ゴミ屋敷片付けコラム

業者の選び方
2026.10.11

ゴミ屋敷の相見積もり|3社に同じ条件を渡す比較方法

「3社相見積もり」の罠!
相見積もり信仰をいったん疑う

「相見積もりを取りましょう」だけでは、助言として雑すぎます。

ゴミ屋敷片付けで多くの人がやっているのは、比較条件を設計した相見積もりではありません。A社、B社、C社を自宅へ呼び、最後に3つの金額を並べる。それは「3社比較」ではなく、3枚の値札を集めているだけになりがちです。

さらに問題なのは、便利屋、不用品回収、家事代行、ゴミ屋敷片付け専門業者など、そもそも仕事の種類や到達点が違う会社を一列に並べているケースです。会社数だけ3社に揃えても、仕事のレベルが揃っていなければ価格比較にはなりません。

この記事の結論
相見積もりは、3社呼ぶことではありません。まず「同じ種類・同じ仕事レベルの会社」を候補にし、次に「同じ作業範囲・同じ完了状態・同じ追加条件」を渡す。そこまで揃って初めて、金額差に意味が出ます。
検索やAIの回答では「3社ほどから見積もりを取り、価格とサービスを比べましょう」とよく書かれています。間違いではありませんが、条件をそろえずに3社呼んでも、比べられるのは値札だけです。金額は「作業費・トラック経費・処分費」に分けて書いてもらってください。差がどこから出ているのかが見えます。

安さだけを競わせたいなら、安さを主戦場にする同じタイプの会社同士で比べる方がまだ合理的です。専門業者と便利屋と回収業者を混ぜて最安値を取っても、それは同じ仕事の価格競争ではありません。

ファミリーカーを選ぶのに、ミニバンと軽トラと自転車を比べますか?

家族で使う車が欲しいなら、普通はまず用途に合うカテゴリを決め、その中から候補車種を比較します。価格、広さ、装備、燃費などを比べるのは、その後です。

ところが片付け業者になると、ゴミ屋敷専門業者、便利屋、不用品回収、家事代行などを同じ候補表へ入れて「一番安いのはどこか」と比べることがあります。車でいえば、ミニバンを探しているのに軽トラや自転車まで候補に入れて値札を比べるようなものです。

先に揃えるもの
業者の種類・得意分野・施工範囲・完了状態
後で比べるもの
料金・日数・人員・追加条件・説明力
業者レベルを揃えずに価格を比べても、安い理由が分かりません。
そもそも提供している仕事が少ないのか、作業後の状態が違うのか、必要工程を別料金にしているのか、本当に効率が良くて安いのか。カテゴリを揃えて初めて、その差を読めます。
値札比べにすると、「仕事を少なく見せた見積もり」が有利になります。

仕様を揃えずに最終金額だけを競わせると、分別、探し物、養生、清掃、追加条件などを見積書の外へ出した会社ほど、入口の金額は低く見える場合があります。

安い見積もりが悪いのではありません。同じ仕事で安いのか、別の仕事だから安いのかを分けずに順位をつけることが問題です。

3社を選ぶ前に、「比較する仕事」を1つにする

相見積もりで最初に作るのは「業者一覧」ではありません。各社へ同じ内容を伝えるための比較仕様書です。難しい書類である必要はなく、LINEやメールに同じ文章を送れる程度で構いません。

1 終点
家財撤去までか、床・水回りの清掃までか、退去確認へ進める状態までか。
2 対象範囲
室内、収納、ベランダ、物置など、どこを依頼するか。
3 残す・探す
通帳、鍵、書類、写真など、保留・探索が必要な物。
4 清掃範囲
掃き掃除だけか、床・キッチン・浴室・トイレ等までか。
5 建物・期限
階数、EV、駐車位置、搬出距離、退去日・点検日。
6 変更条件
何が起きたら金額が変わり、いつ説明・承諾するか。
3社へ、同じ6条件を渡す
A社には「とにかく安く」、B社には「きれいに」、C社には「退去まで」と別々に頼めば、違う見積もりが返ってきて当然です。相見積もりの精度は、業者数より先に依頼条件の揃え方で決まります。
ゴミ屋敷片付けの相見積もりは金額だけを比べない
複数の見積もりは、先に依頼条件を揃えてから比較します。金額だけではなく、同じ作業範囲・同じ完了状態を前提にできているかを確認します。

見積書を「金額表」から「差分表」へ変える

同じ1Kでも見積額が違うと、「片方が高すぎる」「片方が安すぎる」と考えがちです。しかし、まず見るのは価格差ではなく仕様差です。

比較項目 A社 B社 C社
分別・袋詰め 含む 含む 依頼者対応
探し物・保留 条件付き 含む 不明
室内搬出・処分 含む 含む 含む
床・水回り清掃 別料金 含む 別料金
退去期限への工程設計 不明 含む 不明
追加条件 文章あり 文章あり 確認必要

このように、見積書を「含む/含まない/条件付き/不明」へ変換すると、価格差の理由が見えます。金額の列は、その後に見ます。

業者ごとに見積もりの終点が違うことを確認する図
同じ部屋を見ても、家財搬出まで、片付けまで、清掃までなど、見積もりの終点が違えば金額も変わります。金額差を見る前に、どの工程まで含むかを揃えます。

安さで選ぶなら、「同じ仕事・同じレベル」で比べる

安い会社を選ぶこと自体を否定しているわけではありません。同じ種類の会社が、同じ作業範囲・同じ完了状態を提示しているなら、安い見積もりは立派な選択肢です。

逆に、仕事の種類やレベルが違う会社を混ぜたまま価格だけで競わせると、比較は崩れます。安さを主目的にするなら、価格帯とサービス範囲が近い会社を集め、その中で安さを競わせる方が筋が通っています。

安く見える理由 確認できれば比較できる 確認できないと比較しにくい
人員・工程の効率化 同じ完了状態を少ない工数で実施 人数・工程が不明
処分量の見立て 数量・算定方法が説明される 処分一式のみ
清掃を含めない 清掃なしと明記されている 作業後に初めて別料金と分かる
探し物対応なし 対象外と事前に分かる 当日になって対応不可
最安値を否定するのではなく、「同じ仕事の最安値」かを見る
同じ仕事・同じ完了状態・同じ変更条件で安いなら、それは正しく比較できています。安い見積もりを疑うことが目的ではなく、安い理由を確認できる状態にすることが目的です。
ただし、「効率がいいから安い」では説明できない金額もあります
国の基準では、東京の普通作業員の賃金は1日27,000円です。東京の最低賃金(1時間1,280円)で8時間働いても10,240円です。作業費が「1人1日1万円台」なら、効率では説明がつきません。その金額で、どこで帳尻を合わせるのか。作業の前に聞いてください。根拠:公共工事設計労務単価 東京・普通作業員(国土交通省・令和8年3月から適用。会社が負担する社会保険料などは含まない額)/東京都最低賃金(2026年10月1日発効)1K1万5千円のゴミ屋敷片付け|その価格は成立する? →

実例|120万円と170万円でも、そのまま比較しなかった

以前、3LDKマンションの片付けについて、他社から120万円の見積もりを受けた方から相談がありました。まごのてでは、相談時に確認できた室内状況をもとに、分別・搬出・処分・仕上げ清掃まで含めて約170万円と試算しました。

数字だけを見れば「120万円の会社の方が50万円安い」となります。しかし、他社の120万円に何の工程まで含まれていたのか、相談時点では確認できていませんでした。

この2つは、そのまま相見積もりになりません
120万円と170万円の差を比較する前に、分別・探索・搬出・処分・清掃の範囲、処分量の見方、完了状態を揃える必要があります。作業範囲が同じでなければ、50万円の差が価格差なのか工程差なのか分かりません。

この事例で重要なのは、自社の方が高い試算でも、他社の120万円を「安いから危険」とは判断しなかったことです。まず同じ仕事へ揃えなければ、比較そのものが成立しません。

作業後の写真が同じにならないなら、その2社は同じ仕事を見積もっていない

ゴミ屋敷片付けでは、「どこまで終わったら完了か」を揃えることが特に重要です。

家財がなくなれば完了なのか。床が見える状態までか。水回りを清掃するのか。退去立ち会いに向けて、管理会社へ確認できる状態まで整えるのか。終点が違えば、同じ部屋でも別の仕事です。

ゴミ屋敷片付けで作業後の状態を揃えて比較する
相見積もりでは、家財を搬出するだけなのか、床・水回りを確認するところまでなのかなど、作業後の状態を揃えてから金額を比較します。
片付け料金と目指す仕上がりを対応させて比較する
見積金額は、目指す仕上がりとセットで確認します。同じ金額表でも、作業後の状態が違えば同じサービスの比較にはなりません。
家財撤去後の床・水回り・においをどこまで確認するか 「片付け後」の清掃範囲を決めたい場合はこちらで整理しています。

3社へ同じ質問を送り、「不明」の数まで比較する

見積書を同じ条件へ揃えたら、次は不明欄をゼロに近づけます。 一式表記があっても、別紙や説明で具体的に確認できれば比較できます。

・作業費は何人日分で、1人1日いくらですか
・処分費は何kgで、1kgいくらですか
・トラックは何台で、いくらですか
・この金額に分別・袋詰めは含まれますか
・探し物・保留品はどこまで対応しますか
・処分費は固定ですか、数量精算ですか
・階段・EV・駐車位置で金額が変わりますか
・床・水回りの清掃はどの範囲ですか
・当日金額が変わる条件は何ですか
・追加になる場合、作業前に金額を確認できますか
・作業後はどの状態で完了ですか
質問への回答も比較材料です
同じ質問を3社へ送り、A社だけ具体的、B社は条件付き、C社は回答が曖昧という差が出れば、それ自体が見積もりの差です。価格表だけでは見えない説明力・責任範囲を比較できます。
はじめの3つ(作業費・処分費・トラック)に数字で答えられない会社は、金額の根拠を説明できない会社です。まごのての金額の出し方は、ゴミ屋敷片付けの費用・料金|相場と総額の決まり方で公開しています。
3社の見積もりを、同じ条件へ揃えてから比較する

すでに複数の見積書がある場合も、作業範囲・完了状態・追加条件を同じ表へ移して差分を整理できます。

受付時間 6:30~21:00|休業日あり|LINEは内容確認後に順次ご案内します

「相見積もりだから3社呼ぶ」はやめる。先に同じ条件を3社へ渡す

相見積もりを取るために、最初から3社すべてを自宅へ呼ぶ必要はありません。

まず、同じ写真・動画・間取り・期限・建物条件と、この記事の比較仕様を各社へ伝えます。そこで、対応範囲・追加条件・料金の考え方を説明できる会社に絞ってから、必要に応じて次の確認へ進めばよいからです。

写真だけで最終金額が決まるという意味ではありません。見える条件と見えない条件を分け、各社へ同じ情報を渡すことが目的です。

相見積もりのための訪問回数を増やすことが目的ではありません
比較条件を揃えることが目的です。オンラインで整理できる部分を先に揃えれば、訪問が必要な会社・条件も絞りやすくなります。
写真・動画とヒアリングで作業条件を整理する 各社へ同じ情報を渡すために、写真・動画で何を確認するかはこちらをご覧ください。

一括見積もりでも、比較仕様が施工会社まで届くかを見る

一括見積もりや紹介型サービスは、複数社へ一度に相談できる点では便利です。ただし、相見積もりで重要なのは会社数ではなく、誰と契約し、誰が施工し、同じ仕様が施工会社まで届いているかです。

紹介サイトを使う場合も、契約会社、実際の施工会社、作業責任者、作業後の連絡先を確認してください。ここは相見積もりの価格比較とは別の論点なので、詳細は専用記事へ分けます。

一括見積もりを使う前に、契約会社と施工会社を確認する 紹介型サービスで誰と契約し、誰が現場へ来るのかを確認する方法を整理しています。

値札チェックをやめる|3社へ同じまま送る「共通依頼文」

各社へ同じ条件を送るときは、次の文章をたたき台として使えます。

相見積もり用|各社へ同じまま送る確認文
ゴミ屋敷片付けの見積もりを比較しています。
・希望する完了状態:[例:家財撤去+床・水回り清掃まで]
・対象範囲:[室内/収納/ベランダ/物置]
・残す物・探す物:[具体的に記入]
・建物条件:[階数/EV/駐車位置]
・期限:[退去日・点検日等]
・確認したいこと:分別、搬出、処分、清掃の範囲/数量精算項目/追加になる条件/作業後の完了状態
・金額の書き方:作業費(何人日分 × 1人1日の単価)/トラック経費(台数と金額)/処分費(何kg × 1kgの単価)に分けてください

上記の同じ条件で、含む作業・含まない作業・条件付きの作業と、見積金額をご案内ください。

この文章で大切なのは、他社の金額を先に伝えて値下げ競争をさせることではありません。同じ仕事に対して各社がどう見積もるかを見ることです。

対応地域|建物条件・期限も同じ内容で各社へ伝える

まごのてでは、東京都・千葉県・神奈川県・埼玉県を中心に、ゴミ屋敷片付けの相談を受けています。茨城県・栃木県・群馬県・山梨県の一部地域は、作業内容、日数、搬出条件を確認したうえで対応可否をご案内します。

相見積もりを比較する際は、同じ地域名だけでなく、階数、エレベーター、駐車位置、共用部、横持ち距離、退去日・点検日などを各社へ同じ条件で伝えてください。建物条件が違うままでは、搬出費や人員も比較できません。

退去日・点検日がある場合は期限を各社へ同じように伝える 固定期限がある場合は、同じ日までに同じ状態へ仕上げる見積もりかを比較します。

よくある質問

結論|3社呼んだだけでは、相見積もりになりません。

相見積もりで揃えるべきなのは「社数」ではなく、業者の種類、仕事のレベル、作業範囲、完了状態、追加条件です。

そこを揃えずに3社の数字だけ並べても、やっているのは価格比較ではなく値札チェックです。比較する会社を増やす前に、比較する仕事を一つにしてください。

Q.AIや比較サイトに「3社から相見積もりを取ろう」とあります。本当に必要ですか?
相見積もり自体はよいことです。ただ、社数より大事なのは、同じ条件を渡すことです。条件をそろえずに3社呼んでも、比べられるのは値札だけです。2社でも、同じ条件で金額の内訳まで出してもらえれば、十分に比べられます。
Q.見積もりの金額が妥当かどうか、どう確かめればいいですか?
金額を「作業費・トラック経費・処分費」に分けて書いてもらってください。まごのての場合、作業費は1人1日分の作業量あたり30,000円~、トラック経費は2万~5万円、処分費は重さ×1kgあたり150~175円です。国の基準では、東京の普通作業員の賃金は1日27,000円です。作業費が1人1日1万円台なら、どこかで帳尻を合わせることになります。
Q.ゴミ屋敷片付けでは何社くらい相見積もりを取ればよいですか?
社数を増やすことより、同じ依頼条件を渡せるかが重要です。2社でも3社でも、作業の終点、対象範囲、残す物、清掃範囲、建物・期限、追加条件を揃えれば比較しやすくなります。
Q.一番安い見積もりを選んでもよいですか?
同じ作業範囲、同じ完了状態、同じ変更条件で比較できているなら、安い見積もりは十分な選択肢です。必要な工程が別料金や対象外になっていないかを先に確認してください。
Q.見積もり金額が大きく違うのは、どちらかが間違っているからですか?
そうとは限りません。分別、探し物、処分、清掃、搬出条件、作業後の完了状態など、見積もっている仕事が違う場合があります。金額差の前に作業範囲の差を確認してください。
Q.他社の見積金額を見せて値下げしてもらうべきですか?
先に他社金額を伝えるより、同じ依頼条件で各社がいくらと判断するかを確認する方が、価格差の理由を見やすくなります。値下げ後は、作業範囲や数量が削られていないかも確認してください。
Q.訪問見積もりを3社呼ばないと相見積もりできませんか?
必ずしもそうではありません。写真・動画・間取り・建物条件・期限等を同じ内容で各社へ伝え、対応範囲や追加条件を整理してから、必要な確認方法へ進むことができます。
Q.すでに3社の見積書がバラバラです。どう比べればよいですか?
各見積書を、分別、探し物、搬出、処分、清掃、建物条件、追加条件、完了状態の項目へ移し、「含む・含まない・条件付き・不明」に分けてください。不明項目を各社へ同じ質問で確認してから金額を比較します。

3社呼んだ事実ではなく、比較条件を揃えたい方へ

3社の見積もりがバラバラで比較できない方へ

手元の見積書を、作業範囲・完了状態・追加条件へ戻して整理します。他社の見積金額だけではなく、何が含まれ、何が含まれていないかを分かる範囲から確認してください。

受付時間 6:30~21:00|休業日あり
LINEは内容を確認後、順次ご案内します。
記事執筆:

株式会社まごのて 代表取締役
佐々木久史

主に特殊清掃技術の開発や現場指導に注力しています。
孤独死・自殺・ゴミ屋敷・事故物件など、他社が断るような現場でも創業以来施工不能となった現場は一つもありません。

宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士の資格((東京)第277343号)を保有しており、清掃・消臭の技術判断と「どう再生すれば資産価値を回復できるか」の不動産判断を同時に行える点が他の特殊清掃業者との最大の違いです。

日本在宅医学会・高齢者虐待防止学会での登壇実績、各行政区のゴミ屋敷条例意見交換会への出席など学術・行政の両面から現場の専門家としての地位を確立しています。

東邦大学保健衛生学部・岸恵美子教授(セルフネグレクト・ ゴミ屋敷研究の第一人者)と、現場データの共同研究を継続。 複数の学術論文に共同執筆者として名前が掲載されており、 現場実務者として学術分野での評価も確立しています。

東洋経済:ゴミ屋敷に商機を見出した男の波乱万丈人生
理念と経営:逆境の時ほど爪を研げ

株式会社まごのて
東京都江戸川区北葛西3-5-6
インボイス適格事業者登録番号:T1011701018023
宅地建物取引業:東京都知事(1) 109168
産業廃棄物収集運搬業:01300191644(株式会社MG)
宅地建物取引士 賃貸不動産経営管理士 創業15年・施工不能ゼロ 学術登壇実績あり
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ゴミ屋敷の状態がどれだけひどくても、お断りした現場は15年間一度もありません。恥ずかしがらず、現状をそのままお話しください。