ゴミ屋敷片付けコラム

作業の進め方
2024.07.01

ゴミ屋敷のお片付け作業時間と労働基準法の関係

ゴミ屋敷のお片付け作業時間と労働基準法の関係
今回の記事は私たちお片付け業者がお客様宅で仕事をする時間帯と昨今話題になってる労働基準法との関係についてのものです。清掃やお片付けの仕事は土木建築や運送業と同じで労働集約産業と呼ばれ人が動いて始めて成り立つものです。

ゴミ屋敷のお片付けもこの仕事に従事する者がいないと手掛けることしかできないのです、まごのても同じで多くのお客様に対応できるように人員を採用し教育しながら一人前の清掃作業者に育てていくのです。労働集約産業はブラック化しやすいということを聞いた方も多いと思いますがそれは相手(お客様)がある商売だからです、運送でも荷主と呼ぶお客が時間通りに荷物を出荷しなければたちまち長時間勤務となりますし、私たちの仕事の場合でも現場で何か不測の事態が起きればたちまち作業遅延となります。

たまにあることであれば対処のしようもありますが常態化するとブラック化するのです。運送業がそのいい例で宅配でもお客様が受け取らないとたちまち遅延となり、常態化しているからブラックになっているのです。
 
ゴミ屋敷の片付け時間
月間45時間以上の残業が認められなくなった
令和6年に労働基準法が改正され月間の残業時間を45時間以内とする改正がされました。本当はもっと細かなルールがあるのですが単純に月45時間を超えることができないとだけ覚えておいてください。

では実際に私たちのゴミ屋敷片付け現場で当てはめてみます。まごのては基準勤務日数が月22日ですから45時間ということは1日2時間残業可能となり1日10時間労働と考えることができます。たとえば練馬区で9時開始のお片付け現場だとすれば遅くとも8時には出発します。作業を終え帰庫して片付けや翌日の準備をしなければいけませんので9時間後には戻っていなければいけません。つまり17時に帰社していなければならず、そのためには16時前には現場を終えていなければならないとなるのです。

まずこのように大まかな時間割を作り人員配置をするのです、16時に終わるためには何名必要かで作業者の人数が決まり、もし16時に終われないならどれだけの作業が残り別日に何名必要かを割出さないといけないのです。東京23区内であれば現地で8時間近く作業時間が取れますがもし片道2時間近くかかるような現場だと現地での作業時間が5時間程度となってしまい結果的にお客様の負担が増えてしまうのは申し訳ないという気持ちでいっぱいになってしまいますが時代の流れで致し方ないのかもしれません。
 

改正労基法でお客様の負担が増大しています

上記に書いたように1日の稼働時間が限られるということはお客様の負担が増加することになります。作業者が1名増えれば単純に3万円前後の増加ですし、別日設定となった場合も作業費や移動費負担が増えますし、また時間的な制約も受けることになってしまいます。

ワンルーム系のゴミ屋敷であればそこまで時間的な制約を受けることも少ないのですが、規模によっては作業の一部が別日設定となることはあり得ます。原則的にワンルームから2DK程度のゴミ屋敷は1日で片付けることが目標ですが従来までであれば「終わるまでやる」スタンスでしたが時代とともに難しくなってきたのは我々事業者としても少し不満なところです。

まごのてでは今現在(2024年6月)まだそこまで厳格にしていませんが、本当に厳格に行えばお片付け費用は今の1.5倍程度、場合によっては2倍近くまで跳ね上がる可能性はあります。いくら品質重視とはいえそれだけ費用が増大した場合お客様の支持が得れるのかという懸念はあります。
 
改正労基法とお片付け時間
労働基準法が適用されない業者とは
私たちは会社組織で従業員がいますので労働基準法という枠があります。ところが労働基準法の枠にとらわれない業者というのももちろんあり、それはいわゆる個人事業主とそこに従事する家族には労基法が適用されません。

つまりご主人と奥さんで事業をしてるゴミ屋敷片付け業者なら深夜だろうが1日15時間働こうが全然関係ありません。したがってもしお片付けや清掃費用を安く抑えたいのであれば個人事業でやっている業者を選ぶという方法はありです。ただし個人事業といえどもし従業員を雇用していれば労基法が適用されますのであくまでも経営してる親方だけが適用外です。
 

年中無休24時間夜間でも早朝でもゴミを回収する業者

部屋の片付け業者ですら労働基準法によりどんどん時間の規制が重くのしかかる中でも相変わらず年中無休24時間対応や夜間早朝でもゴミを回収したり部屋を片付けると大風呂敷を広げている業者もまだまだ多くあります。

もちろん誇張した表現であって実際はやらないでしょうし、深夜に電話したとしても委託のコールセンターが対応し本格的な対応は朝からだと思いますが、この手の表現も労基法から見ればアウトとなりかねないのです。

お客様は様々なニーズがあり、中には仕事の都合上夜間や早朝にやってもらいたい人もいるでしょうし、日中だとしても午後からやってほしい人も多いでしょう。そんな細かなニーズを捕捉するためとは言え現実的にやれないことをやるとアピールするのはいかがなものかと感じます。
 
今後は割増適用となる長時間のお片付け
本音を言えばもっとフレキシブルにやりたい
労基法改正による残業規制とからめて長時間労働や変則時間帯の作業は出来ませんということをお伝えしたのですが、本音を言えばあと1時間か2時間頑張れば終わるという場面ならそのまま継続して仕上げたいですし、現場での完了時間が17時を過ぎるような開始時間であったとしてもやれるならやりたいと言うのが本音です。

事実まごのての創業当時は夫婦2人の個人事業ですから労基法の枠に縛られませんのでそのあたりは自由に対応することができました。今となっては懐かしく思いますし、ドライに対応しなければいけない現代の制度はどうなのかと思うこともあります。
 

残業代請求3万円で訴訟沙汰になった経緯

ある遺品整理の現場でのことでした。かなり大きなお宅だったため2日間の作業日程を組みお片付け料金も廃棄物量で変動させる方式で130万円~150万円のまあまあ大きな案件でのことでした。作業自体は滞りなく進み貴重品のピックアップも上手くでき残すところ2時間ほどですべて完了するとなった時に事件は起きました。

相続人5名(いずれも高齢者)が形見分けの物を誰が持って帰るかで揉めだしたのです。しかも遺品の一部は売ってお金になるはずだから今から買取屋を呼ぼうなどと言っています。作業者はただの内輪揉めのひとつだと思い残り作業を進めこれで全完了というところで事件は起きました。

相続人のひとりがもしかしたらこの中の物の一部は廃棄に回すかもしれないので待っていてほしいと言い出したのです。すでに時間は16時30分を過ぎており、このまま引っ張られたら3時間以上になるのは間違いのないところでした。

こちらからご遺族に提示した条件は2通りで。ひとつは残ったものだけ後日回収に来る、もうひとつは今から待機させてもいいけど残業代として3万円別途請求でした。どちらを選んでも金額的には3万円追加というものでしたが遠方から来てる関係上今日中に終わらせたいということで待機となったのです。

やがて買取屋も参戦したものの買取れる物は一切ないとなってからが大変で高齢ご遺族5名が今にもつかみ合いの喧嘩になるほど紛糾していました。なんだかんだで最終の積込が終わったのが20時で帰社してきたのが21時という異常な時間帯になってしまいました。
 
まごのてはすぐに訴訟
請求書発行後に「払わない!」の一点張り
最後に遅延はあったものの無事に作業は終わり、廃棄物の集計も終えて請求書を発行したのですがそこで紛争が勃発してしまいました。最後の最後に作業者を待たせるなら3万円が気にいらないから払わないと言い出したのです。聞いてないだの料金確約書が出てるのだから最初に聞いてる費用以上は払わないという論法です。

私としては3万円がほしいわけではなく無駄にスタッフを拘束した分を払ってほしいというだけのことで身内間の争いや変な思惑がなければすんなり完了できたはずで、現場で三時間遅延ということはトータルで4時間以上×4名ですから16時間も人を自分たちの利益のために拘束して3万円ですからむしろ安いはずで感謝されてもおかしくないレベルにもかかわらず宣戦布告をしてきたのです。

まごのての場合は金銭的トラブル(支払遅延や未払)が起きれば基本的にはすぐに弁護士を介入させるか訴訟をすることになっていて、このケースの場合は弁護士介入で良かったのですが沽券にかかわることですので相続人の高齢者全員を相手とした訴訟にしたのです。

訴状到達後すぐに相続人の代表者の息子さんがわざわざ来社され請求分の三万円とは別にかなり過大な金銭をお持ちになりました。請求の三万円と諸経費だけいただきましたが自分たちの利益のためなら人の財布に手を突っ込んでもかまわないという考えは絶対に看過できないと感じたので強行にしたのですが一定年代以上のお客様の中には時間的な概念が大きくかけ離れている世代があるといういい例だったと思います。
 

お客様にもご理解とご協力をお願いいたします

株式会社まごのては各種法令をしっかり守りながら事業の運営を行うことを大々的に掲げており、ゴミの処分方法なども業界随一法に則った運営をしています。労働基準法に関してもさらに厳格化される中で今以上にシビアに運用しなければいけない時代に突入しました。

しかし廃棄物処理に関することや会社運営上の法令順守はこちら側の裁量で行っていくものですが労働基準法に関しては事業者側の努力だけではどうにもならない側面があり、やはりお客様側の理解が得られないことには始まらないのです。例えばまごのては規定時間内に完了させるために作業者を1名多く投入するため他社より数万円高いとなったときお客様はどちらを選ぶのでしょうか。

中には労基法違反かどうかは知ったことではないと明らかに法令違反をしている業者を選ぶ方もいるのではと思うのです。個々のモラルの問題ではありますが事業として考えた場合は大きな課題になることは否めません。

ゴミ屋敷を綺麗にしたいならやはりまごのて

2024年2月頃より残業規制の関係で作業時間が短くなり、時には大幅な値上げになりますとエックス(Twitter)やブログなどで告知してきました。もしかしたら多くのお客様に敬遠されるかも知れないと戦々恐々でしたが今のところ杞憂に終わりました。

中にはこんなに作業時間が短くて高額ならたまったものではないと他社を探したものの結果的にまごのてにご依頼いただく方が70%強、法人でも個人でもその割合は変わらずそれだけ関心が高いことの現れだと思います。

株式会社まごのては営利を目的とした事業で社員の生活も抱えている限り法律順守や利益確保は両輪で進めなければならず、そのためにはお客様の協力とご理解が不可欠です。とはいうものの料金は高いくせに仕上がりは悪いとなればそこらの悪徳業者と変わりませんのでお片付けや清掃の技術はどこにも負けないように日々ブラッシュアップしサービス提供を行っています。

ゴミ屋敷や汚部屋から脱出したい、部屋を確実に綺麗にしたいとお考えで東京近辺のお客様であればまずまごのてにご相談ください。かならず期待に沿うことができます。

匿名可能!ゴミ屋敷の片付け相談フォーム
 
記事執筆:

株式会社まごのて 代表取締役
佐々木久史

主に特殊清掃技術の開発や指導に注力しています。まごのては宅地建物取引業の免許を受けており私は専任の宅建士です、また賃管士資格を保有しており不動産取引関係には精通しています。 

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