃業者をお探しのお客様は迷わず実績豊富なまごのてへご相談ください。
 
記事執筆:

株式会社まごのて 代表取締役
佐々木久史

主に特殊清掃技術の開発や指導に注力しています。まごのては宅地建物取引業の免許を受けており私は専任の宅建士です、また賃管士資格を保有しており不動産取引関係には精通しています。 

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