特殊清掃コラム
特殊清掃業は本当に儲かるのか|高単価に見えて利益が残りにくい業界の現実

特殊清掃業に対して、「人がやりたがらないから高給」「孤独死案件はぼろ儲けできる」といった誤解を持つ人が後を絶ちません。ネット上には「日給5万円のバイト」「小資本で簡単開業」といった甘い言葉が溢れています。
しかし、私たち株式会社まごのてが現場の最前線で見てきたリアルな実態は全く異なります。この記事では、求職者や安易な起業希望者、そして安い業者を探しているご依頼者に向けて、なぜこの業界が高収入に見えてしまうのか、そして、なぜまともにやるほど利益が残りにくいのかという採算構造の現実を暴露します。
この記事で一番お伝えしたいこと
特殊清掃業界は、まともに完了させるほどコスト・責任・技術負担が重くなり、利益が削られる構造になっています。
安易な参入者ほど、表面的な「請求額」だけを見て固定費と事故責任を見落とし、採算が合わなくなった結果として、現場でのごまかし、逃亡、不法投棄といった違法行為に走るのが現実です。
安い見積もりに不安がある方へ
「その金額で最後まで完了できるのか」「現場リスクまで含めて適正か」
他社様の安い見積もりに不安を感じたら、プロの視点で客観的に確認・診断します。
- ・日給5万円は都市伝説です。高く見えるのは“請求額”であって“手残り”ではありません
- ・この仕事で本当に問われるのは、臭いに耐えることではなく“臭いを残さず終える責任”です
- ・開業で失敗する人は、売上を見て参入し、固定費と事故責任を見ていません
- ・特殊清掃は高単価でも高利益とは限りません
- ・安売りしないと仕事が取れない新規参入者ほど、事故を起こしやすくなります
- ・この業界で一番危ないのは、技術不足より“やってはいけないことを知らない業者”です
- ・安易な新規参入は、結果的にお客様を騙すことになります
- ・無理な延命で社会に被害を広げる前に。「閉業・再出発支援」という選択
- ・「誰かのため」は美談ではなく、この仕事を続けるための燃料です
- ・見積もりと起業に関するFAQ
日給5万円は都市伝説です。高く見えるのは“請求額”であって“手残り”ではありません
「死体を見る仕事だから高給」というのは、昭和の時代の都市伝説か、あるいは闇バイトの類です。
そもそも、特殊清掃員がご遺体そのものを見ることはありません。
私たちが現場に入るのは、警察による検視が終わり、葬儀社によってご遺体が搬出された「後」です。私たちが対峙するのはご遺体ではなく、残された「体液」や「汚染」です。したがって、「死体を見る精神的苦痛への手当」などは存在しません。
▼ 特殊清掃員のリアルな年収推移 ▼
(~1年目)
(2~3年目)
(現場責任者)
※アルバイトの場合、日当10,000円~12,000円が相場です。これ以上を謳う求人は、怪しい業務(違法投棄の手伝い等)の可能性を疑ってください。
この仕事で本当に問われるのは、臭いに耐えることではなく“臭いを残さず終える責任”です
「臭いに耐えられるか」だけではありません。この仕事には向き不向きがはっきりとあります。
⭕ 向いている人
- ✔ 真面目で誠実な人(手抜きはすぐにバレます)
- ✔ チームワークを大切にできる人
- ✔ 体力に自信がある人(防護服での作業は過酷です)
- ✔ 「誰かの役に立ちたい」という使命感がある人
❌ 向いていない人
- ✖ 一攫千金を夢見ている人
- ✖ 興味本位・怖いもの見たさの人
- ✖ 自己判断で勝手なことをする人
- ✖ 車の運転ができない人(現場移動・運搬に必須)
開業で失敗する人は、売上を見て参入し、固定費と事故責任を見ていません
「軽トラ1台で小資本から開業できる」というのは不用品回収業の話であり、特殊清掃業には当てはまりません。この業界で失敗する人は、表面的な「高い売上」だけを見て参入し、重くのしかかる固定費と事故責任を見ずに突っ込みます。
プロの特殊清掃業者として、完全消臭を提供し社会的信用を得るためには、特殊清掃は“設備産業”であることを理解しなければなりません。
特殊清掃業の最低限必要な開業資金(約1,000万円)
- ・ 専用の作業所・事務所(150万~200万円)
汚染された機材の洗浄や保管場所が必須です。自宅兼事務所では対応できません。 - ・ 自社車両・トラック(200万~300万円)
レンタカーに死臭を付けると即座に出禁になります。自社保有が絶対条件です。 - ・ 特殊機材・業務用オゾン脱臭機(200万~300万円)
通販の安物では臭いは消えません。高スペックな業務用機材が必要です。 - ・ 広告費・当面の運転資金(300万円~)
信用がない初期は集客コストがかさみます。また、廃棄費用の支払いが先に来るため運転資金がショートしやすいです。
特殊清掃は高単価でも高利益とは限りません
特殊清掃は「請求単価の大きい仕事」ではありますが、「利益の大きい仕事」とは限りません。むしろ、まともに法令を守り、責任を持って終わらせるほど利益率が削られる業種です。
売上70万円の案件(特殊清掃+遺品整理)の分解
仮に70万円の売上があったとします。その内訳は概ね以下のようになります。
- ・ 遺品整理部分(約35万円):正規の廃棄物処理業者への委託費、車両費、人件費が重くのしかかり、粗利は約14万円。
- ・ 特殊清掃部分(約35万円):完了までに数日間通う人件費、高額な専用消臭薬剤費がかかり、粗利は約17万円。
この時点での粗利合計は約31万円。ここからさらに、家賃、広告費、保険料、車両維持費などの販管費を引くと、最終的な手残りの利益は、良くて15万円程度にしかなりません。
万が一、臭いが消えずに何度も再訪することになれば、この利益はあっという間に吹き飛び赤字になります。
安売りしないと仕事が取れない新規参入者ほど、事故を起こしやすくなります
この厳しい採算構造の中で、一番危ないのが「価格を極端に安く提示する業者」です。
新規参入者は、実績がなく、書類の信用力もなく、不動産会社とのネットワークもありません。そのため、相見積もりで勝つために「安売り」することでしか仕事を取る方法がないのです。
しかし、新規参入者が事故を起こすのは技術がないからだけではありません。仕事を取るために最初から価格を削りすぎた結果、いざ現場に入って想定以上の過酷さに直面したとき、最後まで責任を持って完遂できる採算構造(高い薬剤を買う資金や、時間をかける余裕)がすでに失われているからです。
予算がないため、手間のかかる清掃作業を省き、効果の高い高額な薬剤を規定以上に薄めて使い、時間をかけずに終わらせようとします。その結果、臭いが残ったままのごまかしや、採算割れに耐えきれず現場から逃亡、最悪の場合はコストカットのための不法投棄といった違法行為へと流れていくのです。

この業界で一番危ないのは、技術不足より“やってはいけないことを知らない業者”です
特殊清掃は「何ができるか」の仕事に見えますが、実際には「何をしてはいけないか」を知らない業者が一番危険です。
流してはいけないもの、削ってはいけない素材、混ぜてはいけない薬剤、そして「その場で終わらせたらいけない判断」。この禁止知識がない安易な参入者が、建物を根本から破壊します。
【実録】素人業者が招いた排水管詰まり・逃亡事件
千葉県のある孤独死現場で、「格安」を売りに開業したばかりの業者が起こした実例です。
知識のないその業者は、浴室に残った腐敗した脂や体液を、そのまま排水口へ流し込みました。その結果、配管の奥で脂が冷えて固まり、排水管が完全閉塞。汚水が逆流し悪臭が建物全体に広がるという大惨事になりました。
パニックになったその業者は、なんと道具を置いたまま現場から逃亡してしまったのです。最終的に、別の業者(まごのて)がリカバリーに入り、配管の解体工事を含む多額の修繕費用が発生することになりました。
安易な新規参入は、結果的にお客様を騙すことになります
ここで厳しく言いたいのは、特殊清掃での安易な参入は、本人の経営失敗で終わらないということです。特殊清掃は、採算が崩れても、途中で簡単にやめられる仕事ではありません。現場にはご遺族、オーナー、管理会社、近隣住民がいて、臭いや汚染だけでなく、感染症リスクや衛生上の危険が潜んでいます。
技術不足より危ないのは、採算が足りないことです。予算が尽き追い詰められた業者は、どうにか現場を終わらせるために「ここは開けなくても大丈夫だろう」「除菌剤を薄めてもバレないだろう」と自分に言い訳をし、見えない工程から削り始めます。
床下確認、巾木の裏、壁内汚染の追跡、高価な専用除菌剤の使用、そして正規の廃棄物処理ルートの確保など、本来いちばん重要なのに依頼者には見えにくい部分から手を抜くのです。
本人に騙す意図がなくても、結果として不動産価値を二重に毀損することになります
「困っている人を助けたい」という善意で始めた業者であっても、技術と採算が足りないまま受注すれば、お客様には「表面だけ片付けて感染症リスクを残す」「床下の汚染を見落として害虫を発生させる」「廃棄費用をケチって不法投棄のリスクをオーナーに負わせる」といった甚大な被害をもたらします。それは結果として、お客様を騙し、最初の事故に加えて、再施工とさらなる価値毀損を招く行為に他なりません。安い価格で受けた時点で、最後まで責任を持てない設計になっていることが最大の危険なのです。
実際、他社施工後のやり直し相談では、見積書が「清掃一式」「消毒作業」だけで曖昧なため、前業者が「床下の臭いは契約外」「臭い戻りは対象外」と逃げるケースが少なくありません。表面だけをきれいに見せても、構造部に汚染が残っていれば、臭いは戻り、リフォーム前に工事が止まり、最終的にお客様は多額の修繕費用と別業者への費用を二重払いすることになります。
無理な延命で社会に被害を広げる前に。「閉業・再出発支援」という選択
※この章の目的は、閉業支援の案内や自社の宣伝ではありません。無理な延命が依頼者被害と社会コストを広げる前に、いったん止める判断も必要だという業界全体への警鐘です。
特殊清掃業に安易に参入したものの、思うように仕事が取れず、広告費・車両費・設備費・借入返済だけが膨らみ、疲弊している事業者は少なくありません。
問題は、苦しいまま無理に事業を延命させようとすると、次に起きるのが単なる赤字では済まなくなることです。利益を捻出するために不当な追加請求、中途撤収、質の低いごまかし作業、最悪の場合は不法投棄や夜逃げといった違法トラブルへ流れやすくなり、最終的には依頼者だけでなく社会全体に被害(社会悪)を広げることになります。
夜逃げや不法投棄に追い詰められる前に、止血の決断を。
「失敗した」と認めるのは勇気がいりますが、限界を超えて現場や不動産市場の流通を壊してしまう前に、一度事業を閉じることは「敗北」ではなく、犯罪を防ぎ、これ以上被害を広げないための正しい「事故防止の判断」です。
まごのてでは、そうした事業者に対して、特殊清掃資材、車両、オゾン脱臭機、ホームページ等の設備買取を含む「閉業支援」を行っています。(※状態や権利関係を確認の上、再利用・引継ぎが可能なものに限ります)
そして、希望者には単なる閉業で終わらせず、まごのての現場スタッフとして2~3年しっかり働き、正しい技術と「やってはいけないことの判断力」、そして採算感覚を身につけた上で再出発(再独立)できるスキームを用意しています。
再出発支援の対象となる方
ただし、これは安易な独立支援制度ではありません。「特殊清掃は儲かるらしい」「機械さえ手に入れればすぐ再開できる」という発想の方はお断りしています。
- ・ 「短期間で儲けたい」「設備だけ残してすぐ再開したい」という方には向いていません。
- ・ この仕事で本気で生計を立てたいという覚悟がある方に限ります。
- ・ プライドを捨て、2~3年の遠回りを受け入れて現場から学び直せる方が対象です。
「誰かのため」は美談ではなく、この仕事を続けるための燃料です
ここまでお話しした通り、特殊清掃は高利益でもなく、失敗のコストが極めて大きく、常に重い責任が伴う仕事です。臭いも強烈で、時には理不尽に感謝されないこともあります。
この厳しい環境の中で、まごのてのスタッフが長く働き続けられる理由は、根底に「ご遺族や困っている人の役に立ちたい」という想いがあるからです。
しかし、この業界で「誰かのために」が必要なのは、それが感動的な美談だからではありません。利益率の低さ、責任の重圧、失敗への恐怖を飲み込んで、現場から逃げずに完遂し続けるためには、それ以外の動機では燃料として長続きしないからです。お金だけを目的とした者は、必ず途中で心が折れて消えていきます。

見積もりと起業に関するFAQ
Q. 特殊清掃のアルバイトは日当5万円も稼げますか?
A. いいえ、それは都市伝説です。まともな業者であれば日給1万円程度からのスタートが一般的であり、特別な高収入バイトではありません。高額な日当を謳う募集には注意が必要です。
Q. 特殊清掃業を小資本で開業できますか?
A. プロとして責任ある施工を行うためには、専用の機材(業務用オゾン脱臭機など)、自社車両、作業所などの設備投資に約1,000万円程度の初期費用が必要となるのが現実です。小資本での安易な参入は推奨しません。
Q. 特殊清掃の仕事をするのに資格は必要ですか?
A. 公的な必須資格はありません。「遺品整理士」などの民間資格も実務では必須ではなく、現場では「何をしてはいけないかを知る経験と技術」、そして法令に基づく廃棄物処理の許可ルートや設備体制の方が圧倒的に重要視されます。
Q. なぜ安い特殊清掃業者は危ないのですか?
A. 採算が崩壊しているからです。安売りしないと仕事が取れない業者は、高い消臭薬剤を使えず、時間もかけられないため、結果的に臭いが残るごまかし作業や、最悪の場合は現場からの逃亡、不法投棄などのトラブルに繋がります。
失敗現場のリカバリー・適正価格でのご相談はこちら
「他社に依頼して失敗した」「安い見積もりがきて不安だ」
まごのては、適正な採算構造と確かな技術で、最後まで責任を持って現場を完遂します。
写真をお送りいただければ、現状のリスクを含めた正確な診断が可能です。
株式会社まごのて 代表取締役
佐々木久史
孤独死・自殺・ゴミ屋敷・事故物件など、他社が断るような現場でも創業以来施工不能となった現場は一つもありません。
宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士の資格((東京)第277343号)を保有しており、清掃・消臭の技術判断と「どう再生すれば資産価値を回復できるか」の不動産判断を同時に行える点が他の特殊清掃業者との最大の違いです。
日本在宅医学会・高齢者虐待防止学会での登壇実績、各行政区のゴミ屋敷条例意見交換会への出席など学術・行政の両面から現場の専門家としての地位を確立しています。
東邦大学保健衛生学部・岸恵美子教授(セルフネグレクト・ ゴミ屋敷研究の第一人者)と、現場データの共同研究を継続。 複数の学術論文に共同執筆者として名前が掲載されており、 現場実務者として学術分野での評価も確立しています。
東洋経済:ゴミ屋敷に商機を見出した男の波乱万丈人生
理念と経営:逆境の時ほど爪を研げ
株式会社まごのて
東京都江戸川区北葛西3-5-6
インボイス適格事業者登録番号:T1011701018023
宅地建物取引業:東京都知事(1) 109168
産業廃棄物収集運搬業:01300191644(株式会社MG)
ゴミ屋敷の状態がどれだけひどくても、お断りした現場は15年間一度もありません。恥ずかしがらず、現状をそのままお話しください。










