特殊清掃コラム

実例紹介
2024.05.25

孤独死の特殊清掃|連帯保証人は相続放棄後も原状回復義務は残る

相続人と連帯保証人の責任はどっちが大きい
今回の記事は身内が孤独死した際の相続人の義務と権利について、そして相続放棄したけど部屋の連帯保証人だった時はどうなるかについて解説します。

原状回復をする義務がある人やその範囲について書いた記事はあるのですが、相続放棄連帯保証人については誤った認識を持ってる方や、質問が多いので別で記事を用意することにしました。部屋の連帯保証人であるにもかかわらず相続放棄したら原状回復義務がなくなると考えてる方や逆に相続放棄されると原状回復費を求めることができないと考える大家さんもいることから記事化しました。
 
相続放棄と連帯保証について解説
相続放棄しても連帯保証人としての地位は残る
賃貸住宅を借りる際に求められる連帯保証人が故人の相続人であるということはよくあります。孤独死が起き、故人の権利義務を引継ぐのが相続ですが疎遠だったり相続財産が無い場合はサッサと相続放棄を表明し相続放棄の手続きに入る方も少なくありません。

もちろん相続放棄されると部屋の明け渡し義務や原状回復義務もなくなりますので、本来必要な特殊清掃や遺品整理を進める人がいなくなりますので、それらにかかる費用は大家さんが負担しなければいけません。

ところがもし相続人でもあるけど連帯保証人でもある場合はどうなるかですが、相続放棄すれば相続に関する権利はすべて失いますが、連帯保証人としての義務は残るので部屋の明け渡しまでの責任は免除されません。
 

死亡した賃借人の権利義務を引継ぐのは誰?

賃貸住宅に住んでる人が亡くなった場合、現状回復や引渡の義務は誰にあるのかを再度確認しておきましょう。

1.本人(亡くなってるので本人の持つ権利義務を継承する相続人)
2.賃貸契約の連帯保証人


まず賃貸契約とはその家や部屋に毎月お金を払って住む権利のことです、そして賃貸契約は基本的に死亡して契約終了とはならず引継ぐことができます(相続)したがって本人死亡後はその部屋に相続人の誰かが住もうと思えば住めるのです。

ただし現実的には故人が一人暮らしであった場合、相続人がその部屋に住むことはほぼ100%なく退去の手続きをして部屋を明け渡すというのが通常の流れです。

つまり住む権利はあるけど、住まないので原状回復義務に従って​​​​​部屋を返還するのが相続人ということになります。原則的な考え方は通常の退去と同じで本来であれば本人がその義務を履行しますが亡くなっているのでその権利義務を継承した相続人が履行するということです。
 
連帯保証は途中で消えない
連帯保証人は契約がある限り責任がつきまとう
ではもし相続人の誰かが賃借権を相続しその部屋に住むとなった場合、契約当時の連帯保証人はどうなるでしょうか?元の契約者が亡くなったから変わるのではと思う人も多いと思いますが、基本的にそのままです。

連帯保証というのは契約に対して保証するのですから契約がある限りずっとそのままです、契約者本人が亡くなり居住者が変わったとしても契約が有効な場合は連帯保証の責任もずっと有効です。実際は賃借権を相続するということも少ないのですが、それだけ連帯保証人の責任は重いということだけ覚えておきましょう。
 

相続人と連帯保証人の優先順位はどっちが高いか

では賃貸住宅引渡において相続人と連帯保証人がまったく別人だった場合どちらの優先順位が高いでしょうか?今まで説明した流れで考えるとなんとなく連帯保証人の責務が優先されそうですが、賃貸の部屋の明渡や原状回復義務は相続人のほうが上です。その理由を今からわかりやすくお伝えいたします。
 
相続人は本人と同じ
相続人=本人であるという考え方
民法上相続人は本人という考え方があります、法律系のコラムや法律関係の試験問題では「本人を相続した」という言い回しが多いことからもわかるように相続人は本人そのものなのです。

そもそも賃貸契約でも貸金契約でも連帯保証人の役目は本人が債務不履行に陥った時に、つまり家賃が払えないとか借金の返済が出来ない時に代わりに払う人という契約です。したがって孤独死の場合の原状回復義務や物件の返還、滞納家賃や明渡までの経過賃料の履行や支払い義務は本人(相続人)にあるが履行されない時は連帯保証人がその責務を負うと考えれば良いでしょう。

したがってすべての責任は本人にありますので相続人がすべての責任を負うこととなるのですが本人(相続人)が履行不能や相続そのものを放棄した場合は連帯保証人が契約にまつわる部分に関してはすべての責任を負うこととなります。

相続人が相続放棄!相続人が連帯保証人だった場合

冒頭でも書きましたが相続人でもあり連帯保証人でもあるというシーンはよくあります。例えば息子の賃貸契約を親が連帯保証した、逆に親の賃貸契約の保証を子供がした場合が代表例です。

契約者本人が孤独死に限らず何らかの形で亡くなった、でも目ぼしい財産もないので相続放棄をしたという場合について考えてみます。ここから先は私が実際に遭遇した実例に基づいてお伝えしていきます。
 
相続放棄したら一切の債務は免れる
原状回復費用に驚き相続放棄!
2021年の夏に遭った事例です、東京都台東区のアパートで孤独死があり故人の相続人であるお姉さんから特殊清掃と部屋の明渡に関する相談がありました。

話を聞く限り状況はあまり良いとは言えず、死亡から発見までおよそ3ヶ月、そして部屋は相当のゴミ屋敷であることもわかりました。そして私たちが出した見積もりはゴミ屋敷の片付けで60万円特殊清掃部分で40万円とこれだけでも100万円に及ぶ見積もり額となりました。

2DKのゴミ屋敷ですから修繕や汚損の修復にもそれなりの金額が予想でき、100万円超の負担は免れない状況を理解したお姉さんは早々に「相続放棄」を宣言したのです。これにより相続人である故人のお姉さんは部屋の明け渡しにまつわる一切のことをする必要がなくなったかのように見えましたが別の立場のお姉さんが浮上したのです。
 

相続放棄で原状回復義務が免れないことが判明!

相続人が早々に相続放棄を宣言したことから物件オーナーと管理会社を交えての話し合いに移行していきました。その際に賃貸の契約書を確認した中で連帯保証人が付いていることが判明しました、連帯保証人は相続放棄をしたお姉さんだったのです。

しかも直近で更新されており極度額338万円の保証承諾書もありました。私は再度お姉さんに交渉するように管理会社に伝え返事を待ちました、かなり交渉には難航したようでしたが相続人と連帯保証人の立場はまったく違うことを説明し納得してもらったということでした。

物件オーナーは相続放棄と聞いた時に100%自分の持ち出しになると覚悟したそうですが、相続放棄では連帯保証人としての立場は消えないということを初めて知ったということで驚いていました。

実は相続放棄をされたら終わりと考えてるオーナーさんや管理会社担当者も多く、逆に一般の方も相続放棄をすれば連帯保証人としての立場も消えると間違った認識の方も多いのです。もし賃借人の孤独死などが発生した際には必ず契約関係を確認しましょう。連帯保証人についてはもう一つ注意しなければいけないことがあります、それは連帯保証人としての地位も相続対象であることです。めったにないシーンかもしれませんが上記の例で考えると、もしこのお姉さんが死亡した場合は連帯保証人の地位が相続人に渡ります。相続と連帯保証は判断が難しいことも多いですので孤独死などが起きそのあたりが不明な場合は専門知識がある人に相談してしかるべきアドバイスをもらいましょう。

宅建士と行政書士が在籍する特殊清掃業者まごのて

遺品整理後に相続放棄をした相続人

次は特殊清掃や遺品整理に着手していながらも途中で相続放棄をしたご遺族のケースです。実際に経験した事例ですが、私たちに特殊清掃一次処理と家財の撤去を依頼したご遺族がいました。

遺品整理作業では少しの現金などが発見されましたが莫大なものではなく、その他貴重品とされるものがないと分かるとこれ以上の作業は無用と相続放棄を宣言したのです。ここまでの費用のお支払はされましたが、依然汚れと臭いがある状態で引渡しはできませんが相続放棄の一点張りで後は知らぬ存ぜぬという態度でした。
 
単純承認だけど相続放棄する例
遺品整理を手掛けたことは相続の承認となるか
このようなケースは稀ではなく意外と起きており、まごのてでも年間数件は遭遇するケースです。ご遺族としては迷惑の掛けっぱなしというわけにもいかないので最低限のことはやりますよ、という場合ともうひとつは若干悪意のあるケースで現金など相続に値するものがないか確認するためだけというパターン。

たとえ少しでも相続に関わることを手掛けたのだから単純承認ではないかと考えることもできますが、この状態で相続放棄の手続きを進め却下された事例は知りません。特に前者の相続放棄はするけどモラルとして最低限のことはしますというスタンスだった場合はいくらこちらから異議申し立てをしたとしても裁判所は却下することは稀だと考えます。

では後者の多少なりとも金銭などを得た場合ですが、当然単純承認になるのですが、その証明をすることができません。少しのお金をポケットに入れた後に相続放棄をしたとしても通ってしまうのが現実です。

まごのてでは相続人が依頼者となる場合は必ず必要な作業範囲と料金を明確に伝え確実な了承を得た上で作業を進めることを徹底しています。
 

孤独死対応型の保険に加入しておきましょう

連帯保証人に資力があり孤独死の後処理が比較的スムーズに進むことを想定していますが、現実は連帯保証人が居ても資力がない、そもそも連帯保証人がいないなど結果的に物件オーナー費用を負担しなければならないケースがほとんどです。

あらゆるケースを想定して賃貸運営には孤独死に対応する保険に加入しておくこが必須です。借家人側の保険でも孤独死の特殊清掃や家財撤去費用が保障される特約の付いた保険もありますが保険請求者が遺族や相続人、連帯保証人に請求権があるためスムーズに事が運ばない場合もあります(物件所有者が保険請求できる場合もあるらしいですが詳細不明)

やはりすべてを借家人側の保険や後述する家賃保証会社に頼るのではなく、物件オーナー側で保険に入っておくのがベストな選択です。従来の火災保険の特約に付加する場合や孤独死など不測の事態のためだけに掛けておく少額短期保険などがありますので目的にあった保険を選びましょう。大手損保の特約では空室期間の家賃保証までカバーされるものもあります。

家賃保証会社はカバーしきれない部分が多い

保険とは若干ニュアンスが違いますが家賃保証会社でも孤独死に対応する保証があるようですが、私が調べたところ現時点(2023年6月)では特殊清掃や原状回復までカバーする保証会社は見当たりませんでした。

家賃保証会社は一応の立ち位置としては連帯保証人ですが、主な目的は賃借人が家賃を滞納した際の家賃保証と残置物を残して失踪した時の家財撤去までが保証される内容です。したがって保証会社は住人の死亡があった場合すぐさま荷物を片付け引渡し、契約終了としてしまうのです。

もしもの時にカバーされない部分があるから保証会社プラス人的保証も取るというのが昨今の賃貸住宅契約時の主流となっています。

紛争を未然に防ぐアドバイスを行います

孤独死が発覚した瞬間から原状回復に向けての工程が始まっていくのですが同時に費用負担トラブルのゴングが鳴る瞬間でもあるのです。

発生当時はご遺族や大家さんなどの関係者もパニック状態にあり、何をどう進めるかわからない、これからどうなるのかそれぞれの立場で不安を抱えていますが、時間が経つにつれ様々なことが見えてきます、そして相当な費用がかかることも見えてき、その費用はいつ誰が払うのだとなり費用負担のトラブルに発展します。

当事者みなさんがお金に余裕があるとは限りません、ご遺族にとっては降って沸いたような出来事ですし、物件オーナーにしても昨今は利回りギリギリで物件運営をしてることも多く、それぞれの立場で極力出費は減らしたと考えています。

ですから費用負担で揉めるのですが、こんな場合は法的見解に則って進めるのがベストです、まごのてでは顧問弁護士より物件ごと事案ごとに意見書を発行するサービス提供を行っていますので安心してお任せください。
 
孤独死の特殊清掃相談ならまごのて
確実な孤独死部屋の原状回復ならまごのて
特殊清掃や原状回復にお金を掛けたくないからと、正しい手順で原状回復を行わなかったり特殊清掃そのものを省いたりする例がありますが、これは絶対におやめください。

また「安い」とホームページに書いてる特殊清掃や遺品整理を行う業者もご注意ください。特殊清掃の専門業者や確実な技術を持つ特殊清掃業者は絶対に「安い」やその周辺の言葉を使いません。

費用をできるだけ削りたい気持ちはわかりますが、不備があれば更に余分にお金がかかることになりますので、特殊清掃業者を選ぶ際は十分ご注意ください。

東京近辺の孤独死であれば深く悩む必要はありません、今ご覧のこのホームページのまごのてにご相談いただければ万事解決です。
 
記事執筆:

株式会社まごのて 代表取締役
佐々木久史

主に特殊清掃技術の開発や指導に注力しています。まごのては宅地建物取引業の免許を受けており私は専任の宅建士です、また賃管士資格を保有しており不動産取引関係には精通しています。 

東洋経済:ゴミ屋敷に商機を見出した男の波乱万丈人生
理念と経営:逆境の時ほど爪を研げ

  • instagram
  • youtube

孤独死が起きてお困りの方は私にお気軽にご相談ください。