事故物件買取コラム

事故物件対策
2024.02.06

隠れ事故物件多発!知らずに入居してしまった時どうする?

隠れ事故物件多発!知らずに入居してしまった時どうする?
別の記事で新居の物件選びで事故物件を見分ける方法という記事がありますが、事故物件を避ける、または見分けるという部分をもう少し深堀し別の記事にいたします。

事故物件とは言うまでもなく人が亡くなった部屋のことを指す造語です、特殊清掃業者の立場で見た場合正直あまり使いたくない言葉です、ご遺族や関係者の感情を思うと本来は避けたい言葉ですが、不動産取引の関係上わかりやすいのでここでは使います。

人の死があった部屋(孤独死、自殺、他殺)は基本的に『告知』され周知されるはずのものですが、告知を行わず賃貸市場に出回ってる物件がかなりあります。

この記事では告知されずに出回っている『隠れ事故物件』に焦点を当てたものですので、これから物件探しをする方は是非参考にしてください。
 
不動産取引の告知とは
不動産取引の『告知』とは
賃貸の部屋を借りる、家やマンションを買う時にはみなさん情報を集めます。値段や駅からの距離やペット可などの情報を集めて買うとか借りるの判断をするわけです。

不動産取引に於いての「告知」とは借りるや買うにあたっての判断するための大切な情報なのです、その情報がもし故意に隠されていたとしたらどうでしょうか?本来告知されるべきことを知らないまま契約してしまったら損をしたり、心理的に嫌な思いをするのは一方的にお客様です。

特に人の死にまつわることは知っておきたいことですし、知った上で買うとか借りるの判断をしたのであれば全然問題ありますんが、昨今故意に告知をしないとか、国交省のガイドラインを歪曲して大家さん側の都合の良い解釈をして告知をしない例が増えています。

この告知されていない状況の物件を『隠れ事故物件』と呼んでいます、もちろん一般的な呼び方ではなく私たちが経験した中で作った言葉です。この記事では告知が隠蔽された隠れ事故物件を借りてしまった時の対処法についてお知らせします。

大前提として人の死があった事実を大家さん側はできれば隠したいと考えています、特にいわゆる孤独死(病死)で死後経過日数もそう長くなく、見た目にも何ら影響がない時は特にそう考えてしまいがちです。

確かに国交省のガイドラインでは死後2~3日程度の病死は敢えて告知をしなくても良いと書いてありますが、それとて状況によりけりです。やはり事実は事実と告知した上でお客様(借りる人)の判断にゆだねるのが正しい姿だと考えます。

事故物件の見分け方についてはこちらの記事に詳しく書いてありますので是非お読みください。

隠蔽や詭弁を使う人を信用できますか?

不動産を借りるとか買うと言う商行為は信用取引です。特に賃貸は限られた時間と最低限の情報の中で借りるとか借りないの判断をしなければいけません。

そのような環境なのに大事な情報そのものが隠蔽されていたり、事実を歪曲されていたらどうでしょうか?お客様は正しい判断ができませんし、知ってれば借りないということも往々にしてあるでしょう。

実際問題告知されていない孤独死が起きた部屋はたくさんあります、日々目の当たりにしている特殊清掃業者の私たちが言うのだから間違いありません。孤独死などの告知についてのガイドラインを歪曲したり、完全無視という大家さんも少なくありません。

そのような考え方の大家さんの物件に住む入居者が一番かわいそうです。どうか内覧時に少しでも違和感を感じる部屋なら絶対にやめておくほうが無難です。そもそもそのような考えの大家さんの物件に住んだら先々ロクなことはありません。
 
瑕疵のある部屋
契約後に心理的瑕疵が発覚した場合
では、もし告知が無く契約後や入居後に孤独死などがあったことを知るような出来事があった場合、苦情や何らかの対応を求めた場合どうなるのかについてご説明いたします。

契約解除や返金はほぼ不可能だと思ってください。貸す側の言い分はおそらく以下のようなものが想定されます。

・病死だったので告知は不要
・孤独死はあったが3年が経過している
・特殊清掃をするようなレベルではなかった


国交省のガイドラインでは確かに病死で死後日数があまり経過せず発見された場合は告知不要としてはいますが、やはり程度の問題で明らかに汚れやにおいがあれば当然何らかの処理がなされていて当然です。発覚するということは不十分だからなのです、賃貸の部屋は部屋そのものが商品なのですから、事実を隠蔽してるだけで商品としての体裁をなしていないのです。

ただ告知義務違反を立証するのはひじょうに難しく、このようなケースだと元の状態や後処理の過程をすべて調べた上で不備であることを知らせないといけないので100%ではないにしろ高い確率で泣き寝入りとなります。

ですから最初の物件探しと物件選びが重要で、もし隠れ事故物件の懸念が少しでもあるようならば実際そのような事実がなかったとしても選定から外してしまうほうが気持ちの良い取引ができると思います。
 

告知されていない隠れ事故物件の実例

隠れ事故物件の実例をお伝えいたしますが、このようなことを暴露するのは本当は心苦しいことです。2例だけここでご紹介しますがいずれも私たちに相談がありながらもそのまま隠してしまった事例です。

もしかしたら他社で特殊清掃をしたんじゃないの?と思うかもしれませんが相談ルートがリフォーム会社や清掃会社であることを考えても間違いなく特殊清掃はされていません。
 
特殊清掃をしていない隠れ事故物件
1.リフォーム会社から相談の孤独死があった部屋
取引のあるリフォーム会社より孤独死があった部屋のリフォーム依頼をされているけどこのまま進めてしまっていいか?という相談でした。

初めから私たちが関わってるわけではなく当初の状況がわからないのでなんとも判断がつきませんが発注元の指示は黒くなった部分に防水プライマーを塗ってフロアタイルを上貼りしてほしいという指示だそうです。

しかし強烈とは言い難いものの臭いもあるし本当にこのままでいいのか不安になって相談してきたのです、もちろんこのままで良いはずもなく特殊清掃と消臭等の提案書と見積書を送ったものの発注がされることはありませんでした。

後日あの物件はどうしましたかと聞きましたが、発注元の言う通りの施工をして納品したということでした。私たちに相談した担当者も発注元には強く言えないし、何か不具合があったとしても知ったことではないというスタンスでした。
 
清掃会社から異臭がすると言われた部屋
2.ハウスクリーニング業者から異臭の相談
今まで一度も取引のないハウスクリーニング業者から清掃に入った部屋でどうも異臭を感じるのですがどうすればいいかと相談がありました。

まず孤独死などの事故があった部屋なのかどうかを発注元に確認するように伝えた上で、比較的近いエリアだったこともあり興味半分で現地を見ることにしました。

結論から言えば間違いなく孤独死なり人の死があった部屋で間違いいありません、部屋はすでにリフォームされて一見キレイに見えますが、所々に長らくご遺体があったと思われる痕跡がありました。

ハウスクリーニング業者によれれば発注元(不動産会社)は何もないの一点張りでおそらく封水切れで下水の臭いが上がってるだけだから気にするな、と言われたということで私たちが何らかの提案をしたところでこれ以上進展するはずもなく、特殊清掃の提案も見積もりもしませんでしたが、ここまであからさまに隠蔽されると腹立たしさすら覚えます。

このハウスクリーニング業者は個人で仕事を請けてる人で独立3年目ということでしたが、時折このような怪しい部屋はあるそうで、今回の場合はあまりにも異臭濃度が強いので相談したということでした。
 

【他職の皆様へ】異変を感じたら必ず発注元に連絡を!

もし何かの施工をする際にその部屋に異変を察知した場合は必ず発注元に報告と私たちにもご相談ください。リフォームでもハウスクリーニングでも個人営業の方が多く、請け先との力関係もあり言いにくいことかもしれません。

私は長らく特殊清掃の現場を見て来て思うのですが、このように隠蔽されてる事故物件はこの数年増加傾向で特にコロナ渦の2020年後半から激増というレベルで、このままでは東京中が隠れ事故物件だらけになってしまうと真剣に危惧しています。

リフォーム業者さんや清掃会社が異変を感じ相談されたとしても先に進むほうが稀ですが、それでも進言を聞き入れ特殊清掃からやり直す例も20%程度はあります。

その部屋に住む人のことを考えるのであればどうか勇気を出していったん手を止めてほしいと願ってやみません。

隠れ事故物件はどんな現象が現れるか公開します

孤独死などがあり特殊清掃を行っていない隠れ事故物件に住むといったいどんな現象が起こるのかお伝えします。

上記の(2)の事例のように明らかに臭いが残ってる場合だと内覧時に異変を察して入居そのものが決まらないので結果的に被害者は出ないかもしれませんが(1)のケースだと内覧時や入居してすぐは気付かず過ごしてしまうかもしれませんが、やがて日数が経過すると何らかの現象が出ると考えられ、代表的なものは下記の通りです。

1.どこからともなくハエが寄ってくる
2.梅雨時期から夏場にかけて異臭を感じる
3.エアコンを使うと異臭やハエの死骸が出た


いずれも臭いにまつわるもので、そこにハエの発生が絡んできます。臭い発生源となる汚れは冬場は活性化しません、簡単に言えば冷蔵庫の魚のようなもので気温と湿度が上がりだす初夏からにおい成分が暴れだします。

特殊清掃のコラムでも書いてますが、冬場に発覚した孤独死は特殊清掃を軽視される傾向にあります、ご遺体の腐敗進行も緩やかですので体感的なにおいを感じにくいのです。

だから特殊清掃しなくても大丈夫だろうと適当な自己判断をしてしまって、気温が上がる頃に臭いが復活するという仕組みです。ハエはもっと早い段階で臭いを察知します、ハエの嗅覚はひじょうに鋭く50Km離れても腐臭を察知すると言われています、人間が察知できなくてもハエには臭いはわかります。

ゴミを溜めたり不衛生な状態が部屋にないにもかかわらずハエが頻繁に寄ってくる時は疑ったほうが良いと思います。

 
エアコン内部にハエの跡
必ず人の死があれば痕跡が残ります
特殊清掃を入れなかったり、入れたとしても下手糞な特殊清掃業者が施工した場合は必ず痕跡が残ります。どんなにキレイにリフォームで表面だけ取り繕っても私たちが見れば一発でわかるのです。

代表的なものとしてエアコンです、古い場合は取り替えてるでしょうがそこそこ新しいものだと取り替えずそのまま使用することが多いです。そして隠蔽するような大家さんの場合はそこまで気が回りませんので掃除することもなくそのままです。

窓やサッシにもその痕跡は残ることが多く、極めて小さな茶色の点々汚れやサッシレールにウジ殻が残ってたり、隠れていた物が開け閉めしてるうちに出てくることもあります。

細かな部分が杜撰に残されてるのが特徴的なことで、よくこれでお金(家賃)を取る気になるなというのが正直な感想です。
 

不動産会社向け孤独死が起きた部屋の対応マニュアル配布中

不動産会社や建物管理会社の担当者さん向けの孤独死が起きた部屋の対応マニュアルを無料で配布しています。孤独死発生から特殊清掃そしてリフォーム完了までの一連の流れと手順をまとめたもので、PDFで30ページに及ぶもので実体験から得た完全原状回復マニュアルです。

不動産業者さん限定ですので一般の方や特殊清掃業者さんには配布できません、配布にあたっては免許番号と会社名と担当者名そして電話番号を必ず明記してください(携帯不可)こちらから電話確認後に送付いたします。

孤独死対応マニュアルのお申込み

孤独死が起きてもキチンと処理をすれば怖くありません

大家さんにも本当にお願いがあります。孤独死や自殺が貸してる部屋で起きたら様々な意味で大変だと思います、心中お察しします。

ただしその大変な気持ちと物件をどう扱うかはまったく別物で、特殊清掃をやるやらない、どこまでやるかなどの最終判断はすべて物件オーナー次第です。事実を隠蔽して立ち回るのかそれとも入居者に快適にすごしてもらうための住まいを提供するのかはオーナーさんの胸三寸だと思います。

利回りやキャッシュフローも物件運営では大切なことですが、人に生活の場を提供する事業者であるということは忘れないでいただきたいのです。

もし居住者の方に不幸があったとしても慌てず、小細工を考えることなく私たちにお任せいただけませんか?完全な特殊清掃を行い部屋が部屋としての役目を果たせるよう最善を尽くし再生いたします。

そして告知をしても家賃を下げないようなご提案をいたしますので、どうか安心してご相談ください。

孤独死を無かったことにする完璧な特殊清掃のご案内
記事執筆:

株式会社まごのて 代表取締役
佐々木久史

主に特殊清掃技術の開発や指導に注力しています。まごのては宅地建物取引業の免許を受けており私は専任の宅建士です、また賃管士資格を保有しており不動産取引関係には精通しています。 

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