ゴミ屋敷片付けコラム

実例紹介
2024.02.29

ゴミ屋敷だったから500万円払え!賃貸住宅退去トラブルの結末

ゴミ屋敷だったから500万円払え!賃貸住宅退去トラブルの結末
2024年3月となり引越シーズンに突入しました。現在ゴミ屋敷や汚部屋に住んでいてなおかつ引越しを控えてる方はご注意ください!昨今SNSでは多少の汚れなどは経年劣化で押し通して戦え!みたいな無責任なものもありますが絶対に信用してはいけません

常識的なことやモラルを差し置いても、ゴミがそのままはもちろん、汚れたまま退去すれば大きなトラブルに見舞われます。しかも敷金で収まるレベルではなくそれなりの金額になるおそれもあることを頭に留めておいてください。

この記事では賃貸住宅を退去する際にはどこまでキレイにすべきかと、その法律的な根拠と併せ過去のゴミ屋敷退去のトラブルを例に解説していきます。

普通に暮らしていたとしても退去時に原状回復費用清算で揉めることはよくありますがゴミ屋敷や汚部屋だった場合はなおさらです。

時には数百万円単位で退去費用を請求され大きなトラブルになってることも多くあります、この記事ではまごのてがかつて経験したゴミ屋敷を退去した際に500万円もの請求トラブル実例と対処方法についてお知らせする記事です。

物件をお持ちのオーナーさんや賃借人(部屋の借主)や不動産会社担当者さんなど賃貸住宅に関わるすべての人に役立つ情報となっています。
 
原状回復費の高額請求は合法的にあり得る
借りてる部屋をゴミ屋敷状態にして退去すれば多額の原状回復費を請求される可能性はあります。しかもその請求は合法的で巷でよくある不当な原状回復費用の請求ではありません。

今回の記事で採用した500万円もの請求はめったにありませんが100万円前後の退去費用請求は現実的によくあります。そのようなトラブルに見舞われないための対策をこの記事ではお伝えしていきます。

借りてる部屋をゴミ屋敷や汚部屋にしてしまうことはかなり不利であることは間違いありませんので、今ゴミ屋敷状態の部屋に住む人は退去予定の有無にかかわらず早急に対策をしましょう。
 

ゴミ屋敷は賃貸住宅に住む時のルール違反

賃貸住宅に住んでる間にゴミ屋敷状態にした場合、退去時もしくは入居期間中でも破損や汚損の程度によっては損害賠償請求を受けたり多額な原状回復費を求められる可能性はあります、その理由は賃借人(部屋を契約し住んでる人)には等しく善管注意義務が課せられているからです。ゴミ屋敷にしてしまうことは部屋を借りて住む人の義務なので、義務に違反しているのですから損害賠償の可能性があるのです。

昨今SNSなどでは賃貸住宅を退去する時には敷金を100%取り返せる裏技であるとか、退去費用は高額請求になりがちだから応じないで良いといった情報が出回っています。賃貸住宅を借りる際にも仲介手数料や消毒費用、保険金など値切れるとか払わなくて良いなど汚いお金のお話が出回っています。

確かに以前は退去のたびに部屋の内装を新調しその費用を前賃借人に負担させるというようなことが横行していた時代もありましたが、法律が変わったりSNSで様々な情報が発信されるようになり昔ほどは無茶な請求がされることは少なくなりました。

今度は逆に住む側(部屋の借主)のモラルがひじょうに悪くなってるという話もチラホラ聞こえてくるようになりました。例えばゴミ屋敷や汚部屋状態であるにも関わらずゴミや汚れた水回りをそのままの状態で退去し経年劣化だと言い張ったりということが現実に起きています。

賃貸住宅は部屋を貸す側にも法的な規制やルールがありますが、暮らす側にもルールがありお互いがそのルールを守ることで双方が気持ちよく生活できるのです。人が暮らすのですから時にはゴミ屋敷化してしまったりすることもあるでしょう、そんな時でも借物であるという意識をしっかりもって対処する心構えは大切だと思います。

問題解決が早い東京のゴミ屋敷片付け業者まごのて

賃貸住宅に住むときのルール
賃貸住宅に住むには様々なルールがあります
 
ゴミ屋敷はルール違反
部屋をゴミ屋敷にしてしまうことはルール違反とジャッジされることもある

賃貸住宅での借主が課せられる『義務』とは

賃貸住宅には貸す側にも借りる側にもルールがあるとお知らせしましたが、ではいったいどんなルールが課せられるのかをお伝えします、まず賃借人に課せられる義務とはどんなものかをお伝えします。

部屋の借主に等しく課せられる義務というものがあります、家賃をきちんと払うなど当たり前のことは別として『善管注意義務』というものがあります。

善良なる管理者の注意義務というのが正式な呼び方で民法400条に規定されています。特定の物に対して引渡すまでに善良なる管理者の注意をもって保存しなさいという法律です。

善管注意義務は物の売買に絡むもので賃貸住宅には関係ないのではと言う人もいますが、特定物の引渡が完了するまでというのは短期の取引を指すものではなく、賃貸住宅であれば鍵を貰い何年か後の退去引渡まで、つまり居住中はずっとその義務が続くということです。

難しく固い言い回しですが、賃貸住宅は他人の物なんだから自分の持ち物より更に上の注意をもって扱え、というものと考えればわかりやすいのではないでしょうか。

あるゴミ屋敷の退去トラブル発生!請求額500万円

過去に退去トラブルでなんと500万円もの原状回復費が請求されたということがありました。その時の出来事をまとめていきます。

東京都内の賃貸アパートに住む人から退去のための部屋の片付けと清掃を依頼されたことがこのお話の発端です。まず私たちがお片付けに着手した部屋は次のようなものでした。

1.2DKのアパートで直近5年間ゴミ部屋にしてしまった。
2.コンビニ系ゴミや雑誌や衣類などが堆積し部屋を埋め尽くしていた。
3.ゴキブリやションペットなどは無し。
4.居住しておよそ15年の男性でサラリーマン。
5.近所に大家さんが住んでおり関係は良好であった。

いわゆるゴミ部屋でしたが作業的な難易度はそう高くなく、本人が必要と指定した最低限の物だけを取り置いてゴミはもちろん、家具や家電もすべて処分しました。水回りや床も綺麗にクリーニングし、若干の沈着汚れがユニットバスに残ったものの大きな破損や汚損もなく清掃作業を完了させました。
あるゴミ屋敷の退去トラブル発生

退去後に500万円の原状回復費用の請求!

この部屋のお片付けが終わって一か月が過ぎたことろにお片付けの依頼者から相談があり、退去した部屋の大家さんから原状回復費の請求書が届いたそうです、驚くのはその額なんと500万円!

2DKの退去費用で500万円という金額は聞いたことがありませんし、金額を算出した根拠も分かりませんので身内と言うことにして交渉の場に同席させてもたったのですが、大家さんの言い分としては住んでる時からゴミ屋敷状態であることは知っていた、だから部屋の傷みも激しいし臭いも残ってる、だから内装を全部壊した上で新調しなければいけないというのが言い分でした。

ゴミ屋敷状態の部屋を退去した際に、実は大家さんにゴミ屋敷や汚部屋であることがバレていて退去後に莫大な請求がされるという事例は多くあり、さすがに500万円の修繕費は後にも先にも例がありませんが数十万円レベルの退去費用請求はよく耳にします。

賃貸住宅退去時の原状回復義務とは

先ほどは居住中の善管注意義務について触れましたが、退去時に課せられる義務もあります。それが原状回復義務というものです。義務と言う限りは必ず行わなければいけないもので、退去の時には部屋をキチンと元に戻しましょうという極めて常識的なものです。

では原状回復とはどんなものかですが『原状』というのは入居時の元の状態を指します(だから現ではなく原です)ここが原状回復で紛争が起きるポイントですが、入居時の状態と聞くともし新築で入居したのであればすべて新調しなければいけないのかと誤解を招きそうですがそうではありません。

国交省のガイドラインでは経年変化分を加味して考える、というものがあります。例えば壁紙なら7年目で減価償却を終え価値がゼロになるとか、普通に部屋を使ってるうちに出来てしまった日焼けや色褪せ、その他壊れてしまったものは加味しないというものです。

つまり普通に人が暮らしていれば当然汚れも出るし破損もあるし、そもそも大家さんはそれら損耗を家賃として月々収受しているという法的な考え方です。

本来であれば住んでる年数が長ければ長いほど原状回復義務が軽くなると考えれるのですが、このケースはゴミ屋敷であったことが争点となりました。
ゴミ屋敷だったから500万円払え!賃貸住宅退去トラブルの結末

賃貸退去時の原状回復義務と善管注意義務

大家さんの言い分は「善管注意義務違反」です。善管注意義務違反とは賃貸住宅契約中は他人の物を借りてるのだから注意して使え!自分の物より一段上の意識で扱え。という考え方であることは冒頭でお知らせした通りです。

その観点で見た場合ゴミ屋敷にしてしまうことは立派な善管注意義務違反と言えます、賃貸住宅は大家さんの物であって自分の物ではないのですから注意深く大切に使うという義務が課せられているのですからゴミ屋敷化させてしまうことは立派な善管注意義務違反です。

この大家さんは善管注意義務に違反していたのだから原状回復費を払うのは当たり前だし、必要以上に部屋が傷んだのだから500万円払えと主張してきたのです。

退去前のお片付けと清掃を実施したことは無駄?

その後大家さんとの交渉に入りました、交渉にあたってはまず最初にゴミ屋敷状態にしていたことを謝罪しました。15年住んでいたうちのおよそ5年間をゴミ部屋にしたのですから充分過失があったことは認め真摯に謝罪したのです。

そして問題の原状回復費用の交渉に入ったのですが、こちら側のスタンスは減額やリフォームの範囲の見直しではなく「一切の費用を払わない」というもので敷金の返還まで申し入れました。

理由は以下の通りです。

1.確かにゴミ部屋ではあったが退去前に業者依頼しゴミは当然のこと床や水回りその他の部分についても通常損耗レベルまで回復させた。

2.15年も住んでおり、入居時は新築でもなかったため壁紙はもちろん付帯設備も償却年数が経過しておりゴミ部屋ではなかったとしても次の賃借人のために大家さん側で修繕やリフォームを行うはずである。

3.大家さんの主張する臭いが残っていたり建物そのものが棄損されている事実はない。したがって内装全解体や設備総入れ替えの必要はない。


上記のように主張し過去の裁判例も一部援用し説明を進めていきました。

(2)の経年劣化の部分を少し詳しく掘り下げます、住宅の内装含め設備類は家賃算出の基となる原価にあたります、たとえば壁紙が30万円の価値だとすると6年償却ですから年間5万円で月当たり5千円弱です、このようにそれぞれの設備類の耐用年数や償却年数を年間経費さらに月当たりで計算しその額を原価と考え売価(家賃)に反映するのです。

この例だと善管注意義務はあったけど月々の家賃でそれらは償却されており、もし仮に内装を新調するにしてもそれは次の入居者のためのものと考えるというものです。

ただしこのような主張も汚損や破損の程度によります、例えば壁紙の石膏ボードにまで汚れが染みついていた場合やゴミによる汚れの沈着が広範囲にあった場合は抗弁できなくなる可能性もあります。

またSNSなどで償却期間後はどんなに汚したとしても問題ないという情報発信を見かけますが、部屋を退去する日に壁に大きな落書きをマジックで書いたということがあったのですが、故意過失とみなされ修繕費が請求されたという事例もあります。

退去費用500万円の請求をどうやって免責してもらったか

結論を先に言いますと、大家さんの要求に対し過去の裁判例を元に結果的に納得してもらい500万円の請求は取り下げてもらえました。大家さんを説得する材料は建物価値の減少という部分です。

過去の裁判例でゴミ屋敷から建物価値減少を争った裁判例がなかったので室内での孤独死や自殺の場合の判例を援用し示しました。

判例1:東京都内の賃貸ワンルームマンションで自殺。
東京地裁は事件後3年間の逸失利益を認めました(1年目全額、2~3年目半額)合計132万円、ただし事件によって生じたとされる建物価値の減少は棄却。

判例2:2.仙台市のワンルームアパートで自殺。
事件後2年間の逸失利益を認めたが、賃料を下げて募集を行ったところ入居希望者があったため本来の賃料との差額のみという判例、これも建物価値の減少の主張は認められませんでした。

判例からもわかるように心理的瑕疵が大きいとされる自殺ですら建物価値減少分は却下されています。

これらを示し理不尽な原状回復費請求ということで交渉しましたが、指摘があったユニットバスの染みつきや床の染みつきに関してはゴミ屋敷にしていれば起こらなかった可能性もあり、故意過失による破損として本来戻るはずの敷金分を充当してもらいこの件は解決しました。

退去費用の理不尽な要求やグレードアップを狙った修繕要求は絶対に許されることではありませんが、やはり居住中は他人の物を借りて住んでいるという意識は持っていなければいけません。
ゴミ屋敷だったから500万円払え!賃貸住宅退去トラブルの結末

ゴミ屋敷による汚損|清掃や片付けで修復不可能な場合

この事例はゴミ屋敷の程度の割に損傷具合が軽微で床も壁も清掃で修復できることができたので事なきを得ましたが、清掃で修復できない場合も当然あります、むしろゴミ屋敷の場合は程度によりますが修復できない例のほうが多いと思ったほうが良いです。

例えばユニットバスが完全に沈着し元の色がわからないレベルだったり、ションペットがあり床の染みつきも相当あり異臭も残っているような場合は当然原状回復の責任があり表面上の汚れやゴミを取った程度で原状回復の義務を果たしたと言えずそれなりの費用負担を求められます。

孤独死プラスゴミ部屋という原状回復の費用トラブルが過去にあり、そのコラムがまごのての特殊清掃専用ホームページに記載がありますので一読ください。

孤独死とゴミ屋敷で大家さんと保証人が費用負担でトラブル
ゴミ屋敷だったから500万円払え!賃貸住宅退去トラブルの結末

ゴミ部屋(汚部屋)の退去時はどこまで清掃すべきか

昨今賃貸の退去時に通常損耗や経年劣化の概念を歪曲して解釈している例が目立ちます。特にX(旧Twitter)界隈で多く見られ、賃貸住宅を借りる際に不動産屋に払う仲介手数料は違法だとか、退去時には経年劣化を加味するのだから掃除すら不要と気炎を吐く「お金の勉強系」のTwitter民です。

原状回復とはあくまでも入居当時の状態です、入居時に細かなゴミがあったり地獄のように汚いお風呂やトイレであったはずがありません。

ですから上記のように当然ゴミを撤去し全体的なハウスクリーニングを行い住んでた年数レベル(通常損耗)までは回復させるべきです。

再度原状回復の法的な定義を書いておきます。

賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意、過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗、毀損を復旧させること。

ですから通常損耗のレベルまでは片付けましょう、清掃しましょうということなのです。

まごのてへの引越前片付け依頼でもどうせ大家さん側でハウスクリーニングを入れるのだから水回りクリーニングはしなくていいと言われるお客様もいますが、退去後に大家さん側が行うハウスクリーニングはあくまでも次の入居者のためであることを忘れないでください、特に水回りが汚いのはたとえゴミ部屋であったことが発覚していなくてもかなり印象が悪くなります。

よく壁紙のことも聞かれますが、壁紙の償却期間は設備の中では一番早く6年で資産価値1円となります。

いくら原価償却で資産価値がゼロだとしても善管注意義務違反があり、通常の使用の域を超えるような使用をしていたのは事実ですから交渉するにしてもあくまでも下から接しなければいけないのは言うまでもありません。

私が接した中で壁紙にまつわる面白い話がひとつあるのですが、10年強住んだ部屋の退去の日に壁に「10年間ありがとう!」とマジックで落書きをしたそうです、壁紙はすでに資産価値がないのだから良いだろうと考えたそうですが、見事に弁償金が来たそうです。当然です落書きは故意過失ですから弁金対象となります。いくら償却年数が過ぎていようとも大家さんの持ち物を故意に傷つけることはいけないということです。
ゴミ屋敷だったから500万円払え!賃貸住宅退去トラブルの結末

敷金トラブル相談ができるゴミ屋敷清掃会社

大家さんや不動産会社との間で敷金精算や原状回復費でトラブルや紛争を抱えている、または事態が膠着してどうしていいかわからないなどの場合はご相談ください。

株式会社まごのてには不動産トラブルに強いメンバーが揃っていますので安心してご相談ください。宅地建物取引士と行政書士である代表者の佐々木久史や顧問弁護士の栃木義宏氏、司法書士の田村洋子氏はまごのて不動産事業部のメンバーです。

まごのてにゴミ屋敷のお片付けや特殊清掃をご依頼のお客様は無料診断いたしますが、弁護士からの意見書発行が必要な場合は別途費用を申受けます(事案により1~3万円)

引越は汚部屋脱出には良い機会です

引越前は完璧に部屋を片付けて退去しよう

ゴミ屋敷だったから500万円払え!賃貸住宅退去トラブルの結末
今回の記事は汚部屋の引越にまつわるトラブルをご紹介しました。引越はゴミ屋敷や汚部屋脱出のひじょうに良い機会です。もし汚部屋の人で引越を控えてる人は新居でまたゴミ屋敷化しないためにもしっかりと清掃して退去しましょう。

退去費用トラブルを防ぐためにも引越前片付けや清掃は専門業者に依頼するのが賢明です。東京近辺のゴミ屋敷や汚部屋であればまごのて一択で良いのではないでしょうか?

まごのては中途半端なお片付けや清掃はせず、完璧に仕上げますので退去トラブルを未然に防ぐメリットがあります。
記事執筆:

株式会社まごのて 代表取締役
佐々木久史

主に特殊清掃技術の開発や指導に注力しています。まごのては宅地建物取引業の免許を受けており私は専任の宅建士です、また賃管士資格を保有しており不動産取引関係には精通しています。 

東洋経済:ゴミ屋敷に商機を見出した男の波乱万丈人生
理念と経営:逆境の時ほど爪を研げ

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