ゴミ屋敷片付けコラム

ゴミ屋敷|法律関連
2026.08.30

ゴミ屋敷の相続放棄|家財を捨てる前に確認すること

ゴミ屋敷の相続放棄

親や親族が亡くなり、久しぶりに実家へ入ったら大量の家財と生活ごみが残っていた。借金もあるかもしれず相続放棄を考えている一方、近所や大家からは早く片付けてほしいと言われている。こうした相談では、片付けを急ぐほど判断が難しくなります。

相続放棄を検討している段階で重要なのは、「ゴミだから捨てる」と先に決めないことです。民法921条は相続財産の処分を法定単純承認の事由とする一方、保存行為は例外として扱っています。何が処分で、何が保存のための限定対応かは、物の見た目だけでは決まりません。

この記事では、法律判断を片付け会社が代行するのではなく、現況を記録する → 相続手続きの現在地を確認する → 作業目的を分ける → 確認済みの範囲だけ発注するという順番で、ゴミ屋敷と相続放棄を整理します。孤独死後の特殊清掃が必要なケースは、別記事へ分けて案内します。

結論|「全部処分」で業者を呼ぶ前に、作業目的を分けます

結論からいうと、相続放棄を検討しているゴミ屋敷で、片付け業者へ最初から「全部捨ててください」と発注するのは避けた方が安全です。先に決めるのは処分量ではなく、何に触れないか、何を探すか、どの範囲なら保存目的の対応として確認されているかです。

最初の4段階
1. 現況を写真・動画・メモで残す
2. 相続放棄前/申述中/受理後のどこにいるか確認する
3. 家財の処分と、財産を守るための限定対応を分ける
4. 法律判断を専門家へ確認し、確認済み範囲だけ業者へ発注する

片付け業者の役割は、相続放棄が成立するかを決めることではありません。現場の状態と作業範囲を具体化し、専門家へ確認しやすい材料を作ることです。

「ゴミ」と「相続財産」は同じ分類ではありません

ゴミ屋敷では、床にある物がすべて「法的にもゴミ」とは限りません。段ボール、衣類、古い家具、郵便物、契約書、通帳、印鑑、現金、写真、貴金属などが同じ部屋に混在しているからです。

見た目では不要品に見えても、所有関係や財産的価値、相続手続き上の意味が残っている場合があります。逆に、腐敗や漏水などを放置すると、他の財産や建物の状態を悪化させることもあります。

大量の家財と生活用品が混在する実家のゴミ屋敷
家財・書類・日用品が混在する室内。見た目だけで「全部ごみ」と分類せず、処分前に残す物・確認する物を分けます。
ここで起きやすい判断ミス
・古い家具だから無価値と決めて一括廃棄する
・郵便物や書類を中身を見ずに袋へ入れる
・現金化できそうな物だけ先に売る
・近所から急かされ、相続手続きの確認前に全撤去を発注する

相続放棄を検討する場面では、片付け会社が「これは価値がないから捨てて大丈夫」と法律判断まで行うのではなく、処分対象の決定権を誰が持つのかを先に確認します。

民法921条|「処分」と「保存行為」を分けて考えます

民法921条は、相続人が相続財産の全部または一部を処分したとき、原則として単純承認をしたものとみなすと定めています。一方で、保存行為は例外として明記されています。

だからこそ、相続放棄を検討しているゴミ屋敷では「触ったら即アウト」「生活ごみなら全部セーフ」という二択にしないことが重要です。処分した物、目的、範囲、財産的価値、周囲への影響など、個別事情によって評価が変わり得ます。

行為の例 なぜ確認が必要か 現場での考え方
家財をまとめて廃棄する 相続財産の処分に当たる可能性を確認する必要がある 業者へ一括処分を指示する前に専門家へ確認
貴金属・家具等を売却する 換価・処分に当たる可能性が高い行為として慎重な確認が必要 査定・売却を先に進めない
腐敗・漏水等による損傷拡大を止める 保存行為として評価され得る場面がある 必要最小限の範囲と方法を専門家へ確認
現況を撮影・数量確認する 処分ではなく事実確認のための記録 物を動かす範囲も最小限にして記録を残す
公的一次情報|e-Gov「民法」第921条 相続財産の処分を法定単純承認の事由とし、保存行為を例外とする条文を確認できます。

「どの物なら捨てても絶対に大丈夫」という全国共通のリストは作れません。この記事でも、個別の処分可否を断定せず、専門家へ確認するための事実整理に徹します。

片付け業者へ依頼する前に確認する6項目

業者へ相談するときは、部屋の広さやごみの高さだけでなく、相続手続きの現在地も伝えます。見積もりの前に次の6項目を整理すると、作業範囲の誤解を減らせます。

業者へ伝える6項目
1. 相続放棄は未申述・申述中・受理後のどこか
2. 他の相続人・次順位相続人を把握しているか
3. 持ち家か賃貸か、建物の名義や契約関係はどうなっているか
4. 誰が鍵を持ち、誰が室内を使用・管理していたか
5. 絶対に触れない物・探す物・残す物は何か
6. 専門家から確認を得た作業範囲はどこまでか
ゴミ屋敷の室内で通帳や印鑑や契約書などを確認している様子
通帳・印鑑・契約書・現金・権利関係の書類などは、処分前に確認が必要です。探す物を先に決めてから作業範囲を組みます。

特に「全部処分」「価値がありそうなら買取」という依頼文は、相続放棄の判断が未確定の段階ではそのまま作業指示にしません。誰が処分を決める権限を持つか、売却してよいかを先に確認します。

3か月の期限と、ゴミ屋敷を片付ける期限は別です

相続放棄の申述は、原則として自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内です。ゴミ屋敷の片付けが終わってから3か月を数えるわけではありません。

一方、実家が大量の物で埋まり、通帳や借金の資料、不動産関係の書類が見つからないことがあります。「部屋を全部片付けないと相続財産を調べられない」と考えると、処分と調査が混ざります。

3か月で焦ったときに分けること
・相続財産を調べるために必要な情報は何か
・その情報を得るために室内で何を確認する必要があるか
・家財を処分しなくても確認できる方法はないか
・期間内に判断材料が揃わない場合、熟慮期間の伸長を検討するか
裁判所|相続の放棄の申述 相続放棄の申述期間、申述先、必要書類などの公式案内です。 裁判所|相続の承認又は放棄の期間の伸長 3か月の熟慮期間内に判断できない場合の期間伸長手続きを確認できます。

「3か月だから今日中に全部捨てる」という動き方ではなく、法律上の期限と片付け作業の工程を別々に管理します。

相続放棄後|民法940条は「現に占有している財産の保存」です

相続放棄後について、今でも「放棄しても管理責任がずっと残る」と一括りに説明されることがあります。しかし、2023年4月1日施行の改正後の民法940条は、相続放棄をした人が放棄の時に相続財産に属する財産を現に占有している場合に、その財産を相続人や相続財産清算人へ引き渡すまで保存する義務を定めています。

法務省は、改正によって、義務を負うのは放棄時に相続財産を現に占有している場合に限られ、義務の内容も現に占有している財産の保存にとどまり、それを超えた管理義務ではないことが明確になったと説明しています。

相続が発生した実家の鍵と室内の現況を確認している様子
「現に占有しているか」は親族という立場だけで決めず、居住・使用・鍵・荷物の保管など実際の事情を整理し、法的評価は専門家へ確認します。
「現に占有」を自己判断しない
同居していたか、実際に使用していたか、鍵や荷物をどう管理していたかなど、事実関係を整理します。ただし、どの事情で法的に「現に占有」と評価されるかを片付け会社が断定することはできません。
法務省|所有者不明土地等関係の民法改正資料 改正民法940条の「現に占有」「保存義務」「引渡しまで」という考え方を法務省資料で確認できます。

遠方に住んでいる、長男である、鍵を一度預かったといった一つの事情だけで、義務の有無を決めないことが大切です。

相続人全員が放棄する場合は、相続財産清算人を確認します

相続人全員が相続放棄するなどして、相続人のあることが明らかでない状態になると、相続財産清算人の手続きが関係することがあります。

裁判所の案内では、家庭裁判所は利害関係人などの申立てにより相続財産清算人を選任します。清算人は、被相続人の債務の支払いなど相続財産の清算を行います。

確認項目 裁判所の案内から分かること
選任は自動か 自動的に選任されるわけではなく、申立てによる手続きが必要
誰が申立てるか 利害関係人、検察官。自分が申立人に当たるかは個別確認
費用 収入印紙・郵便料・官報公告料のほか、事案により予納金が必要になる場合がある
片付けとの関係 清算人や専門家と権限・作業範囲を確認してから家財処分へ進む
裁判所|相続財産清算人の選任 全員が相続放棄した場合を含む選任の概要、申立人、費用、必要書類を確認できます。

「相続放棄した人が必ず清算人を申し立てなければならない」と一律には書けません。誰が申立人となるか、必要性や費用は個別に確認します。

賃貸・持ち家でも「明渡し」と「家財処分」は分けて考えます

ゴミ屋敷が賃貸住宅か、被相続人所有の一軒家かでも、片付け以外の手続きが変わります。ここでも「家財を捨てること」と「建物側の手続き」を一緒にしないことが大切です。

物件 現場で起きやすいこと 分けて確認すること
賃貸住宅 大家・管理会社から明渡しや鍵返却の連絡が来ることがある 賃貸借契約、家財処分、明渡し、鍵返却を分けて専門家へ確認
持ち家・実家 建物そのものも相続財産に関係する 家財処分だけでなく、不動産の権利・固定費・管理状況を含めて相続判断
集合住宅の区分所有 専有部の家財に加え、管理費や共用部ルールが関係する場合がある 管理組合・管理会社からの連絡内容と相続手続きを分ける

大家や管理会社から期限を示されている場合でも、その連絡だけを根拠に、相続放棄を検討している親族が家財を一括処分してよいとは限りません。期限と法律判断を同時並行で整理します。

一軒家・実家のゴミ屋敷片付け費用|売却・解体・居住で変わる 相続する方針が決まり、実家を片付ける費用や作業範囲を検討する段階はこちらで確認できます。

孤独死後で、においや害虫など建物への影響を先に抑える必要がある場合は、家財整理とは別に特殊清掃の初動を検討します。

孤独死現場の一次処理|家財撤去の前に行う初動対応 家財処分を先にせず、現場へ入れる状態を整える初動対応を確認できます。

片付け会社の役割は、法律判断ではなく「作業範囲と記録」を作ることです

相続放棄を検討している段階で、まごのてが法律上の処分可否を決めることはできません。一方、専門家が判断するために必要な現場情報と、後で確認できる作業記録を整理することはできます。

現場側で整理できること 内容
現況確認 玄関・各室・水回り・屋外・物量を写真で残す
探索条件の整理 通帳、印鑑、契約書、権利書類、現金、指定品など探す対象を決める
触れない範囲の共有 処分不可、移動不可、保留品を作業前に決める
見積もりの分離 現況確認・探索・分別・搬出・清掃など作業項目を分ける
作業記録 作業前後写真、処分・保留・発見品の扱いを残す
ゴミ屋敷の作業前に処分しない物と作業範囲を写真で確認している様子
相続判断が絡む現場では、作業前に「触れない物」「探す物」「確認済みの作業範囲」を共有し、作業前後の記録を残します。
まごのてが行わないこと
・相続放棄が有効かどうかの法律判断
・家財を処分してよいかの最終的な法的判断
・「価値がないから相続財産ではない」という断定
・相続財産清算人が必要か、誰が申立人になるかの最終判断

相続の法律判断は専門家へ、現場の物量・探索・搬出・清掃は作業会社へ。役割を混ぜない方が、後から「何を誰の判断で処分したのか」を追いやすくなります。

対応地域|相続手続きと作業範囲を分けてご相談ください

まごのてでは、東京都・千葉県・神奈川県・埼玉県を中心に、相続が発生した実家・一軒家・賃貸住宅の家財整理、ゴミ屋敷片付けの相談を受けています。

東京都
23区・多摩地域

東京23区全域と多摩地域のご相談に対応。相続手続きが絡む場合は、処分権限と作業範囲を確認してから見積もり・作業へ進みます。

千代田区中央区港区新宿区文京区台東区墨田区江東区品川区目黒区大田区世田谷区渋谷区中野区杉並区豊島区北区荒川区板橋区練馬区足立区葛飾区江戸川区八王子市町田市府中市調布市三鷹市武蔵野市立川市
千葉県
千葉・東葛・湾岸

市川・浦安・船橋・松戸など東京隣接地域を含め、実家・賃貸・集合住宅の家財整理を相談できます。

千葉市市川市浦安市船橋市松戸市柏市流山市習志野市鎌ケ谷市八千代市我孫子市
神奈川県
横浜・川崎ほか

横浜市・川崎市など。相続が絡む家財撤去は、法的確認済みの範囲と搬出条件を合わせて整理します。

横浜市川崎市相模原市大和市藤沢市横須賀市鎌倉市
埼玉県
さいたま・県南東部

さいたま市、川口市、戸田市など。実家の一軒家から賃貸住宅まで、相続手続きの現在地を確認してご案内します。

さいたま市川口市戸田市蕨市草加市越谷市和光市朝霞市八潮市
周辺県は条件を確認してご案内します

茨城県・栃木県・群馬県・山梨県などは、所在地、物量、希望日、作業内容、搬出条件などを確認したうえで対応可否をご案内します。法律相談そのものは行っていません。

相続放棄を検討している場合は、住所や物量だけでなく、相続手続きの現在地と専門家から確認済みの作業範囲をお知らせください。まだ法律判断が済んでいない場合は、現況写真や見積もりに必要な情報整理から始められる場合があります。

よくある質問

ゴミ屋敷と相続放棄について、片付け前によく確認される内容をまとめます。

Q. 相続放棄を考えている場合、ゴミ屋敷を片付けてもよいですか?

A. 一律に「片付けてよい」「何もしてはいけない」とは言えません。民法921条では相続財産の全部または一部を処分したときに法定単純承認となる規定がある一方、保存行為は例外です。家財を一括処分する前に、相続手続きの現在地と作業目的を整理し、個別の作業範囲を弁護士等へ確認してください。

Q. 腐敗した食品や明らかな生活ごみだけなら捨てても大丈夫ですか?

A. 片付け会社が物の見た目だけで「処分しても相続放棄に影響しない」と断定することはできません。財産の価値低下や周辺への影響を防ぐための保存行為に当たり得る場面はありますが、何をどこまで処分できるかは個別事情で変わるため、処分前に専門家へ確認してください。

Q. 相続放棄をすると、必ずゴミ屋敷の管理責任が残りますか?

A. 必ず残るという説明は正確ではありません。2023年4月施行の改正後の民法940条は、相続放棄の時に相続財産に属する財産を現に占有している場合、その財産を相続人や相続財産清算人へ引き渡すまで保存する義務を定めています。現に占有しているかどうかは個別事情の確認が必要です。

Q. 相続放棄は3か月を過ぎると必ずできませんか?

A. 原則として、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に家庭裁判所へ申述します。ただし、期間内に相続財産を調査しても承認・放棄を判断できない場合は、家庭裁判所へ熟慮期間の伸長を申し立てる手続きがあります。個別事情は家庭裁判所や専門家へ確認してください。

Q. 相続人全員が相続放棄したら、ゴミ屋敷は誰が管理するのですか?

A. 相続人のあることが明らかでない状態になった場合、家庭裁判所は利害関係人などの申立てにより相続財産清算人を選任することがあります。相続財産清算人は相続財産の管理・清算を行います。誰が申立てをするか、予納金が必要かなどは個別事情によります。

Q. まごのてに、捨ててよい家財の法律判断まで依頼できますか?

A. 法律判断そのものはできません。まごのてが現場側で整理できるのは、室内の状態、家財へ触れたか、残す物・探す物、作業範囲、作業前後の写真記録などです。相続放棄への影響や処分可否を専門家へ確認した後、その確認済みの範囲で分別・搬出・清掃を進めます。

相続放棄を考えている段階では、部屋をきれいにすることより、誰の判断で何を動かすのかを先に整理してください。すでに弁護士等へ相談している場合は、確認済みの作業範囲をそのままお伝えください。

まだ法律判断が済んでいない場合でも、室内の物量、建物条件、探したい書類や貴重品、大家・管理会社からの連絡内容など、現場側の情報を整理する相談は可能です。処分の最終判断が必要な部分は、専門家確認後に作業へ移ります。

相続判断と片付け作業を分けて整理します

「全部捨ててよいか分からない」「部屋に入って何を探せばよいか分からない」という段階でも、現況と作業条件は整理できます。法律判断が必要な部分は弁護士等へ確認し、その確認済み範囲で分別・搬出・清掃をご案内します。

電話受付 6:30~21:00|休業日あり|LINEは内容を確認後、順次ご案内します

記事執筆:

株式会社まごのて 代表取締役
佐々木久史

主に特殊清掃技術の開発や現場指導に注力しています。
孤独死・自殺・ゴミ屋敷・事故物件など、他社が断るような現場でも創業以来施工不能となった現場は一つもありません。

宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士の資格((東京)第277343号)を保有しており、清掃・消臭の技術判断と「どう再生すれば資産価値を回復できるか」の不動産判断を同時に行える点が他の特殊清掃業者との最大の違いです。

日本在宅医学会・高齢者虐待防止学会での登壇実績、各行政区のゴミ屋敷条例意見交換会への出席など学術・行政の両面から現場の専門家としての地位を確立しています。

東邦大学保健衛生学部・岸恵美子教授(セルフネグレクト・ ゴミ屋敷研究の第一人者)と、現場データの共同研究を継続。 複数の学術論文に共同執筆者として名前が掲載されており、 現場実務者として学術分野での評価も確立しています。

東洋経済:ゴミ屋敷に商機を見出した男の波乱万丈人生
理念と経営:逆境の時ほど爪を研げ

株式会社まごのて
東京都江戸川区北葛西3-5-6
インボイス適格事業者登録番号:T1011701018023
宅地建物取引業:東京都知事(1) 109168
産業廃棄物収集運搬業:01300191644(株式会社MG)
宅地建物取引士 賃貸不動産経営管理士 創業15年・施工不能ゼロ 学術登壇実績あり
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ゴミ屋敷の状態がどれだけひどくても、お断りした現場は15年間一度もありません。恥ずかしがらず、現状をそのままお話しください。