ゴミ屋敷片付けコラム

実例紹介
2024.02.13

世間を騒がした有名大型ゴミ屋敷|警察・行政・テレビ局介入

世間を騒がした大型ゴミ屋敷|警察・行政・テレビ局介入
以前はよくテレビでゴミ屋敷のことが取り上げられ、問題となってるゴミ屋敷を直撃取材をしたり、ごみ屋敷に住む住人を迷惑おじさんという切り口で半ばおもしろおかしく報道されていることが良くありました。

そんな中あるテレビの報道番組から東京都内のあるゴミ屋敷の取材をしているが同行してお片付けが成立するまでを撮らせてほしいという依頼がありました、ゴミ屋敷住人そのものがお片付けを希望してるのではないのに、片付け成立がどうのと趣旨が良くわからなかったのでその企画は没案となったのですが、何故か3年間もこのゴミ屋敷と深くかかわることになったのです。

今回の記事はあるゴミ屋敷住人と過ごした濃密な体験談をお話ししたいと思います。※なお文中の地域や写真は本物ではありません。
 
高級住宅地のゴミ屋敷
高級住宅地にそびえるゴミ御殿
東京都内でも一等地と呼ばれる地域にそのゴミ屋敷はありました。おそらく坪単価は300万円~400万円はする場所で普通に暮らす人には到底家を建てることなど出来ない地域です。

そんな瀟洒な一等地にゴミ屋敷などあるのかと最初は半信半疑でしたが実際に見てみると今まで見たこともない立派なゴミ屋敷でした。敷地の真ん中に建つ洋風の家は蔦に覆われておりそれだけでもレトロ好きな私は魅入ってしまいました。

そんな美しい洋館には似つかわしくないゴミ山が洋館の下部を埋め尽くし開きっぱなしの玄関からはゴミが雪崩のように流れており裏に回れば異臭まで漂うという超ド級のゴミ屋敷だったのです。

テレビの企画は没になったけど以後深くかかわるなんてその時は微塵も考えていませんでしたが、私のゴミ屋敷人生を変えるものになったのは間違いない家です。
 

自治会長と警察からゴミ屋敷お片付け相談を受ける

ある日テレビ局を通じて例の高級住宅地のゴミ屋敷の件で相談があるとその地域の自治会長と警察の人が来社されました。

自治会長はわかるけど警察が介入するのはどうしてかと少し身構えてしまいましたが、このゴミ屋敷を巡っては各方面から相談と苦情が寄せられており、中でも子どもの通学路を変更しなければいけないという事態にもなってるというのです。

まず道路にまで木が茂ってるから危険であるということ、そしてこのゴミ屋敷に住んでる人がどうも不気味だということだったのです、ただ不気味だというだけで実際何かをするとか奇声を発する等の行為はなかったようです。

一番の懸念は東京屈指の高級住宅地にゴミ屋敷があることで街全体のイメージが損なわれる、そして資産価値そのものが下がるのではないかというのが近隣住人の心配事ということでした。

そして私にいったい何をしろというのかを尋ねると、片付けることを納得させた上で片付けを実施してほしいというひじょうに難しいものだったのです。
 
画像の説明
お片付け実施には本人の許可が必要
このようにゴミ屋敷に住んでる人以外から相談を受けることは良くあります。この相談が身内からのものであればあまり問題ではないのですが、本人と無関係の第三者であれば事はそう簡単なものではありません。

今までも同じマンションの隣の人や管理人などから相談を受け、なんとか本人に片付けるように説得してほしいと言われることがありますが、そこに住む人の同意がないと片付けることは当然できません。

以前マンションごみ屋敷で共用部に出てるゴミや不用品を同意なく持って行ってほしいと依頼されたことがあります、確かに共用部ですから可能ではありますが、それとて催告期間を設けた上で実施しなければならずゴミ問題は意外と大変なことが多いのです。
ゴミ屋敷がある地域の土地価格
ゴミ屋敷がある地域の土地価格
巨大なゴミ屋敷があるとその周囲の土地価格は下がるのかという点について解説いたします。まず地域にゴミ屋敷があることによって告知事項になるのかていう点ですが、ごみ屋敷があることについては告知事項ではありません。

不動産取引における告知とは瑕疵などを正確に伝えてか買うとか借りるの判断をするために必要な内容ですから、人が亡くなった部屋であるとか周辺にゴミ処理施設やヤクザの事務所があるなどが対象です。

ただし告知事項ではないけど周知の事実であり、忌避感を感じるようなものである場合は当然告知したほうが無難で、売買の後にゴミ屋敷が近所にあるなら買わなかったというトラブルを未然に防ぐことが可能です。

この記事のように周辺住民が問題視するようなゴミ屋敷だとやはり告知はしたほうが良いのですが、その問題と地価の下落はまったく関係ないものです。株式会社まごのては自社で不動産免許を保有し、瑕疵のある物件やゴミ屋敷を現状有姿で買取ったりしています。
 

ゴミ屋敷の主と過ごした濃密な三年間

この相談から私とそのゴミ屋敷の主との三年間が始まるのですが、相談から対面するまでにおよそ半年かかり、そこから更に2年以上の歳月を経てやっと片付けることに至ったのですが、それはそれは文章でサラッと書けるほど簡単なものではありませんでした。

結果的には片付けることに同意し莫大なお片付け費用もポンと支払ってくれたのですが、その人にとっては良い選択だったのかどうかは今でもわかりません。
 
ゴミ屋敷住人は変人
ごみ屋敷に住む人は変人?
ゴミ屋敷に住んでる人は変わってるとか変人だという何の根拠もないイメージだけで物を言う人がたまにいますが実際はどうなんでしょうか?

私たちは日々ゴミ屋敷に住む人と接していますが、いわゆる変人とか頭がおかしい人は皆無です!このゴミ屋敷に住んでいた男性も警察が子どもたちに何かあったらと危惧してるような感じでしたが実際はそんな人ではありませんでした。ただやはり様子がわからないから奇妙に感じるという気持ちは理解できるものです。

以前はテレビやマスコミがこぞって迷惑な人というスタンスで報道したことがありましたが迷惑な人=変人ではないということはどうかご理解いただきたいところです。
 

ゴミ屋敷の主は普通のおじさん

私も他の業務があるので日参してというわけにはいきませんでしたが、その家の主と接触しようと試みて3~4回目のある日タイミングよくその家に入っていく男性を見かけました、直感的にその家の主であると確信し駆け寄っていったのです。

男性は「しつこい!」「何も話すことはない!」とどうやらテレビ取材だと思ったようですが、テレビではないことを伝え少しだけ話を聞いてほしいとお願いしました。男性は私の顔を数秒凝視し黙って家の中に入っていきました。

見た目は確かにキレイとは言えない格好ですが、歩き方やちょっとした所作はなんとなく「良い育ち」を感じさせるものでした、おそらくこの家に生まれたのであればお坊ちゃんであることは間違いなく、年齢も私と同じか少し下という感じでした。

何度目かに会った時やっと少し話せるようになってきて、なんとなくゴミ屋敷になっていった背景らしきものが見えてきました。年齢は当時50歳ちょっとで見た目はもう少し若く見えました、この家で生まれ育ちずっとこの町で暮らしていたそうです。

約20年前に相次いで両親を亡くし一人になってから暮らしが一変したと言います、男やもめの一人暮らしだから家が荒れたというわけでもなく複雑な心情と事情が絡み合ったものでした。

お坊ちゃんがゴミ屋敷になってしまった事情

何度か顔を合わせて話すうちになんとなくこの人のことがわかるようになってきました。まだ30代の頃に両親を亡くし兄弟もなくこの家にひとりになりました。昔から近所付き合いはそんなにしていなかった関係からこの男性は一気に疎外感を感じるようになったと言います。

高級住宅地ゆえの陰湿さと男性は表現しました、それでも近所の年寄りたちはどんどんいなくなり古くからの家は建て壊され周囲はマンションだらけになり、益々「取り残された」気持ちになったと言います。

そんな寂寥感を抱えながら暮らしており次に出た行動がゴミ収集だったのです。ゴミを拾い集めるという行動は奇異ですが、今までもたくさん出会ってきて年齢性別は様々でしたがみんな共通点がありました。

「寂しさ」「自己顕示」でした、俺はここに居るよ、だから見て!気づいて!という心理がゴミ収集に繋がっているのです。

何回も通い何か月もかかってやっと話せるようになりました、けっして打ち解けたという状況ではないにしろ「片付けませんか?」という問いにやっと頷いてくれたのです。
 
ゴミを集める心理
ゴミを拾い集める心理
ゴミを外から拾い集める収集癖とゴミや物を捨てることができない溜め込み症(ボーダー)は心理的には同じようなものかも知れません。どちらも寂しさを紛らわすために起きる行動と言われています。

高齢者に多いと書いてる記事がありますが、私が経験した中ですと年齢は関係ありません、外のゴミやガラクタを拾い集めるのは男性のほうが圧倒的に多く、この行動は狩猟本能が変化したものであるとも言われています。

ゴミやガラクタを集めるという行動が寂しさや不安を忘れさせ、家に物が溢れることで安心するという心理です。ゴミ屋敷の人に対して接する時はこのように背景を探った上で『指導』が必要なのか、それとも『支援』なのか、はたまた『強制』なのかを見極めないといけません。
 

巨大ゴミ屋敷片付け決行に際しての約束

気が付けば3年の月日が流れてやっとお片付け着手となったのですが、お片付けするに際して男性との固い約束がありました。

・テレビ撮影は入れない
・母の物は絶対に触れない捨てない


大まかにはこの2つさえ守ってくれれば良いということでした、とにかくテレビを毛嫌いしており、どうやら最初のアプローチがかなり強引だったようです。

こうしてやっとお片付けが実現することになり、心底ほっとしたものでした。

変な一体感が生まれたゴミ屋敷片付け現場

やっと3年間の苦労が実になってお片付け実行となりました。日程は5日間かけて進めたのですが、初日は遠巻きに見ているだけだった近隣住人も2日目以降はお茶の差し入れをしてくれたりトラックの出入りのための交通整理を手伝ってくれたりしました。

最終日には何故か当時の自治会長も作業着姿で現場に来て手伝おうとしていたのには笑ってしまいました、そして最後のトラックが出発し当初のゴミ御殿から古いながらも立派な家が姿を現した時にはあっちこっちでみんなで抱き合い握手をするシーンが繰り広げられました。

元ゴミ屋敷住人の男性も言葉こそ交わしませんでしたがみんなの前でペコリと頭を下げたのは印象的でした。

こうして私の三年間の戦いは終わったのですが、このエピソードはどこにも話していませんし公表もしていませんでしたが、つい最近(2023年)この家の近くを通ったら家の周囲が広範囲にバリケードで囲まれ何かの工事真っただ中でした。

もしかしたら最初にテレビ局が焚きつけたのはこのマンション建設計画を進めるためではなかったのか、ごみ屋敷があるから資産価値が下がると世論誘導しゴミ屋敷はけしからん!という風潮を作り出すためだったのかも知れないとちょっと悲しい気分になりました。
世間を騒がした有名大型ゴミ屋敷|警察・行政・テレビ局介入

【ゴミ屋敷の強制撤去】行政代執行についての解説

このゴミ屋敷解決までの道のりの中で行政代執行で片付けることができないかという案が自治会側から出たことがあります。行政代執行とは詳しく後述しますが、行政が強制的に片付けてしまうというものです。

このゴミ屋敷の場合は私有の敷地内で完結しているので当然適用外ですし、指導や勧告すらすることはできません、唯一やれるとすれば道にはみ出してる木ぐらいのもので何らかの強制力で片付けることは不可能でした。
 
ゴミ屋敷の行政代執行
ゴミ屋敷の行政代執行は「無料」お片付けではない!
行政代執行を無料で行政がゴミ屋敷を片付けてくれる制度だと思ってる方が居ますがまったく違います。まず「片付ける」という概念が違って行政代執行は「撤去」です。そして執行と名がついていますので強制的に有無を言わせず撤去されるのです。

行政代執行に至るまでには指導や勧告という過程を経るので、それらに従わない場合に執行されるのが行政代執行です、しかも無料ではなくキチンと後日請求されます。

同じく後述する「ゴミ屋敷条例」についても間違った情報があり、ゴミ屋敷を片付けるための行政側の無料支援と犯罪レベルの情報をバラまいてる記事もありますが、基本的に行政が個人宅を無料で片付けることは一切ありません(一部例外あり)
 

ゴミ屋敷の行政代執行とはなにか?

少しだけ行政代執行について触れてみたいと思います。たまに大執行と表記してる記事を見かけますが正しくは代執行です、代の字がついてますので「代わりに」という意味です、この場合は義務者に代わって行政が強制執行しますよ、という意味になります。

ではゴミ屋敷に関する行政代執行とはどんなものかですが、上記のように近隣に著しく迷惑をかけてるような場合に片付けてくださいねという命令が下されます。いきなり命令ではなく、まず通報があって、それに基づいて調査され、義務者(住人)に指導や勧告が行われます、そしてやっと命令となるのです。※命令まででも1~2年かかることもある。これが行政代執行です。
世間を騒がした有名大型ゴミ屋敷|警察・行政・テレビ局介入

ゴミ屋敷条例は行政代執行を止めるためのもの

上記の指導や勧告の部分に対して各自治体が制定しているいわゆるゴミ屋敷条例というもので補完していると考えるとわかりやすいです、要するに命令やその先にある氏名の公表や罰則、そして行政代執行に移行するまでに支援や指導を強化しましょうというものです。

このままゴミ屋敷が進行した場合、その家に住む本人の意向など関係なく執行されるのですが、その手前で支援や指導を挟むことにより、できるだけ自主的に片付けてもらいたいというのがゴミ屋敷条例で、機械的に処理するのではなく一種の「寄り添い」期間を設けるという施策は人間的ですし評価できると考えます。

それでも事が進展しない、ゴミ屋敷が解消されないとなると行政代執行で片付けられてしまいます。よく行政代執行はゴミ屋敷を公費で片付ける施策と思ってる人もいますが、ゴミ屋敷条例も行政代執行も公費で片付けるものではなく執行後はきちんと居住者や物件所有者に費用請求されます。

よく混同されますがいわゆる借金のカタや税金の未払いの際に家財を差押える動産の強制執行はまったく別物です、ゴミ屋敷片付け業者の情報には一緒くたに書いてることもありますが同じ強制執行でも全然違う性質のものです。

大規模ゴミ屋敷も確実に片付けるまごのて

もし勧告や指導までいってしまったゴミ屋敷のお片付けもまごのてにお任せください!私たちはゴミ屋敷を片付け続けて15年の実績がある専門業者ですので安心してお任せください。

この記事のゴミ屋敷のようにゴミ屋敷化するには様々な背景があります、その部分を見極め現場ごとにプランニングを行ったお片付けが提案できるのも実績があるからこそです。

まごのては単身用のワンルームアパートごみ屋敷から一軒家の大規模ゴミ屋敷まで確実にキレイにいたしますので是非ゴミ屋敷でお困りの方はお気軽にご相談ください。

ゴミ屋敷や汚部屋のLINEお手軽見積もりはこちら
記事執筆:

株式会社まごのて 取締役会長
佐々木薫

自らゴミ屋敷の片付けは天職と宣言し物理的な部屋の片付けというより依頼者の心の動きを読み取り根本から解決する能力に長けています、また持ち前の明るさとおせっかい精神からマスコミ取材実績も多く過去放送されたテレビ東京系「クロスロード」では歴代2位の視聴率をたたき出しました(1位はテニスの錦織圭)テレビ出演多数、テレビ東京クロスロードでは単独で特集され歴代2位の視聴率を獲得、おせっかいは世界を救うを地で行く自他ともに認めるおせっかい焼きでそのおかげで人生が変わったゴミ屋敷元住人多数、元客の結婚式に出席するほど信頼は厚い。

どの番組かは忘れたがロケ中に「おせっかいは世界を救う、世の中を変える」と放った言葉は後に小池百合子に真似されるほどの名言となった、事実名言ナビというサイトにも出典佐々木薫とあるほどです。

  • instagram
  • youtube
  • twitter
  • ameba

ゴミ屋敷や遺品整理のことなら私にお任せください