特殊清掃コラム

遺品整理
2024.03.07

まごのてが遺品整理で買取事業をやらない理由

遺品整理や部屋のお片付け、ゴミ屋敷の清掃のご相談でよく訊ねられるのが遺品やその他の家具や家電の買取をやってもらえないかというものです。ゴミとして処分するのは忍びないから誰か使ってくれるとありがたい、遺品整理や部屋のお片付け費用を下げたいから買取で総額を下げたい、など様々なニーズがあるようです。

遺品整理業者のホームページを見ても遺品の「買取」を積極的に進めてる会社も多いですし、お片付けや清掃業ではなくそもそもリサイクルショップなどが部屋の片付けも行ってるということも最近は増加したと感じます。今回の記事は遺品整理業者の遺品の買取についてとまごのての遺品整理に対するスタンスをお伝えしていきます。

まごのてでは遺品や家電や書籍など買取を行わない理由

まごのてではいわゆるご遺品の「買取」事業は行っていません。一時期社内でも議論されたことがあり当時は遺品や家具その他を買取る方向で検討したことがありましたが現実的に買取不可能と判断し買取は一切行わないこととしたのです。理由は下記の通りです。

1.物品の目利きができない(値付け)
2.本来の遺品整理や部屋のお片付けの質が低下する。


この2点に尽きます。どうしてこのような判断になったのか、他の遺品整理会社はこの問題をどうクリアしているのかを検証してみたいと思います。
 

ご遺品の買取で費用を下げる!中古品買取の目利きとは?

中古品を扱うにはまずその買取った(仕入れ)物がいくらで売れるのか、そもそも需要があるのかが要となります。車や家などはそのあたりの情報が豊富ですし、流通量も多く素人でもある程度の目星を付けることが可能な領域です。しかし一般の個人宅には様々な物品があります、食器や本、家具や家電などあらゆるカテゴリの物があります。

ザっと考え付くだけでも5~6種のカテゴリに分かれます、おそらくそれぞれにニーズも違うでしょうし金額も違うはずです。その道のプロはカテゴリごとに情報を持ち目利き修行をしてきたのではと考えるのです。その難しい領域に私たち素人が果たして参入できるのかがひとつの壁でした。この中古品の目利きについて思うところをお伝えします。

ヤフオクとメルカリでニーズと価格は判明する

まごのてで買取事業を進めるにあたり遺品の値付けが難しいから手を出すべきではないと考える派と今の時代はYahoo!オークションやメルカリで販売(落札)価格はわかるのだから、その価格を参考に値付けをすればいいという派に分かれました。

確かに市場ニーズや価格はある程度判明するようで、その考えは一理あると思います。流通量の多い一般家庭にあるような物であればそれも可能でしょう、では骨董や超高級品はどう扱うのかということになりました。遺品整理の現場ではそれこそ何が出るかわかりません、かつて茨城県の大きなお宅の遺品整理では江戸時代に使っていたような柳行李があったり、それこそいつの時代の物かわからないような兜や人形がありました。

そんな年代物の品が価値の有無、需要の有無などわかるはずはないし、中途半端なことをするなら手を出さない方が良いという判断になったのです。ここまでがまごのてが遺品の買取を行わないと決めた理由(1)です。
 

買取事業をやると遺品整理の作業質はどうなるか

私が遺品の買取を積極的に推奨しなかった理由は目利きよりむしろこの作業の質です。私の考え方は遺品整理や部屋のお片付けと遺品の買取は似て非なる物でまったく別物です。私たちは清掃業者です、遺品整理であれば故人とご遺族との架け橋となってご遺品を整理する、引越等で部屋のお片付けや清掃が必要という場合でもキレイに部屋を明け渡すということが目標となります。

もし遺品の買取をやってしまうと、本来の目的である「整理する」「部屋をキレイにする」という目的から大きくかけ離れてしまうことは容易に想像がつくのです。

遭遇した泥棒の下調べのような遺品整理業者

かなり以前にお客様の手違いで遺品整理の見積時間がダブルブッキングしたことがあります、そのようなことが起きた場合はどちらかが時間をズラして行うのですが、このお宅は一軒家で大きかったこともあり一階と二階に分かれて同時進行で行ったのでした。

私は一階から始めていきましたが二階のほうが部屋数が多いので待っていたのですが、電話で話してる声が聞こえてきました「ゴミばっかりです!」「気になるのは・・・」そして一階と二階を交代して二階に上がってびっくりしました。押入やタンスの引出が微妙に開いてるのです。まるで泥棒が部屋を物色したような状況になっています。

その状況と先ほどの電話の話し声から考えて金目の物を物色していたのではと思います、ただこのお客様は買取を希望していたわけではなく普通に遺品整理をしたいというご要望だったのです。買取ではないのに金目の物を物色していたということは自分たちが売り飛ばすための目的であったということです。
 

買取や転売をやりだすと「目線」が変わる

買取をする、回収した物を売却する。どちらも悪いことではないですし法律に抵触もしませんし何らの規制があるわけでもありません。ですが上記でも書いたようにまごのては「遺品整理」や「お片付け清掃」を行う会社です。もし買取をやれば間違いなく作業質が落ちます、どうしても「目線」が変わってきてしまいます。

買取るということは売るときのことを考えるわけですからその行為は商品の「仕入れ」となります、お片付けや掃除をしながら仕入れができると思いますか?いくらで売れるか考えながら遺品整理ができると思いますか?それは遺品整理や片付け作業ではありません、ただのハイエナです。

買取で遺品整理料金を下げる!というフレーズで集客している遺品整理業者を批判するつもりはありませんが、似て非なる物を同時進行で行うことは至難の業で、必ずどちらかがおろそかになるのは必定であると感じるのです。
 

遺品を買取希望のお客様が取るべき手段

使える物や価値のある物は誰か使い人がいれば譲りたい、遺品整理費用を安くしたいから買取できるならしてほしいというニーズは当然あります。本が大量にあるお宅であればブックオフに持っていけば買取額がゼロでも処分費がかかるよりはかなり軽減できます。

そういう意味では買取ができる遺品整理業者や部屋の片付け業者は重宝する存在だと思いますが本当に遺品に対する「目利き」ができる業者なのかどうかは慎重になったほうがいいのではと思います。買取を希望されるお客様の業者選びについても触れてみたいと思います。

その遺品整理業者の本業はなんですか?

遺品整理をやりますという会社はたくさんありますが、すべてが遺品整理や部屋のお片付けや掃除を本業としているとは限りません、特殊清掃や遺品整理と掲げながらも不用品回収業者かもしれませんし便利屋かもしれません。もしかしたらリサイクルショップが傍らでそれこそ仕入れ目的で遺品整理をしているかもしれません。

お客様の目的が室内にある出来るだけ多くの物をお金に変えたいと考えるのであれば、リサイクルショップが運営してる遺品整理会社のほうが向いてるかもしれません。先ほどから私の持論を申上げていますが、遺品整理と遺品買取は似て非なるものですからお片付けと買取どちらに重きを置くかで業者選びは変わると思うのです。

正直申しまして遺品整理業者で買取もやります!と大風呂敷を広げてる会社はいかがなものかと思うのです、本当に買取ってくれるのか?買取ってくれたとしても適正価格なのか?という疑問は払しょくできないと私は考えます。

理想は遺品整理と遺品の売却は別で考える

一番理想の遺品整理の方法は本来の遺品整理作業をキチンとした遺品整理業者にお任せして、その中で売却を考えてる物品を仕訳けてもらう、その後に各カテゴリに応じた買取業者を呼ぶ、というのが正解だと考えます。

冒頭でも申し上げましたように、遺品整理の仕事は忠実にやればやるほど他のことなんて出来なくなって当たり前です、本の目利きや家電の買取額を覚える暇があったら清掃技術を上げろ!というのが私のスタンスです。買取が本業であるならばそちら方面の技術をとことん磨けばいいのであって両立はあり得ないと思います。

以前管財事件の家財撤去で最終的に換価を目的としたお片付けを行ったことがありました、いわゆる骨董と呼ばれる物や絵画などもあったのですが、弁護士さんが選定した買取業者数社が来ましたが驚くほど値が付かなかったものです、お片付け時に細分化して仕訳ける必要があったためその分作業費は上がりましたので労多くして実少なし、でした。

お客様側でもよく考えていただきたいのです、遺品整理やお片付けの費用はけっして安くありませんので買取を併用して総費用を下げたいという気持ちはわかります。ですがあまり行き過ぎると本来の遺品整理ではなくなってしまうこともあります、現場でも良く言うのですが「使える」と「売れる」はまったく違うということ、たとえ20年前に高価だったダイニングセットだとしてもシールベタベタ、小傷だらけ、本当に売れると思いますか?それよりも今まで使わせてくれてありがとうと感謝しながら処分するほうが気持ちがスッキリすることもあると思うのです。

遺品整理と遺品の買取まとめ

この記事は私、佐々木久史の主観が大きく反映された記事ですがすべて実体験に基づいています。遺品をお金に換えたいというニーズに対して、買取りますという遺品整理業者があるのはいわば当然のことなのですが、私が言いたいのは似て非なる業務を同時進行で本当にできるのかと思うのです。

大きな会社で事業部なり別会社があるならまだしも、兼業でどちらも完璧にこなすのはかなり難しいのではと考えます、実際にあった例ですが江東区の団地で遺品整理見積もりをした際に、古い服や古いタンスや家電を一部買取るとした遺品整理業者と、必要な物や形見になりそうな物を探し他の物は廃棄とした遺品整理作業の見積額がなんとまごのてのほうが20万円以上安かったということもあります。レアなケースではなくこの数年だけ見ても数十件同じようなことがあることから遺品整理現場での「買取」はただのパフォーマンスではと思わずにいられません。

本当に遺品の買取を望むなら、カテゴリごとに買取専門業者を呼ぶこと。これに尽きると思います。

まごのてで唯一買取ができる物とは?

まごのては遺品の買取や家具や家電、本や衣類の買取は一切やりません。理由は書いてる通り買取の目利きのスキルを上げる暇があれば清掃技術を上げろ!ご遺族の力になれる人間力を磨け!と考えるからに他なりません。「金目の物はないか」との考えで室内に入った瞬間それは遺品整理人ではなくタダの乞食となってしまいます。

そのようなポリシーで遺品整理や部屋の片付け作業に向き合っていますが、唯一買取るものがあります。そのまごのてが唯一買取れるものについてお伝えいたします。

【心理的瑕疵】まごのての不動産買取事業部

まごのては遺品の買取はしませんが家は買取ます!主に心理的瑕疵のあった物件を専門として買取っていますが、相続したけど住む予定がない、売却したいけど室内を片付けたり清掃する費用が捻出できないという場合に室内の家財はそのまま、現状有姿で家ごと買取ることはやっています。

株式会社まごのては東京都知事が免許を付与した宅地建物取引業の免許を受けています、遺品整理士や特殊清掃士といったような得体のしれないまやかしの免許ではなく、本物の免許を持っている会社です。

まごのての現状有姿買取の真骨頂は、売買契約締結後でもご一緒に遺品整理ができ、必要な物や貴重品や形見が手元に戻るのです!これは遺品整理や部屋の片付けを長年やってきたからこそできる技です。実はこのスキームはひじょうに珍しいことで現状有姿で不動産売買をすれば室内の物も同時に所有権が移転します。動産の所有権が移転するということはもし室内から金塊が1Kg出てこようが、一千万円の価値があるダイヤの指輪が出てこようとも原則手元に戻ることはありません。

ですが、まごのての不動産買取は売買契約締結後であっても大切なご遺品が戻るのです。心理的瑕疵物件(いわゆる事故物件)を扱う不動産会社は増えましたが、まごのてのこのようなスキームで行う不動産会社はかなり珍しいと思います。最後にどうして買取後も遺品が戻るような運営方針にしたのかをお知らせしたいと思います。

買取った古家から数千万円の札束を発見!

すでに時効になっていますので書きますが、かなり以前に不動産業者からの依頼である古家の残置物を撤去したことがあります。買取ったというより借金のカタに取った家が競売を経ずに市場に流れた物件だったと思います。

かなり大きな家で造りはバブル期を彷彿とさせる造りでしたが、生活が荒れていたのか室内はゴミ屋敷の様相でした。ゴミをどんどん出しお片付けを進めていたところ押入の天袋にミカン箱ぐらいの箱が2個あったのです、ガラクタの類だろうと手に取ったところズシリと重い、本か何かかと下におろして開けてみるとなんと古い聖徳太子の1万円札!

数えてはいませんがおそらく数千万円の札束です。依頼主である不動産業者に渡すのもなんだか違うような気がして弁護士経由で謄本から元の物件の持ち主を探しお金を返しました。事業に失敗し借金で追い回されて家の中を整理する間もなく逃げたのでまさかこんなお金があるとは知らなかったということでした。この方のお爺さんが溜めてたお金のようで、これがあればまた再起ができますと去っていきました。

このような経験から売買契約締結後でも遺品を一緒に整理したり貴重品や金品はお返しするという方針にしたのです。
 

ご遺族と個人の架け橋となる遺品整理を行います

部屋のお片付けの中でも一番難易度が高いのが遺品整理だと思っています。遺品整理は不用品回収やゴミ処理ではありません、故人の軌跡をたどるのが遺品整理です。言葉でキレイなことを並べたてるのはとても簡単なことですがひじょうに難しいのが遺品整理。そのことを充分理解しているのがまごのてです。

ゴミ処理と一緒にされたくない!遺品を丁寧に扱ってほしいとお考えのお客様は一度まごのてにご相談ください。

遺品整理のお問合せは4つご用意しています、お電話以外にも専用のLINEchatや遺品整理専用お問合せフォーム、予約が必要ですがzoomなどオンラインでの遺品整理見積もりも可能です。オンライン見積もりは面倒な登録なしに24時間無料での利用が可能です。また来社いただいてのご相談も大歓迎です。

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その他ZOOMを利用した遺品整理お見積もり(予約制)や来社いただいてのご相談も大歓迎です。
記事執筆:

株式会社まごのて 代表取締役
佐々木久史

主に特殊清掃技術の開発や指導に注力しています。まごのては宅地建物取引業の免許を受けており私は専任の宅建士です、また賃管士資格を保有しており不動産取引関係には精通しています。 

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