特殊清掃コラム

実例紹介
2024.04.19

孤独死があったことを隠してリフォーム依頼!信頼関係構築不可

孤独死があったことを隠してリフォーム依頼
2月から3月の空室原状回復のピーク期間にリフォーム業者や空室清掃業者さんからどうやら人が亡くなった部屋のようだがどう対応すれば良いでしょうかとご相談をいただきます。特殊清掃を入れずにリフォームや普通のハウスクリーニングで何とかなるだろうと思って原状回復を進めているからだと思うのですが、大きな別の問題があると思っています。

私が思うのには孤独死など人の死があったにも関わらず、その事実を隠してリフォームや清掃業者に発注されてることが問題です。特殊清掃せずに孤独死などが起きたら特殊清掃をしてからリフォームをしなければいけないという知識がなかっただけとも取れるのでその部分は大目に見たとしても事実を伝えていないという行為は悪意しか感じません。

この記事は一般のリフォーム業者やハウスクリーニング業者さんが変だと感じる部屋に遭遇した時の対処法をお伝えするものです。
 
孤独死があったことを隠してリフォーム発注
一般個人でも孤独死を隠ぺいする人がいます
かなり以前に不用品回収とゴミの処理についてお問合せをしてきたお客様の例です。最初はお電話で話を進めており、比較的量が多そうだったので現地で打合せとしたのですが、何故かマンション下で待ってるので部屋を見てきてほしいと鍵を渡されたのです、ここで変だと感じ身構えながら入室すると案の定ハエの大群のお出迎えとなりました。

室内を見ることなくお客様が待つエントランスへ降り「知ってたのですか?」と問い詰めました。一言も人が亡くなったことを告げず不用品やゴミの処理としか伝えていないのは悪意を感じる、信頼関係が築けない!と伝えたのです。どうやら隠すつもりはなかったようですが正直言いにくかったのと特殊清掃業者なら対応できると思い言わなかったということでしたが、たとえ見積もりといえども装備も違いますし、もっと言えばご案内する作業そのものが違うのですから事実は正しく伝えたほうが絶対良い結果になるのは間違いありません。

このような例は良くありますがお互いに気持ちよく仕事ができるかどうかは信頼関係が築けるかどうかだと思うのです。知らなかったから伝えることができなかったということはあるかもしれませんが知っていて伝えないというのは信頼関係が根底から覆ると思うのです。
 

リフォームに入った部屋が孤独死部屋だった場合の対応方法

ではリフォームやハウスクリーニングに入った部屋で異変を感じた時にどうすべきかをいお伝えしたいと思いますが、リフォーム職人さんやハウスクリーニングの人はどんなふうに異変を感じて私たちに相談してきたのかを下記にまとめました。

・明らかに嗅いだことのないにおいを感じた
・床に人形の染みがある
・床の一部が切り取られてる(特殊清掃後)
・内装を解体してる際ににおいを感じた


人型の染みがあったり、明らかな重異臭がある場合もありそのままリフォームを進めれば間違いなく瑕疵のある物件となり部屋が部屋として機能しません。そして特殊清掃が実施されたけど伝えられていなかったというのは悪意はないと思います。特殊清掃さえきちんとされ汚れも臭いもないのであれば普通の部屋のリフォームとなんら違いはありません。

明らかに孤独死などの事故があった部屋はどう対応するのかですが、これはもう元請けなり発注元に事実を伝え、このまま工事を進めるわけにはいかない、しかるべき対応を要請するしかありません。

ただ元請けや発注元の力関係が影響するのか『ものが言えない』リフォーム屋さんもおり、去年知り合った個人営業のリフォーム屋さんは自腹を切ってまごのてに特殊清掃を依頼してきたことがありました。
 
隠れ事故物件多発
特殊清掃からやり直す事例は20%程度であとはそのまま
このようにリフォームや清掃業者から相談があった部屋が進言通り特殊清掃からやり直される例は20%あるかないかです。私のところではない他社の特殊清掃業者に発注されたのならまだ良いのですが後日追跡したところ事実隠ぺいのまま進んでしまったというものが大半でした。

仲間内とも言える職人たちにさえ事実を隠し、しかるべき処理をしないのですからおそらく隠れ事故物件として流通してしまい孤独死があった部屋だと知らずに誰かが住んでしまうのだろうと思うとちょっとやり切れません。

予算の問題や物件運営上の利回りなどの事情があるのは分かるのですが、お金をかけたくないという考えだけで特殊清掃もされずに出回ってる部屋は東京周辺だけでもかなりの数があると予想しています。
 

正義感いっぱいの個人のリフォーム業者の男気

今年の初めに電話で相談があったリフォーム屋さんは施工しようと部屋に入ったとたんに嗅いだことのない臭いと床に広がる黒い染みを見て大慌てで電話をいただきどうすべきか教えてほしいということでした。

一通りの説明の後このリフォーム屋の男性は「これって普通なんですか?」「初めての取引先ですでにかなりの数の受注があるんです」と質問されました。私は忌憚なく次のように答えました。

・特殊清掃なしでこのまま工事を進めることは出来ない
・そもそもどうして事実を知らせてくれなかったのか


この二点は必ず伝え、さらに今後の取引がご破算になってもいいと思うのであれば「だまし討ちするような会社とは取引できない!」と言ってもいいレベルの事案と答えました。

数時間して再度電話があり「言いましたよ!」「私を騙すことはこの部屋に入るお客様を騙すこと」「我々の仕事は部屋を綺麗に再生すること、隠ぺいはできない」などと捲し立てたそうでさらに「今請けてる仕事は全部返す!謝罪ない限り今後一切お断り」と立場の弱い新参業者さんのわりに勇気あることを言ったと思います。

長い電話だったのですが彼は最後少し涙声で「俺らは弱い立場だけど不本意な仕事や自分が納得できない仕事はしたくないんです」と言ってたのは印象的で今はまごのての工事部から仕事を出す関係に発展しました。

特殊清掃にチャレンジしたハウスクリーニング業者さん

次は孤独死があったことは知らされたけど果敢にも特殊清掃に挑戦したハウスクリーニング業者さんの例を2つご紹介します。どうして専門ではないハウスクリーニング業者が特殊清掃をやろうとしたかと言いますと、発注元である不動産会社や大家さんが特殊清掃業者の存在を知らなかったかまたは普通の清掃会社でも出来るだろうと考えて相談してしまったということが多いようです。

そこで本来であれば相談されたハウスクリーニング業者が特殊清掃業者に相談したほうが良いと言えば済んだのですが興味もあることからなんとかなると思い込み少しの割増料金で請けてしまうという流れだと思います。
 
お風呂の特殊清掃で失敗
お風呂の特殊清掃のやり方を聞いてきた一般の掃除屋さん
東京都内のマンションでお風呂の特殊清掃方法を聞いてきたハウスクリーニング業者がいました。教えてくれと言われて教えるわけにはいかないのですが普段仕事をもらってる不動産会社からお風呂で孤独死したらしいと聞かされなんとかなると挑んだものの何をどうすればいいかわからず現場で立ちすくんでるということでした。

正直特殊清掃の中でもお風呂は難易度が高く、ましてやまだ浴槽内には水がある状態では何をすべきか皆目見当がつかないのも無理はありません。結局あなたには出来ないから私たちに再依頼するしかないと伝え、料金のことを聞いてきたので最低でも10万円で汚水があるなら15万円前後は見てくれと言うと仕方ないという感じで出動要請をいただきました。

このハウスクリーニング業者が不動産会社から請けた料金は3万円で普段空室一式で1Rでも1.5万円程度、お風呂のスポットで数千円~1万円程度で請けてるので3万円は破格だと思い飛びついたそうです。結局このハウスクリーニング業者さんは自腹で私たちへの費用を支払うことになり大損だと嘆いていましたが、考えようによっては面目は保てたのではないでしょうか?もし失敗していたら損失はもっと大きくなったはずです。
 

特殊清掃を途中でギブアップした大手ハウスクリーニング業者

次もお風呂の特殊清掃を普通のハウスクリーニング業者がやり失敗した事例です。大手フランチャイズチェーン加盟の掃除屋さんがお風呂の特殊清掃に挑みなぜか排水管を詰まらせてしまいあわや大惨事の手前で私たちが駆け付け事なきを得たというものです。

千葉県の古いアパートの浴室で孤独死がありいつも付き合いのある清掃会社に話を持ち掛けたところなんとかするということで任したそうです、この掃除屋さんは更に下請けだったようですが浴槽の水もすでに抜けているし沈殿物もあまりないのでとりあえず流してしまえばいつもと同じだろうと挑んだといいます。

いつもの手順通り水を流してると何故か水が流れずどんどん溢れてきます、トラップを触っても何も触れないしホースの圧でなんとかならないかと水を注入するも水かさは増し全然引いていきません。そして仕方なくまごのてに相談となったわけですが原因がわからずではどうしようもないととりあえず高圧洗浄車で現地に向かったのです。

詳しい原因はわかりませんが何かが詰まってることは間違いなさそうだったので外の桝から高圧ホースを差し込み一気に詰まりを抜きました。特に大きな異物があったようには思えませんがドロドロした物が流れてきたのでおそらく沈殿していたものが詰まったのではと結論付けました。

浴室での死亡の場合は通常と違って水分を多く含んでしまいます、そうなるとご遺体痕は粘土状になったり室内とは違う様相となってしまうことがあります、そのあたりの見極めも特殊清掃業者ならできますがやはり一般のハウスクリーニング業者では難しいと思います。

この事例でも排水管の詰まり解消後に私たちのほうで特殊清掃を行い仕上げましたがこの部屋の場合は何故かハウスクリーニング業者が自腹を切ることもなく不動産会社より支払いがされました。その時の不動産会社の担当者は特殊清掃業者の存在は知っていたがいつものハウスクリーニング業者のほうが安く上がると思ってしまったと言っていました。

このように一般のハウスクリーニング業者が特殊清掃を手掛けてしまってる例も相当数あるような気がします、たまたま軽度で上手くできる例もあるでしょうけど、それはたまたまラッキーだっただけで大半は上手くいかないのではと思います。

高圧洗浄ができる特殊清掃業者

リフォームやハウスクリーニング業者さんへ

もし清掃やリフォームを依頼された部屋に異変があればすぐにまごのてまでご連絡ください。そして絶対に先へ進めず特殊清掃をしないと臭いなどが出てきて入居者に迷惑がかかったりずっと客付けできない部屋になる可能性を元請けや不動産会社へお伝えください。

そこから先はそれぞれの判断だと思いますが、事実を隠して発注するような先とは取引そのものを考えたほうが良いと私は思います。リフォームや清掃は断然個人事業主が多い世界ですから取引先には強く出れないことが多いとは思いますし、売上シェアが大きければ大きいほど言いたいことが言えない環境であることはわかります。

しかし孤独死などの場合は特殊清掃で汚れと臭いを取らなければ必ずどこかで臭いは戻りますし、何らかのタイミングで必ず発覚します。そうなれば誰が困りますか?知らずに入居した人かもしれませんし近所の方かもしれません。もしかしたらこんなことになってることを大家さんすら知らないかもしれません。

私たち特殊清掃業者もリフォームや清掃業者も最終的にはその部屋に住む人に快適に過ごしていただくために存在しているのです、その根幹の部分は絶対に忘れないでいてほしいと切に願います。

東京近辺で孤独死などが発覚したら実績豊富なまごのてへどうぞ

孤独死や自殺が発覚したら迷わずまごのてへご相談ください。株式会社まごのてはゴミ屋敷のお片付けや特殊清掃を専門に15年間の長きに渡り行ってきた会社です。今までに様々な特殊清掃事例を経験していますのでどんな状況であっても必ず完璧ににおいと汚れを取り確実な原状回復をいたします。

昨今孤独死などがあっても特殊清掃をせずにリフォームしたり、大家さん自ら特殊清掃をやろうとしたりという動きが多くなっていますが、上手くいった例を私は知りません。

確かにお金はかかるのですが多少の特殊清掃費を削減させたとしても後にトラブルが起きた際にはもっと大きなお金や時間を失うかもしれませんのでどうか特殊清掃を省くことはおやめいただきたいと思います。
 
特殊清掃の相談窓口まごのて
 
記事執筆:

株式会社まごのて 代表取締役
佐々木久史

主に特殊清掃技術の開発や指導に注力しています。まごのては宅地建物取引業の免許を受けており私は専任の宅建士です、また賃管士資格を保有しており不動産取引関係には精通しています。 

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