特殊清掃コラム

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2025.03.16

孤独死部屋の特殊清掃費用を支払べき人と優先順位

部屋で孤独死(病死)や自殺があった場合その部屋を回復させるための費用は誰が支払うのかというシンプルな問題を記事化します。引越しなどで部屋を退去する場合であれば本人がすべきことというのは誰もが理解できると思いますが、本人が死亡している場合は責任の所在がどこにあるのか?という根本的なところから知る必要がありますので記事にしました。

孤独死の後始末の責任の所在や支払い義務については意外と知らない人が多く、また法律論と感情論が入り混じることが多い領域ですので実例を交えながらわかりやすく解説したいと思います。

孤独死の原状回復や後始末をすべき人

孤独死が起きた際に関わる人物は三者
賃貸住宅の場合もし孤独死などが起きた際に関わる人物は三者です(二者の場合もあり)そして特殊清掃を始めとした費用の負担義務が生じるのも三者です。その三者とはどんな立場なのかをわかりやすく説明いたします。
 
相続人 配偶者と子、いない場合は直系尊属や兄弟姉妹
連帯保証人 物件契約期間中ずっと有効
物件オーナー 賃貸物件の所有者

概ねこの三者が関わります。相続人であり連帯保証人でもあるという場合も少なくありませんが立場がまったく違うので同一人物であっても一応三者と考えます。そしてもし孤独死などが起き後始末をしなければいけないとなった場合の責任の所在と費用を払う人は相続人もしくは連帯保証人となります。この記事では更にそれぞれの立場と役目をしっかり深掘っていきたいと思います。


特殊清掃費用の支払い負担
特殊清掃費用を支払うべき人
 
特殊清掃費は誰が支払う
連帯保証人の責務
 
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相続人にお金が無いとき
 

孤独死の後始末をすべき第一順位は法定相続人

まず孤独死の後始末をしなければいけない人で最も優先順位が高いのは法定相続人です。亡くなった故人から見て配偶者や子ども、兄弟などがその立場となり故人の財産や負債権利義務まで一切合切を引き継ぎます。法律の世界では相続人は本人という概念がありますので相続人=本人となり部屋を原状回復して引渡すという義務が生じます。

現実的には疎遠になってることが多く、被相続人(故人)も資力もなく財産もないということが多いので相続放棄をして一切の責任から逃れる方が多いです。
 
相続放棄は最後の手段
相続放棄は国が認めたウルトラC
特殊清掃を始めとした孤独死後の後始末は大きなお金がかかります。しかも孤独死は予定して起こるものではありませんので、急に大きなお金が用意できないことも当然あります。いくら身内が亡くなったと言えど自分に対する実入りが期待できないのに後始末の費用だけ出ていくのでは割に合わないと考える人がいたとしても不思議ではありません。

そんな場合は相続人だけに認められたウルトラCである相続放棄があり、相続放棄をすれば本来引き継がなければいけない財産や負債、権利義務つまり部屋の原状回復義務まですべてを免れることができます。

ただし相続放棄は自身に相続権があることを知った時から三ヶ月以内に家裁に申し立てなければいけないのと、特殊清掃を少しでも手掛けたり部屋にあった金銭を少しでも自分の物にしてしまうと単純承認したと見做されることがありますので注意が必要です。

人道的見地から相続放棄前提で特殊清掃だけ実施

数年前に相続放棄はする予定だけど特殊清掃はしてほしいというご依頼を受けたことがあります。詳しく話を聞いてみると別れたご主人が孤独死状態で発見され娘さんの元に連絡がきたというものでした。娘さんは法定相続人ですので相続権は有するのですが父親の記憶もないし感情もないので相続は放棄するとなったのです。

しかし大家さんからとりあえず今外に漏れてる臭いだけでもなんとかしてほしいと懇願されたため仕方なく最低限のことだけはしようと相談されたものでした。私たちからすれば大家さんがすべきこととも思うのですが元奥さんの意向でもあるので大家さんには今後一切元奥さんと娘さんには何らかの負担を強いないことを約束し特殊清掃一次処理に着手したのです。

このように最低限のモラルとして極めて一部の作業だけご依頼されることは良くあります。​​​​​でも少しでも何かをやれば相続したと見做される心配があるのではと思いますが、そのあたりは問題ないそうで実際申し立て時にその事実が分かったとしても直ちに相続放棄不可とはならないということです。

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相続放棄予定でも特殊清掃だけはやることがある
 
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特殊清掃と原状回復費用を出す人第一順位は相続人
 

絶対に逃げることができない連帯保証人

法定相続人には相続放棄というウルトラCがあることをお伝えしましたが、次は連帯保証人についてです。賃貸契約の際に連帯保証人を付けることが通例で、昨今は保証会社プラス人的保証と付けることが大半です。

連帯保証人は相続人と同じく孤独死が起きた際の後始末をしなければいけない人なのですが相続放棄という手段が相続人にあるのに対し連帯保証人は一切逃げ道がなく最後まで責任が付いて回る性質のものです。

また相続人だけれども連帯保証人でもあるという場合も多くありますが、その場合は相続人としての立場は相続放棄により立場を失いますが連帯保証人としての立場は残りますのでご注意ください。別記事で相続放棄を申し出たご遺族が実は連帯保証人だったというエピソードがありますので興味のある方はご一読ください。
 
相続放棄した相続人は連帯保証人だった
 

賃貸住宅の連帯保証人は途中で変わることもできない!?

昔から連帯保証人にだけは絶対になるな!という格言のようなものがありますが賃貸住宅の連帯保証人だからと甘く見てると結構な額の負債を背負う可能性があります。実際孤独死が起きた際には特殊清掃を始め部屋が引渡せる状態にするのにはワンルーム程度でも100万円前後かかるのが通例ですし、その他経過賃料やもし家賃滞納などがあればそれらも一緒に背負うので責任は重大です。

昨今はワンルーム程度でも極度額300万円超の保証内容になっていますので、とてもじゃないが簡単に請けれるものではありません。では今連帯保証人になってる人が保証人を下りることができるのかですが、法的にはできなくもないと思いますが承諾されたという話はほとんど聞いたことがなく、加齢により法証人としての能力が無くなったとか死亡したという場合以外はほぼ認められないのが現状のようです。

もし賃貸住宅の保証人を頼まれたら主契約者との関係値にもよると思いますが、大きなリスクを負う可能性があることをしっかり認識してからなるようにしましょう。
 
賃貸住宅の連帯保証人
保証人と連帯保証人の違い
よく耳にする保証人と連帯保証人ですがどんな違いがあるか知らない方も多いと思いますのでここで明らかにしておきます。まず現在世間一般で使われてる「保証人」はほとんどが「連帯保証人」の扱いになってるはずです。では保証人と連帯保証人ではどれだけの差があるかですがまったく別物と考えて間違いいありません。

まず連帯保証人は債権者から請求があれば一切拒否ができません、一方保証人は拒否することもできます。また保証人は債権者から請求を受けた際に「債務者に言え」と言えますが連帯保証人はできません、また主債務者が逃げていない場合でも保証人だと「探せ」と言えますが連帯保証人は一切何も言えません(検索の抗弁権と催告の抗弁権と言います)

したがって孤独死が起きた部屋の特殊清掃や原状回復に於いて連帯保証人は相続人よりも強力な責任を負っていますので、もし自分自身が保証している方が部屋で亡くなった場合は相当な覚悟をもって取り掛かる必要があります。

孤独死が起きた部屋の原状回復での大家さんの立場

次に物件オーナーの立ち位置をお伝えします。上記の流れを見ると孤独死などが起きた際には相続人や連帯保証人がすべてをするので大家さんの出る幕はないように見えますが、実際はなかなかそうはならず、まごのてでも特殊清掃依頼全体の20%程度は大家さんが費用負担をするものです。

どんな場合に大家さんが費用を負担しなければいけないかとですが大きくは3つあります。

1.借家人賠償もオーナー側保険も掛けていなかった
2.連帯保証人がいない、または居るけど資力がない
3.相続人がいない、居ても資力がないか相続放棄された


つまり特殊清掃を始めとした原状回復にかかる費用の出元が一切ない状態の場合は物件オーナーが身銭を切ってなんとかするしかありません。今の時代いくら人的保証(連帯保証人)を取っていたとしても資力まではわからず、無い袖は振れないとばかりに開き直られたらどうしようもないというのが現実ですので、そうならないためにも必ず孤独死対応型の保険には入っておくようにしましょう。

賃貸経営はリスクヘッジが大事

 

特殊清掃ができず塩漬け物件爆増中の理由

現在東京近辺のマンションで特殊清掃もできず、家財すら撤去していないマンションが爆増しています。特に少し古めのワンルームで立地だけは良いという物件にその傾向が強いです。

私の知る限り直近の三年間だけ見ても20件近くの部屋が最低限の処理だけして後は手つかずとなっています。その背景は簡単でマンション投資ブームに乗せられたいわゆる素人のサラリーマン大家さんが何のリスクヘッジもせず賃貸運営をしているからです。知識と経験がないから属性も考えず入居させる、連帯保証人すら付けず保険も掛けていないという物件がひじょうに多いのです。

この手の物件はだいたいが高値掴みをしているので月々のローンを払えば家賃の大半が吹っ飛びもし部屋で何かが起こればたちまち手出しという綱渡りの運営状態であることが多く、もし孤独死などが起き賃借人側で何もされなかった場合100万円前後の支出となるのですからたちまち立ち行かなくなるのです。

まごのてにも何件も買取打診がありますが査定額とローンの残債の差がありすぎてどうすることもできないものばかりで売ることもできない、原状回復費も出せない、原状回復もできないので当然家賃収入もないという二重苦三重苦の大家さんがひじょうに多いのです。

やはり賃貸運営をする限りはあらゆるリスクを見越して二重三重の対策を施さないと投資どころか凍死してしまいます。もし今後新たに不動産投資を始める方やすでに始めてるけど保険関係や連帯保証人の確認をしていないオーナーさんは今のうちに対策をしておくことをオススメします。

孤独死が起きたら東京近辺では機動力が高いまごのて

特殊清掃費用は誰が払うべきかということが最初から明らかであれば一段と処理が早くなります。経験上費用を誰が出すかで揉めてしまって初動が遅れるということも現実問題としてあります。

孤独死が発覚した際は言うまでもなく初動が大切で、特に周囲への臭い漏れで発覚した孤独死は1分でも早く何らかの処理をしなければいけません。1分でも早く何らかの手を打たなければいけないのにお金の面で躊躇しすべての処理が遅くなることが一番の損失ですので孤独死などが発覚したらすぐに行動しましょう。

まごのてでは入室環境を整えたり近隣対策のための特殊清掃一次処理を推奨しております。これは東京都内近辺であれば最短即日にお伺いし初期の清掃と消臭を行うというものです。今後やるべきことは山積みのですがまずは最悪の事態を脱してから順序良く進めましょうというものですので、お気軽にご相談ください。
 
孤独死の特殊清掃相談ダイヤル
 
記事執筆:

株式会社まごのて 代表取締役
佐々木久史

主に特殊清掃技術の開発や指導に注力しています。まごのては宅地建物取引業の免許を受けており私は専任の宅建士です、また賃管士資格を保有しており不動産取引関係には精通しています。 

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