ゴミ屋敷片付けコラム

実例紹介
2026.08.18

賃貸のゴミ屋敷で住み続けたい|先に止める5つの実害

賃貸住宅は様々な法律で縛られてます

賃貸の部屋がゴミ屋敷状態になっていても、今すぐ退去したいとは限りません。仕事や家族、家賃、通勤などを考えると、できればこのまま住み続けたいという方もいます。

そのとき、最初から部屋全体を完璧に片付けようとすると、物量の多さに止まりやすくなります。住み続けるために先に見るべきなのは、ゴミの量ではなく、建物や他の入居者へ影響が広がっている場所です。

この記事は「管理会社に隠す方法」ではありません
におい、害虫、漏水、設備点検の支障、床や壁への影響など、放置すると自分の部屋だけでは済まなくなる要素を先に止めます。部屋全体の完成より、まず実害を小さくする。それが居住継続を考えるときの最初の整理です。

現行記事は民法621条や退去費用を広く扱っていましたが、退去が決まった人の対応はID299、契約解除・是正要求を受けた後の対応は別記事へ分けます。この記事では、まだ住んでいる段階で何を先に止めるかだけに集中します。

住み続けたいなら「全部片付ける」より、外へ広がる問題を先に止める

ゴミ屋敷片付けというと、床一面の物を全部なくすことがゴールに見えます。しかし賃貸で住み続けたい場合、優先順位は少し違います。

たとえば、衣類や紙類が多くても、においが外へ出ず、水回りが使えて、設備点検の動線が確保されている状態と、物量は少なくても漏水や害虫が他室へ広がっている状態では、先に対処すべき場所が違います。

片付けの順番を「量」ではなく「外へ広がるか」で決める
室内だけに留まっている問題より、共用部・隣室・階下・建物設備へ影響が広がる問題を先に止めます。これは見た目を整える順番ではなく、住み続けるための作業順です。

先に止めたい5つの実害|におい・害虫・水回り・点検動線・建物への影響

優先して確認したいのは、次の5つです。どれか一つでも外へ影響が広がっている場合は、部屋全体の片付けより先にそこへ人と時間を使います。

1 におい
生ごみ、飲み残し、排水、ペット由来などのにおいが玄関・廊下・隣室へ出ると、自室だけの問題ではなくなります。
最初にすること:原因になっている物や水分を絞り、撤去・洗浄する。
2 害虫
室内で発生した小バエやゴキブリ等が共用部や他室へ移動すると、周囲への影響が広がります。
最初にすること:殺虫剤だけで追わず、食品残渣・水分・排水まわりなど発生源を先に減らす。
3 水回り・漏水
排水の詰まり、床への水分、漏水の可能性は、階下や建物設備に影響することがあります。
最初にすること:シンク・浴室・洗面・トイレまでの動線を作り、使用可否と漏れを確認する。
4 点検・修理の動線
消防設備や水道、電気、設備修理で人が入る必要があるとき、玄関から対象箇所まで到達できないと確認自体が進みません。
最初にすること:部屋全体ではなく、玄関から点検対象までの最小動線を先に作る。
5 床・壁・設備への影響
食品由来の液体や湿気などが長く残ると、ゴミを出した後に床・壁際・設備側の確認が必要になることがあります。
最初にすること:影響が出やすい場所の上から物を外し、状態を見えるようにする。
賃貸住宅のゴミ屋敷状態を確認する現場資料
 

契約上の問題は「ゴミの高さ」より、実害と対応経過で考える

「ゴミが床から何センチ積もったら契約解除になるのか」という全国共通の数値基準があるわけではありません。実際の問題は、契約内容と個別事情を踏まえて判断されます。

不動産適正取引推進機構が紹介している裁判例では、貸室内への大量のゴミ放置だけではなく、他の入居者から苦情が出る異臭、火災警報器の確認・復旧ができない状態、漏水調査の拒否、管理会社からの繰り返しの連絡に対応しなかったことなどが重なった事案で、賃貸借契約の解除が認められています。

この裁判例から見るべきなのは「ゴミの高さ」ではありません
一つの裁判例がすべての賃貸契約にそのまま当てはまるわけではありません。ただ、単に部屋が散らかっていることより、建物保全・設備点検・他の入居者への影響・管理会社との対応経過が重要な判断材料になった事例として参考になります。

参考:不動産適正取引推進機構 RETIO No.119掲載の裁判例紹介

部屋全体より先に「点検・修理ができる動線」を作る

住み続けたい人にとって、現場で非常に重要なのが点検や修理を受け入れられる状態を先に作ることです。

消防設備点検、水漏れ確認、排水管作業、電気設備の修理などは、部屋全体が片付いていなくても、玄関から対象箇所までの動線があれば進められる場合があります。逆に、点検箇所へ到達できなければ、必要な確認が止まります。

予定されている確認 先に作る動線 片付ける優先範囲
消防設備点検 玄関→感知器・設備周辺 床の通路、設備の真下・周辺
漏水・水道確認 玄関→キッチン・洗面・浴室・トイレ 水回り前、配管・点検口周辺
電気・設備修理 玄関→対象設備 設備前の作業スペース
管理会社の室内確認 玄関→指摘された場所 指摘箇所と、その原因になっている範囲
「人を入れられないから連絡を無視する」を避ける
部屋全体を完成させてから点検を受けるのではなく、まず必要な動線だけを作る考え方があります。点検・修理の内容や入室条件は管理会社等へ確認してください。

管理会社から連絡が来たら「全部片付いてから返事」をしない

管理会社から連絡が来ると、「片付いてから返事をしよう」と考えてしまうことがあります。しかし、完成まで数週間かかるなら、その間ずっと返答がない状態になります。

この記事で勧めたいのは、法的な言い訳や交渉ではありません。受け取ったこと、何を確認されているか、いつまでにどこを改善する予定かを整理し、対応を止めないことです。

・通知・メール・電話で、何を問題として指摘されているか確認する
・点検日や確認期限があるか確認する
・におい・害虫・漏水など、指摘内容と関係する場所から着手する
・業者を入れる場合は、作業予定日と対象範囲を整理する
・作業前後の状態を記録し、改善した範囲を説明できるようにする
不動産会社から相談が始まった実例 賃貸ゴミ屋敷を不動産会社から相談|本人同意で片付けた実例 近隣への影響をきっかけに不動産会社から相談を受け、入居者本人へ直接意思を確認。現地で作業範囲と料金を確定し、支払方法まで整理して作業へ進んだ実例です。 すでに契約解除・期限付き是正要求の通知を受けている方へ 通知への返答や法的な段階を含む初動は、この記事ではなく契約解除対応の記事で整理しています。
全部を終わらせる前に、実害を止める順番を整理する

におい・害虫・水回り・点検予定・共用部への影響など、分かる範囲から優先順位を整理できます。

受付時間 6:30~21:00|休業日あり|LINEは内容確認後に順次ご案内します

自力か業者かは「ゴミの量」より、実害が進む速さで判断する

自力で続けるか、業者を入れるかを、ゴミ袋の数だけで判断する必要はありません。見るのは、時間をかけている間に実害が広がるかどうかです。

状態 自力で進めやすい条件 早めに外部作業を検討したい条件
物量 紙・衣類など乾いた物が中心で、生活動線を少しずつ作れる 玄関や水回りまで塞がれ、点検・修理へ進めない
におい 室内に留まり、原因が分かっている 共用部・隣室へ出ている、原因が絞れない
害虫 少数で、食品残渣等の発生源を自分で撤去できる 発生が続き、他室や共用部への影響が疑われる
水回り 通常使用でき、漏水の兆候がない 詰まり・漏れ・使用不能がある
期限 点検等まで時間があり、毎日作業できる 点検・修理・管理会社確認の日付が近い
自力で片付ける場合の順番はこちら 実害が広がっておらず、自分で進められる場合は、自力片付けの記事で作業順を確認できます。

作業後は「きれいになった写真」より、改善した場所を記録する

作業をした後は、部屋をきれいに見せるためだけに写真を撮るのではなく、何を改善したかを説明できる記録として残します。

・玄関から点検箇所までの動線
・水回りを使えるようにした状態
・においや害虫の原因物を撤去した場所
・共用部にはみ出していた物を室内へ戻した状態
・床・壁際など、物を外して確認できるようになった場所

写真や作業報告があるから契約上の問題が解決すると断定はできません。ただ、何をいつ改善したかを自分でも整理でき、管理会社等へ現在の状態を説明しやすくなります。

民法621条は「今すぐ片付ける順番」を決める条文ではありません

民法621条は、退去時の原状回復義務について、通常の使用・収益による損耗や経年変化を除く考え方を定めています。国土交通省のガイドラインも、通常損耗・経年変化と、故意・過失・善管注意義務違反等による損耗を分けています。

ただし、この記事の段階で優先したいのは「将来どちらの負担になるか」を決めることではありません。いま進んでいるにおい・害虫・漏水・設備点検の支障などを止めることです。法的な負担割合は、退去時の状態、契約内容、個別事情をもとに別に確認します。

まごのてができること/できないこと
できること:片付け、清掃、点検動線づくり、作業前後の記録、現場の状態整理。
できないこと:契約解除の可否、原状回復費の法的負担割合、特約の有効性を決めること、法律交渉の代理。必要に応じて弁護士等の専門家へ確認してください。

参考:国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」 / 東京都「賃貸住宅トラブル防止ガイドライン」

退去が決まったら、次は「部屋を空にする」記事へ 住み続ける段階ではなく退去が決まった場合は、家財撤去→清掃→記録→管理会社確認の順番へ切り替えます。

対応地域|点検予定と建物条件を一緒に確認します

まごのてでは、東京都・千葉県・神奈川県・埼玉県を中心に、賃貸住宅のゴミ屋敷片付け、生活動線づくり、水回り周辺の整理、床や水回りの清掃などを相談できます。茨城県・栃木県・群馬県・山梨県の一部地域は、条件を確認したうえで対応可否をご案内します。

対応可否は地域名だけでなく、建物の階数、エレベーター、共用廊下、駐車位置、点検予定、水回りの使用可否、におい・害虫の状況などで変わります。管理会社や設備業者の入室予定がある場合は、その日付と確認場所も一緒に伝えてください。

点検日・確認日が近い方へ|急ぎの片付けの進め方 消防設備点検、管理会社確認、退去日など具体的な日付が迫っている場合の段取りはこちらです。

よくある質問

Q.賃貸のゴミ屋敷でも、そのまま住み続けることはできますか?
ゴミ屋敷という呼び方だけで一律に判断することはできません。契約内容や個別事情によります。住み続けたい場合は、におい・害虫・水回り・設備点検の支障など、建物や他の入居者へ影響する問題を先に止め、管理会社等からの連絡がある場合は内容を確認してください。
Q.部屋全体を片付けないと消防点検や修理は受けられませんか?
点検や修理の内容によります。部屋全体を片付けなくても、玄関から対象設備までの動線や作業スペースを確保することで確認へ進める場合があります。必要な範囲は管理会社や点検業者へ確認してください。
Q.管理会社に知られないように片付ける方法を教えてもらえますか?
この記事では隠す方法を案内していません。におい、害虫、漏水、点検の支障などがある場合は、建物や他の入居者へ影響が広がる前に原因を止め、必要な点検や修理を受けられる状態へ整えることを優先します。
Q.管理会社から連絡が来ていますが、部屋が片付くまで返事を待ってもよいですか?
内容や期限によりますが、片付けが終わるまで連絡を止めるのではなく、まず何を指摘されているか、期限があるかを確認してください。すでに契約解除や期限付きの是正要求が出ている場合は、法的な判断を含めて別途確認が必要です。
Q.ゴミの量が少なければ自分で片付けても大丈夫ですか?
物量だけでなく、実害が進んでいるかで判断してください。においが外へ出ている、害虫が広がっている、水回りが使えない、漏水の可能性がある、点検日が迫っている場合は、量が少なくても優先対応が必要になることがあります。
Q.まごのては契約解除を止めたり、管理会社と交渉できますか?
契約解除の可否を判断したり、法律交渉を代理したりすることはできません。まごのてでは、片付け・清掃・点検動線づくり・作業前後の記録など、現場側で改善できる部分を整理します。法的な争いがある場合は、必要に応じて弁護士等の専門家へ確認してください。
賃貸で住み続けるために、先に止める場所を整理したい方へ

部屋全体を一度に完成させるのではなく、におい・害虫・水回り・点検動線・床や壁への影響など、外へ広がる問題から順番を整理します。契約や法律の判断ではなく、現場側で改善できることからご相談ください。

受付時間 6:30~21:00|休業日あり
LINEは内容を確認後、順次ご案内します。
記事執筆:

株式会社まごのて 代表取締役
佐々木久史

主に特殊清掃技術の開発や現場指導に注力しています。
孤独死・自殺・ゴミ屋敷・事故物件など、他社が断るような現場でも創業以来施工不能となった現場は一つもありません。

宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士の資格((東京)第277343号)を保有しており、清掃・消臭の技術判断と「どう再生すれば資産価値を回復できるか」の不動産判断を同時に行える点が他の特殊清掃業者との最大の違いです。

日本在宅医学会・高齢者虐待防止学会での登壇実績、各行政区のゴミ屋敷条例意見交換会への出席など学術・行政の両面から現場の専門家としての地位を確立しています。

東邦大学保健衛生学部・岸恵美子教授(セルフネグレクト・ ゴミ屋敷研究の第一人者)と、現場データの共同研究を継続。 複数の学術論文に共同執筆者として名前が掲載されており、 現場実務者として学術分野での評価も確立しています。

東洋経済:ゴミ屋敷に商機を見出した男の波乱万丈人生
理念と経営:逆境の時ほど爪を研げ

株式会社まごのて
東京都江戸川区北葛西3-5-6
インボイス適格事業者登録番号:T1011701018023
宅地建物取引業:東京都知事(1) 109168
産業廃棄物収集運搬業:01300191644(株式会社MG)
宅地建物取引士 賃貸不動産経営管理士 創業15年・施工不能ゼロ 学術登壇実績あり
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ゴミ屋敷の状態がどれだけひどくても、お断りした現場は15年間一度もありません。恥ずかしがらず、現状をそのままお話しください。