特殊清掃コラム

特殊清掃とは
2026.08.01

オゾン万能説は誤りです|特殊清掃の消臭は機械より汚染源の撤去・洗浄で決まる

特殊清掃の「機材力」とオゾンの真実

「業務用のオゾン発生器を使います」「高濃度で数日間稼働させます」「最新機種なので建材を外さなくても大丈夫です」。特殊清掃の説明で、こうした言葉を聞くことがあります。

機械の性能や稼働時間は、作業計画を決める要素の一つです。しかし、それだけでは、においの原因まで処置できるかは判断できません。発見まで時間が経過した室内では、においの原因となる成分が空気中だけでなく、床材、巾木、下地、家財などに残っていることがあるためです。

オゾンを使用する前に、どこを確認し、何を取り除き、どこまで洗浄・乾燥したのか。使用後に、どの条件で換気し、いつ再確認するのか。特殊清掃の消臭は、この前後工程まで説明されて初めて比較できます。

この記事からわかること
オゾンでできることと、代わりにならない作業
使用前に必要な撤去・洗浄・乾燥
人・動物・周辺への安全管理
オゾン特有のにおいが抜けた後の再確認
見積書で前後工程と完了条件を見る方法
結論:オゾン発生器を何日置くかより、置く前に何を処置し、置いた後に何を確認するかが重要です。
あわせて確認

結論|オゾンは消臭工程の一部であり、撤去・洗浄の代わりにはなりません

オゾンには強い酸化作用があり、条件によって空間や表面に残る一部のにおい成分へ作用します。特殊清掃で使用すること自体が誤りなのではありません。

問題は、オゾンを「原因箇所を確認しなくても、機械を置けば解決する方法」として説明することです。床材の下、巾木の裏、壁際、家財、下地などに原因が残っている場合、空間へオゾンを発生させても、その物を室外へ運び出したり、付着した成分を洗い流したりすることはできません。
 

よくある説明 確認すべきこと
業務用だから消える 使用前に、原因箇所をどこまで確認・処置するか
高濃度だから効果が高い 室内容積、対象物、安全管理、換気、再入室条件
長時間回すから奥まで届く 建材の内部や裏側に原因が残っていないか
オゾン特有のにおいがするから効いている オゾン特有のにおいが抜けた後も、元のにおいが戻らないか
最新機種なので建材を外さなくてよい 残す建材と外す建材を、どの確認結果で分けたか
判断の基準:機械の名称、価格、発生量、台数は補足情報です。中心になるのは、原因箇所への処置と、使用後の再確認です。

オゾンでできることと、オゾンでは代わりにならない作業

オゾンは、空間に残る一部のにおい成分へ働きかけるために使われます。一方で、物理的に残っている物や、建材へ入り込んだ原因を取り除く機械ではありません。
 

オゾンを使う目的になり得るもの オゾンでは代わりにならない作業
原因箇所を処置した後、空間に残るにおいへの補助 影響を受けた布団・衣類・家財の梱包、撤去、分別
洗浄後の室内で行う仕上げ工程 床材・巾木・畳・壁際・下地の確認
対象、容積、時間を定めた無人空間での処置 必要な範囲の部分撤去、洗浄、乾燥
換気と再確認を前提にした補助工程 原因箇所の特定そのもの、施工範囲の判断
特殊清掃で使用する業務用オゾン発生器

特殊清掃で使用するオゾン発生器。機器の出力だけで施工品質は決まりません。使用前の原因確認、撤去・洗浄・乾燥、安全管理、換気、再確認と組み合わせます。

「出力・台数・稼働時間」だけでは、施工内容を比較できません

発生量や台数を説明すること自体に問題はありません。ただし、その数値が、対象となる部屋の容積、においの種類、室内の物量、密閉状態、換気条件、使用目的と結び付いていなければ、依頼者は妥当性を判断できません。

同じ機械を同じ時間使用しても、原因となる物が残っている部屋と、撤去・洗浄・乾燥を終えた部屋では、前提が異なります。「大型機を二台」「一週間稼働」といった説明は、前工程と完了確認が示されて初めて意味を持ちます。

機器説明と一緒に確認する情報
  • ・ オゾンを使う目的
  • ・ 対象となる部屋と室内容積
  • ・ 使用前に撤去・洗浄・乾燥した範囲
  • ・ 人、動物、第三者の立入りを防ぐ方法
  • ・ 停止後の換気方法と再入室の判断
  • ・ オゾン特有のにおいが抜けた後の再確認方法

オゾンを使う前に必要な5つの工程

特殊清掃の消臭は、オゾンを最初に稼働させるところから始まりません。現場ごとに順序は変わりますが、基本は原因箇所への処置を先に組み立てます。

1
原因箇所を確認
亡くなられた場所の周辺だけでなく、床の継ぎ目、巾木、壁際、家財下、収納、隣室との境などを分けて見ます。
2
残す物と外す物を判断
広く壊すのではなく、確認結果に応じて必要な範囲を決めます。家財も、保管・洗浄・撤去を分けます。
3
洗浄
表面を覆うのではなく、においの原因となる成分を対象に、建材や下地の状態に合わせて処置します。
4
乾燥と再確認
濡れた状態や薬剤のにおいが残る状態では判断を急がず、乾燥後に場所ごとの差を確認します。
5
必要に応じてオゾン
前工程を終えた後、目的、容積、時間、安全管理を定め、空間に残るにおいへの補助として使います。
床材と巾木を外して影響範囲を確認している現場

床材や巾木の裏まで確認した例。オゾンを稼働させても、建材の裏に残った原因が自動的に取り除かれるわけではありません。外す範囲は、現場の確認結果に基づいて判断します。

「オゾンだけかけてほしい」と相談されたとき、先に確認すること

機械を置くだけで済むなら、家財の移動や建材確認より負担が少なく見えます。そのため、「オゾンだけをお願いしたい」という相談があるのは自然なことです。

ただし、オゾンだけで対応できるかは、相談時点では決められません。においの原因が空気中に残る成分だけなのか、床材・巾木・壁際・布類・家財・下地にも残っているのかを確認する必要があります。

オゾンだけでよいか判断する前の確認
  • ・ においを強く感じる場所と条件はどこか
  • ・ 床材、畳、巾木、壁際、家財の下に影響がないか
  • ・ すでに撤去・洗浄した範囲はどこか
  • ・ 洗浄後に乾燥時間を取っているか
  • ・ 以前のオゾン施工後、いつ、どの条件でにおいが戻ったか

この確認をせずに「機械だけ追加する」と、原因が残ったまま時間と費用を重ねる可能性があります。反対に、確認の結果、広い撤去が不要と判断できる場合もあります。重要なのは、最初からオゾンだけ、または解体だけに決めないことです。

高濃度で使用するほど、安全管理と再入室条件の説明が必要です

オゾンは、人が吸い込むことを前提に室内へ出すものではありません。米国環境保護庁(EPA)は、オゾンが呼吸器へ影響を与える可能性、室内の物質と反応して刺激性のある副生成物を生じ得ること、ゴムや電線被覆、布類など一部の材料へ影響する可能性を説明しています。

そのため、特殊清掃で使用する場合は、「高濃度だから効く」という説明だけでなく、その条件をどう管理するかが必要です。
 

安全管理の項目 確認する内容
無人化 稼働中は人・動物を入室させない。第三者が入らないよう管理する。
周辺確認 隣室、共用部、換気設備、建物の使われ方を踏まえて漏れや影響を考える。
使用条件 対象室、室内容積、使用機器、目的、時間を記録する。
停止後の換気 機械を止めただけで完了にせず、換気方法と時間を決める。
再入室の判断 オゾン特有のにおいの有無だけに頼らず、業者が条件と確認方法を説明する。
注意:市販の芳香剤や消臭スプレーを大量に使用した室内では、成分とオゾンが反応して別の刺激性物質が生じる可能性があります。使用済み製品がある場合は、施工業者へ伝えてください。

オゾン特有のにおいが抜ける前に、消臭完了を判断しません

オゾンを停止した直後は、オゾン特有の刺激を感じることがあります。その状態で「元のにおいがしない」と判断しても、元のにおいが分かりにくくなっているだけかもしれません。

完了確認は、換気を行い、オゾン特有のにおいが抜けた後に行います。さらに、窓を閉めた状態、温度・湿度が変わった状態、時間が経過した状態でも確認します。

使用後に確認する場所と条件
  • ・ 亡くなられた場所の周辺と、処置した建材
  • ・ 床の継ぎ目、巾木、壁際、収納、家財の下
  • ・ 玄関、隣室、共用部との境
  • ・ 窓を閉めた状態
  • ・ 気温や湿度が上がった状態
  • ・ 乾燥後、一定時間を置いた状態
測定実例

見積書では「オゾン一式」ではなく、前後工程と完了条件を確認します

「特殊清掃一式」「消臭一式」「オゾン一式」だけでは、何が含まれているのか分かりません。機械の使用料だけなのか、原因箇所の調査、撤去、洗浄、乾燥、換気、再確認まで含むのかを分けて確認してください。
 

見積書で確認する項目 確認する理由
原因箇所の調査 どこを根拠に作業範囲を決めたか分かるようにするため
家財・建材の撤去範囲 残す物と外す物、廃材処分の範囲を分けるため
洗浄と乾燥 オゾン使用前の中心工程が含まれているか確認するため
オゾン処理 目的、対象室、使用機器、時間が分かるようにするため
安全管理と換気 立入り管理、停止後の換気、再入室条件を確認するため
再確認と完了条件 作業直後の感覚だけで完了にしないため
においが戻った場合の対応 再確認の期限、対象範囲、追加費用の条件を把握するため
費用と作業範囲

実例|オゾンの稼働を延長しても、窓を閉めるとにおいが戻った現場

他社がオゾン発生器を数日間稼働させた後も、窓を閉めるとにおいを感じるという相談がありました。機械の稼働時間は確保されていましたが、前回どこまで床材を確認し、どの範囲を洗浄したかが明確ではありませんでした。

 再確認で分かったこと

床材の裏側からコンクリート下地にかけて、処置が必要な箇所が残っていました。空間へオゾンを出しても、建材の裏に残る成分を物理的に洗い流すことはできません。

 まごのてが行った工程

床材と巾木を必要な範囲で外し、影響範囲を確認
コンクリート下地を洗浄
乾燥時間を設け、場所ごとに再確認
必要な箇所へ防臭処理
前工程後、空間に残るにおいへの補助としてオゾンを使用
換気後、窓を閉め、気温が上がった状態でも再確認

この実例で重要なのは、「前業者の機械が弱かった」と単純化しないことです。長く稼働させても戻った理由を、機械の性能ではなく、前工程の記録と残った原因箇所から確認しました。

他社施工後の再確認

業者へ確認する7つの質問

機器の説明だけでなく、現場をどこまで見ているかを確認する質問です。専門用語を使えるかではなく、作業範囲と判断根拠を具体的に説明できるかを見てください。

においの原因は、どこに残っていると判断しましたか
床材、巾木、壁際、下地はどこまで確認しますか
残す物、洗浄する物、外す物をどう分けますか
洗浄後の乾燥を、どのように確認しますか
オゾンを使う目的は何ですか
人・動物の退出、換気、再入室をどう管理しますか
何をもって消臭作業の完了としますか

「業務用だから大丈夫」「長く回すから問題ない」といった回答だけでは、原因箇所への処置と完了条件が分かりません。写真、作業記録、見積書の内訳を使い、確認済みの範囲と未確認の範囲を分けて説明してもらうことが大切です。

対応地域|東京・千葉・神奈川・埼玉を中心に相談できます

まごのての特殊清掃・消臭の主な対応地域は、東京都・千葉県・神奈川県・埼玉県です。茨城県・栃木県・群馬県・山梨県につきましては、作業内容、見込まれる日数、搬出条件などにより対応できる場合があります。

オゾンの追加を依頼するか迷っている段階でも、前回の見積書や作業内容が分かれば、原因箇所の確認、撤去・洗浄・乾燥、安全管理のどこを先に整理すべきか確認できます。正式な現地見積もりは有料です。夜間作業は行っていません。

相談時に分かる範囲で伝える情報
  • ・ 現場の市区町村と建物種別
  • ・ においを感じる場所と、強くなる条件
  • ・ 床材、巾木、下地、家財をどこまで確認済みか
  • ・ 前回の洗浄・撤去・オゾンの内容
  • ・ 管理会社、家主、近隣への説明状況
  • ・ 退去、引渡し、原状回復の予定

特殊清掃のオゾンに関するよくある質問

Q. オゾン脱臭機を使えば、孤独死後のにおいは消えますか?

A. 空間や表面に残る一部のにおい成分へ作用する場合はありますが、床材、巾木、下地、家財などに原因が残っている場合、オゾンだけではにおい戻りを防げません。先に原因箇所の確認、必要な撤去・洗浄・乾燥を行います。

Q. 高性能な業務用オゾン発生器なら、床材を外さなくてもよいですか?

A. 機器性能と建材確認の必要性は別です。床材の継ぎ目や巾木の裏、下地まで影響が及んでいる可能性がある場合は、必要な範囲を確認してから残す部分と外す部分を判断します。

Q. オゾンは長時間回すほど効果が高くなりますか?

A. 時間だけでは判断できません。対象となるにおい、室内容積、原因箇所への前処理、換気条件、安全管理、使用後の再確認までを一体で考える必要があります。

Q. オゾン特有のにおいがすれば、効いている証拠ですか?

A. 施工完了の証拠にはなりません。オゾン特有のにおいが抜けた後、窓を閉めた状態や温度・湿度が変わった状態でも再確認する必要があります。

Q. オゾン使用中に室内へ入れますか?

A. 原則として、人や動物がいる状態では稼働させません。第三者の立入りを防ぎ、停止後に換気と安全確認を行い、業者が再入室の条件を説明します。

Q. オゾンを使わない特殊清掃もありますか?

A. あります。原因箇所の撤去、洗浄、乾燥、防臭処理などで対応できる場合や、現場条件からオゾンを選ばない場合もあります。機械ありきではなく、現場ごとに工程を組み立てます。

Q. 他社でオゾン施工後に、においが戻りました。相談できますか?

A. 相談可能です。追加でオゾンを稼働させる前に、前回どこまで確認・撤去・洗浄・乾燥したかを整理し、原因が残っている可能性がある箇所を再確認します。

Q. 見積書の「オゾン一式」は、何を確認すればよいですか?

A. オゾンの目的、使用前の撤去・洗浄範囲、使用機器、稼働条件、安全管理、停止後の換気、再確認方法、完了条件が分かれているか確認してください。

オゾンを追加する前に、原因箇所と前工程を整理します

「オゾンを長期間使ったが、においが戻った」「消臭一式としか書かれていない」「最新機種なので建材確認は不要と言われた」など、分かる範囲で状況をお伝えください。

電話受付は6:30~21:00です。休業日があります。正式な現地見積もりは有料です。

特殊清掃・消臭について相談する

記事執筆:

株式会社まごのて 代表取締役
佐々木久史

主に特殊清掃技術の開発や現場指導に注力しています。
孤独死・自殺・ゴミ屋敷・事故物件など、他社が断るような現場でも創業以来施工不能となった現場は一つもありません。

宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士の資格((東京)第277343号)を保有しており、清掃・消臭の技術判断と「どう再生すれば資産価値を回復できるか」の不動産判断を同時に行える点が他の特殊清掃業者との最大の違いです。

日本在宅医学会・高齢者虐待防止学会での登壇実績、各行政区のゴミ屋敷条例意見交換会への出席など学術・行政の両面から現場の専門家としての地位を確立しています。

東邦大学保健衛生学部・岸恵美子教授(セルフネグレクト・ ゴミ屋敷研究の第一人者)と、現場データの共同研究を継続。 複数の学術論文に共同執筆者として名前が掲載されており、 現場実務者として学術分野での評価も確立しています。

東洋経済:ゴミ屋敷に商機を見出した男の波乱万丈人生
理念と経営:逆境の時ほど爪を研げ

株式会社まごのて
東京都江戸川区北葛西3-5-6
インボイス適格事業者登録番号:T1011701018023
宅地建物取引業:東京都知事(1) 109168
産業廃棄物収集運搬業:01300191644(株式会社MG)
宅地建物取引士 賃貸不動産経営管理士 創業15年・施工不能ゼロ 学術登壇実績あり
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