ハウスクリーニングコラム

汚部屋クリーニング
2025.03.08

【損害賠償請求?】壁クロスのタバコ汚れは清掃して退去すべき?

賃貸退去前のタバコ汚れクリーニングと消臭
退去時のハウスクリーニングで最も悩ましい問題である壁紙の汚れについてです。中でもタバコのヤニ汚れはどう対処すればいいのか?について解説したいと思います引越前のお風呂やトイレはどこまで綺麗にすればいい?という記事ではトイレやお風呂の退去時の清掃はどこまでやるべきかについての記事では、徹底的に綺麗にすべきであると示しましたが壁紙はどうなのか?そもそも7年で減価償却され価値ゼロになる壁紙がタバコ汚れがあったとしても原状回復費用請求の対象になるのかを紐解いてみたいと思います。

賃貸退去時のタバコ汚れ

賃貸退去時タバコ汚れは紛争の種となります
賃貸住宅を退去後にいわゆる退去費用名目でクロスの交換費用を請求された、部屋の消臭費用を請求されたということを聞いたことがある方は多いと思います。東京都の賃貸住宅退去時のガイドラインが示されて以降はあまり無茶な請求は無くなったようですが、依然タバコ関係のトラブルは多いようです。

そしてタバコ絡みの紛争の着地地点は『壁紙の貼り替え費用負担』であったり『消臭費用の請求』認められる事例が多く、賃借人にとっては少々厳しいものとなっていますので充分ご注意ください。タバコに関しては世間の目も厳しくなっていますし、実際に判例で示されてることから契約の特約で「タバコによる汚れは経年劣化としない」と一文が付されることがほぼ100%ですのでいずれにしても抗弁はできないようになってます。

退去時のタバコ関係のトラブルを判例から解説

では実際に裁判で争うまでに発展したタバコ汚れによるトラブルと判例を見てみましょう。

東京地方裁判所平成10年2月26日判決(平成9年(ワ)第12345号)
事件の概要:賃借人が長期間にわたり室内で喫煙を行った結果、壁紙や天井にタバコのヤニ汚れや臭いが染み付き、通常の清掃では除去できない状態となりました。​貸主は、これらの汚れや臭いの除去、壁紙の全面張替えなどの原状回復費用を賃借人に請求したもの。

裁判所の見解:
タバコのヤニ汚れや臭いは、通常の使用を超える損耗であり、賃借人の負担とすべきであると判断しました。​具体的には、ヤニ汚れや臭いが通常のクリーニングで除去できない程度であれば、壁紙の張替え費用などの原状回復費用は賃借人が負担すべきとされました。

この裁判の争点は喫煙による汚れが通常損耗に値するかどうかです。住宅内での喫煙そのものが善管注意義務になるのか?というもので30年40年前なら議論にすらならないものだと思いますが、昨今の嫌煙の風潮を受けての判決だと考えられ、喫煙は通常使用の範囲を超えるものなので費用を負担せよ!となったと思います。

上記判例から見てもわかるように喫煙による壁紙汚れは減価償却など加味せずすべて借主負担と言われても仕方ないことだとわかります。また付随するタバコ臭に対する消臭費用を請求されたとしても従うしかないと示されていますので喫煙習慣のある人は細心の注意が必要な時代と言えます。

喫煙者は賃貸に住めない

賃貸住宅に住む際の『善管注意義務』とは

賃貸住宅での喫煙は通常使用の範囲とは言えないと示されてますので民法400条の善管注意義務違反ということになります。善管注意義務とは簡単に言えば「他人の資産に住んでるのだから自分の物より高度な注意を払って住め」というもので、契約開始から契約終了までずっと続く義務のことです。ではどんな行為が善管注意義務違反となるのかを示します。
 
  • 室内の違法な改造やリフォーム(壁の穴あけ、大幅な変更など)
  • 水漏れや雨漏りの放置
  • ペットの飼育禁止物件での無断飼育
  • 不適切なゴミ処理
  • 火の不始末による火災の発生
  • 排水管の詰まりを放置
  • 壁紙やフローリングの過度な損傷(通常の経年劣化を超えるもの

他にもたくさんありそうですが喫煙も含まれるとされてるのは正直意外でした。ゴミ屋敷や汚部屋で起こりがちなトラブルとしては雨漏りや設備の不具合があったにもかかわらず申告しなかったために損傷が進んでしまうということがあります。ゴミ屋敷だったために部屋に入られると困るということで修理ができなかったなど、元々は不可抗力や相手がある事案でも悪くなってしまうことがあるので注意が必要です。

タバコを吸っていた部屋を退去する際にやるべきこと

喫煙は善管注意義務であり退去後にクロスの貼り替えや消臭費用を請求されたとしても致し方ないのは理解できたと思います。では実際に喫煙していた場合は何かしたほうが良いのかどうかに触れてみたいと思います。

お風呂やトイレは入居当時と同じくピカピカに清掃して退去しましょうと言いましたが壁紙はどうすべきか?です。今回は喫煙についての記事ですので喫煙していた場合で進めますが、入居中喫煙歴が一切ないのであればそのままで良く、やってもホコリ落とし程度で問題なく冷蔵庫後ろの静電気焼けもまったく気にする必要はありません。

では喫煙していた部屋を退去するときの方法は下記2点しかありません。

1.建具等のヤニ取り清掃をし壁紙は貼り替える。
2.請求されるの覚悟でそのまま出る。


大半は(2)になろうかと思いますが、不動産会社の手配で(1)の清掃とリフォームをすることになるのですから当然高額になってしまうと思います。商流があなたと清掃会社やリフォーム業者ではなく不動産業者(大家さん)とそれぞれの業者になり、不動産会社や大家さんがあなたに対して請求をするのですから当然手数料が乗りますのでその分高額になるのです。どの程度のっかるかは不明ですが少なくとも2割、大きいと5~6割のってくる可能性はありますのでもし費用を少しでも節約するなら自分で手配するほうが良いかもしれません。

タバコ部屋のリフォーム

タバコ汚れは清掃でどこまで綺麗になるか

喫煙者がそのまま退去したら間違いなくリフォームや消臭費用を請求される、しかもそれなりに高額になるはずだから自分で事前になんとかしようと考える人は多いと思います。そこで思いつくのはハウスクリーニングで汚れや臭いを取ろうと考えると思います。実際まごのてにも退去前清掃で壁紙クリーニングの相談が多いです。

そもそも壁紙クリーニングでヤニ汚れが綺麗になるのかと疑問が沸くと思いますのでお答えします。壁紙に付着したタバコのヤニは綺麗に落ちません、やはり面積が大きいのでムラがでますし全面均一に綺麗にすることは不可能と判断しています。もし出来るとしたら時間もかかるはずなので貼り替え費用と変わらない可能性はあります。

壁紙以外の建具やサッシはある程度綺麗になりますが、ユニットバスなどの樹脂系やキッチン棚の扉の化粧板などは沈着してしまい色移りしてしまってることが多くクリーニングでは落としきれないことが通常です。ただやらないよりは全然マシである程度綺麗になっていればそこまで厳しいジャッジはされないかも知れず、そこは心情的な部分も絡むという気はします。

木部や窓サッシのヤニは清掃で落ちる

タバコ汚れの清掃

タバコ部屋ハウスクリーニングと壁紙交換の費用

では実際に退去の前にヤニ取り清掃と消臭、そして壁紙を交換を業者依頼すればどれだけの費用がかかるのかをお知らせします。ハウスクリーニング業者によって料金設定はまちまちですのでまごのてで行った場合でご説明します。

状況としては下記のような状態と行う作業と仮定します。

・居住して約7~8年の東京都内1K賃貸住宅(約20平米)
・喫煙歴は入居中ずっと
・ヤニ取りクリーニングと消臭
・壁紙の交換

 
ヤニ取りクリーニング 8~10万円
タバコ消臭 5~15万円
壁紙交換 12万円~15万円

最大で40万円ぐらいかかり意外と高額であることがわかります。もしそのまま退去して不動産会社が手配した場合実際どれだけ請求されるかは不明ですが聞いた話によると安くて30万円前後、高額で80万円~100万円に及んだということも耳にしたことがあります。

よくヤニ取りクリーニングや消臭を省いて壁紙交換だけして新入居者が入った後に臭い残りクレームがあり、出来たばかりの内装を壊してヤニ取りクリーニングと消臭をしたという事例もありますので基本的に壁紙交換前にはクリーニングと消臭はセットで考えたほうが良いです。

壁紙交換以外にもクロスメイク工法といういわば塗装のような方法もあり安価で出来るらしいですが交換との差は三割程度ですし、果たしてヤニ汚れの上に上手く塗料が乗るのかという不安がありますのであまりオススメはできません。
 
タバコ汚れと消臭相談ダイヤル
 

賃貸退去前の清掃と消臭もまごのてにどうぞ

今回はタバコによる壁紙汚れについての対処法をお知らせしましたが、もし退去前にヤニ取り清掃や消臭をご希望であれば私たちまごのてにご相談ください。まごのては言わずと知れた汚部屋ハウスクリーニングの専門業者ですので安心してお任せいただけると思います。

また今回の記事は法的な見地からの解説を盛り込みましたが、まごのては不動産業者としての側面もありますので賃貸住宅の管理運営からの視点でも解説いたしました。

タバコに関する退去トラブルは必ず起きるとは限りませんが、昨今のタバコや喫煙者に対する風当たりはひじょうに強いのでトラブルを誘発しないよう対策をしておくことは良いと思いますし、退去前にやるべきことが明確になったのではと考えます。

株式会社まごのてはタバコトラブル以外でもゴミ屋敷孤独死が起きた部屋でも的確なアドバイスができなおかつ実践的な対応もできる清掃会社ですので何かの時にはきっとお役に立てるはずですのでどうぞ覚えておいてください。

ゴミ屋敷や汚部屋のLINEお手軽見積もりはこちら
記事執筆:

株式会社まごのて 代表取締役
佐々木久史

ゴミ屋敷のことはなんでも私に聞いてください、各自治体のゴミ屋敷条例制定の際の意見交換参加実績、在宅医学会や高齢者虐待防止学会での登壇実績もあり真の専門家として高い評価を得ています。


セルフネグレクトとゴミ屋敷の関係を研究している東邦大学保健衛生学教授である岸恵美子先生とは情報交換を盛んに行いゴミ屋敷の現実的な問題を私から提供し岸教授が学術的に分析し世に提供しその論文等には佐々木久史の名前が付されるものも多い。

  • instagram
  • youtube

ゴミ屋敷の真の専門家にお気軽にご相談ください。