事故物件買取コラム

事故物件対策
2024.05.30

【民法612条】無断転貸し転借人が孤独死し大トラブル!

無断転貸し転借人が孤独死
東京都内の賃貸マンションで物件オーナーに知らせずに転貸しその転貸されてる住人が孤独死したという事例です。元々の入口は父親が賃貸住宅で孤独死したという特殊清掃が入口から始まったものです。

ご遺族(息子さん)から特殊清掃の依頼を受け消臭が完了した際に、実は大家さんから莫大な損害賠償を求められているという相談がありました。孤独死は病死であり故意過失ではないので原状回復義務(汚れと臭いがない状態)を果たせば良いとアドバイスをして終わりました。

ところが後日再度相談があり大家さんが転貸していたことを盾に取り強引に賠償請求を進めてるというのです。転貸していたことを初めて聞きましたが転貸していたらご遺族にほぼ勝ち目はないとお伝えしました。元々その部屋は息子さんが借りて住んでいたらしく結婚を機に父親が住むようになったということでした。また貸しを軽く考えていたために起きたと思いますが、賃貸の世界で転貸はご法度とされておりバレたら即契約解除というかなり厳しい決まり事なのです。
 
無断転貸で孤独死
賃貸借契約は信頼関係の上で成り立っている契約
部屋の賃貸借はお互いの信頼関係で成り立ちものです。いくら事前に審査してようが長い居住期間の中ではどんなことが起きるかわかりません。例えば部屋を借りてる人が突然仕事を失ったとしても入居時と状況が変わったからと追い出すようなことはしません。それが根底にある信頼関係というものです。

大家さんに断りもなく他の誰かに貸すというのは信頼関係が崩れる出来事のひとつで契約解除の理由になり得ます(信頼関係破壊の法理)今回のケースだと息子さんは体も元気でしっかり仕事をしてるから部屋を貸した、ではもしお父様からの入居申し込みだったら断った可能性もあります。この無断転貸については意外と軽く考えてる方が多いのですが賃貸の世界では完全なご法度であることを再度お伝えしておきます。
 

無断転貸で孤独死が起きると事件性を疑われる!?

又貸ししてる部屋で孤独死など死亡事案が起きたらどうなるかについてお知らせします。例として孤独死の例でお話ししますが、何らかの事情で発見が遅れ臭いなどで管理会社鳴り物件大家さんに連絡が入り警察が安否確認し死亡してることが発覚。当然管理会社も大家さんもその部屋の契約者が死亡したと考えます。

ところが本来の契約者は生きていて連絡も付く、そうなると部屋で死亡していたのは誰なんだ!?となり物件のオーナーや不動産会社からしたら縁も所縁もない他人が勝手に部屋で死んでいた、ということになり事件性が疑われてしまうことになり後の処理がひじょうに煩雑になってしまうのです。

まごのてでも直近5年間で無断転貸していた部屋で孤独死が起き、本人特定に時間がかかったり事件性が疑われたりし、特殊清掃に着手できないなどかなり難航しました。また本来の借主も大きな責任を負うことになり、もし借家人保険を掛けていたとしても本人ではないから適用されないなど大きな出費を余儀なくされることになります。
 
転貸で孤独死が起きると事件を疑われる
又貸しされていた人が部屋で自殺!
2018年の春ごろに東京都内のマンションで自殺があったけど警察の立入許可が出ない中で数度に渡り消臭作業に伺ったことがあります。事件性ありで捜査中ということでしたけど近隣に臭い漏れを起こしてることから警察官立会で簡易消臭をやったのです。

どうしてここまで難航したのか?理由がちゃんとありました。普通誰かに又貸しする時って親族やかなり仲の良い友達など少なくとも知らない相手に貸すことはありません。ところがこの部屋の元の借主は海外出張中の2年間限定で住んで家賃を払ってる人をジモティで募集したのです。しかも初期費用なしという触れ込みで通常の家賃に2万円程度上乗せして貸していたそうです。

本来の賃借人と縁も所縁もない転貸人の関係性が良くわからない、実際亡くなった転貸人も家族関係など一切不明となれば当然事件の可能性も浮上するわけです。聞くところによるとこのような転貸はたまにあるということは最近耳にしますが絶対にやってはいけません。
 

事故物件を安く借りて転貸し利益を上げる猛者

上記事例のように家賃の安い部屋を借りて転貸して利益を得るということをやってる者がいるというのはTwitterでも発信されてますし、実際耳にすることもあります。どうやら告知ありで家賃が低めに設定されてるところを狙い借りて転貸するということをやる猛者もいるようです。

転貸という形は違法でもなんでもなく素人のオーナーさんにアパートを建てさせ一括借り上げをして転貸するサブリース業もありますし賃貸のスキームとしては良くあることです。ところが素人さんがこれをやると宅建業法違反でもありますが、もし転貸人が何かを起こしたら全部自分の身に降りかかることを忘れないでください。

市場価格8万円の家賃のところを告知ありで5万円で借り、7万円で貸せば2万円利益で10部屋やれば20万円の不労所得!みたいな情報も見たことがありますが、自分でアパートやマンションを所有し運用してる大家さんですらたいして利益が出ないのにそんな甘いものはありません。
 
ゴミ屋敷では転貸が多い!?
ゴミ屋敷の世界では多い無断転貸!?
少し余談になりますがゴミ屋敷の世界では転貸が多く行われています。これは実際本当に又貸しされてるのではなく言葉の上だけのことです。ゴミ屋敷のお片付け依頼のお客様が良く言うのは「友達に貸してたらゴミ屋敷にされた」「姉に部屋を貸してたら汚部屋になった」というのが多く、もちろん嘘で恥ずかしさを隠すための方便です。

こんな話を聞くと実は転貸はよくされており珍しいことではないと思うかもしれませんが、賃貸で借りてる部屋をたとえ身内と言えど貸すことなんてほぼないと思うのです。ただし火事や被災で住む家を失った人を一時的に住まわせることはあると思いますがその際でも必ず届けて了承を得てからでないといけません。

ゴミ屋敷住人が恥ずかしいからと嘘を言ってお片付け依頼をした事例をご紹介した記事がありますので興味のある方はご一読ください。
 

無断転貸は百害あって一利なし!絶対にやめましょう

無断で賃貸の部屋を又貸しすることは相当のリスクがあるので絶対にやめましょう。転貸人が普通に暮らしていたとしてもバレたら強制退去の可能性すらあるのにもし部屋で死亡するようなことがあれば一大事で精神的にも大打撃、金銭的にも大打撃となってしまいますので絶対にやめましょう。

もしやむを得ない事情がある場合はたとえ短期間だとしても不動産会社や大家さんに相談し了承を得てからでないといけません(了承されない可能性のほうが高い)賃貸契約はあくまでも契約者本人との信頼関係を基礎とした契約ですから軽く考えてはいけないですし、ましてや利益を出すための転貸などもっての他ですから絶対にやめましょう。

孤独死部屋を完全再生いたします

孤独死や自殺があった部屋の再生はまごのてにお任せください

株式会社まごのては孤独死などの特殊清掃を主とした清掃会社で宅建業免許も保有する会社です。孤独死などでいわゆる心理的瑕疵のある部屋でも再生してきた実績が豊富にあります。汚れと臭いを完全に取る技術はもちろん告知事項があっても家賃を下げない部屋作りのご提案も行っていますので所有する部屋で事故が起きお困りのオーナーさんはお気軽にご相談ください。

また不動産会社や建物管理会社の担当者さん向けの孤独死が起きた部屋の対応マニュアルを無料で配布しています。孤独死発生から特殊清掃そしてリフォーム完了までの一連の流れと手順をまとめたもので、PDFで30ページに及ぶもので実体験から得た完全原状回復マニュアルです。Twitter経由で100部以上配布した実績があります。

不動産業者さん限定ですので一般の方や特殊清掃業者さんには配布できません、配布にあたっては免許番号と会社名と担当者名そして電話番号を必ず明記してください(携帯不可)こちらから電話確認後に送付いたします。

孤独死対応マニュアルのお申込み
記事執筆:

株式会社まごのて 代表取締役
佐々木久史

主に特殊清掃技術の開発や指導に注力しています。まごのては宅地建物取引業の免許を受けており私は専任の宅建士です、また賃管士資格を保有しており不動産取引関係には精通しています。 

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