事故物件買取コラム

事故物件対策
2024.02.18

孤独死が起きた部屋のリフォームと費用負担の解説

孤独死が起きた部屋のリフォームと費用負担の解説
この記事は特殊清掃の料金についてお伝えする記事のリレー記事です。本来であれば特殊清掃のエリアに入れるほうが良いかも知れませんが、孤独死のあった部屋の原状回復やリフォームは大家さんや不動産管理会社にとっても大きな問題ですので不動産事業部のコラムに入稿します。

孤独死が起きた部屋を元に戻す過程では最初に特殊清掃があり次に家財整理や残置物処理と進み、汚れや臭いが取れたらリフォームで部屋を完全に仕上げる工程に入るのです。

最後の工程であるリフォームですが費用負担や責任の範囲について物件オーナーとご遺族(連帯保証人)とに間でよくトラブルが起きますので、出来るだけ詳しく費用負担についてもお伝えします。

 
孤独死が起きたらまず特殊清掃
孤独死が起きた部屋は必ず特殊清掃をしてください
孤独死が起き汚れや臭いが室内にあるにもかかわらず特殊清掃を省いてリフォームだけで終わらせようとするオーナーさんがいますが絶対にNGです。

楽待コラムでも孤独死の後処理を自力ですれば1/30の費用で済むと書いてるものがあります、その記事ではリフォームそのものをしてくれる業者がなかった等も書いてますが、文中に床を貼り替えた後も微かに臭いはあると記載されてる部分があります。この記事が出回ったのはそんなに過去のことではなく、ほんの数年前です。大昔ならいざ知らず今は少しでも臭いがあるというのは物件運営上好ましくありません。

臭いも「そんなにしません」レベルで済ましてはいけません、微かに残った臭いはやがて大きな問題になる可能性があります。リフォームで臭いは消えませんしリフォーム職人は消臭のプロではありませんので、費用を削減したい気持ちはわかりますがどうか特殊清掃から始めるようにしてください。
 

孤独死の起きた部屋のリフォームはトラブルの宝庫

孤独死が起きた部屋の最終段階がリフォームですが、このリフォームを巡っての費用負担の揉め事が絶えません。まず孤独死があり原状回復に至るまでの責任の範囲を以下に示しておきます。

1.部屋の明け渡し(家財を撤去し空にする)→相続人または連帯保証人。
2.特殊清掃(汚れと臭いを取る)→原状回復義務がある相続人または連帯保証人
3.リフォーム→原則物件所有者(ただし一部例外あり)

特殊清掃と部屋の荷物を出すことは借主の責任であることが判例がすでに出てる通り、普通退去と同じく賃借人の原状回復義務に基づいて実行することは異論のないところだと思います。
孤独死部屋の原状回復トラブル事例
リフォーム費用およそ35万円を巡ってのトラブル
千葉県浦安市の賃貸アパートでおよそ10年住んでいた住人が孤独死状態で発見された事例です。ご遺族であり連帯保証人でもある故人の身内が私たちに特殊清掃と家財の撤去を依頼されその部分は無事完了となりました。

そして特殊清掃後のリフォームもまごのての工事部にご依頼いただき、リフォームも完成したところでトラブルが発生しました。私たちはリフォーム分の請求書を大家さんに送付したところ、大家さんより「この分もご遺族に請求してください」となったのです。

ご遺族はこの請求を不服とし大家さんとの争いに突入しましたが、最終的にはリフォーム分の35万円に対し20%の7万円をご遺族、残り80%は物件オーナー負担で落ち着きました。どうしてこのような費用負担になったのかを順を追って解説します。
 

【大原則】新調された内装は家賃に含まれて償却される

退去にまつわるトラブルで多い原状回復費に対するものがあります。例えば退去した人に対しクロスを新調した費用を請求するといったことがあります。

普通に住んでいて経年劣化で変色したり汚れたクロスのリフォーム費用を払わせるということが横行していた時期があったのですが、その行為に対し国交省ガイドライン及び判例で「内装は家賃に含まれ償却される」と示され退去時に費用を求めてはいけないとされたのです。

ただし通常使用の想定を超えるようなことがあり破損や汚損が激しい場合はこの限りではなく、たとえ原価償却期間を終えていたとしても善管注意義務違反で元入居者に請求が可能という判例もあります。

孤独死が起きた部屋のリフォームはこの善管注意義務違反、つまり通常使用の域を超えて発生したことだからリフォーム費用の負担を求めるという図式になり、大家さんはご遺族に請求するという解釈につながっています。
 
孤独死は誰の責任?
孤独死は通常使用の領域を超えるものかが争点
物件オーナーの意向は「孤独死で部屋を汚した責任がある」というものが根底にあるので費用の一切合切をご遺族や保証人に求めます、なんとなく通常使用から外れた部屋の使用と言われればなるほどと言う気もします。

ところが裁判所は孤独死に対しては別の見解を示しています。孤独死は病死であるから本人(故人)が部屋で死亡することを予見できていたとは考えにくい(東京地判昭58年6月27日)と示しています。つまり帰責性(責任)を問わないとされたのです。

帰責性がないということは善管注意義務違反とはならずリフォーム費用は求めることは出来ないとなるのです。ただし原状回復義務はありますので特殊清掃で臭いと汚れはご遺族や連帯保証人がその責を負うということは上記判例でも示されています。

また昨今は住人の孤独死は賃貸経営では当然に織り込んで日々対策をするのが物件オーナーの務めであるとも示されてる通り、孤独死に対応する保険をかけておくとか、見守りシステムを導入するなどの努力は必要であると考えます。

孤独死と同じく室内死亡の例では自殺や殺人がありますが、これらは通常使用の領域ではなく故意過失と判断されますのでリフォーム費用や損害賠償請求が可能です。
 

孤独死部屋リフォームの費用負担の根拠を解説

では上記の孤独死の事例でご遺族と大家さんの費用負担割合が2:8となった理由を説明いたします。

まずリフォームの総額は35万円です。
施工範囲は床のフロアタイル新調、床の下地一部新調、断熱材、クロス貼替、水栓交換などでした。

特殊清掃完了後の写真を見ていただければわかりますが、ご遺体痕が染みてしまった床板と下地の板が一部切り取られています。クロスも下地ボードを防臭処理するために剥がされています。

つまり普通退去と違った形で部屋が引渡されていることになります。では剥がした床板を洗浄し元に戻せばいいのかと言えばそれは現実的ではありませんので自ずと新調するということになるのです。

床に穴がなく普通に退去した状況と同じレベルと考えた場合、リフォーム費用の一部負担、今回の場合は総額の20%をご遺族が負担するというところで落ち着いたのです。物件オーナーにしてみれば孤独死さえなければこのような費用は発生しなかったと思うかもしれませんが、物件運営上のリスクを許容できる体制と思考がこれからは求められると考えます。
 
孤独死部屋リフォーム費用
内装や設備のグレードアップを求める大家さん
とにかくトラブルが多いリフォームですが、中にはグレードアップを目論み多額の費用を請求する大家さんもいました。

ご遺族の中には申し訳ないという気持ちも少なからずあるため、言われるがまま支払ってしまう方も多く、その際にまったく関係のない場所のリフォームや設備の交換に応じてしまうことも少なくありません。

大家さんの中には被害者意識を持つ方もおりご遺族に集中砲火を浴びせる方も中にはいます、そんな光景を見ると気持ちに余裕がない人が賃貸運営をするべきではないなと思わずに居られません。

物件オーナーとご遺族の間に入りアドバイスします

株式会社まごのては特殊清掃を中心とした清掃会社ですが、不動産取引業の免許を保有する会社です(東京都知事(1)109168)孤独死が起きた部屋の原状回復トラブルについてのアドバイスも積極的に行っており、物件オーナーとご遺族の間に入り双方が納得できるようアドバイスできる体制を整えてる特殊清掃業者ですので安心してご相談ください。
 
物件を確実に再生します
孤独死があった物件を確実に再生します
まごのての特殊清掃業としての業歴は古く創業から15年が経過します。今までのあらゆる経験を通し培ってきた技術は目を見張るものがあり、孤独死や自殺などどんな物件でも見事に再生してきました。

特殊清掃からリフォームまで一貫施工はもちろん、賃貸経営アドバイスや事故があった家の買取までワンストップでサポートできる体制を整えています。

孤独死など人の死があった部屋の清掃や再生だけではなく、昨今問題となることが多いゴミ屋敷の片付けや排水管のトラブルなども対応します、つまり賃貸物件でのお困りごとはすべてまごのてで解決が可能なのです!サービス提供エリアは東京都内を中心に神奈川、千葉、埼玉、茨城そして山梨や群馬県の一部地域も対応いたしますので是非ご相談ください。
記事執筆:

株式会社まごのて 代表取締役
佐々木久史

主に特殊清掃技術の開発や指導に注力しています。まごのては宅地建物取引業の免許を受けており私は専任の宅建士です、また賃管士資格を保有しており不動産取引関係には精通しています。 

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