特殊清掃コラム

作業の進め方
2026.08.24

管理物件で孤独死が起きたら|大家・管理会社の確認順と残す記録

管理物件で孤独死が起きたら|大家・管理会社の確認順と残す記録

管理物件で孤独死が起きたとき、管理会社や大家が最初にする仕事は「部屋へ入って状況を全部確認すること」ではありません。

警察の確認、鍵と入室権限、共用部へのにおい・害虫など現在続いている影響、室内家財の権利、すでに誰かが入室したかどうかを分けて整理します。社内報告用の写真を撮るためだけに入室する必要もありません。

管理会社側で重要なのは、すべてを自社で判断することではなく、現場の事実を混ぜずに残し、特殊清掃・家財整理・法務・原状回復・再募集へ正しく引き継げる状態をつくることです。

この記事では、大家・管理会社が孤独死の連絡を受けたあと、現場へ不用意に人を増やさず、何を確認し、何を記録し、どの段階で専門業者へつなぐかを整理します。

管理会社・大家が最初に分けるのは「現場」「権限」「出口」の3本です

孤独死後の対応が複雑になるのは、清掃、家財、契約、相続、原状回復、再募集を一度に決めようとするからです。最初は次の3本に分けると整理しやすくなります。

1|現場で今起きていること警察確認、鍵、入室可否、におい、害虫、共用部・隣室への影響、すでに入室した人の有無。
2|誰が何を決められるか入室の承諾、家財の処分、契約終了、相続人・受任者など、それぞれの判断主体を分けます。
3|最終的にどうするか再募集、売却、原状回復、明け渡しなどの出口は、初期対応後の確認結果を見て決めます。

最初から「全部撤去して全面リフォーム」と決める必要はありません。反対に、出口が決まるまで現在進行中のにおい・害虫等を放置してよいという意味でもありません。

いきなりすべての工程を考える必要はない

社内報告のために写真を撮りに入らない|先に確認するのは入室履歴です

管理会社や不動産会社では、オーナー報告や社内共有のために「まず現場写真を」と考えやすい場面があります。しかし、孤独死後の室内では、写真を撮ること自体よりも、撮影のために誰かが室内へ入り、歩き、物を動かし、窓や換気設備を操作することを先に考える必要があります。

写真がすでにある場合に確認したいこと
  • ・誰が、いつ入室したか
  • ・玄関からどこまで歩いたか
  • ・家財、寝具、床材などを動かしたか
  • ・窓、換気扇、エアコン、扉を操作したか
  • ・室外へ持ち出した物があるか
  • ・廊下、EV、階段など共用部を通ったか

写真があるから必ず影響が広がった、と断定するものではありません。ただし、撮影のために人が入室しているなら、室内だけでなく入退室経路や共用部まで確認範囲を広げるべきかを判断する材料になります。

管理会社側が新たに写真を撮りに入る必要はありません。写真がなくても、発見時期、警察対応、鍵、近隣からの連絡、におい・害虫、入室履歴など、分かっている断片情報から相談できます。

におい・害虫など現在続いている影響は、家財処分より先に切り分けます

警察等の確認が終わり、作業承諾が取れたあと、共用部へにおいが出ている、害虫が室外へ出ている、室内へ安全に入りにくいといった状況では、家財整理やリフォームとは別に、まず現場への影響を抑えて次の判断へ進める状態を整える初期対応が必要になることがあります。

まごのてでは、この初期対応を「一次処理」と呼んでいます。これは特殊清掃業界で広く共通化された一般名称ではなく、まごのてが現場運用上使っている呼称です。消臭、家財撤去、原状回復まで終えるという意味ではありません。

初期対応で目指すこと

現在続いているにおい・害虫・床まわり等への影響を抑え、室内の状態を確認し、家財整理・消臭・原状回復など次工程を判断できる状態へ近づけます。

まごのてでいう一次処理を詳しく確認する 特殊清掃の初期対応と、その後の工程を見る >

入室できることと、家財を処分できることは別です

管理会社がマスターキーを持っている、大家が所有者である、親族と連絡が取れたという事情だけで、室内家財を自由に処分できるとは限りません。

特殊清掃の初期対応として現在の影響を抑えることと、家具・家電・衣類・書類等を財産として処分することは、同じ判断にしない方が安全です。特に相続人が未確定、相続放棄を検討中、連帯保証人しか連絡が取れない場合は、家財処分の権限を別に確認します。

残置物の処分権限を確認する 孤独死後の残置物は誰が処分できる? >

管理会社が残しておきたい記録|「後で説明できる状態」をつくる

特殊清掃会社が「告知する・しない」「誰に請求する」と決めるわけではありません。だからこそ、管理会社側は後の判断に使える事実を時系列で残しておくことが重要です。

記録 残す内容 後で役立つ場面
連絡履歴 発見日時、警察・親族・オーナー・近隣からの連絡 時系列整理
鍵・入室履歴 鍵の保管者、誰がいつ入ったか、何を動かしたか 確認範囲の判断
建物への影響 共用部・隣室からのにおい、害虫等の申告 初期対応の優先度
施工記録 施工範囲、実施内容、作業前後の状態、見積書・報告書 原状回復・保険・再募集への引継ぎ
判断保留事項 家財処分、費用負担、再募集、告知など未確定事項 法務・不動産担当へ渡す

作業前後の写真が必要な場合も、管理会社の担当者が撮影のために入室するのではなく、施工会社が安全管理と作業記録の一環として必要範囲を残す考え方が基本です。

初期対応後は、費用・家財・再募集・告知をそれぞれの担当へ渡します

実例|ご遺族が来る前に、管理会社が「入室させない」判断をしたケース

東京都東部の賃貸アパートで、73歳の男性が室内で亡くなり、発見まで約10日が経過した事例があります。近隣から管理会社へにおいについて連絡が入りましたが、その時点でご遺族はまだ現場へ到着していませんでした。

管理会社が先に行ったのは、ご遺族へ鍵を渡して「中を見てください」と頼むことではなく、専門業者へ現場の状態と初期対応の要否を確認することでした。

管理側がすべてを自分で確認しようとせず、誰を最初に入室させるかを管理すること自体が初動になります。

ご遺族が入室する前の実例孤独死があった部屋へ入る前に >

特殊清掃会社へは「知っている情報だけ」で構いません

管理会社から相談する場合も、現場情報を完全にそろえる必要はありません。写真を撮るために入室せず、電話やLINEで分かる範囲を伝えてください。

分かる範囲で伝えてほしい情報
  • ・物件所在地、建物種別、階数
  • ・発見時期と警察確認の状況
  • ・鍵の所在と入室承諾の状況
  • ・すでに入室した人がいるか
  • ・近隣、共用部からにおい・害虫等の連絡があるか
  • ・家財が残っているか
  • ・ご遺族、オーナー等との連絡状況
  • ・退去、引渡し、再募集等の期限があるか

「発見から1週間くらい」「鍵は警察から返る予定」「廊下までにおうと入居者から連絡がある」といった断片情報でも構いません。分からない項目は「分からない」と伝えてください。

対応地域|東京・千葉・神奈川・埼玉を中心に対応します

まごのてでは、東京都・千葉県・神奈川県・埼玉県を中心に、管理会社・大家からの孤独死後の初期対応、特殊清掃、家財整理、原状回復前の確認についてご相談を受けています。

東京都

集合住宅では管理窓口、共用部、EV、作業可能時間、入居者からの連絡状況を確認します。

千葉県

戸建て・集合住宅とも、鍵、搬出導線、車両位置、管理会社・オーナーとの連絡体制を確認します。

神奈川県

横浜・川崎を含め、坂道・階段・道路幅・横持ちなど建物外の搬出条件も確認します。

埼玉県

団地・集合住宅では階段、EV、共用部、作業時間、管理人・管理組合との調整条件を確認します。

周辺地域については、所在地、現場状況、緊急性、作業内容、移動時間などの現場条件を確認し、個別にご案内します。

よくある質問

Q. 管理会社が現場確認のために入室してもよいですか?

A. 警察等の確認や入室権限を前提にしますが、社内確認や写真撮影だけを目的に不用意に入室することはおすすめしていません。すでに入室した場合は、誰がどこまで入り、何を動かしたかを記録してください。

Q. オーナー報告用の写真は必要ですか?

A. 写真を撮るために管理会社担当者が入室する必要はありません。施工会社が作業記録として必要範囲を残し、見積書・作業報告書と合わせて共有できる場合があります。

Q. 大家の判断で家財を処分できますか?

A. 入居者が亡くなったという事実だけで、貸主が室内家財を自由に処分できるとは限りません。相続人・受任者など処分権限を持つ人を確認し、初期対応と財産処分を分けて進めます。

Q. まず全面リフォームの見積もりを取った方が早いですか?

A. 先に内装範囲を決めると、家財撤去後に見える床・壁際・下地等の状態や、においの原因確認とずれることがあります。初期対応、家財整理、消臭、原状回復を分けて確認します。

Q. 写真がなくても管理会社から相談できますか?

A. できます。発見時期、警察確認、鍵、入室履歴、共用部へのにおい・害虫、オーナー・ご遺族との連絡状況など、分かる範囲から整理します。写真撮影のために入室する必要はありません。

現場写真をそろえてから連絡する必要はありません

警察対応、鍵、発見時期、近隣からの連絡、すでに入室した人の有無など、分かることだけお知らせください。初期対応が必要か、家財整理・原状回復と何を分けるべきかを整理します。

電話受付 6:30~21:00|休業日あり|LINEは内容を確認後、順次ご案内します

記事執筆:

株式会社まごのて 代表取締役
佐々木久史

主に特殊清掃技術の開発や現場指導に注力しています。
孤独死・自殺・ゴミ屋敷・事故物件など、他社が断るような現場でも創業以来施工不能となった現場は一つもありません。

宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士の資格((東京)第277343号)を保有しており、清掃・消臭の技術判断と「どう再生すれば資産価値を回復できるか」の不動産判断を同時に行える点が他の特殊清掃業者との最大の違いです。

日本在宅医学会・高齢者虐待防止学会での登壇実績、各行政区のゴミ屋敷条例意見交換会への出席など学術・行政の両面から現場の専門家としての地位を確立しています。

東邦大学保健衛生学部・岸恵美子教授(セルフネグレクト・ ゴミ屋敷研究の第一人者)と、現場データの共同研究を継続。 複数の学術論文に共同執筆者として名前が掲載されており、 現場実務者として学術分野での評価も確立しています。

東洋経済:ゴミ屋敷に商機を見出した男の波乱万丈人生
理念と経営:逆境の時ほど爪を研げ

株式会社まごのて
東京都江戸川区北葛西3-5-6
インボイス適格事業者登録番号:T1011701018023
宅地建物取引業:東京都知事(1) 109168
産業廃棄物収集運搬業:01300191644(株式会社MG)
宅地建物取引士 賃貸不動産経営管理士 創業15年・施工不能ゼロ 学術登壇実績あり
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孤独死・自殺・事故物件の特殊清掃について、現場の状況をそのままお話しください。対応可能かどうか、費用の目安も含めてご案内します。


事故物件の処分・リフォーム・再生について、宅建士として適正な選択肢をご提案します。売る・直す・貸すどの方向でも構いません、まずご相談ください。