特殊清掃コラム

法律関係
2026.09.26

特殊清掃と告知義務|清掃の有無・作業名だけでは決まらない

宅建士の佐々木久史が孤独死の告知について解説

「特殊清掃と書くと告知が必要になるから、通常清掃という名目にしてほしい」――名前を変えても、起きた事実は変わりません。

孤独死後の特殊清掃では、「防護服を着ないでほしい」「作業報告書はいらない」「先にリフォームしてしまえばよいのでは」といった相談を受けることがあります。

しかし、特殊清掃は事故物件を認定する作業ではありません。

反対に、必要な特殊清掃をせず、別の名前で施工したからといって、過去に何が起き、室内へどのような処置が必要だったかという事実が消えるわけでもありません。

特殊清掃会社の役割は、告知する・しないを決めることではありません。発覚時期、施工場所、施工前の状態、実施した作業を記録し、後から確認できる形で残すことです。

結論|「特殊清掃」という言葉を消しても、起きた事実は消えません

見積書から「特殊清掃」という文字を外す。

・ 防護服を着ない。

・ 作業報告書を作らない。

・ 先に床や壁を新しくする。

こうした方法で、告知義務そのものをなくせるわけではありません。

告知を避けるために施工方法や記録を変える、という考え方ではありません。
まず現場に必要な特殊清掃を行う。何を施工したか記録する。その事実をもとに、賃貸再募集時に何を伝えるかを宅地建物取引業者等が判断します。

賃貸住宅で人が亡くなること自体は、まったく想定外の出来事ではありません

が人間の生活の本拠である以上、老衰や病気等による死亡は当然に予想される趣旨の判断が示されています。

 

もちろん、自殺や事件性のある死亡まで同じ扱いになるという意味ではありません。

それでも、賃貸住宅を運営する以上、入居者が室内で亡くなる可能性を「想定外」として扱い続けることはできません。

人が住む場所を貸す事業である以上、死亡が起きたときの初動、特殊清掃、原状回復、保険、再募集まで、あらかじめ考えておく必要があります。

孤独死が起きた後になって、「できるだけお金をかけたくない」「特殊清掃という言葉を使いたくない」「報告書を残したくない」と考えても、次の入居者がその部屋で生活する事実は変わりません。

必要な清掃費を惜しみ、施工範囲を削り、記録まで残さない。その結果、におい戻りや再施工、説明不足を次の入居者へ持ち越すのであれば、それは単なるコスト管理ではないと考えています。

必要な費用を惜しんで、次の入居者へ問題を残すのか。
必要な特殊清掃と記録をきちんと行い、安心して住める状態をつくるのか。

私たちは、最後は賃貸経営者としての姿勢、そして人として次の入居者にどう向き合うかの問題だと考えています。

人の死が起こり得ることを受け入れられず、必要な対応まで惜しむのであれば、私たちはその考え方のまま賃貸運営を続けるべきではないと考えています。

自然死と賃貸住宅に関する裁判例 不動産適正取引推進機構(RETIO)判例紹介 東京地裁平成19年3月9日判決について、自然死と賃貸住宅の責任に関する裁判所の判断が紹介されています。 記事を見る >

現場では「特殊清掃と書かないでほしい」という相談があります

孤独死があった賃貸住宅で、再募集への影響を心配する大家さんや管理会社がいることは理解できます。

できるだけ近隣に知られたくない。事故物件という言葉を使いたくない。次の募集へ影響を残したくない。

しかし、近隣へ配慮することと、施工事実を曖昧にすることは別です。

まごのてでは、告知を避けるために「通常清掃」と書き換えたり、必要な安全装備を外したり、施工記録を残さないという方法は取りません。
告知対策と思われがちな方法 実際に確認すること
「特殊清掃」という名前を使わない 実際に何が起き、どのような施工が必要だったか
防護服を着ない 安全管理に必要な装備と告知判断は別の問題
報告書を作らない 記録がないほど、後から施工内容を確認しにくくなる
先にリフォームする においや汚染の原因を残したまま仕上げ材で隠していないか
近隣に知られていないから問題ない 周知性だけでなく、事案の内容、場所、経過期間、質問の有無等も確認する

作業車両の停車場所や搬出時間など、近隣への配慮はできます。

一方で、何を施工したかまで残さなければ、後日「床下を確認したのか」「どこまで洗浄したのか」「どの部分を撤去したのか」が分からなくなります。

実例|再募集を急ぐ前に、リフォーム前の床と壁を確認した現場

孤独死後の賃貸物件では、空室期間を短くするため、特殊清掃が終わる前に内装工事へ進めたくなることがあります。

この現場では、リフォームを始める前に床や壁の状態を確認しました。

孤独死後の賃貸物件でリフォーム前に床と壁を確認した現場
リフォーム前に床や壁の状態を確認した実例。原因箇所を確認せず内装工事を進めると、施工後に再確認が必要になることがあります。

においの原因が床材、壁際、下地などに残っている状態で新しい仕上げ材を施工すれば、見た目はきれいになります。

しかし、原因が残っていれば、後から床や壁を再び外して確認しなければならないことがあります。

告知のためではなく、施工として順番が逆なのです。

先に原因箇所を確認し、必要な特殊清掃を行う。その後に、交換する床材やクロス、下地補修などの原状回復工事へ進めます。

特殊清掃と原状回復の境目 孤独死の原状回復はどこまで?特殊清掃・経年劣化・工事費を分ける 汚染箇所への処置と、内装復旧・設備更新として行う工事を分けて確認します。 記事を見る >

国交省ガイドラインも、作業名だけで告知を判断する仕組みではありません

国土交通省の「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」は、居住用不動産で人の死があった場合に、宅地建物取引業者がどのように調査し、どのような場合に告げるかについて一般的な基準を示しています。

自然死や日常生活上の不慮の死で、特殊清掃等が行われていない場合は、原則として告げなくてもよいとされています。

一方、自然死等でも長期間発見されず特殊清掃等が行われた場合や、自殺・他殺など自然死等以外の死では、賃貸借取引で別の基準が示されています。

つまり、確認するのは「請求書に特殊清掃と書いてあるか」ではありません。

何が起きたか。どこで起きたか。いつ発覚したか。特殊清掃等が必要になったか。

国土交通省の公式資料 宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン(概要) 自然死、特殊清掃等が行われた場合、賃貸の経過期間、質問された場合などの一般的な基準を確認できます。 記事を見る >

「3年」は、特殊清掃をした日から数える数字ではありません

賃貸では「3年」という数字だけが広がりやすく、「3年経てば何でも告知不要」と受け取られることがあります。

国土交通省ガイドラインでは、自然死等でも特殊清掃等が行われた場合、また自然死等以外の死が対象不動産等で発生した場合について、特段の事情がない限り、賃貸借取引では事案の発覚等から概ね3年間を経過した後は原則として告げなくてもよいとする基準があります。

特殊清掃等が行われた自然死等では、特殊清掃を実施した日やリフォームが終わった日を起点にする考え方ではありません。

また、事件性、周知性、社会的影響等が特に高い場合や、借主から事案の有無を質問された場合などは、別に確認が必要です。

売買・賃貸の告知義務全体はこちら 事故物件の告知義務|売買と賃貸で人の死をいつ伝える? 売買と賃貸の違い、経過期間、共用部、質問された場合など、不動産取引側の確認事項を解説しています。 記事を見る >

実例|作業報告書と作業前後写真を残す理由

この現場では、作業報告書と作業前後写真を残し、施工内容を後から確認できるようにしました。

特殊清掃の作業前の状態を記録した写真
作業前の状態記録。どの場所にどのような影響があり、何を施工する必要があったかを後から確認できるようにします。
特殊清掃の作業後の状態を記録した写真
作業後の状態記録。どこまで特殊清掃を行い、どこから原状回復工事へ進めたかを確認する材料になります。

作業報告書は、事故物件を作る書類ではありません。

特殊清掃会社の報告書は、宅地建物取引業者が使う告知書でもありません。

記録を残さない方が安全なのではありません。正確に残した方が、後から説明が変わりにくくなります。

特殊清掃会社が残すのは「告知判断」ではなく、現場で確認した事実です

残すもの 具体的に記録する内容
発覚時期 依頼時に共有された範囲で、いつ発覚した事案か
施工場所 どの住戸・部屋・床・壁・水回り等を確認したか
施工前の状態 ご遺体痕、におい、虫、床や建材への影響など
実施した作業 洗浄、消臭、家財撤去、建材撤去など実際に行った作業
施工範囲 どこまで特殊清掃を行い、どこから原状回復へ引き継いだか
写真・書類 作業前後写真、見積書、作業報告書など
特殊清掃後に不動産会社へ渡す見積書・作業報告書・作業前後写真
特殊清掃後に不動産会社・管理会社へ渡す資料の例。見積書、作業報告書、作業前後写真を残し、後から「何を施工したか」を確認できるようにします。
特殊清掃会社が勝手に「告知が必要」「告知不要」と決めるべきではありません。
同時に、「記録を残さないで」と言われたからといって、施工会社が何をしたか分からない状態にするべきでもありません。

賃貸再募集へ渡す順番は、施工→記録→不動産会社への共有です

1. 現場の状態を確認する
発覚時期、場所、室内状態、共用部への影響などを確認します。

2. 必要な特殊清掃を行う
告知のためではなく、におい・汚染・害虫など、現場に必要な施工を行います。

3. 施工内容を記録する
写真、施工範囲、撤去箇所、確認できなかった場所などを残します。

4. 貸主・管理会社・宅建業者へ渡す
特殊清掃会社が法律判断を作るのではなく、確認した事実と施工内容を渡します。

5. 再募集時に何を伝えるか判断する
国交省ガイドラインと個別事情を踏まえ、宅建業者等が判断します。

東京・千葉・神奈川・埼玉の孤独死後の特殊清掃に対応しています

株式会社まごのては東京を拠点に、孤独死後の特殊清掃、賃貸再募集前の施工、作業前後写真・作業報告書の作成を東京都・千葉県・神奈川県・埼玉県を中心に行っています。

東京都|23区・多摩地域の孤独死後の特殊清掃

東京都では、江戸川区、江東区、葛飾区、墨田区、足立区、台東区、荒川区、北区、板橋区、練馬区、豊島区、文京区、新宿区、中野区、杉並区、渋谷区、世田谷区、目黒区、品川区、大田区、港区、中央区、千代田区の23区を中心に対応しています。

八王子市、立川市、武蔵野市、三鷹市、府中市、調布市、町田市、西東京市など多摩地域もご相談ください。孤独死後の特殊清掃だけでなく、賃貸再募集前に必要な作業前後写真や施工報告の作成にも対応します。

千葉県|市川市・船橋市・松戸市・柏市・千葉市など

千葉県では、市川市、船橋市、浦安市、松戸市、柏市、流山市、鎌ケ谷市、習志野市、八千代市、千葉市、市原市などで、孤独死後の特殊清掃に対応しています。

賃貸マンション・アパートでは、管理会社やオーナーから再募集について相談を受けることもあります。施工場所、床や壁への影響、作業前後写真、実施した作業を記録し、不動産会社が後から確認できる資料を残します。

神奈川県|横浜市・川崎市・相模原市・藤沢市など

神奈川県では、横浜市、川崎市、相模原市、藤沢市、鎌倉市、横須賀市、大和市、厚木市などから、孤独死後の特殊清掃をご相談いただけます。

賃貸物件の再募集を予定している場合でも、先に内装工事へ進めるのではなく、においの原因や床・下地への影響を確認し、必要な特殊清掃を終えてから原状回復工事へ引き継ぎます。

埼玉県|さいたま市・川口市・越谷市・草加市など

埼玉県では、さいたま市、川口市、草加市、越谷市、三郷市、八潮市、春日部市、川越市、所沢市などに対応しています。

孤独死があった賃貸住宅で再募集を予定している場合は、見積書の作業名を変えるのではなく、実際にどこへ何を施工したかを記録します。管理会社・不動産会社が後から確認できる施工資料を残します。

上記以外の周辺地域についても、現場状況・作業内容・日程を確認したうえで対応可否をご案内します。

特殊清掃と賃貸の告知義務についてよくある質問

特殊清掃をすると告知義務が発生しますか?

特殊清掃を実施したという一つの事実だけで、告知義務が自動的に発生する仕組みではありません。事案の内容、発生場所、特殊清掃等が必要になった経緯、経過期間、質問の有無などを確認します。

「特殊清掃」ではなく「通常清掃」と書けば告知不要になりますか?

作業名を変えても、実際に起きた事実や必要だった施工は変わりません。請求書の商品名ではなく、何が起き、どのような対応が必要だったかを確認します。

作業報告書や写真を残さない方がよいですか?

いいえ。記録を残さないことは告知対策ではありません。むしろ後から施工範囲や事実関係を確認しにくくなります。

3年経てば必ず告知不要ですか?

一律ではありません。「概ね3年」は賃貸借取引の一部の事案について示された一般的な基準で、例外があります。借主から質問された場合や、事件性・周知性・社会的影響等が特に高い場合なども別に確認が必要です。

まごのてが告知義務の有無を決めてくれますか?

最終的な法律判断は行いません。施工前後の状態、施工日、作業範囲、写真、報告書など、宅建業者等が判断に使える施工事実を残します。

告知を消すのではなく、何を施工したか残します

特殊清掃という言葉をどうするかではなく、現場で何が起き、何を施工したかを確認します。

発覚時期、現在の室内状態、管理会社から共有されている内容など、分かる範囲でご相談ください。

電話で相談する 03-4405-5420 LINEで相談する

受付 6:30~21:00/休業日あり
LINEは内容を確認後、順次ご案内します。

記事執筆:

株式会社まごのて 代表取締役
佐々木久史

主に特殊清掃技術の開発や現場指導に注力しています。
孤独死・自殺・ゴミ屋敷・事故物件など、他社が断るような現場でも創業以来施工不能となった現場は一つもありません。

宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士の資格((東京)第277343号)を保有しており、清掃・消臭の技術判断と「どう再生すれば資産価値を回復できるか」の不動産判断を同時に行える点が他の特殊清掃業者との最大の違いです。

日本在宅医学会・高齢者虐待防止学会での登壇実績、各行政区のゴミ屋敷条例意見交換会への出席など学術・行政の両面から現場の専門家としての地位を確立しています。

東邦大学保健衛生学部・岸恵美子教授(セルフネグレクト・ ゴミ屋敷研究の第一人者)と、現場データの共同研究を継続。 複数の学術論文に共同執筆者として名前が掲載されており、 現場実務者として学術分野での評価も確立しています。

東洋経済:ゴミ屋敷に商機を見出した男の波乱万丈人生
理念と経営:逆境の時ほど爪を研げ

株式会社まごのて
東京都江戸川区北葛西3-5-6
インボイス適格事業者登録番号:T1011701018023
宅地建物取引業:東京都知事(1) 109168
産業廃棄物収集運搬業:01300191644(株式会社MG)
宅地建物取引士 賃貸不動産経営管理士 創業15年・施工不能ゼロ 学術登壇実績あり
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孤独死・自殺・事故物件の特殊清掃について、現場の状況をそのままお話しください。対応可能かどうか、費用の目安も含めてご案内します。


事故物件の処分・リフォーム・再生について、宅建士として適正な選択肢をご提案します。売る・直す・貸すどの方向でも構いません、まずご相談ください。