特殊清掃コラム
孤独死の原状回復|相続放棄でも連帯保証人は逃げられない

「相続放棄したから、部屋の片付けもしなくていいですよね?」
この質問をよく頂きますが、答えは「ケースバイケース」です。
もしあなたが故人の賃貸契約の「連帯保証人」になっていた場合、相続放棄をしても、部屋を元通りにして返す義務(原状回復義務)からは逃れられません。
この記事では、多くの人が誤解している「相続人」と「連帯保証人」の責任の違いと、実際に起きた費用負担トラブルの結末を、法的根拠(エビデンス)を交えて解説します。
責任問題で揉めないために
1. 相続放棄しても「連帯保証人」としての地位は残る
孤独死が発生した際、片付け費用の支払いや部屋の明け渡しを行う義務は誰にあるのでしょうか。
「相続人」と「連帯保証人」は全く別の法的立場です。ここを混同すると大変なことになります。
| 立場 | 責任の根拠 | 回避方法 |
|---|---|---|
| 法定相続人 (親・子・兄弟) |
故人の権利義務を継承。 プラスの財産もマイナスの財産(清掃費等)も引き継ぐ。 |
相続放棄 家庭裁判所で手続きすれば、初めから相続人でなかったことになる。 |
| 連帯保証人 | 賃貸契約書に基づく契約上の責任。 借り主本人と同等の支払い義務を負う。 |
原則、回避不可 相続放棄をしても、保証契約は消えない。 |
⚖️ 法的根拠(エビデンス)
民法第939条(相続放棄の効力):
相続の放棄をした者は、その相続に関しては、初めから相続人にならなかったものとみなす。
民法第446条(保証人の責任):
保証人は、主たる債務者がその債務を履行しないときに、その履行をする責任を負う。
※連帯保証契約は故人との相続関係とは無関係の「個人の契約」であるため、相続放棄をしても保証人としての責任は消滅しません。
つまり、「親の連帯保証人になっている子供」が相続放棄をした場合、遺産はもらえませんが、部屋の片付け費用や滞納家賃の支払い義務は残ります。
「放棄したから関係ない」と無視していると、大家さんから訴訟を起こされるリスクがあります。
孤独死の特殊清掃費用は誰が払う?相続人・保証人・大家の責任
費用負担の優先順位をより詳しく解説しています。
2. 【失敗談】「私は関係ない」と突っぱねた姉の誤算
知識不足が原因で、大家さんとの関係が修復不可能なほどこじれてしまった事例です。
「相続放棄」という言葉の強さに頼りすぎた結果、より厳しい現実に直面しました。
事例:東京都台東区の孤独死現場
弟さんが孤独死し、お姉さんが現場に駆けつけました。
部屋はゴミ屋敷化しており、見積もり額(片付け+特殊清掃)は約100万円。
これを見たお姉さんは、大家さんにこう言い放ちました。
大家さんは激怒しましたが、管理会社が契約書を確認すると...なんと、お姉さんは数年前の更新時に連帯保証人として署名捺印していたのです。
その事実を突きつけられたお姉さんは顔面蒼白。「相続放棄すればチャラになると思っていた」と泣き崩れましたが、法的責任は消えません。
結局、全額を支払うことになりましたが、最初の態度が悪かったため、大家さんからは原状回復費用の減額交渉などにも一切応じてもらえませんでした。
3. 【実録】原状回復費用150万円の負担内訳
では、実際に連帯保証人はどれくらいの費用を負担することになるのでしょうか。
まごのてが施工した「孤独死+ゴミ屋敷」の現場事例を、数字で公開します。
単なる清掃費だけでなく、リフォーム費用が重くのしかかります。


費用の内訳(総額:約150万円)
| 特殊清掃(浴室・消臭) | 315,000円 |
| ゴミ撤去(2t車4台分) | 450,000円 |
| 原状回復リフォーム (ユニットバス交換、床・壁張替え) |
約750,000円 |
このうち、リフォーム費用については「経年劣化(住んでいた年数)」を考慮して減額交渉を行いました。
最終的に、リフォーム費用の約4割を連帯保証人が負担し、残りはオーナー様負担という形で決着しました。
このように、「全額払う必要はない(適正な負担割合がある)」ことを知っておくことも重要です。
4. ゴミ屋敷だった場合の責任(善管注意義務違反)
孤独死そのものに過失はありませんが、「ゴミを溜めて部屋を傷めたこと」は契約違反です。
ここが、通常の孤独死とゴミ屋敷での孤独死の大きな違いであり、費用の請求根拠となります。
⚖️ 法的根拠(エビデンス)
民法第400条(善管注意義務):
債権の目的が特定物の引渡しであるときは、債務者は、その引渡しをするまで、契約その他の債権の性質によって定まった用法に従い、善良な管理者の注意をもって、その物を保存しなければならない。
※「ゴミを堆積させて床を腐食させる」「悪臭を発生させる」行為は、善良な管理者としての注意義務を怠った(過失)とみなされ、原状回復費用の全額負担を求められる可能性が高くなります。
責任の分かれ目
- ✅ 孤独死による汚れ:
予期せぬ事故のため、借主の責任は限定的。
(床や壁の張替え費用は、住んでいた年数分だけ負担すれば良いケースが多い) - ⚠️ ゴミ屋敷による汚れ:
故意・過失による汚損(善管注意義務違反)。
ゴミの撤去費用はもちろん、ゴミが原因で腐った床やカビた壁の修復費用は、ほぼ全額借主(保証人)負担となる可能性が高い。
孤独死の特殊清掃ビフォーアフター写真
まごのてが解決してきた現場の記録です。
5. 紛争を避けるために専門家を頼ってください
原状回復の費用負担は、大家さんと連帯保証人の間で感情的な対立になりやすい問題です。
「全額払え」「払いたくない」の押し問答になる前に、私たちのような専門家にご相談ください。
まごのては、特殊清掃の実務だけでなく、顧問弁護士と連携し、法的に妥当な負担割合のアドバイスも可能です。
無用な争いを避け、スムーズに解決へと導きます。
まごのては「法律・不動産」の専門知識を持つ特殊清掃業者です。
株式会社まごのて 対応エリア
東京都全域・千葉県・埼玉県・神奈川県
※茨城県・栃木県・群馬県・山梨県の一部も対応可能
江戸川区・江東区・浦安市など近隣エリアは最短即日対応
孤独死が起きた部屋の原状回復費用に驚き相続放棄!
話を聞く限り状況はあまり良いとは言えず、死亡から発見までおよそ3ヶ月、そして部屋は相当のゴミ屋敷であることもわかりました。そして私たちが出した見積もりはゴミ屋敷の片付けで60万円、特殊清掃部分で40万円とこれだけでも100万円に及ぶ見積もり額となりました。
2DKのゴミ屋敷ですから修繕や汚損の修復にもそれなりの金額が予想でき、100万円超の負担は免れない状況を理解したお姉さんは早々に「相続放棄」を宣言したのです。
相続放棄により相続人である故人のお姉さんは部屋の明け渡しにまつわる一切のことをする必要がなくなったかのように見えましたが別の立場のお姉さんが浮上したのです。
相続人が早々に相続放棄を宣言したことから物件オーナーと管理会社を交えての話し合いに移行していきましたが、その際に賃貸の契約書を確認した中で連帯保証人が付いていることが判明しました、なんと連帯保証人は相続放棄をしたお姉さんだったのです。
しかも直近で更新されており極度額338万円の保証承諾書もありました。私は再度お姉さんに交渉するように管理会社に伝え返事を待ちました、かなり交渉には難航したようでしたが相続人と連帯保証人の立場はまったく違うことを説明し納得してもらったということでした。
物件オーナーは相続放棄と聞いた時に100%自分の持ち出しになると覚悟したそうですが、相続放棄では連帯保証人としての立場は消えないということを初めて知ったということで驚いていました。
実は相続放棄をされたら終わりと考えてるオーナーさんや管理会社担当者も多く、逆に一般の方も相続放棄をすれば連帯保証人としての立場も消えると間違った認識の方も多いのです。
もし賃借人の孤独死などが発生した際には必ず契約関係を確認し、相続人と連帯保証人の関係を再度確認しましょう。
遺品整理後に相続放棄をした相続人
遺品整理を手掛けたことは相続の承認となるか
たとえ少しでも相続に関わることを手掛けたのだから単純承認ではないかと考えることもできますが、この状態で相続放棄の手続きを進め却下された事例は知りません。特に前者の相続放棄はするけどモラルとして最低限のことはしますというスタンスだった場合はいくらこちらから異議申し立てをしたとしても裁判所は却下することは稀だと考えます。
では後者の多少なりとも金銭などを得た場合ですが、当然単純承認になるのですが、その証明をすることができません。少しのお金をポケットに入れた後に相続放棄をしたとしても通ってしまうのが現実です。
まごのてでは相続人が依頼者となる場合は必ず必要な作業範囲と料金を明確に伝え確実な了承を得た上で作業を進めることを徹底しています。

原状回復の紛争を未然に防ぐアドバイスを行います
発生当時はご遺族や大家さんなどの関係者もパニック状態にあり、何をどう進めるかわからない、これからどうなるのかそれぞれの立場で不安を抱えていますが、時間が経つにつれ様々なことが見えてきます、そして相当な費用がかかることも見えてき、その費用はいつ誰が払うのだとなり費用負担のトラブルに発展します。
当事者みなさんがお金に余裕があるとは限りません、ご遺族にとっては降って沸いたような出来事ですし、物件オーナーにしても昨今は利回りギリギリで物件運営をしてることも多く、それぞれの立場で極力出費は減らしたと考えています。
それぞれの立場や事情があることから費用負担で揉めるのですが、こんな場合は法的見解に則って進めるのがベストです。まごのてでは顧問弁護士より物件ごと事案ごとに意見書を発行するサービス提供を行っていますので安心してお任せください。

株式会社まごのて 代表取締役
佐々木久史
主に特殊清掃技術の開発や指導に注力しています。まごのては宅地建物取引業の免許を受けており私は専任の宅建士です、また賃管士資格を保有しており不動産取引関係には精通しています。
東洋経済:ゴミ屋敷に商機を見出した男の波乱万丈人生
理念と経営:逆境の時ほど爪を研げ
株式会社まごのて
東京都江戸川区北葛西3-5-6
1011701018023 インボイス適格事業者登録番号: T1011701018023
宅地建物取引業:東京都知事(1)109168
産業廃棄物収集運搬業:01300191644(株式会社MG)
孤独死が起きてお困りの方は私にお気軽にご相談ください。












