特殊清掃コラム

実例紹介
2024.03.30

孤独死現場でウジ虫やハエはどうして出るのか?その影響は?

孤独死が起きた部屋では発生確率の高いウジ虫やハエについて書いてみます、ハエは日常的に見る機会が多いと思いますがその子どもであるウジ虫は見たことがある人は意外と少ないのではと思います。

特に東京では汲み取り式トイレもありませんし、農道で動物の死骸がありそれにウジ虫がたかってるという光景はありませんのでイメージすら沸かない人も多いのではないでしょうか?

特殊清掃では最大テーマであるウジ虫とハエについて、そしてその影響についてお伝えします。
※多少グロテスクな表現がありますので、苦手な方は他の記事をご覧ください。
 
孤独死現場のウジ
孤独死の現場はウジ虫とハエとの闘いである
孤独死が起きご遺体発見まで時間が掛かると当然ハエが寄ってきて、ご遺体に産卵しウジ虫が発生するというのはなんとなく理解できると思いますが、その量はおそらく想像が付かないのではないでしょうか。

夏場の孤独死現場に立ち入る際にはドアを開けるとともにハエの大群がお出迎えとなります。ゴーグルをしてる目にも飛んできてコツンという音がするレベルで突進してきますし、羽音も耳のそばではっきり認識できます。

そして足元には万の単位のウジ虫が徘徊しており危険を察知したウジ虫は四方八方に逃げ回るのです。このような場面から特殊清掃はスタートします、殺虫剤で撃墜されたハエの死骸を集め、逃げ惑うウジをバキュームで捕獲する。

この最初に行う工程を面倒がらずにやることが消臭の成果を分けるのです、ウジ虫やハエが消臭とどのように関係するのかもお伝えしていきます。
 

ハエは嗅覚の塊で瞬時に嗅ぎ分ける

においは人間も含めて生存する上で大切な要素のひとつと言われています、私たちが孤独死現場に臭いを「絶対に脳が受入れない臭い」と表現することがありますがこれは、この臭いは危険だよーという知らせでもあるのです、いわゆる人間の加齢臭と呼ばれるものもそうらしく「この人と性交渉してはダメ!」というサインです。

ですから生物が生きる上でこのにおいは重要な役目を果たします、そしてハエは腐乱臭や排泄物のにおいを餌として認識、つまり私たちが心地よいと感じる美味しい食べ物や花と同じようにハエには「こっちに美味しい物があるよー」と察知しやってくるのです。

ハエの臭い察知能力はとても優れており体全部が嗅覚と言ってもいいぐらいで、しかもいわゆる危険な臭いとハエにとって良いにおいを瞬時に嗅ぎ分けるそうです、一説には50Km先の臭いを嗅ぎ分け時速100Kmで飛んできます、50Km先に良いにおいを察知したらたった30分で飛んでくるということです。

では密封されてる部屋にどうやって入ってくるのか疑問に思う人も多いでしょう、私たちもいつも不思議に思うのですがどんな小さな隙間でも入れるようで、よく見れば意外と部屋は外と繋がってる部分が多いことがわかります、例えば換気扇ダクトも通気口も外と繋がってますしエアコンも冷却水が排水されるドレンホースと繋がってますし、排水溝も外部と繋がっています。

ですから体の小さいハエはどこからでも室内に侵入できるということです、ただし高気密の高級マンションは必ずしもそうではなく過去には真夏の孤独死現場にもかかわらず1匹のハエの侵入もなかった例もあります。

☆参考文献、理化学研究所:ハエの匂いの好き嫌いを決める脳内メカニズムを解明
 
ハエが寄ってくる
死後2週間だと何匹のハエが発生するか
ハエの繁殖力の高さは周知のことと思いますが、どの程度高いかと言いますとまず産卵は3日おきにするそうです、一回当たりイエバエで150個ですから2週間で4~5回産卵します。
つまり2週間で600~700個の卵があることになるのですが、ハエの卵期間はたった1日です、ですから産卵の次の日には150匹のウジ虫が生まれ、そのウジ虫は長くて9日間、真夏の30度に達する気温では4日ほどでさなぎから成虫になります。

早ければ5日程度で150匹のハエが生まれ、その生まれたハエも次々に産卵しますからたった2週間でも数千の単位になるということです。

ですからまったく孤独死現場のことを知らない人や特殊清掃員になりたての人は夏場でも死後数日の発見だからたいしたことないだろうと考える人もいるのですが大間違いです、軽い気持ちで入室するとハエの大群に襲われるという憂き目に遭うこと必至です。

ウジ虫の大半はご遺体に巣くっていますので警察がご遺体を回収すれば70%程度のウジ虫はいなくなりますが、当然部屋には腐敗した体液や汚れた布団などはそのままですので、そこからまた増え続けるというサイクルを繰り返しますので、孤独死の現場は特殊清掃をしなければずっとハエが出続けるということになります。
 

空間に数千のハエ飛び回り足元には数万のウジ虫

人の死がありご遺体発見までに日数が長かった部屋はウジ虫とハエのパラダイスです、もちろんそれだけではなくウジ虫を狙ったゴキブリやネズミも集まることがあり、あの小さな空間でも動物界の食物連鎖が起こってるのは感心させられます。

私たちが一番緊張するのは最初に部屋に入るときです、ご遺体そのものはありませんのでご遺体に寄生していたウジ虫の大半はいませんが思いがけない侵入者から逃げたウジ虫も相当数います、ですから部屋に一歩足を踏み入れると足元にはウジ虫が這いまわり空間には羽音がするぐらいのハエがわんさか飛んでいるのです。

ハエもウジ虫も人に危害を加えることはありませんが、大量にいると慣れてる私たちですらちょっと引いてしまいます。

もしノーマスクで入ろうものなら口に入ることすらあります、これも実はけっこう危険なことで飛んでるハエはいわば菌の塊です、腐った食べ物を丸のみするようなもので事実入室時にハエの大群が口に入ったり不用意のそのあたりを触った手で口元を触ったために下痢や嘔吐発熱に襲われるということはよく耳にします、私たちが特殊清掃一次処理をしてから入室しましょうと言うのはこのような理由もあるのです。

ハエは殺虫剤を使えばある程度死んでくれますが、ウジ虫はそうはいきません、ウジ虫にはハエ用の殺虫剤は効きません、唯一ウジ虫用の駆除剤は「バポナ」という商品名で市販はされていますが私たちは使いません、バポナは独特の臭いがありあれを使えばバポナの消臭と言う余分な工程が増えてしまいます。

かと言って踏みつぶせば練乳のようなドロっとした液体が流れ更に汚してしまいますので、ひたすらバキュームで吸い取り生け捕りにするのです、ですので特殊清掃の一番最初にやることはハエの駆除とウジ虫の生け捕りです、夏場などはこの作業だけでけっこうな時間を使うこととなります。

ちなみに生け捕りにしたウジ虫は会社に持ち帰った後に処理するのですが、先ほども書いたようにウジ虫に効く薬剤はありませんので60度以上のお湯をかけて駆除します、ウジ虫はタンパク質ですので60度が凝固点となりますのでお湯を使うのです。

ですのでお風呂場の特殊清掃でウジ虫がいた場合はお湯を使えばいいと言う記事がありますが、一般家庭のお風呂の給湯は最大55度ですので効きません、事実MAX温度のお湯をシャワーを掛けて流しても排水口からウジ虫は這い上がってきます、それぐらいウジ虫は生命力が強いのです。
 
ウジ虫の生命力
エサが無くても生きる!ウジ虫の生命力
写真はある特殊清掃現場で床下から発見されたウジ虫です。この現場は他社が特殊清掃をしたけど臭いが取りきれていないということでやり直し依頼で入った部屋です、ご遺体痕を検索する過程で見つけたものでまだ生きていました。

当然ご遺体はなく表面上のご遺体痕も見える範囲ではありませんでしたので、新たにハエが進入し産卵したとも思えずいったいどれだけ生命力が強いのだと素直に感じたものです。

この現場以外でもまさかという場所でウジ虫が生き続けてるのを発見したことがあります、変わった所だとエアコンの中や枯渇した洗濯パンの排水口の中にそれなりの数が蠢いていたのは驚きでした。

特殊清掃はハエに始まりハエで終わる

特殊清掃の現場はこのようにウジ虫やハエ、その他虫との関係がひじょうに高いことがわかりますが、特殊清掃の最大目的である汚れの除去とにおい発生源の追跡の重要場面でもそれは関係してきます。

特殊清掃の技術情報にもなりかねないのですが、専門的にやってるプロ業者なら当然のことですし、通信教育組も概念的にはある程度わかってると思いますので書きますが、ウジ虫が這った跡やハエが止まった跡はにおいの発生源です、私は現場でご説明する際にはある表現をしますが、ハエ跡を完全に取り除かないと絶対に消臭は成功しないのです。

まさかこんな場所に!という場面がひじょうに多いのです、おそらく現場経験が少なかったり認定資格のにわか特殊清掃業者は追跡できない部分でこれらの見極めが特殊清掃成功の成否を分けると言っても過言ではありません。

孤独死の特殊清掃現場はウジ虫とハエに始まり、ウジ虫とハエで終わるというのはそういう所以です。
 
ハエ跡の洗浄
【技術情報】完全消臭を目指すならハエ跡を完璧に取る
特殊清掃技術の公開を1点だけいたします。ご遺体痕が付着したハエが室内を飛び回りそのわずかの汚れが臭い発生源となるわけですが、室内の至るところに付着しているハエ跡の点々をいかに取り除くかが消臭の肝になってきます。

窓ガラスや建具など目視できるレベルであれば比較的容易に拭き取れますが、見えない部分に入り込んだハエ跡やハエの死骸をどう見極めるのかが重要です。写真はサッシ枠の隙間を洗った際に出てきたハエの死骸ですがおそらくこの場所にハエ(ウジ虫)が入り込むとは思いもしないのではないでしょうか。

このように細かな場所にも気を配り確実に汚れを除去することで消臭が実現できるということです、特殊清掃は感性でやるものであるという持論はこのようなことを指すのです。

技術情報と書きましたが、他にもたくさんチェックすべき場所はあり、サッシ枠やレールだけではありません。本当に意外な場所に潜んでおりこれら臭い発生源を見極めることができる特殊清掃業者は本当に少ないのではないかと思います。

臭い発生源を確実に追跡する能力が高い特殊清掃業者

株式会社まごのては東京都内はもちろん神奈川、千葉、茨城、埼玉、(山梨、群馬、栃木の一部地域)で特殊清掃を行う会社です。

私たちは汚れやにおいの性質を知り、それらに対する清掃や消臭技術をきちんと持った数少ない特殊清掃業者ですので安心してお任せください。

株式会社まごのての特殊清掃はにおいを完全に消すことをゴールと設定しています、他社でにおいが消えなかったお客様や絶対に確実ににおいを消したいと考えてるお客様は迷わず私たちにご相談ください。
 
孤独死の消臭
孤独死部屋の消臭あきらめていませんか?
賃貸住宅を持っているオーナーさんや不動産会社の担当者と話すと、孤独死などが起きた部屋の臭いは完璧に取ることができず少しは残るものと考えてる方が結構多いのです。比較的高齢のオーナーさんたちは未だにそのような認識の人がいます。

おそらく以前は孤独死が起きても特殊清掃を入れるという概念がなく、適当にリフォームしたり普通のクリーニングで凌いでいたからだと思います。現在は消臭のための薬剤や機材も進歩していますし、私たちと同様研究熱心な特殊清掃業者もあることから孤独死が起きた部屋でも完全消臭が可能となっています。

悪徳な特殊清掃業者は内装を解体しなければ臭いは消えないとか、これだけ強いと消臭には限界があるというようなことを言うらしいですが、断言します!孤独死に端を発した臭いは確実に消すことができますので、どうか消臭についてあきらめず我々にご相談ください。

私たちまごのては臭いの発生源を確実に突き止め完璧に除去します、これらは長い年月をかけて研究し検証してきたたまもので東京近辺でも類まれな完全消臭ができる特殊清掃会社であると自負しています。
 
記事執筆:

株式会社まごのて 代表取締役
佐々木久史

主に特殊清掃技術の開発や指導に注力しています。まごのては宅地建物取引業の免許を受けており私は専任の宅建士です、また賃管士資格を保有しており不動産取引関係には精通しています。 

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