ゴミ屋敷片付けコラム
- TOP
- ゴミ屋敷片付け
- ゴミ屋敷片付けコラム
- ゴミ屋敷退去後に原状回復費100万円を請求される理由|経年劣化と善管注意義務の分け方
ゴミ屋敷退去後に原状回復費100万円を請求される理由|経年劣化と善管注意義務の分け方

退去前に家財を出し、部屋を空にして、水回りや床もできる範囲で清掃した。
それでも退去後、管理会社から届いた原状回復費の請求書に、100万円前後の金額が書かれている。
このとき混乱しやすいのは、
「片付けも清掃もしたのに、なぜここまで請求されるのか」
「これは経年劣化ではないのか」
「長く住んでいたから、クロスや床の価値はもうないのではないか」
という点です。
まず分けて考える必要があります。
家財やゴミを撤去して部屋を空にすること、退去前に床や水回りを清掃することは、明渡し前に借主側で整理する作業です。
一方で、退去後に問題になるのは、清掃後も残った床・壁・設備・臭い・害虫などの損傷が、通常損耗や経年劣化の範囲なのか、それとも部屋の使い方や管理状態による損傷として見られるのかです。
ゴミ屋敷状態だった部屋では、長期間の不衛生状態によって、床材の下、壁際、水回り、収納内、設備まわりに影響が残ることがあります。
この記事では、退去前の片付け費用ではなく、退去後に請求される原状回復費が高額化する場面と、経年劣化・減価償却・善管注意義務違反をどう分けて確認するかを整理します。
- ・1. この記事で扱うのは「退去前の片付け費」ではなく「退去後の原状回復費」です
- ・2. 民法621条で見る原状回復|通常損耗・経年劣化は分けて考える
- ・3. ゴミ屋敷化していた部屋で、善管注意義務違反が問われやすい場面
- ・4. 「7年住んだから請求されない」は危ない|減価償却と善管注意義務は別です
- ・5. 退去後に原状回復費が100万円前後になりやすい状態
- ・6. 請求書で見るべき項目|清掃後も残った損傷なのかを確認する
- ・7. まごのてが退去前にできること|部屋を空にしたあと、損傷の見え方を整理する
- ・8. 写真で見る|清掃後に残る損傷は、原状回復費の争点になります
- ・9. 原状回復に関するその他の確認記事
- ・10. よくある質問(Q&A)
1. この記事で扱うのは「退去前の片付け費」ではなく「退去後の原状回復費」です
この記事では、退去前に家財やゴミを撤去する費用、部屋を空にする作業費、水回りや床の清掃費を主題にしません。
それらは、明渡し前に借主側で整理すべき作業です。
ここで扱うのは、退去後に管理会社や貸主側から請求される原状回復費です。
たとえば、清掃しても落ちない床の変色、クロスの奥に残る臭い、水回り設備の腐食、害虫発生による設備まわりの影響、床材や巾木の交換などです。
この前提を置かずに「退去費用」とまとめてしまうと、片付け代なのか、原状回復費なのか、損害関連費なのかが分からなくなります。
この記事の前提
家財やゴミは退去前に撤去し、部屋を空にして明け渡す前提です。ここで扱うのは、その後に請求される原状回復費や損害関連費です。
2. 民法621条で見る原状回復|通常損耗・経年劣化は分けて考える
民法621条では、賃借物(借りていた部屋)の損傷について借主の原状回復義務を定めています。同時に、「通常の使用及び収益によって生じた賃借物の損耗並びに賃借物の経年変化」は除くと明記されています。
つまり、普通に生活していて自然に古くなった部分(経年劣化)や、普通に使っていてつく傷や汚れ(通常損耗)の修繕費用は、貸主側(毎月の家賃の中)で負担するというのが基本的な考え方です。
退去後に届いた100万円の請求書を見る際の第一歩は、その請求項目が「通常損耗・経年劣化」として除外されるべきものなのか、それとも「借主の責任による損傷」として扱われているのかを確認することです。
3. ゴミ屋敷化していた部屋で、善管注意義務違反が問われやすい場面
借主には、借りた部屋を管理者として注意して扱う「善管注意義務」があります。
ゴミ屋敷化していた部屋で問題になりやすいのは、退去時に物が残っているかどうかではありません。
問題になるのは、長期間の使用・管理状態によって、建物側に通常使用を超える影響が残っているかどうかです。
このような場合は、単なる経年劣化ではなく、善管注意義務違反や使用方法の問題として見られることがあります。
4. 「7年住んだから請求されない」は危ない|減価償却と善管注意義務は別です
SNSなどで「壁紙の耐用年数は6年だから、長く住めば原状回復費は1円もかからない」という情報を見かけることがあります。しかし、これは危険な誤解です。
たしかに、国土交通省のガイドライン等において、クロス(壁紙)の耐用年数は6年とされ、残存価値が考慮される考え方はあります。しかし、これはあくまで「通常の使用」を前提とした減価償却の考え方です。
長期間の不衛生状態によって、壁の下地ボードまで腐食させてしまった場合や、清掃で落ちない強烈な臭いを染み込ませてしまった場合は、「クロス表面の価値」だけの問題ではなくなります。下地補修や特殊清掃など、通常損耗を超えた実費については、減価償却の計算とは別に借主負担を求められるケースがあります。
減価償却は、建材や設備の価値を時間の経過に応じて考えるための目安です。
たとえば、クロスのように経過年数を考慮しやすいものは、長く住んでいれば残存価値が低くなるという考え方があります。
しかし、それは「通常の使用で古くなった場合」の話です。
ゴミ屋敷化によって、臭いが壁際や下地まで及んでいる、カビが広がっている、害虫の影響が設備まわりに残っている、といった場合は、単なるクロス表面の価値だけでは整理できません。
また、材料費の残存価値とは別に、撤去費、施工費、下地処理、消臭、設備確認などが問題になることがあります。
そのため、「7年住んだから請求されない」「価値がないから払わなくていい」と言い切るのは避けてください。
5. 退去後に原状回復費が100万円前後になりやすい状態
費用が高額に跳ね上がるのは、表面的な清掃では対応できず、建物本体へ影響が出ている場合です。具体的にどのような状態が高額化につながるのかを整理します。
6. 請求書で見るべき項目|清掃後も残った損傷なのかを確認する
高額な請求書が届いたときは、「原状回復工事一式」という表記で止まらず、費目ごとの内訳を出してもらうことが重要です。
確認すべきは、それが「通常清掃で対応可能な範囲だったのに過剰な工事が計上されていないか」、あるいは逆に「長期間の管理状態によって、実際に下地や設備まで損傷が及んでいる実費なのか」という点です。
7. まごのてが退去前にできること|部屋を空にしたあと、損傷の見え方を整理する
まごのてが退去前にできることは、退去後の原状回復費を判断することではありません。
ただ、家財を出し、部屋を空にし、床・水回り・臭い・害虫の状態を確認できる状態に整えることはできます。
重要なのは、物がない状態にしたあとです。
こうした確認ができる状態にしておくことで、退去後に原状回復として問題になりそうな箇所を整理しやすくなります。
まごのては、請求を下げる約束をする会社ではありません。
退去後に何が問題になり得るかを、部屋の状態から見えるようにする会社です。
8. 写真で見る|清掃後に残る損傷は、原状回復費の争点になります
次の写真は、「片付け前と片付け後の変化」を見せるためだけのものではありません。
この記事で見てほしいのは、部屋を空にし、通常の清掃を行ったあとに、床・壁・水回り・設備に何が残るのかです。
原状回復費で問題になるのは、単に部屋が散らかっていたかどうかではありません。
退去前に家財を出し、室内を整理し、清掃したあとでも残る損傷や臭いが、通常損耗・経年劣化の範囲なのか、それとも借主側の使用・管理状態による損傷なのかが確認されます。
民法621条では、通常の使用による損耗や経年変化は、賃借人の原状回復義務から除かれます。
一方で、賃借人の責任によって生じた損傷がある場合は、原状回復の対象になり得ます。つまり、見るべきなのは「古いから請求されない」でも「汚れていたから全部借主負担」でもなく、どの損傷がどの理由で残っているのかです。
国土交通省の原状回復ガイドラインも、退去時の原状回復トラブルを防ぐため、通常損耗・経年変化・借主負担となり得る損傷を分けて考える資料として活用されています。記事内では、ガイドラインを「勝ち負けの材料」ではなく、請求内容を整理するための確認軸として扱ってください。
写真を見るときは、「きれいになったか」だけで判断しないでください。
重要なのは、室内を空にしたあとに、
を確認できる状態になっているかです。
室内整理後の状態。物がない状態になることで、清掃で戻る汚れと、原状回復費として確認される可能性がある床・壁・水回り・設備の損傷を分けやすくなります。
原状回復費を見るときの分かれ目
退去後の請求では、「汚れていたか」だけではなく、その損傷が通常損耗・経年劣化なのか、借主側の使用・管理状態による損傷なのかを分けて確認します。
長く住んでいた場合でも、減価償却だけで請求がなくなるとは限りません。床・壁・設備・臭い・害虫への影響が、通常の使用を超えるものかどうかが争点になります。
9. 原状回復に関するその他の確認記事
退去後の原状回復に関連して、状況に応じた詳しい確認ポイントは以下の記事でも整理しています。
⚠️ 退去の警告を受けている場合
「改善しなければ契約解除」等の連絡がある場合は、原状回復の前に初動対応が必要です。ゴミ屋敷で退去警告を受けたときの初動対応をご確認ください。
💡 臭いが主な問題になっている場合
タバコ臭やペット臭が原因で請求が大きい場合は、タバコ臭・ペット臭の退去費用はどこまで借主負担?で整理してください。
💡 敷金なし物件の場合
直接請求による負担感についての考え方は、敷金なし物件の退去費用はどうなる?をご確認ください。
10. よくある質問(Q&A)
まずは状況を整理しましょう
退去後に原状回復費として100万円前後の請求が届くと、金額だけを見て不安になってしまいます。
ただ、その請求が経年劣化なのか、通常損耗なのか、長期間の管理状態による損傷なのかは、部屋の状態を分けて確認しなければ判断できません。
まごのてでは、退去前に家財を出して部屋を空にし、床・水回り・臭い・害虫の状態を確認できるように整えるご相談を受けています。
清掃で戻る部分と、退去後に原状回復として確認が必要になりそうな部分を、現場の状態から一緒に整理します。
東京都・千葉県・神奈川県・埼玉県を中心に対応しています。
江戸川区、葛飾区、江東区、墨田区、浦安市、市川市など東京23区東部・千葉県隣接地域では、状況により最短即日相談・現地確認を調整しやすい場合があります。
株式会社まごのて 代表取締役
佐々木久史
孤独死・自殺・ゴミ屋敷・事故物件など、他社が断るような現場でも創業以来施工不能となった現場は一つもありません。
宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士の資格((東京)第277343号)を保有しており、清掃・消臭の技術判断と「どう再生すれば資産価値を回復できるか」の不動産判断を同時に行える点が他の特殊清掃業者との最大の違いです。
日本在宅医学会・高齢者虐待防止学会での登壇実績、各行政区のゴミ屋敷条例意見交換会への出席など学術・行政の両面から現場の専門家としての地位を確立しています。
東邦大学保健衛生学部・岸恵美子教授(セルフネグレクト・ ゴミ屋敷研究の第一人者)と、現場データの共同研究を継続。 複数の学術論文に共同執筆者として名前が掲載されており、 現場実務者として学術分野での評価も確立しています。
東洋経済:ゴミ屋敷に商機を見出した男の波乱万丈人生
理念と経営:逆境の時ほど爪を研げ
株式会社まごのて
東京都江戸川区北葛西3-5-6
インボイス適格事業者登録番号:T1011701018023
宅地建物取引業:東京都知事(1) 109168
産業廃棄物収集運搬業:01300191644(株式会社MG)
ゴミ屋敷の状態がどれだけひどくても、お断りした現場は15年間一度もありません。恥ずかしがらず、現状をそのままお話しください。










