特殊清掃コラム
同居しているのに発見が遅れた孤独死|住み続けるための特殊清掃【東京】

※この記事は作業進行中の記録です。作業完了後に、臭気計測値や仕上がり状況を追記予定です。
「同居しているのに、気付かなかった。」
特殊清掃の現場に入ると、この言葉の重さを考えさせられることがあります。
ただし、これは同居していたご家族を責める話ではありません。
認知症や精神疾患、引きこもりなどの事情が重なると、同じ部屋で生活していても、異変に気付けない、気付いても対応できない状況が起こることがあります。これは決して特殊なケースではなく、現代の社会構造の中で誰にでも起こり得る孤立の形です。
まごのてではこの2年で複数回、同居者がいるにもかかわらず死亡の発見が大きく遅れた特殊清掃現場に入っています。
今回の記事では、東京都内の区役所から依頼を受けた、80代の母と60代の息子の二人暮らしの現場を記録します。
息子さんの死後約1ヶ月が経過し、その間、認知症のあるお母さんが同じ住戸で生活を続けていた事案です。
区役所からの依頼は、退去や解約を前提にした清掃ではありません。
「お母さんがこの部屋に戻れる状態にしてほしい」というものでした。
区役所からの依頼は「片付け」ではなく「この部屋に戻すこと」だった
今回の依頼で最も難しかったのは、汚染箇所を処理することだけではなく、お母さんがこの部屋に戻る前提で作業を組むことでした。
退去清掃であれば、汚れた家財をまとめて撤去し、畳や壁紙を張り替える判断ができます。
しかし今回は、生活用品を残しながら臭気を下げる必要がありました。
同じ部屋にいても、異変に気付けないことがある
「同居していたのになぜ気付かなかったのか」という疑問を持たれるかもしれませんが、これは同居していたご家族を責める話ではありません。
認知症、精神疾患、引きこもり、生活困窮、外部との接点の少なさなどが重なると、同居していても異変に気付けない、あるいは気付いても外部へ助けを求められないことがあります。
“同じ家に人がいること”と“異変に対応できること”は別であるという現実があります。
同居型孤独死の場合、ご本人が室内を歩き回ることで、生活動線に沿って汚染が広がる場合があります。また、発見後も同居者がその部屋に住み続けるケースが多く、退去清掃とはまったく違う作業設計が必要になります。
臭いは一部屋で止まらない。数値から見えた室内全体への広がり
初回作業日、室内に入ると遺体痕は居室のカーペット上にありました。長期間が経過していたため、においはカーペットや畳だけでなく、壁や天井、押し入れなどの建材にも染み付いている状態でした。
まごのてでは、作業前に臭気計測器(OMX-ADMなど)を用いて客観的な数値を記録します。感覚ではなく、現場で鼻で確認し、臭気計で測り、数字が残る場所を追いかけるのが私たちの作業です。
- 共用廊下(基準):0
- 室内・作業前:999
- 養生シート上・一次処理後:2
- 別室(トイレ等):5
この現場で難しかったのは、遺体痕のある場所だけを処理すれば終わる状態ではなかったことです。
主要箇所の数値が下がっても、別室に臭気が残っていれば、お母さんが戻ったあとに生活の中で臭いを感じる可能性があります。
退去清掃なら捨てられる。でも、住み続けるなら残さなければいけない
退去清掃であれば、においが移った布団、衣類、家具、畳、壁紙をすべて撤去し、張り替える判断が容易にできます。
しかし住み続ける場合は、お母さんが使う生活用品、家具、衣類、収納内の物をすべて撤去するわけにはいきません。
つまり、まごのてが現場で見ているのは「汚れているか」だけではありません。
“これは処分してよい物か”
“これは生活再開に必要な物か”
“残すなら、どこまで洗浄・消臭できるか”
という、非常にデリケートな判断が必要になります。
1日で終わらせず、臭気を測りながら2週間かけて下げていく
「1日で完全消臭します」と謳う業者もいますが、家財や生活用品が残る現場では、強い薬剤を一度撒いただけでは数日後に必ずにおいが戻ってきます。
今回の現場は、臭気源を処理して終わりではありません。家財が残り、収納が残り、壁・天井・押し入れにも臭気が回っているため、「洗浄 → 計測 → 空間消臭 → 再計測 → オゾン処理」という順番で、臭気の戻りを見ながら進める必要があります。
強力な消臭・殺菌効果を持つオゾン処理を行う際は、人や動物を室外に出す必要があります。今回は、区役所等の協力によりお母様が2週間の施設避難期間を確保できたため、その期間を使って集中的に作業を実施しました。
“1日で終わる特殊清掃”ではなく、住み続けるために、臭いの戻りを確認しながら下げていく現場だったのです。
今回のように発見まで時間が経過している現場では、最初に臭気源や汚染箇所を処理する一次処理が重要になります。一次処理の考え方については、特殊清掃の一次処理とは何かでも詳しく整理しています。
孤独死後の現場では、ご遺族や関係者が室内へ入る前に、臭気源や汚染箇所を抑える一次処理が必要になることがあります。別事例として、孤独死の部屋に入る前に必要だった一次処理でも、初動対応の考え方を整理しています。
また、同居型孤独死のように住み続けることが前提となる現場では、臭気源の処理だけでなく生活動線や家財の残し方まで含めて作業を組む必要があります。まごのての特殊清掃サービスでは、現場の状況を確認しながら、一次処理・除菌・消臭・必要な家財整理まで段階的に対応しています。
予算に上限があるからこそ、最初に削ってはいけない作業がある
生活保護受給世帯や行政案件では、清掃にかけられる費用に上限があることが多く、理想的な作業をすべて行えるとは限りません。
その場合に大切なのは、単に「予算が少ないから簡単に済ませる」ことではありません。
限られた費用の中で“削ってはいけない作業”を見極め、優先順位を誤らないことです。
まごのてでは、限られた予算であっても事前確定見積もりをお出しし、後から説明のない追加請求を行うことはありません。
- 遺体痕周辺の一次処理
- 衛生面のリスクを抑える除菌作業
- 生活動線上の清掃
- 臭気が残りやすい壁・建具・押し入れの洗浄
- 臭気計測による確認
- 必要に応じた段階的な消臭(オゾン処理)
壁紙の全面張り替えや畳の新調が難しい場合でも、これらの作業を適切に組み合わせることで、生活に支障が出にくい状態へと近づけることができます。
区役所・管理会社・ケースワーカーが最初に共有してほしいこと
同居型孤独死の現場では、対応が複雑になりやすいため、初動での情報共有がその後のスムーズな進行を左右します。
ご相談時に以下の内容をお伝えいただけると、現場状況と費用条件を合わせた現実的な作業範囲を整理しやすくなります。
※無理に室内へ入って写真を撮る必要はありません。ご遺族や関係者の精神的・衛生的な安全を最優先にし、分かる範囲の状況だけをお聞かせください。
まごのてでは、東京都・千葉県・神奈川県・埼玉県を中心に、孤独死後の特殊清掃、一次処理、除菌・消臭、家財整理の相談を受けています。今回のように区役所や管理会社が窓口となる案件でも、現場状況と費用条件を確認しながら、作業範囲を整理します。
よくある質問
同居者がいる孤独死、生活保護受給世帯、住み続けることが前提の特殊清掃では、通常の退去清掃とは違う作業設計が必要になります。
ご相談時には、分かる範囲で以下をお伝えください。
- ・発見からどのくらい経っているか
- ・住み続ける予定か、退去予定か
- ・同居者が一時避難できるか
- ・費用上限があるか
- ・管理会社、区役所、ご家族のどなたが窓口になるか
- ・写真があるかどうか
無理に室内へ入って写真を撮る必要はありません。
現在の状況、住み続けるかどうか、使える期間と費用条件を伺ったうえで、対応範囲を整理します。
まごのてでは、東京都・千葉県・神奈川県・埼玉県を中心に、孤独死後の特殊清掃、一次処理、除菌・消臭、家財整理の相談を受けています。
株式会社まごのて 代表取締役
佐々木久史
孤独死・自殺・ゴミ屋敷・事故物件など、他社が断るような現場でも創業以来施工不能となった現場は一つもありません。
宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士の資格((東京)第277343号)を保有しており、清掃・消臭の技術判断と「どう再生すれば資産価値を回復できるか」の不動産判断を同時に行える点が他の特殊清掃業者との最大の違いです。
日本在宅医学会・高齢者虐待防止学会での登壇実績、各行政区のゴミ屋敷条例意見交換会への出席など学術・行政の両面から現場の専門家としての地位を確立しています。
東邦大学保健衛生学部・岸恵美子教授(セルフネグレクト・ ゴミ屋敷研究の第一人者)と、現場データの共同研究を継続。 複数の学術論文に共同執筆者として名前が掲載されており、 現場実務者として学術分野での評価も確立しています。
東洋経済:ゴミ屋敷に商機を見出した男の波乱万丈人生
理念と経営:逆境の時ほど爪を研げ
株式会社まごのて
東京都江戸川区北葛西3-5-6
インボイス適格事業者登録番号:T1011701018023
宅地建物取引業:東京都知事(1) 109168
産業廃棄物収集運搬業:01300191644(株式会社MG)
孤独死・自殺・事故物件の特殊清掃について、現場の状況をそのままお話しください。対応可能かどうか、費用の目安も含めてご案内します。
事故物件の処分・リフォーム・再生について、宅建士として適正な選択肢をご提案します。売る・直す・貸すどの方向でも構いません、まずご相談ください。












