特殊清掃コラム

実例紹介
2024.10.30

【特殊清掃実録】作業員が印象に残った千葉市の孤独死特殊清掃

今夏も孤独死の特殊清掃では印象深い現場が多数ありました。特殊清掃に携わる作業員が得る印象とは精神的にも体力的にもキツかったから印象に残ったということもありますし、何か感じることで印象に残るという場合もありそれぞれです。

今回はまごのての特殊清掃員である柏賢一さんが感じた2024年夏期間の印象に残った現場を上げてもらいました。柏さんはまごのてに入社して3年を迎える異業種から転身してきた50歳です。ゴミ屋敷も特殊清掃も初めて経験することばかりでしたし年齢的にもビハインドがありましたが乗り切って技術と思考を身に付けてきました。他のスタッフより年かさな分だけ感じることが多いのではと思います。
 
特殊清掃員の印象に残った現場
特殊清掃業界は年齢や前職の所得はまったく無関係
特殊清掃業界のスタート給与はそう高くありません。トラック運転手や建築系作業者の見習い時と変わらないレベルからスタートします。前職でいくら1千万円プレーヤーだとしても基準勤務日数22日基本給23万円+職能給+他手当で開始です。

当初3ヶ月は最低の給与ベースで、丸3ヶ月過ぎに一回目の昇給判定、更に半年後に二回目の昇給判定を経て2年目では年収で400万円前後になります。もちろん習熟度が遅いと一回目二回目の昇給判定でゼロ査定もあり得るシビアな世界です。

特殊清掃は高給、お金に困ったら特殊清掃バイトに行け!というような変な情報もありますが実態はいたって普通で、闇バイトでも裏バイトでもありません。まごのての場合は厳しく技術や考え方を仕込みますので外部から見ればブラックなのかと思われることもあるかもしれませんがけっしてそんなことはなく、ただ人の死の現場に携わるというマインドセットに重きを置いてるからに他なりません。

このように特殊清掃作業者の努力と社の方針がマッチしているからどこよりも確かな消臭が実現できていると自負しています。

警察がご遺体痕を垂らして階段を汚していた孤独死現場

千葉市のとあるマンションで孤独死が起き死後約1ヶ月が経過していたという現場に一次処理に向かった柏さん。真夏の一番集中している時期でこの日も午前中に都内で特殊清掃一次処理をした後に向かったのでした。

現場は住宅街のマンションで5階でエレベーターなし。50歳の柏さんには過酷な条件でしたがあらかじめ2件回ることが決まっていたので2名体制にしていたのでまだその分楽でした。現場に到着して真っ先に驚いたのが一階でにおいを察知したことでした。

いくら死後1ヵ月だとしても1階まで臭い漏れがあるとは!と思いながら階段を上がっていくと共用階段のいたるところに染みがあり経験上それがご遺体から流れ出たものであるとすぐわかりました。警察がご遺体搬出時に共用部を汚すことはよくありますが、それにしてもひどい垂れ流し方です。

この光景に柏さんは憤り怒りを露わにしていたとお客様から聞かされたときは驚くとともに心ある仕事が出来るようになったのだと妙に感心したものです。
 
ご遺体をぞんざいに扱う警察官
特殊清掃は技術以上に心が大事
特殊清掃業は葬祭業のような側面もあり、いくら清掃や消臭の技術があってもぞんざいに扱うようなことがあってはなりません。故人はすでにこの世のものではないとしても故人が最期どのようにして過ごしていたかに対して思いを馳せながら進める気持ちが大事です。

まごのてでは特殊清掃をやり始めた時からご遺体痕は故人そのものという考えでやってきています。この考え方があったから生まれたのが特殊清掃一次処理で、ご遺体痕を踏みつけにするのではなく先に綺麗にして花を手向けてから次の処理に進めばいいではないかと考えるところからスタートしたのです。

どこの遺品整理業者も特殊清掃業者も真心こめてと口先では言ってますが実際にその気持ちの部分を具現化して実践している業者は数少なく、まごのてはその数少ない心を持ち合わせた特殊清掃業者と言えるでしょう。

まごのては特殊清掃に対する意識や考え方、そして清掃や消臭技術どれをとっても他社の追随を許しません。小手先のテクニックでお客様を騙すようなことも絶対にありませんし、ブラックボックス化しやすい特殊清掃現場でもキチンとわかりやすく言語化して報告をしておりますので安心してご相談ください。
 

腐敗体液がダイニング一面に広がっていた!

部屋にたどり着きご遺族から預かった鍵でドアを開けて飛び込んできた光景はかなり衝撃的だったらしく一瞬開けたドアを閉めそうになったと語っていました。まず玄関の土間も腐敗体液で汚れていますし、その先のダイニングも床のCFの色がわからないぐらい腐敗体液の海だったのです。

これでは警察が汚れを拡散したとしてもある意味仕方なかったのかもしれない。とにかく足場を作るために玄関土間の汚れた靴や警察が敷き詰めたと思われるタオルや衣類を取り除き脂を固める粉末薬剤を撒いて養生シートで覆って足場を確保してから清掃に取り掛かったのです。
 
人は亡くなれば溶けて流れる
人は亡くなれば溶けて流れます
不幸にも部屋で亡くなってしまい日数が経過した場合、ミイラのようにカラカラになって即身仏のようになってしまうと思ってる人がたまにいますがけっしてそんなことはありません。死亡した瞬間に細胞は活動を停止しその直後から腐敗が始まるのです。腐敗するということは原型をとどめていませんので溶けて流れていくのです、そして人体の7割は水分ですから肉体は腐敗し水分も同時に流れますので部屋中に腐敗体液が広がることになるのです。

夏場は特に腐敗進行が早いので顕著になり、早いとたった2日でも部屋一面に汚れが広がりますし、1週間もあればかなりのウジとハエも発生しまさに凄惨と呼ぶに相応しい状況となります。死後日数が数日だからたいしたことはないと思うと憶測で言われる方がいますがけっしてそんなことはなく溶けて流れます。

この溶けて流れた元人体を地道に落としていくところから特殊清掃は始まります、このファーストアタックが一番過酷で防護服を着ていてもあっちこっちが汚れますし、目の前50cmのところに腐敗体液があるのですからにおいに色が付いてるのではないかと思うぐらいの感覚になるのです。腐敗体液を取り去り空間を消毒しウジやハエも駆除しご遺体痕を覆ってやっとご遺族が入室できるようになるのです。

この初期の清掃と消臭をやらずして入室してしまうと汚れを拡散したり、足を滑らせて転び腐敗体液まみれになったという話も聞きますので孤独死などがあったらまずは特殊清掃一次処理をご検討ください。
 

千葉市の特殊清掃から原状回復までの費用公開

この特殊清掃は一次処理後にご遺品整理と家財撤去、その後に完全消臭(特殊清掃二次処理)までトータルで行いました。特殊清掃二次処理は難航を極めました、まず腐敗体液の流出が多かったため床下へも広範囲に流れており玄関先はもちろん少し離れたトイレの床下まで流れ込んでいたのは驚きました。

またウジ虫やハエの跡も至るところに付着しており洗浄箇所も多かったです、特に壁が昔の土壁だったため削り落としたりしながらすべての汚れと臭いを取るまでに6回現地に出向き、約3週間かけて完全消臭にいたりました。下の表にこの現場で要した費用をまとめましたので参考にしてください。
 
特殊清掃一次処理 室内13万円 共用部洗浄5万円
ご遺品整理(家財撤去) 417,000円
特殊清掃二次処理 33万円
現場管理費 3万円

すべて税抜き価格です。現場管理費とは特殊清掃とは長期にわたって行うため文字通り現場管理の費用ともう一点は駐車料金等の諸経費とお考え下さい。
 
特殊清掃の費用公開
ご遺品整理中に孤独死対応の保険証券を発見!
実はこの現場では遺品整理の最中に保険証券を発見しました。しかも生命保険ではなくいわゆる賃貸住宅の借主が掛ける保険で借家人賠償保険でした。しかも孤独死に関する特約が設定されており特殊清掃50万円遺品整理50万円の合計100万円が支払われるというものでした、この保険のおかげでご遺族の負担はほぼゼロとなったのです。

ご遺族は不動産屋からもこの保険の存在は聞かされておらず、ひじょうにビックリするとともに費用負担の重圧から解放され一気に気が楽になったとおっしゃってました。

賃貸の場合ですと今は借家人賠償保険に加入してることも多いですので保険加入の有無は早い段階で確認しましょう、また賃貸の客付け不動産業者さんも必ず入居者には保険に入ってもらうようにしましょう。保険の有無で負担額がまったく違ってきます。保険には賃借人が入っておくものと物件オーナーが火災保険の特約で入っておくものがあり、賃借人側で入る保険は最低限ですがオーナーさんが入る保険には商品によっては家賃保証やリフォーム費用まで負担してくれるものもあるので入っていない方は是非見直してみましょう。
 

大家さんとの紛争勃発!でも安心な特殊清掃業者です

実はこのマンションの特殊清掃途上では物件オーナーと原状回復の範囲を巡って紛争が起きそうな兆しがありました。特殊清掃がそろそろ大詰めを迎えようかというタイミングで客付けをした地元の不動産会社社長が作業中の室内に入ってきて、室内をグルリと見まわし、作業員にあれこれ質問をしてきたのです。「この床は最後元に戻すのか?」「壁紙は新たに貼ってくれるのか?」などで質問そのものに不審なものはありませんでしたがその言葉が紛争勃発の合図だったのです。

その夜依頼者であるご遺族から電話が鳴り、不動産屋の社長にたいそうな剣幕で「すぐに次貸せるように原状回復しろ!」「それから家賃の三年分を賠償として払え」とまくしたてられたということでした。原状回復についての責任と範囲や損害賠償についての話し合いは一般の方では難しいと判断し私たちにお任せくださいと電話を終えました。

孤独死の特殊清掃と原状回復ではしばしばぶち当たる問題で、特に原状回復はどこまでやるべきかはよく問題になります。この件に関しては別で記事がありますので是非お読みください。孤独死が起きた部屋のリフォームと費用負担の解説

そして損害賠償については一切支払う必要はなく、この件については私が直接不動産屋の社長に電話をし、そもそも孤独死(病死)は故意過失ではなく損害賠償を求められる筋合いではないと一蹴したのです。告知期間がどうのとゴネていましたが物件オーナーや不動産屋が被害者意識を持つことはおかしいと言い置き終りました。
 
紛争解決ができる特殊清掃業者
技術、知識、経験、どれをとっても長けてる特殊清掃業者
まごのては特殊清掃現場で起きるあらゆることに対応できる類まれな特殊清掃業者です。大家さんとの紛争解決が起きたとしても宅建士や行政書士が常駐していますし、弁護士や司法書士とのパイプも強力なためどんな問題でも解決できますし、当然特殊清掃の技術も高いので部屋が部屋として機能するようにスピーディに解決まで導きます。

孤独死などで今後部屋をどうすべきかお悩みの方は是非まごのてにご相談ください。また孤独死関連だけではなく部屋の消臭やゴミ屋敷のお片付けなど特殊な事案は是非一度ご相談いただければと思います。
 
記事執筆:

株式会社まごのて 代表取締役
佐々木久史

主に特殊清掃技術の開発や指導に注力しています。まごのては宅地建物取引業の免許を受けており私は専任の宅建士です、また賃管士資格を保有しており不動産取引関係には精通しています。 

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